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第4話「美尻とエロMOD」


『こちらフォークス1。蛮族領到着まで後1分だ』


『こちらCP。感度良好。軌道予測完了。蛮族領内部に侵入成功』


『CP。他の部隊員達は? レーダーでは離れているぞ?』


『こちらCP。部隊の9割が風に流され、辛うじてフォークス1のみが市街中心部付近に突入を成功させた模様。合流を急がれたし』


『く、このポンコツめ。集団で打ち上げたのにどうしてこんなに軌道がバラバラになるんだ? ちゃんとレールは整備されているのか!? 【アバンシア共同体】の大規模侵攻の初手がこれでいいのか!? CP!! 後で上申書を持って行く!!』


『フォークス1。激を収めて下さい。着陸まで30秒です。最終目標の確認ですが、部隊の目標は市街内部に存在すると思われる【賢者の窯】です。これを探索し、発見次第持ち帰る。もしくは現地に橋頭保を確保して下さい』


『分かっている。蛮族共を蹴散らせばいいのだな?』


『その通りです。先行偵察旅団は現在、飛航艇で急行中ですが、蛮族領に存在を確認していたドラゴン種【アルマーニア】と交戦中。損害を出している為、時間通りの到着は厳しいと思われます』


『オイ?! ちょっと待て!!? それって我々に全滅しろって言ってるのか!?』


『死守命令が出ているので耐えて下さい。橋頭保さえ確保すれば、追加の戦力の投入が可能になった時点で勝敗は決します。高圧的な態度で交渉し、我々の絶大な武力を前に攻撃して来て良いのか?とブラフを掛けて下さい』


『それ今言う!? このクソAI!!? せめて、それは先に言え!! おじい様もどうしてこんなのをCPのオペレーターとして運用するように言うのだか。幾ら極秘の存在とはいえ……』


『減点。“ライフリンク・ポイント”から罵倒語分のポイントを引いておきます。お気を付けて』


『クソゥ!? 生き残ってやる!! 生き残ってやるからなぁ!!?』


『グッドラック。ちなみに古代語で幸運をという意味です』


『クソォオオオオオオオオオオオオ!!!』


『減点で―――』


『パージ!!』


―――着地1秒後。


「必ず生き残ってや―――」


 パァンと90度曲がってしまうグロックの一撃で煙の中の誰かさんの首筋が吹き飛んでバッタリと倒れ伏す。


「ん?」


 煙が晴れたので近付くと倒れているのは全身にスーツとアーマーを着込んだパープルでピンクな放射性物質染みた照り返しをする長髪美少女っぽい後ろ姿だった。


「アレ? このサイケデリックな髪色とこのメタリックなインナースーツ……えぇ? 更にこのアーマーは……【アーム・フォート・デザイア】の【スチューデント・スーツ】ってヤバイ?!! コイツ、専用装備着込んだ【全身機械化義肢(フルマシンナリー)】か」


 ヘヴンにおける兵器MODはシナリオMODに次ぐ規模の最も多い代物だが、その中でも多種多様な“オーバーホールMOD”と呼ばれる多岐に渡る改変を行う種類のもの一番が多い。


 特に戦闘面はプレイングに直接的な快適性や快感を与える要素なので様々な調整が施されて、MOD事に特色がある。


 その中でもゲーム中のロールプレイングよりもカッコよさや使い心地やプレイヤー同士での戦闘に重きを置いて即死ゲーを加速させた大型オーバーホール兵器MODが現れた時、プレイヤー達は大きくどよめいた。


 あらゆるダメージの減算なんてナンセンスと言わんばかりに極大の攻撃力の兵器と極大の防御力を持つ兵装をどちらも突っ込み。


 最終的にバニラでは何もかも物足りなくなるプレイヤーを生み出した元凶こそが大規模オーバーホール兵器MOD【アーム・フォート・デザイア】だ。


 インナースーツとして基本兵装を載せる【スチューデント・スーツ】は全身を義肢化……つまり、全身サイボーグ染みて機械を埋め込んだり置換しないと使えない特殊仕様な上に付けられる装備は極度に馬鹿高いせいで生産性は最悪。


