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遠夜の場合

俺は父親の仕事の都合で仕方なく地方の小学校に転校した


両親共々刑事で、上司の色々について違を唱えたことがどうやらきっかけらしい

警察官は職場の移動が宿命づけられているとはいえ、ホントは生まれ故郷を離れたくなかった



だが仕方が無い

辞令に従わねば父は多分依願退職に追い込まれたろう

大人の世界が流石に垣間見れる年頃だ



で、俺は舐めていた

たかが地方、全然大した事無いだろう

勉強も運動も、その他諸々


しかし傲慢な甘ったれ精神はあっと言う間にひっくり返される

同じクラスに凄い女子が1名居たのだ


背の高い楚々とした女王様


ツンとお澄ましの文武両道?!、は変な言い方だけどさ、とんでもなく凄かった

(お上品な貌に似合わず!)


見かけによらずイジメが大嫌いの女の子

ウンそれだけは評価してやるぞッ


ただスッゴイ東京でも見た事無い程の超〜負けず嫌い

 

例えば、体育の授業

ドッジボールをやらせればブンッと長い綺麗な腕から凄い剛速球が狙い澄ました様に敵陣を急襲する


ボーッとしてるとイチコロだ

 

……ドライブかかってっし?

ナンジャありゃ?!

テメーは男かよ!


しかも”決め球”

めちゃくちゃ自信のあって放ったボールを腕の腫れも気にせず両手でバゥンッ、決め打ちを堂々受け止めやがった


げげげげげッッッ

で速攻!


ばっちーん……!


強烈なアタックは見事顔面に命中、ダラダラドロドロみっともなく鼻血を出した


当たった瞬間思わず『死んだ!』意識が飛んだ



「大丈夫?」


小学ドッジの場合、首から上部に当たったらノーカンだ

だから自分は外野にはならない


オロオロするお坊ちゃま先生に自分は軽く、出来るだけキザったらしく男らしく見える様にフフフとやせ我慢の会釈をし微笑みを浮かべる


ひぃぃぃぃと縮み上がり魔神の様なバケモノの奴にビビリまくる自陣を鼓舞、必死にムードを盛り上げ叱咤激励し粘りに粘る


何とかコート内に残った生き残り達を必死に勇気づけチームをドローに持ち込むのに天晴れ成功した


クッソーチックショ〜何て奴!

覚えてろよっっ!


帰宅後勤務がたまたま早く帰っていた母に

「!何をやったらこんなに体操服が汚れるの?」


見るも無惨に変わり果てたジャージ上下にゲホゲホ呆れられ叱られる羽目になる

 


アイツは小憎っらしい〜事に絵が異様に上手い

図工の時間に絵を描かされれば皆がウットリ、見学者が引きも切らずキャーキャー大絶賛


色も構図も完璧で光り輝き、挙げ句に昇降口1番目立つ場所にデカデカ麗々しく飾られる

俺は絵が壊滅的に下手くそなのでコンプレックス直撃だ


毎朝、前を通る度にスゴスゴ暗い気分だった

くそっ

 

ならばと絶対に勝てると自認していた算数もテストたった1点での勝利だ

こんなの勝ったって言えッかよッッッ!


けど偶々、大の不得意の国語がラッキーにイイ点数だった

危ない危ない危ない

ブンむくれで帰宅後直ぐに家庭教師をつけてくれと懇願した


クソダサカッコつけと言われようが、アイツに敗北って絶対にあっては成らない

それだけは嫌だ!!



不倶戴天のライバルはカレンという名の女子だ


いっとくが、ぜーーんぜん可憐じゃねーし!

 

詐欺だ!

看板に偽りありの、ぜってー詐欺だ!!

訴えてやる!


幸か不幸か?向こうも自分をライバルと認めた様だ


勝ってやる!

ぜって〜勝ってやる!からな?

覚えてろよ

 

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