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5、かいこうとかっとう再び

翌日、僕は三花ちゃんに起こされた。





 《もうっ!いつまで寝てるのっ!女の子は準備に時間がかかるのよ?》





 《いやあ、ごめん。ごめん。》





と言いつつ時計を見ると6時半を指していた。





 《ほらっ!早く着替えた。着替えた。そしてブラッシング。と、その前に顔を洗わないとね。》





三花ちゃんがまくしたてる。よほど慌ててる様だ。





 《幼稚園の制服の着方がわからないのだけど・・・。ただなんとなくはわかるけど。》





僕が質問すると三花ちゃんが、





《まずはブラウスを着て、吊りスカートと指定のソックスを履いて、リボンタイを付けて上着を着ればいいのよ。あとこれを忘れないでね。》





三花ちゃんが最後に出したもの。遠い昔に見た記憶がある物。それはブルマ。聞けば案の定と言うかパンチラ防止の為だそう。そういえば昔僕が幼稚園生であった頃、女の子が鉄棒してスカートがめくれてパンモロしたのを見た記憶があるな。





制服を着こんで姿見で服装チェックをして、帽子とカバンを持って急いでダイニングに向かい朝食を食べる。





 「おはよう」





と声を掛けるとお母さんが、





 「どうしたの?そんなに慌てて。寝坊でもしたの?」





と図星をついてくる。





 「まあ、そんな所。」





と、なんとか平静を保ちながら返答する。





 「ご馳走様でした。」





と言い歯磨きをしに洗面所に向かうとすでに父や兄達も歯磨きや朝の準備をしていた。





 「どうしたんだい?三花。あわててもろくな事にならないよ?」





お父さんが言ってくるが、僕はどうしてもあわてて歯磨きをしようとして焦っていた。








それからしばらくして玄関で通園靴を履きあとは通園バスが来るのを待つばかりとなった。





 「「いってきま~す!」」





 「では行ってくる。」





と、兄達とお父さんが言うと、





 「行ってらっしゃい。」





とお母さんが答えた。














 「さあ、三花ちゃんもそろそろね。外に出て待ちましょう。」





と言い僕の手を引いて先導した。








 「やあ、三花ちゃんおはよう。」





と、僕がバスに乗り込むと通園バスの運転手が言い、同乗の先生も





 「熱は治まったかい?心配してたんだよ?」





と言ってきた。





 「ご心配かけてすみませんでした。本調子では無いでしょうがなんとか元気です。」





と帽子をはずし、おじぎをして元気アピールをする。と、先生が





 「三花ちゃんは普段から大人びている感じだけど今回はより一層だね。まあ、元気になってよかったよ。」





僕は内心ひやひやしながら話をしていた。











 そうこうしている内に幼稚園に着き、1日が過ぎようとしている。


途中休み時間や通園バスを待っている間鉄棒をしたけどやはりと言うか、


僕と言うか三花ちゃんの可愛さに見学者が集まりスカートがめくれたりしたけど前もってブルマを履いていたおかげでパンモロはしなかった。


他の女の子達もブルマを履いており不幸な事に忘れてきたらしき子は鉄棒の輪に入ってこなかった。





何しろ初めてのスカート。ひらひらして足元がスースーしていたけどブルマを履いており暖かかったと思う。





 「三花ちゃん元気になったの?心配していたんだからね。」とは同じクラスの子の弁だ。











 家に帰り、普段着のワンピースに着替える。ピアノのレッスンの時間が迫るにつれ昨日三花ちゃんが言っていた先生に驚くと言っていた事を思い出し、期待半分、怖さ半分と言う面持ちでいた。





 《そろそろ来られるはずよ。あなたの驚く顔が楽しみだわ。》





と、冗談めかしてきた。








 「やあ、お待たせ。熱で寝込んでいたらしいね。もう治まったかい?」





と、気さくに先生が声をかけてきてくれリラックスさせようとする。


でも僕は驚きを隠し切れなかった。





 「ん?どうしたんだい?僕の顔になんか付いているかい?」





ピアノの先生の顔は以前見た事がある。若かりし頃の写真や動画でだが。


それは後世でゲーム音楽の第一人者であるとある作曲家だったからだ。





 《どう?驚いたでしょ?私もあなたの記憶を見た時に先生の功績をしりとても驚いたわ。》





 《そうだね、確かに驚いたよ。まさか生で見れてレッスンもしてもらえるとはね。歌のレッスンもしてもらっているの?》





僕はたまらず質問する。





 《ええ、そうよ。ピアノのレッスンの後は歌のレッスンも受けてるの。》





 《なら既にある先生の曲を弾いたり歌ったりは大丈夫だよね?例えばTVの音楽とか。》





興奮してしまい自分でも舞い上がっているのがわかる。





 「三花さん、どうしましたか?顔が赤いですよ。まだ熱でもあるのかな?」





先生が聞いてくるが僕は、





 「いえ、先生に出会えた喜びを噛みしめていた所です。ぜひ先生に聴いてもらいたいのですがよろしいでしょうか?」





と、僕は早速ピアノを弾きながら歌を歌う。もちろんこれから要練習だがピアノが弾けないので三花ちゃんに主導権を与えている。そしてすでに今世で公開された曲であり問題無いとの事で僕の記憶を頼りに弾いてもらい歌ってもらった。