 その制限を無視出来るのはプレイヤーくらいである。


 だが、それに見合った能力があり、バニラの生物は殆どが一瞬で駆逐出来る攻撃力の兵装が装着出来る。


 ついでに規模は桁外れで最終的なエンドコンテンツでは惑星破壊出来る兵器と惑星防御出来る兵装がどっちも出て来るのだ。


 勿論、大体世界の全てが滅ぶので自分の世界が滅んでも楽しみたい廃人向けコンテンツとして大体の人間は手を出さないか。


 もしくはサブで造っていた世界で存分に楽しむ。


 その中でも未強化状態な真っ新なスーツは防御力こそ大したものではないが、ちょっとした小型火器でも先日倒したトカゲなんて一瞬でハチの巣に出来る攻撃力のある兵器が運用出来る。


「やべぇ……初撃必殺しといて良かった」


「う……」


「ッ、生きてるよ!? うわ、マジかぁ……あ、このスーツの蒼い星型徽章、大尉相当の……【再生リジェネレイト】機能付きかよ。あぁ~~面倒過ぎる。脱がすか!!」


 未だ前のめりに倒れ込んだ少女らしい相手の髪の毛の下。


 吹き飛んだ首筋の肉が泡立つのを見て、慌ててスーツの背中の中央にあるツマミを起こして一気に引き下げる。


 スーツの機能が通用するのはスーツを着ている間だけだ。


 取り合えず、スーツを手際よく脱がせていく。


「うわ。やっぱボディが美少女系……この美尻どのMODだ? でも、全身機械に見えないって事は何処かの高度な文明勢力だよな? 生身でも強いのは勘弁してくれ」


 思わず愚痴りながらプリプリした尻まで出したスーツを体から剥がしていく。


「おわ。急所の装甲が“オーバーメタル”製じゃねぇか。ああ、特殊強化素材を産出する生産職MODが複合してやがる?! 普通にやったら、急所狙い出来なくて困るヤツだコレぇ……」


 こんな何も武器らしい武器が無い状態で戦闘してたら確実に即死の相手に違いなかった。


 スーツをすぐに折り畳んで持っていた食品を買い込んでいた革袋にギュウギュウと詰めて、相手が落とした武装を拾う。


「はは、ご丁寧に電子ロック。クソゥ!? 生体認証初手で突破する手段なんぞないぞ!? この腰のは第二階梯キメラティック・アームドじゃねぇか!! しかも、この形状!! プラズマ・ボム仕様のブラスターもありやがる!! スーツからの通電だけで使えるヤツ!! 使えたら、あのトカゲが百や二百来てもどうにかなるってのに!!?」


 まぁ、使えない戦利品が増えても困るだけなのは間違いない。


 ズッシリと来る大型のライフル型重火器はSF系兵器であり、プラズマの熱源を拡散させない特殊な金属を熱したボムで高出力プラズマを数秒間目標地点に滞留させて爆発させる殲滅兵器だ。


 美少女ボディの大尉殿はどの道、兵器が無ければ、現地の兵隊相手では逃げるのが関の山である。


 それよりも都市崩壊の方がヤバイと急いで落ちて来たポットの襲撃地点へと向かう事にした。


 生憎と殺す以外に無力化の方法は無いが、再生が止まった相手は身動きも出来ないはずなので四肢が動かなければ問題など無かった。


 *


「副長!! た、隊長の反応がこちらに近付いて来ています。で、ですが、生体反応を確認出来ず!!」


「ば、馬鹿な!? あの隊長が!? やられるはずがない!!? う、嘘だ!? 確認しに行くぞ!!?」


「で、ですが、目標の捜索は!?」


「隊長が死んでいては橋頭保を創る事など不可能だ!! 反応を追うぞ!!」


『やっぱりか。だが、あの大尉殿案外慕われてやがるな』


 向かった先で適当な牛馬に大尉のスーツの入った袋を括り付けて走らせ相手の鼻先を横切って別の方角へ向かうように蹴り飛ばして30秒後。


 ようやく見えた相手の顔に美少女美男子揃いなのを見て確信する。


「高解像度、高レート・テクスチャ、綺麗カワイイ妖艶が売りの美麗化MOD【ヴューティーヴューティー】じゃねぇか?]


