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若き憂国男子

レジスタンス アジト

光良は蛙永について行き武器庫に向かった。ケントが武器管理している倉庫を開けた。


「先ほどの戦闘で鹵獲した89式自動小銃だ。それと新しい武器でこないだ警察が押収して持って帰っているところを襲撃して手に入れたAK47だ。生産国は中国製らしい。あっちの国では56式自動歩槍と呼ばれている。日本にいる中国マフィアから押収されたものだ。」


ケントは蛙永に渡した。蛙永は何もないところに銃口を向けて試しに構えてみた。


「悪くはないな。べトナム戦争では米軍が鹵獲してたという話も聞いたことあるな。だが中国製ということで不安なところもあるが」


蛙永はケントに渡した。56式自動歩槍は中国が1956年にソ連製のAK47をコピーしたカラシニコフ自動小銃だ。ベトナム戦争でも使われていたとも言われていた。嘘か本当かは知らないが。それにひと昔、北九州で暴力団から押収されたAK47は同等のものだった。ほとんどは警察署に眠っていることだろう。


光良は任務としてAK47と89式自動小銃を他のレジスタンスのアジトに持っていくように指令を受けた。パートナーは蛙永だった。2人ともトヨタのヴィッツに乗って蛙永はドライバーとして行動することになった。


「今から街中に行くというのもあって危険も伴う。くれぐれも最善の注意を払え」


蛙永は光良に忠告をして運転を始めた。いたるところに専守防衛隊の検問があった。


専守防衛隊の軽装甲機動車やジープなどがあちこちに通っていて気が抜けなかった。蛙永はいつでも拳銃が取れるようにしてた。最近は女性も普通通りに生活しているのも多く見受けられ生殖法の餌食になった者が増え続けているという知らせも聞くことがなくなってきていた。しばらくしてようやく拠点アジトに到着した。


レジスタンス Aエリア拠点

拠点の出入り口には草陰がいくつかありそこに作業着屋に売ってあるような緑色の迷彩作業服や迷彩のジャンパーを着ている者がAK47を構えて警備していた。


「武器を届けに着た。」


迷彩のジャンパーを着た男に言うとそこに責任者らしき者が現れた。


「AK47に89式、なかなか多いな。これさえあれば対人戦はなんとかなるな。」


責任者の男は他にいるレジスタンス達と武器を運んだ。


「これで何もなければ帰るぞ」


蛙永は彼にそう言い残して光良を連れてヴィッツに乗り込んだ。


「今、専守防衛隊の検問が増えていっているようだから気をつけてな。」


責任者の男は蛙永が運転するヴィッツを見送った。


蛙永はアジトに戻り諜報員の男に作戦の様子を聞き込み出した。


「今の状況はどうなってる?」


「先ほど昔、広域指定暴力団の武器庫だったと思われる倉庫を発見しました。かなり住宅街ですが補給で行き詰まりそうになった場合に頼りになりそうです。」


「良くやった。ここさえ手に入れれば住宅街でどんぱちするとき当分は困らんぞ。直ちに要員を向かわせね確保しろ。」


レジスタンスの諜報員がかつてヤクザが武器庫として使って摘発されて空き家になったところを見つけた。蛙永は要員を向かわせてそこに銃を貯蓄することにした。そこの武器保管の拠点を「イナズマ分屯保管庫」と名付けた。


イナズマ分屯保管庫

諜報員の活躍で手に入った武器庫となる空き家には私服やミリタリー服を着た男たちが警察や専守防衛隊から鹵獲した武器や日用品、防弾ベストや装備品を中に収容したりして整理をした。


