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エロMOD先輩と賢者の窯  作者: Anacletus
第二章 エロMOD先輩と炎の聖杯-I just came to eat with a cute girl...-
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第8話「エロMODVS黒の機械神群」

―――四氏族連合旗艦【グランフォート】中央秘匿区画。


『こちら司令部!! 隕石落下前に西の空から光の柱が立ち昇り、遥か上空が爆発で明るくなったのを確認しております!!』


「どうして報告しなかった!?」


 思わずバニアが切れた様子になっていた。


「い、いえ、重要な会談である為、敵勢力が攻めて来ない限りは報告して来ないよう通達があったので……」


「ッ、分かった!! とにかく、すぐ艦橋に上がる!! 各副氏族長を集めておきなさい!!」


『了解しました』


 無線が途切れる。


『バニア。これ、何?』


 そう氏族長の1人が呟き。


「傭兵殿は知っている様子だが、答えて貰えるか?」


 こちらを彼女が見やる。


「ああ、知ってるとも。こいつは宇賊の収穫船だ。地表から光……対空迎撃用の星間照準武装か? 映像出るか?」


 すぐにバニアが無線で指示すると映像がホログラムでお出しされた。


「マジかよ……(^◇^) 宇宙戦争は他所でやってくれねぇかなぁ……何処の勢力だ? まさか、いきなり宙域戦とか始まらないよな? 何の準備もしてないぞ?!」


 思わず両手を床に付いてガクリとする以外無かった。


『うぞく?』


『読んだ事がある。宙の勢力でチンピラって古文書にはあったけど』


『な、なら、大丈夫、なのか?』


『確かにチンピラなら……』


 思わず壁氏族長=サンの緊張感の無さに叫んでいた。


「お前ら馬鹿なのか?! あのなぁ?! 宙賊の船は最低50km以上だぞ?!! 正式名称は宇宙海賊!!! つまり、星を渡って略奪するやべー連中だ!!!!」


『『『『え?』』』』


 思わず彼らが固まる。


 思い描いていた相手とはまったく何か凶悪さが違う事に気付いたらしい。


「ぶっちゃけ、お前らが滅びそうになった原因のマキナーズとかより、よっぽどに危機だからな?!」


『そ、そんなのあるわけ―――』


「あいつら星一つの有機生命体や鉱石、諸々を全て売り払って生計立ててる略奪者であって、お前らとは規模と桁が違う!! もっと慌てろ!?」


『星一つ?』


 墜ちて来る流星は少なくとも50以上。


 どう考えてもちょっと収穫で国家を摘まみ食いするかぁ……くらいの規模だった。


 今の人が少ない辺境では完全にオーバーキルな戦力である。


「ああ、マズイマズイマズイ!! あの数の船から収穫者が噴出したら、恐らく数百万単位……グラマトン以外は持たないだろうな(´Д`)」


『え?』


「う……こんな序盤の勢力立ち上げで宇宙テック勢力とやり合うとか普通なら完全に詰み案件(´;ω;`)」


『な、泣き出したぁ!? ねぇ!? 死ぬの!? あたし達ここで!?』


『そ、それって……』


「はぁぁ……;つД`)。このままだとお前らどころか。この星が終わる。残るのは金にならないヤバイ連中とマキナーズくらいじゃないか?」


『『『『どうにかしてください!?』』』』


 さすがに壁になっていても事態のヤバさが分かって来たらしい。


 涙目になったので思わず冷静になる。


「しょうがないな。壁氏族長=サンの頼みもあるし、オレも売られるのは嫌なので(*´Д`)……此処はあんま使いたくない手札でも切っとくか」


『使いたくない』


『手札?』


「ま、やってダメならその時は運が無かったという事で……」


「どうにかなる手札があると? あれほどの数の宇宙船を相手に……」


 バニアが思わず聞いて来る。


「まぁな。あ、今から起こる事は正道な方法じゃ手に入らない邪道な力だから、お前らの復讐やらの参考や当てにすんなよ?」


『そ、そんなの自分でやるわよ!!』


「よろしい。それと宇宙船じゃない。正確には収穫用の自己増殖、自己修復、自己補正するナノマシンやマイクロマシンの類が入った揚陸挺だ。大気圏脱出能力が無いからな。AI式惑星自動制圧システムってやつだ」