 勿論、このタイプのミスティーきゅんもかなりお世話になった。


「う、どいつもこいつも!! 小顔スタイリッシュ小柄の妖精みたいな顔しやがって、サドロリ大好き先輩が言ってたな。あの顔で蔑まれて踏まれたいとか」


 勿論、大きくても小さくてもミスティーきゅんは最高だった。


「はぁぁ……髪型追加MOD【マスターヘアー】であのサイケな髪質になってるのか? 的が当て難い上にスコープで覗いてもギラッギラで見難いったら……」


 相手が奔っていく路地裏の屋上。


 途中、爆発したポッドの破片で負傷して倒れていた男の横から拝借したライフルを構える。


 グロックはお休みだ。


 というか、90度も曲がる弾を近距離以外で当てるのは不可能なので良いところに銃器が転がっていたというのが本音だろう。


「行けるか。7連射―――行けッ!!」


 寝そべらずに膝立ちでそのまま一発目を相手の首筋に狙いを定めて撃つ。


 スーツと頭部の間。


 最も防御が薄い場所に向けて一射目。


 頭部そのものを先進文明は護る傾向にあるが、細い首だけはどうしようもなく頭蓋より薄い為、首筋を護るネックガード搭載のスーツで無ければ、頭部狙いよりも相手を確殺出来る確率が高い。


