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奏で紡ぐ狂想曲  作者: 月夜 志紀
3/9

3

僕は前世の記憶を持っている。


所謂、転生というやつ。

けど、最初から前世の記憶があったわけではなく思い出したのは幼稚園の時だ。


僕には2人の幼馴染がいる。


1人は男の子で生まれた時から一緒。産まれた病院まで一緒っていうからもう腐れ縁もいいとこである。

あと、無駄にイケメンである。

もう1人は、僕が幼稚園の年中組の時にお隣に引っ越してきた1つ年下の女の子。

僕の前世の記憶を思い出すキッカケになった女の子である。


忘れもしないその日、僕は自分の部屋で幼馴染の淀鞍よどくら 和樹と遊んでた。

そしたら、母さんが下から僕達を呼んだので行ってみると、それはまあ将来ゆうb…ごほごほ、とてつもなく可愛らしい女の子とその両親が玄関で母さんと話していた。

母さんは僕達を玄関まで呼び寄せるとその一家に紹介した。


「出流、和樹くん。こちら隣に引っ越して来た東堂さんよ。

東堂さん、私の娘の出流とお隣に住んでる灰原 和樹くんです。」


ここでん?ってなった方はいるだろう。

けど、今は突っ込まず僕が記憶を思い出すまでの経過を聞いていて欲しい。


後で説明するからさ。


「朝比奈 出流、4歳です。」


「は、灰原 和樹です。4歳です。」


各々の自己紹介をすると、女の子は太陽の様な明るい笑顔を向けて、


「東堂 琴音、3歳れす!」

そう言って指で3を作って自己紹介をした。


その時だったのだ、僕が全部思い出したのは。


ここが「石持学園~どの能力の彼に惹かれる?~」というネーミングセンスが悪い乙女ゲームの世界であること、目の前にいる女の子がそのゲームの主人公で、隣にいる幼馴染が攻略対象者だということを。


琴音が帰った後、僕は高熱でぶっ倒れて三日三晩うなされていたらしい。

まあ、そりゃあそうだろう。

普通に生活してきた幼稚園児の頭の中に、前の人物の記憶が全て入り込んだのだ、熱に浮かされない方がおかしい。


けど、お陰で記憶の整理することが出来た。

僕の前世は笹田 実久里と言って18歳の時に交通事故で命を落としたらしい。

そして、石持学園~どの能力の彼に惹かれる?~というのはその時の自分がやっていたのではなく、親友の女の子がハマった乙女ゲームだったのだ。


つまりゲームをやっていない僕は攻略対象者の攻略の仕方などは全く覚えてない。というより知らない。


覚えてるのはその親友が熱くるしいくらい熱く語ってた攻略対象と、可愛い可愛いと連呼してたゲームの主人公について、それに石持のことについてである。


これを思い出した時の僕の感想は「ふーん。」ただそれだけである。自分でももうちょっと取り乱すとかそんなんあるだろう!とか思ったが、今の自分から見ても当時の僕は妙に達観していて、前世は前世。僕は僕。そんな考えもあって全く取り乱すとかはなかったのだ。


ただ、面白そうと思った。何がって、高校生になったら自分の幼馴染達やその他の人達の恋愛が画面じゃなくて、生で見れるのだ。これほど面白い事はそうないだろう。


おい、4歳児!という思考回路だが、この時点で前世の時の記憶もあり精神年齢がぐっと伸びていたのだ、仕方ない。



かくして、僕は高校は石持学園に入ろうと自分の中で決定付けたのだ。


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