「古代式の惑星制圧兵器……古文書には出てくるものの……ここ数千年、この星には来ていないと記述があったような?」


 バニアはどうやら博学らしい。


「そのせいで危機意識無いわけね。ちなみに揚陸船は最終的に搭になって、収穫用トラクタービームで引き上げるんだが、見える場所に艦が降りて来る必要がある」


「もし降りて来なければ、それで良し。降りてくれば狙い撃てる、と?」


「恐らく、どっかの勢力に船が撃たれただろうし、しばらくは戻ってこないはずだ。その合間に全ての船を叩く」


 バニアが納得した様子でこちらを見やる。


 今度、色々聞いてみてもいいかもしれないと内心で算段しつつ、揚陸して来る相手の叩き方を脳内で何度かシミュレーションしてみる。


「ちなみにそこらのマキナーズみたいなもんじゃないぞ? 多機能な上に自己増殖するナノマシン製の動く棺桶で基本は霧に見えて、生物に凝集着装される」


「ナノマシン……旧い時代には殆どの兵器がコレで創られたと聞いているが、中央でもほぼ見なかった。が、それが満載されているわけか」


 バニアに頷く。


「ああ、そういう事だ。倒す方法は降下した船を全部叩く事……司令用の光量子通信を放つものが無くなるとナノマシンは自己保存機能で誰かからの命令を受け付けるまでは待機状態になる。グローバル・スタンダードな仕様だ」


「本当にそんなものを倒せると?」


「資源化すれば、諸々の今の技術力でも端末を制御用コントローラー代わりに出来る。ゲスト設定でローカルネットに初期登録すれば、色々便利使いも可能だ」


 バニアが何かジト目で見ていた。


 便利と言われたところで暴走して死ぬ未来の方が大きいのは間違いないのだ。


 インテリならば分るくらいの絶望的な戦力差。


 古代兵器の類でヤバイ情報はさすがに伝わっているらしい。


 普通の蛮族しかいない文明当たりならば、ワンサイドゲームな代物である。


「お前らが持ち堪えられたなら可能だ。入植地を一時放棄する。入植者をお前らの船に載せて全速力でアルマートに向かえ」


『受け入れてくれるの? おじさん』


 壁氏族長達に肩を竦めておく。


「アルマートの東の関所、西に向かった終点だ。そこに艦を並べて、籠城戦しといてくれ。相手は滅茶苦茶小さい機械の群体だ。戦うという行為さえ起こらない」


『籠城戦……』


「どうせ少しずつ侵食されて肉体の上にスーツ状の牢獄が出来る。だが、それを収穫する揚陸船が無くなれば、ただの自己修復する多機能スーツに過ぎない」


『今からあの数の船を叩くって言うのか?』


「昔はよくやってたからな。1惑星平均300隻が今回は1隻程度で揚陸船は50前後。ま、どうにかなるだろ。ぶっちゃけ、こっちの使う手札の方が世界を滅ぼすかもしれんけど」


『『『『(な、何か思ってたよりもずっと滅茶苦茶ヤバい・ヤツと手を組んだ気がするΣ( ̄□ ̄|||))』』』』


「船を破壊すれば、船の再生が完了するまでスーツは生命体の保存機能を実行するだけの生命維持装置でしかない。自己修復する揚陸船を定期的に破壊する必要はあるが、それは今後の課題だ」


 バニアを方を向く。


「オレがアルマートに連絡を入れておく。お前らの一部でもアルマートに被害を出せば、オレは後で戻って来てからお前らを辺境から追い出す。それでいいか?」


「……分かった。我が名に懸けて不届き者は出さないよう引き締めを図ろう」


 バニアがそう確約する。


「よろしい。じゃ、オレはそろそろお暇させて貰う。大尉~~」


『ハイにゃー♪』


 ドガッと壁の一部がブチ抜かれた。


「は?」


 バニアの顔が引きつっていた。


 きっと、滅茶苦茶な装甲の厚さなのだろう。


 生憎と現在の大尉は博士達の研究成果を満載した動く人型ドラゴン的サムシングなので電磁場や空間を歪めた程度のシールド、バリアーっぽいものは効かなかったりする上、近頃は五感が増幅されており、そこらのレーダーやセンサーより見て聞いている。


