表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

〇6月23日(土)午後2時15分


 結局、十五分遅れで始まったものの、吹き出す新郎の汗は止まらず、感動の涙とごまかそうにも無理があるような顔面でありながら、式自体は少しの巻きだけでつつがなく執り行われていくのであった。


 一キロ余りの道程を見事走り終えた新郎の顔には、この場にそぐわない疲労の二文字が色濃く刻まれている。そもそもたかがBGMのためだけに奔走した意味があったのか、二十年後くらい先に笑い話として語れるか否かの判断に委ねられるため、今の段階では誰にもその善悪功罪はさっぱり分からないのであった。


 指輪に関しては、百二十点くらいの出来であった。大振りのダイヤをしっかりと支えるゴールドの爪。細くシンプルでありながら緩やかなカーブを描く輪は、新婦の長い薬指と大き目の手にフィットしつつも、過分な圧を指には掛けておらず、嵌めているというよりは嵌まっているという感じで至極自然である。


 新婦の柔らかな笑顔に、ようやく久我はここ何日かの奮闘が報われたと実感するのであった。気を抜くと白目になってしまうほどの、五時間目プール後の六時間目算数の時のような、理不尽な疲労に何とか打ち勝つことだけに全精神力を傾けている。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