 ウィンチェスターM70。


 大昔の狙撃銃のハイグレード・テクスチャ版。


 つまり、綺麗で重厚感がある質感重視の重火器MODパックに入っている武器だ。


 名前が出て来ないくらいに一般的な代物で同様の武器が出て来るMODが大量にある為、どれかは判別出来なかった。


 威力は左程でもないが、300m圏内ならば、最初期武器としては悪くない。


 米軍の海兵隊に運用されていたとネットでは書かれているが、実際に使ってみるとこれがまた宇宙世紀系テックの狙撃銃よりもしっくりくるのだから、中々に使い心地が良い。


 ボルトアクションとはいえ、連続して当てられないような技量の人間にしてみれば、数秒のラグで体と精神を再度整える時間があるのはありがたい。


 あらゆる現代式火器が速度を重視し過ぎた結果。


 狙撃という行為自体が殆どドローンによって代替されるようになった現代。


 オートエイム狙撃主流の時代に木製のボルトアクションは玩具レベルと見なされるが、ゲーム内では現役だ。


 ついでに言うと銃を撃つのが目的のゲームならば、大昔の重火器の方が撃ってて楽しいという人々が大勢いる。


 その為、神ゲーと名高いヘヴンもそういう人達が講座を開いており、その生徒の1人であった愉しくゲームを学ぶガラーク何某はちゃんと狙撃は出来るプレイヤーだ。


「―――」


 薬莢を排出後、即座に相手を狙って次々に打ち込んでいく。


 相手は伏せるが意味など無い。


 撃ち返される前に、発見される前に全ての首筋を狙い撃つだけの簡単なお仕事であり、数百m先で右往左往している重火器で身動きが鈍い兵隊なんてただの的だ。


 事実上これ以外に勝ち筋が無いのだから、集中して相手の首筋だけを吹き飛ばしていく。


 勿論、回復されたりするかもしれないが、それは後で考えればいい事だ。


「ふぅ……って、安堵してる場合じゃねぇ!!」


 7人の重武装に見える少年少女達が倒れ伏したのを確認し、屋上からそのまま走る。


 近場の屋根を経由して、店舗の外の看板を踏み台にしつつ、パルクール技能で近場に着地。


 首は何処にも転がっていなかったので威力不足だったようだが、それでも相手を無力化する時間くらいは取れるだろうとすぐに駆け寄ってスーツを脱がせていく。


 脱がしたものは纏めて横において、重火器は遠投。


 やたらクソ重かったので当たっていたら、やはり即死級のものばかり。


「縄ぁ!! 誰か縄をぉ!! 確保しましたぁ!!」


 その声に近付いて来ていた守備隊の方から大量の足音。


 すぐに2人を縛り上げたが、振り返り様に銃底が頭部に直撃し、そのまま意識は沈んでいくのだった。


 *


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい―――」


「いや、いいって。何事も無く街の住民の方も殆ど怪我が無いようで良かった。ははは」


「うぅぅぅッ、ほんっっとぉぉぉっに申し訳ありません。ガラークさんんん!!?」


 涙目で謝り倒して来るミスティークと一緒にいるのは街の守備隊の詰め所。


 その横ではやっちまった感を出している守備隊の面々。


 ガタイの良い蒼い制服の獣人男達が罰が悪そうにボリボリと頭を掻いていた。


 その頬にはクッキリとビンタの跡が付いている。


 捕縛されて起きてみると『ウチのガラークさんに何してくれてやがるんじゃゴラァアアアアアアア(;゜Д゜)』と狼のように吠えた狂犬より狂犬してそうなミスティークが隊員達を叱り付けていたのだ。


 ゲッソリした隊員達は『そんな事言われても……』という顔であった。


 襲撃者をたった1人の人間が撃退した。


 なんて、思いも寄らなかった彼らは思わず少女達を裸にして縛り上げていた危険人物を殴り倒して拘束しただけらしい。


 というか、襲撃があったが、ポットを見た事も無かった彼らは何が起こったのか正確に把握していなかった。


 博識なミスティークと彼女の父親が事態を把握してようやく事態が発覚し、守備隊は街を護ったヤツを殴り倒して拘束したという事実に気付いたのだ。


「は、はは、悪かったなぁ。にいちゃん。オレらはよぉ。これから最後に逃げた1人を追うので忙しい!! 後はそっちでやってくれ!! あ、辺境の流儀なんだが、襲って来たヤツは撃退したヤツが好きにしていいから」


「え?」


「ああいう襲撃者は滅茶苦茶珍しいが、いないわけじゃねぇしな。ま、何処の勢力でも捕虜になった以上はそいつを倒したヤツの戦利品だ」


「そ、そうか」


「あ、あいつらの装備は解体して売るなり、そのまま行商に流しちまえば、かなりの額になると思うぜ!!」


 隊長らしき黒猫の獣人のおっさんがクワバラクワバラと言い出しそうな引き攣った笑みで未だにガルガルと犬より犬らしい豚人に恐れを為して、そのまま逃げ出し、隊員達が殆ど掃けた詰め所では『オレは何も聞いてません』と言いたげな隊員がイソイソと事件の現場検証に向かっていく。


「ミスティーク。今日は本当に身元引受までして貰って、ありがとう。助かった」


「い、いえぇ……ウチの街の守備隊が本当にご迷惑を……あんな強そうな先進文明勢力の襲撃者相手に1人で奮戦して倒してしまうなんて。本当にガラークさんは屈強で最強の戦士なんですね!!」


 目をキラキラさせて言われた。


「あ、いやぁ……普通だから。友達にも普通って言われてたし」


 思わず目を逸らす。


「それはスゴイ場所で戦っていらしたんですね!!」


 更に目がキラキラしていた。


「あはは、どうかなぁ……」


 思わず目を逸らしてしまう。


 実際、対人戦ではそんな強くなかったし、ぶっちゃけ、PVP。


 プレイヤー同士の対決があるコンテンツでは下から数えた方が早かった。


 基本的に個人で創った趣味の世界で存分に遊ぶ為の技能を揃えただけで誰かと競うという事に向いていなかったのもある。


「それで何だけど……あの子達どうしようか?」


「ああ、襲撃者の……何処の先進文明勢力なんでしょうか? こんな辺境に攻めて来るなんて、人間なのは間違いなさそうですけど」


 どうやらあまりの完成度に全身機械を埋め込んでいるのは分からないらしい。


 どうやら遺伝子も優秀らしく。


 もう首筋からの血は止まっており、気を失っているのに先程までは見えていた金属製の首の骨は肉の薄い被膜に覆われて分からなくなっていた。


「もし良ければ、奴隷商を呼び出して売る事も出来ますが?」


 ケロリと恐ろしい話がされる。


 まぁ、そういうのはデフォルト仕様なのだが、捕虜にしたり、捕まえた人材を取り込んでコロニー経営をする遊び方も主流ではある為、そういう方面も一応方法は知っているし、それなりにやり込んだ手管はあった。


