お父様、女運ないのね。
新しいお母様が出来るのだ、とお父様は言った。
照れながら嬉しそうに。
その姿は娘から見ても幸せに溢れていた。
私を産んだお母様は小さい頃に病気で亡くなった。
お父様はお母様をとてもとても愛していたらしい。
だからお母様が亡くなって、お父様は絶望するほど悲しんだ。
まわりはそんなお父様を不憫に思い、再婚をすすめた。
それでもお父様は首を縦にふることはなかったのだ。
そんなお父様が結婚するという。
これはとても凄いことだ。
お母様を吹っ切ることができたのだろうか?
それともお母様よりも愛おしい人ができたのだろうか?
娘である私は、お父様の幸せをお祝いしようと思う。
全力で祝福しよう。
新しいお母様はとても綺麗な人だった。
記憶にある私のお母様と似ていた。
「よく似ているだろう?」
頬を染めて告げるお父様はとても幸せそうだ。
結局、お父様が好きなのはお母様なのだと知った。
それでも幸せなお父様を私は祝福したのだった。
半年と経たないうちに新しいお母様は出て行った。
財産目当ての結婚だったようで、夫婦仲はうまくいかなかったらしい。
お父様の嘆きようは言うまでもない。
ちょっと哀れに思うが仕方ない。
だって私は新しいお母様が気に入らなかった。
媚びたような女をお母様とは思えない。
だから、私が追い出した。
お父様を取ってしまう悪い魔女は追い出さなくちゃ。
お父様には女運がないと思って諦めてもらうしかない。
私はお父様の背中をそっと撫でてあげた。
「大丈夫よ、ずっと私が傍にいるから」
ずっと二人で生きていたんだもの。
これからだって二人で充分だわ。
私が一番お父様を愛しているのよ。