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3、目覚め

 僕が目覚めるとおでこにひんやりとした物が置かれており、なにやら意識がもうろうとしている。





 「お父さん、お母さん、三花が目覚めたよ。」





と、だだだっと見知らぬお兄さんが駆け出した。それを見てもう一人のお兄さんも後を追う様に駆け出していた。





 『ここはどこだろう・・・?』





と思案にくれていると、





 《あなたは誰?》





と頭に響いた。僕は、《僕の名前は鏡原雄蔵。君こそ誰だい?》





と、答える。すると、《私の名前はかがみはらみか》





 《そっか。みかちゃんと言うのか。でも君は何者なの?》


 《そう言うあなたこそ何者なの?》





しばらく僕はみかちゃんと言う子と話をした。





それでわかった事は父、母、兄2人、弟1人、みかちゃんの6人家族と言う事だ。


もう少し情報収集が必要だと思い部屋を見回すとカレンダーが飾られており、そこに記載されている年に驚いた。確か僕が4歳頃の日付だったからだ。








まもなく両親らしき人物を伴いみかちゃん曰く兄達が部屋に入ってきた。





 「三花ちゃん、熱は冷めたの?よかった~。」





 「三花、熱は治まったのか?」





と、言ってくる。僕はすぐに若かりし頃の両親だと気付いた。





 「三花、心配したぞ。よかったな。」





というお兄さんは誰だろうと思っていると、みかちゃんが上の兄が「太郎」、次の兄が「次郎」、弟が「三郎」と教えてくれた。





 「お母さん、お兄ちゃん、心配かけてごめんなさい。」





と自然と言葉が発せられた。どうやらみかちゃんが答えたみたいだ。





 「どうやら熱は冷めた様ね。でもまだしばらくは安静にしているのよ。」





お母さんがそう言いつつTVを付けてくれた。





不思議な事に昔観た事あるなと思っていると、みかちゃんが《この先はどうだったの?》と質問してきた。





 《でも初めてなのに続きを知っているなんて不思議ね。どうしてかしら?》





と好奇心旺盛で聞いてくる。





 《それは昔観た事があるからだよ。》





と答えると、





 《えっ?どこで?》





僕が答えに困っていると、





 《ちょっと待っててね。なるほどね、未来から来たと言う事ね。》





呆然としていると、





 《そんなに驚かなくてもいいじゃない。あなたは私のありえた未来。男の子に産まれていたらこうなっていたかもしれないわね。もう気付いてるかもしれないけどここはあなたにとっては過去の世界。そしてあなたの望みで本来流産してしまった兄達もいる。なぜこうも理解したかは魂が一つになっているからよ。》





年下である彼女に会話の主導権を取られている。なんとか巻き返そうとするが人見知りであまり話したがらない自分では太刀打ちが出来ないと悟った。





 《ここは並行世界の一つ。あなたが望んだ女性化して、頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能その他もろもろの能力を備えたまさに完璧超人になる世界なの。そして並行世界の事は百科事典に出ていたりそういった漫画やアニメがあるのよ。》





僕は、「ふーん」だの、「へー」だのとしか答えられなかった。





 《まずは名前のおさらいね。苗字は鏡原で同じだけど、私は3番目に産まれた初の女の子と言う事で、三花と言うのよ。よろしくねっ!》





僕は《わかったよ。》


と返答する。





 《あなたは自分磨きをしてこなかったのね。遊びほうけて勉強もせずに。だからやり直したいと強く願った。でも安心して。私の身体でまたやり直せばいいじゃない。その為にご都合主義と呼ばれてもしかたない設定したんでしょ?でも私もたまには息抜きも必要だから兄達が持っている漫画やアニメ等見て過ごす時があるわね。》





彼女は何てことはないそぶりで言ってきた。





 《あなたがいた世界でのアニメや漫画、その他もろもろとても興味があるわ。今の所共通した作品が見られるわね。》





好奇心旺盛でこの先どの様な作品が出るのか楽しみにしていた。





 《じゃあ、例えば作者と原作者との問題で封印された作品。または今は無名でものちに活躍する作家等を教えるね。》





色々覚えている事を教えると彼女は嬉々とした声で語りかけてきた。





 《そうなんだ!ならその作品は永久保存版だね。実は家にはビデオがあるんだよ!》





僕の世界ではこの頃のビデオと言えば高級品でカセットテープに録音とかしていたらしいと言う記憶がある。


僕の家に購入されたのも僕が小学1年の頃だったと思う。当時物珍しさから録画しまくったのを覚えている。でもテープは高級品で何度も使いまわししていたと思う。





 《ふーん、レコード、カセットテープからCD、DVD、の時代になるんだ。はてはブルーレイね。その間にフロッピー、MDその他もろもろの記憶媒体が生まれるんだね。為になったよ。


実はその封印作品も録画していて標準でとっているからかさばるんだよね。でもいずれは価値が上がるから今までは何回か繰り返し観ていたけど兄達にも相談して本放送の時だけで、あとは厳重に保管しないといけないね。》





彼女は僕の記憶を読めばそれで済むが、僕に紹介して欲しいらしくあれやこれやと質問してきた。





 《PCも大分発達するんだね。君がいた時はテラバイトのHDDなんだね。でも現在はしっての通りカセットテープに記録しているんだよ。もう少し元気になったらお父さんの部屋にPCがあるから見せてあげるよ。


今度お父さんに頼んでPCのOS開発者や、今後出てくるゲーム機の販売会社にファンレターを出して株も購入してもらおうかな?》





嬉々として今後の予定を立てる彼女。





 《でも身体の主導権はどうやらあなたが持ってるみたいね。そろそろお手洗いに行きたくなってきたわね案内するからいかない?》





そういえば気が付けば少しだけ尿意を感じた。寝起きな事と話しに夢中になりしばらく時間が経っておりベッドから降りてトイレに向かった。


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