「ああ、それよりもまずは情報を吐いて貰って、それから考えようかと」


「ああ、そうですね。ペンチですか? ノコギリでしょうか? それともダルマ?」


 また、サラリと恐ろしい話がされたが、ブンブンと顔を横に振る。


 全て拷問関連に使う道具や隠語である。


「いや、説得するから!? そういう血生臭いのは好きじゃないから!?」


「あ、そうなんだ。てっきり……」


「ええ?! てっきり、どう思われてたのオレ!!?」


「いえいえ、それじゃあ、馬車の手配をしてきます。その子達を何処に運ぶにしても必要でしょうし」


「あ、それなら、せめてこの子達に貫套衣が欲しいんだが、いいかな?」


「あ、はい。それくらいなら……ウチの在庫にあるはずなので一緒に持って来させますね♪」


 ニッコリ笑顔のミスティーク。


 背筋に冷たいものを感じながらもゴクリと唾を呑み込んで頷いた。


「よろしく頼む」


 こうしてさっそく外に出て部下達への指示出しに行く背中を見送って、全裸で倒れ伏している牢屋の中の少年1少女達6の構成の部隊を見やる。


「……【ヴューティーヴューティー】が適応される種族MODが多い。全身機械化済みでも人間に見えるのは凡そ30くらい。小型の少年少女系統も戦闘出来る仕様に絞ると12くらい? その上で先進文明勢力でオーバーホール兵器MODを使いこなせるとなると……」


 体を検分する。


 骨格のラインからしてランダム化しない基礎部分がある。


 それまでランダムにしてしまうとMODの良さが失われるのでパッチを当てたりする際には諸々気を付けねばならない。


「―――【Beautiful World Z】か? この肋骨、この尾てい骨、有名な神ロリ絵師に素体をお願いしたって言ってたヤツ。あの人の漫画の登場人物の体型にそっくりなんだよなぁ。でも、アレ……確かゾンビMOD……」


 その時点で顔色が自分でも悪くなるのが分かった。


 カワイイ美少女とゾンビは最強タッグだよね?という開発者の趣味で知り合いの絵師に描かせた美少女達と先進文明勢力として荒廃した大陸でゾンビ相手に大立ち回りするMODこそが【Beautiful World Z】なのだ。


 問題はそのMODの特殊なゾンビの質がかなり極めて恐ろしく……ヤヴァイ事であり、先進文明勢力を軽く滅ぼせる物量と特殊能力マシマシなのである。


 まぁ、そういうのは極一部で他は滅茶苦茶簡単に倒せはする。


 が、一番の問題はゾンビが万単位押し寄せて来るホード・モードが実装されている事で飲み込まれたら、蛮族文明領なんて一溜りもない。


「という事はこいつら【マニアクス・ニャァン】・・・…」


 種族MODとしても優秀なゾンビ一杯夢一杯のMODにおける癒し枠。


 種族的にはまったく能力も高くなく。


 とある特殊体質以外はバニラの最弱種族にすら負ける存在。


【マニアクス・ニャァン】


 この種族の最大の特徴は“カワイイ”が9割なのだが、残りの1割が地獄を見る凶悪さと有名なのだ。


 種族遺伝特性【過剰適応】。


 あらゆる肉体改造、あらゆる遺伝子操作、あらゆる機械化手術、あらゆる存在変質に適応して変化するスライムみたいな適合力でどんなMODの武器も特殊強化も使えるのが売りだ。


 滅茶苦茶過剰改造されて殆ど元が何の種族か分からなくなった個体がホントの自分を取り戻したいとか言い出す可哀そう系シナリオに組み込まれる事が多いと評判であり、そんな美少女傭兵の物語を見た者達はきっと多い。