レジスタンス アジト

蛙永はグロッグ17ハンドガンにサイレンサーつけたのをバッグに隠してペットボトルのお茶とマガジンも一緒に入れて光良のいるところに移動した。


「次は妨害工作を行う。奴らの監視カメラと車両部品の破壊、捕まった者の解放、それぞれの項目はお前のやり方で遂行して奴らを苦しめろ!ゲリラ戦で戦え。」


蛙永は光良にサイレンサー付きのUSPを渡した。


生殖増進法を確立して以来日本は厳重な監視体制を敷くようになっていた。法に背く反逆者を厳しく取り締まり、やがて特別公力警察が創設されていた。略して特公と呼ばれている。立ち位置は昔の特別高等警察「特高」に似ている。内部に反逆者がいないか諜報活動もしている。過去に潜入していた韓国の特殊工作員を何人か捕獲した実績もあった。そのことを知る一般人は誰1人もいない。


光良は街に出て通りを歩いていると1人の老人に暴力を振るっている専守防衛隊の兵士の姿があった。


「てめえ、俺にたてつこうってのか?上等だ。ジジイ」


蹴ったり殴ったりしていてこのままでは老人が死んでしまう。


光良はUSPハンドガンを取り出して兵士を狙って撃った。一瞬、まるでゲームの世界のようにスローモーションで銃弾が飛んで行っているように見えた。弾丸は兵士の首に直撃してそのあと頭に命中した。兵士は倒れて周りは血が滲みついていた。老人を起こしてその場を去っていった。


町の通り近くに専守防衛隊の軽装甲機動車が駐車されており光良はその車両のタイヤを空気を抜いた。そのあと「ゴキブリども、早く消えろ」と落書きをしてその場を離れると専守防衛隊兵士が現れた。兵士たちは無残な軽装甲機動車を見て絶句していた。


「何だこれは?誰の仕業だ。ガキのいたずらにしてはここまではないな。見つけたらぶっ殺してやる。」


兵士の1人は怒り狂っていた。これで足が無くなる。光良は心の中で「ざまあみろ」とつぶやいていた。監視カメラを見つけ次第破壊し続けた。最初は戦うことにびびっていたが何気に面白いし楽しく感じてきた。


「爽快感が半端ねえな」


また監視カメラを破壊した。


いっぽう蛙永は当選した女を性玩具として扱っていた男を一方的に痛めつけて殺し回っていた。住宅地の前で棍棒で殴り殺しているところを警官に見られてしまった。蛙永は口封じに警官をグロッグ17ハンドガンを発砲した。警官の膝と顔面に弾丸が直撃して警官は即死だった。蛙永は男の死体から財布を引き出し一万円札をへそ食って逃げた。


専守防衛隊 司令室

専守防衛隊はレジスタンスの攻勢に圧倒されて警戒を強化した。レベル1からレベル3に格上げになった。


「いったいテロリストどもはどのようにして我らを苦しめるのだ。今日で何人、警官と隊員が殺された。野放しにするとこの地域は大変なことになるぞ!」


司令官はレジスタンスの戦略に混乱を隠しきれていなかった。


「これからは特殊部隊を派遣して奴らを一掃します。」


「バカモン。口でならいくらでも言える。行動で奴らをたたきのめせ!」


司令官は苛立ちを露わにした。自分の部下や直の部隊の仲間が大勢戦死したからだ。


レジスタンス 拠点アジト

蛙永は本拠地から移動してきた。光良もいる。爆発物の整理と銃火器の荷分けをしている時だった。暗くなり始めて静けさに包まれた頃、遠くから黒い戦闘服にヘルメットにゴーグル、黒の防弾ベストを着用した専守防衛隊の兵士の姿があった。彼らは特殊訓練を受けた専守防衛隊の特殊部隊だった。武装は自分の好みに合わせていた。


「おい、まずいぞ。遠くから敵の特殊部隊らしき姿があったぞ。」


レジスタンスの1人が蛙永に言うとそのまま戦闘準備に取り掛かった。蛙永は56式自動歩槍を持って弾倉を装填して特殊部隊を待ち伏せした。あちらこちらから現れる特殊部隊員を狙い撃ちして1人ずつ射殺していった。













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