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光、C、八月一日  作者: 実茂 譲
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7.水の出ないシャワー

 ――やあ、ステファノ。僕だよ。アンジェロ・ボンヴェントレだ。え? 今何時だと思ってるって? さあ、何時なんだい? ――そうか、それは悪かったね。でも、たまには早起きもしてみるもんだぜ。それよりヴィトー叔父さんは元気かい? ――へえ、そうか。それは景気がいいねえ。まったくアメリカの話を聞いていると、まるで魔術師に化かされているような気になるよ。きっと何から何まで大きくて大袈裟なんだろうねえ。え? いや、こっちは相変わらずだよ。ワインはうまいし、女たちはきれい。そして、黒シャツが大きな顔をして歩いてるってわけさ。どうも〈統領〉は僕らみたいな連中を根絶やしにするつもりらしい。もう、カラブリアとナポリがやられたからね。次はきっとシチリアだよ。そうなると、かなりの数のマフィアがそっちに逃げるだろうね。え? マフィアじゃない、〈名誉ある男〉って呼べって? そんなこと、僕は知らないよ。それよりも、ほら、あの話はまだ生きてるかい? ほら、ハバナとニューヨークの件。――残ってる。じゃあ、今から僕が受けることはできるかい? ――できる。じゃあ、僕はどうやってそっちと落ち合えばいいんだ? サンタ・カタリーナ通りは分かるよ。海っぺただ。――うん、そこに貿易商がいるんだね? サルヴァトーレ・ジェラーチ。そいつが僕をアメリカに送る手はずを整えるわけだ。身分証の偽造もそこかい? ――うん。それは助かる。できるだけはやくそっちに行って、とっとと片付けよう。――え? どうして、急に受ける気になったかって? 簡単さ。苦労してホテルまで歩いて戻って、蛇口をまわしたらシャワーから水が出なかった。ただ、それだけさ。じゃ、おやすみ――

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