 「これは発表して間もない曲だね。相変わらず三花さんの能力はすごいね、完コピしているんだから。


ますます教えがいがあると言う物だね。」





三花ちゃんの能力に先生はベタ褒めだが僕も同一水準まで鍛えないといけない事を悟るとちょっと憂鬱な気分になった。





 「では先生のとっておきの新作。出来立てほやほやを三花ちゃんにだけ特別に聴かせてあげるよ。」





と先生がピアノに向かい弾き始めた。途中で『これはあの曲だな。』と思ったが言うわけにもいかず悶々としてると、





 「三花ちゃんにだけ特別に教えてあげる。この曲の題名は〇〇と言うんだよ。」





 『ああ、やはりそうか・・・。』と思っていると、





 「もしかしたら三花ちゃんなら弾けるかもしれないね。ちょっと弾いてごらん?」





僕と先生が場所交代して何度も聴いた事のあるこの新曲を何てこと無い様に弾くと、





 「やっぱりすごいよっ!1回聴いただけで完璧なんだから。」





先生はまたもやベタ褒めしてくる。実は試しにセーブ&ロード能力を使い僕の記憶との違いが無いか。


または覚え間違えは無いかと念の為数回聴いていた。





 ここで褒められすぎて調子に乗りとある失敗をした。


BGMが出来ただけでまだ歌詞が無かった。その為のちに付けられる歌詞を歌ってしまった。


この時の先生は何気なく僕の歌詞を聴いていたけど、翌週のレッスン時に問い詰められた。





 「先週君が歌ったのをもう一回聴かせてくれるかい?」





僕は少し萎縮したが歌いだすと先生はとある書類を見ながら僕の歌を聴いていた。





 「やはり間違いじゃないね。これを見たまえ。実はこの歌詞は昨日発表された物なんだ。でも君は先週の内から歌った。まるで知っていたかの様に。どうして知っていたんだい?」





先生は今までの穏やかな顔から想像もつかないほどの剣幕で僕に問いかけてきた。





僕はしまったと思い言い訳を考えるが妙案が浮かばない。





ならば一層の事先週のレッスン時に戻してしまえと言う事で、ロード能力を使用して時を戻した。





 『やはり危険だな。今後は注意しないと。』





と心に誓った。





 「今日の僕のレッスンの時間はこれで終了だね。いやあ、教えがいがあるよ~。」





先生が手放しで褒めてくれる。ここで気になる事を思い付きみかちゃんに尋ねる。





 《先生のサインは貰っているの?》と、





 《いいえ、まだよ。》





 《ではこの際だからサイン貰ってもいいのかな?》うきうきした感情で言うと、





 《では聞いてみる?》と言う事で先生に、





 「厚かましいお願いがあるんですけど、サインお願いできませんか?」





 と恐る恐る聞いてみる。すると、





 「いいよ。いいよ。三花ちゃんの頼みを聞いてあげるよ。サインが欲しいんだね。来週に持ってくるから期待して待っていてね。」





 と楽譜等書類を片付けながら了承してくれた。





 「ありがとうございます!楽しみにしています。」





おじぎをして感謝の意を示す。


僕は心から喜んだ。前世ではあこがれの人でありサインが欲しくても会う機会が無く忙しいからそんな余裕等無かったと思う。でも今は違うなんと目の前にいてマンツーマンで教えて貰っているのだから。








 無事レッスンが終わり後は僕自身のピアノの練習をする。なにしろ今までは三花ちゃんが身体の主導権を得て演奏していたのだから・・・。





 《まずはドレミの曲からね。》





三花ちゃんが先に演奏して僕が練習する。普通では時間が足りないであろうが僕の場合セーブ&ロード能力がある。弾いては問題点を指摘してもらい何度も何度も反復練習をする。何回練習しただろうかなんにせよ以前はピアノを弾いた事がなかったのだ。想像を絶する事だった。








ようやく聴ける水準までもっていく事が出来一安心していると三花ちゃんが、





 《おめでとう!素人がよくここまで弾ける様になったわね。次は別の曲に行くわよ。今は一分一秒の時間も惜しいのだからね。他のレッスンも覚えてもらうからね。》





僕はげんなりしたが彼女の中では既に決定稿であり、将来の為と思い三花ちゃんはやる気に満ち溢れていた。





 《頑張るよ。》





の一言だけで精一杯であった。


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