「はぁぁ……可哀そう枠はちょっと殺すのはアレなので。保護……するかぁ……」


 勿論、ミスティーきゅんも為った事がある種族である。


 その時の彼女のステータスは最終的に惑星消滅規模の兵装を使う【ディメンジョン・ダイバー】という職種であった。


 外宇宙から飛来した神々と戦う艦隊司令官として一緒に宇宙を救いに時の彼方に向かったのは善き思い出だ。


「ん?」


 精神安定の独り言が終わると同時にむくりと起き上がった個体がいた。


「あ、大尉」


 そう、最初に首筋を吹き飛ばした少女であった。


 髪の色は全員同じで顔も殆ど変わらないのだが、その始めに倒した少女だけは額に登録番号らしき読めない文字と数字らしきものが刻印されていたのだ。


「……にゃぁ?」


「は?」


「にゃふ、あふ……むにゃぁ……おやしゅみぃ……」


 だらぁっと大尉であるはずの少女が眠そうな目でこちらを見た後、その場で丸くなって猫のように眠り始めた。


「zzz……」


「オイ。ちょっと待て? あいつらまともな感じに話してたよな? これは……捕虜関連MODか!? あああ、マズイ?!! 情報!?! 情報が溶ける!!?」


 思わず全員を起こそうと揺さぶって見るがまるで起きない。


「脳の変容が始まってやがる!? クソゥ!? 過去のオレ!!? 何でこのMOD入れたんだよ!? 幾ら、尋問が面倒だからってあのMODがあったら、特定のフラグ折れるかもしれないだろ!!? いや、愉しんだけども!!」


 慌てているのには理由がある。


 そう、尋問を不能にするMODが入っているのだ。


 その名も尋問回避MOD【猫です。よろしくおねがいしまニャー】。


 これは尋問系MODと呼ばれるもので捕虜や捕まえた存在から情報が出なくなる理由を色々な後付けしてくれる代物だ。


 そして、その最大にして入れている殆どのプレイヤーが嬉しいのは捕まえた存在とイチャイチャ出来るMODである事だ。


 そう、これは捕虜にした事実が動物を拾ってきて助けたシチュエーションに摩り替るように調整されたエロMODなのである。


 勿論、捕まえたミスティーきゅんとイチャイチャする為に入れたものだ。


「クソゥ!!? 捕虜になっても尋問出来ないように脳が変容するって理由付けで後は愛玩動物プレイが可能だからって入れてたんだった!!」


 大尉が起きた後、少女少年達が起き出すが、誰も彼も猫みたいになってしまい。


 殆ど情報が聞き出せなかった。


 ついでに何やらすり寄って来た猫=美少女美少年の猫の全裸布団状態で圧し潰される……滅茶苦茶重いのは当然だ……何せ全身金属骨格に金属プレートを全身ギチギチ詰めたマシナリーと呼ばれるサイボーグ体なのだ。


 この状態になってしまった捕虜は調教すれば、簡単な仕事が出来る労働力として運用出来るのだが、基本猫なので頭が緩い。


 働きはするのだが、根本的に単純な作業が殆どとなる。


 後は寝てるか。


 のんびり飲み食いしてダラダラしたり、エロい事をしているか。


 もしくは戦いにおいては狩りの時間だとばかりに狩猟本能を猫みたいに満たすだけの存在と化してしまう。


 しかも、武器が一部の近接武装以外一切使えないのである。


 これのせいで捕虜が殺せずに困っている。


 難しい内政をしてくれない。


 捕虜からコミュニティーの人員にしたら殆ど単純労働しかせずに飲み食いするので食い扶持を稼ぐ為に働いている。


 エロい事だけしてたら、周囲のNPCから白い目で見られるようになった。


 等の問題が大量に浮上し、ご利用は計画的にMODリストに登録されて、使用する時はよく仕様を確認して使ってと言われるようになったのだ。


 高難易度だと殆ど捕虜自体が出ないくらいに火力インフレが大きく。


 ほぼ機能していなかったのだが、此処に来て牙を剥くMODには戦慄するしかない。


「何、してるんです? ガラークさん」


「ひぃ?!」


 そんな状態で圧し潰されている様子を戻って来たミスティークが見て、怖い笑顔でニコリとした。


 どうやら、オレの命も此処までのようであった。

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