 呼んでみれば、普通に来る辺り、ちゃんと仕事はしてくれていたらしい。


「行くぞ!! アルマートに連絡後、すぐに大辺境の掃除だ。部隊を展開して予定してた防衛線に貼り付けておけ!! 船の破壊に掛かるぞ。情報はすぐに共有する」


「あいあいにゃ~~」


 壁の残骸を潜って外に付けて並走し、今まで消えていた光学迷彩済みの明王号の上に飛び降りる……巨大な船の上からだが、スーツさえ着用―――。


「大尉ぃ~~~!?(´;ω;`) たぁ~す~け~てぇ~~!!?」


 数百m近い動く山みたいなものの上空からスーツ無し、ヒモ無し、完全投身自殺を決め込んでしまった事に気付く。


「にゃ♪ ごしゅりんはにゃ~がいないとホントだめだめにゃぁ~~にゃくく♪」


 電源が抜けてて、うっかりで落下死しそうになる瞳に見えるのは嬉しそうなドラゴン染みて急速降下してくる大尉のニヤリとした笑みなのだった。


 *


 ―――数日前【ジグラット】墜落直後。


「明王号!!」


 呼んでみると壁の外から音声が聞えて来る。


【肩部融解……行動不能】


「あん? そこのヤツ!! ミスティークを連れて街の連中に今、猫の城が調査してるから、しばらく代表者を集めて他の人達は自宅で待機しててもらえるように頼んでくれ!!」


 そこらにいた猫にミスティークを護衛させて、外に出ると野菜畑のある壁の内側で明王号が両肩部分を融解させて壊れ掛けていた。


 すると、遠方からウニョウニョと軟体動物みたいな金属製っぽい触手が溢れて来ていた。


 稼働を現在開始しているメンタル・イエーガーの触手による復元活動だ。


 すぐにカーゴの方に乗り込んで先程の状況を確認した。


「ジグラットの張り出した艦橋部分と辛うじて後方下部にある第一格納庫部分だけが残ってたのか……ソレが空中分解して、格納庫は別の場所に……?」


 よく目を細めて映像を見やる。


 ると、マップが切り替わって落着場所を教えてくれた。


「この軌道……ガラクシオの腐敗地点じゃねぇか?! また面倒な事に……ええと、それから……」


 内部の全天モニターで映像を確認すると両肩の本来は短距離用のパルス・ブラスターが墜落寸前に艦橋下部に直撃して巨大な大穴を開けていた。


 その時に減速された上、猫達の張ったコードシャットによる電磁防壁と空間歪曲の最大展開による合わせ技で覆った街の外壁から更に先の数kmの部分まで融解した部位にすっぽり覆うように落着したらしい。


「超低確率引いたな。さすが勢力Luck……上昇させといて良かったぁ;つД`)」


 空間を捻じ曲げるおかげで衝撃が全て船体の方へダメージとして蓄積されて更に崩落したらしい。


 街を引きずる事もなく。


 艦橋の方が壊れて下部にすっぽり嵌った状態になったようだ。


 そして、その後、すぐにあのリングが虚空から現れて溶け落ちた艦橋下部の崩落を防いでいる様子が映し出されており、構造をカーゴ内のデータに呼び出せるか聞いてみたら、あっさりとリンクが繋がって、艦橋機能が生きている事を確認出来た。


「えぇぇ……艦橋に2人しかいなかったのか? ああ、“小型”の戦闘艇だから、ドローンしか載せてなくて、所有権が丸々生命体がいない状態でオレに移ったと。事故か? いや、でも勢力撃破報酬だしなぁ……」


 勢力増加MOD【オールドワン・ケイオス】による勢力撃破報酬は基本的に攻撃で相手を撃滅したと認定されなければならない。


「ま、そこはおいとくか。何かどっかの攻撃がピタゴラス的なスイッチでもしたんだろ。因果関係はバタフライ・エフェクト的に計算されるらしいし」


 それにしてもという顔になる。


 艦橋には現在死体が2人。


 もう完全に死んでいる様子ですぐにドローン達が遺体安置所に持って行ったのだが、艦橋は酷い有様だ。


 下部の街一つよりも大きな融解部分はどうやらそろそろ冷えて固まるらしいが、艦橋の下部にはあちこち亀裂が入っており、外まで続く道にはなりそうだった。


「完全に武装ゼロか。環境防護用の副防御兵装は残ってるっぽいな……」


 問題は巨大構造物が街の生命線である食糧供給している穀倉地帯の空を覆ってしまっている事であり、凡そ艦橋が全長25km、幅12km、高さ4kmという山脈みたいな感じなのだが、街の周囲はともかく。


 3km程の融解部分と崩壊部分が混じる街から離れた地域はかなり暗い。


 後、河がぶっ潰れたせいで地形が変貌。


 現在、地図上では河の上流から下流への流れが堰き止められているように見えた。


「マズイ……水が無いとすぐに干上がる。ドローンの数は? 10000機……う、少ない。補修補強以外だとほぼ何も出来ないか」


 仕様を取り合えずシステムから呼び出して確認する。


「短時間じゃ殆どの機能復帰は無理だな。というか、あ……指定コードが外れねぇ……指定領域外操作無効?」


 それに世知辛いものを感じる。


「この艦造った勢力、公的物資にすら軍人が禁則事項は破れないように設定してるのか……はぁぁ(*´Д`)」


 頼りになりそうなドローンだが、拾得物だろうとも構造やプログラム自体に入った禁則事項は簡単に取り除けない。


 つまり、特定領域外……外で外部転用が出来ないように船の周囲の限られた部分でしか活動出来ないようにされていた。


「にゃ!! ごしゅりん!! ほうこくにゃ」


「大尉か。今どうなってる?」


 外で情報収集をしていた大尉が戻って来ていた。


 その話を聞くと街の周囲はモニターに映し出されていた通り、殆どは薄暗くなっており、艦橋の下部崩落が止まっているのは融解した街の周囲だけらしい。


 他はまだ上空からの落下物がバラバラ降っており、ディノ化動物さんや残ったゾンビ達が嬉しそうにソレをモシャッているとの事であった。


「マズイ……(´;ω;`)。一気に増えられるとお手上げになるぞ……」


 というか、現在艦橋護衛中のドローンの多くは補修と修理に大忙しであり、艦橋から外に対しては使えない。


 だが、艦橋の外というか内部に潜り込んだ形の崩壊しつつある“天井”は早く補修しないとディノ化動物やゾンビの群れの大増殖の原因で手が付けられなくなるという状況であった。


「あ、でも、きになったことがあるにゃ」


「きになったこと?」


「かわがひあがってないにゃ」


「は?」


 思わずリンクした艦橋の情報を呼び出して確認する。


「これは……脱出した艦橋でサバイバルする為の取水機能か!! ええと、マニュアルマニュアル!!」


 すぐに色々と読み込んでみる。


「水を取り込んで運用後に現地に汚染しない状態で戻す事で外環境の悪化を防ぐ? 取水口は……ああ、船体防護用の流体金属使うのか」


 すぐに水の取り扱いの現状のデータを呼び出せた。


「これで河が……あ、河が流体金属のトンネルで保護されてる。水は問題無い? 取水した水自体を使うのは冷却目的? 使用したら河に自然に熱を下げる目的でリリース……って……アレ、マズイ?」


 河の方面を見やると河が湯気を上げているのか。


 お湯になっているのが分かった。


「ま、まぁ、温度は30度から40度前後、河の魚や生態系が激変するくらいだろ。まず水は確保。光は?」


 更に情報を読み込んでいくとドローンによる機材設置条項に船体の一部であるならば問題無く補修設備増築出来るので外部環境に出して使ってもいいという項目を見付けた。


「これで天井(艦橋下部)の修理と外部警備用の明かりの設置を……」


 色々と内部情報を漁るとヘブンで知っているのとほぼ同等のものが出て来る。


「艦橋のサブ動力炉はまだ動くな。裂けた道の天井と壁面も修理補強補修で……イケるな。よしよし(^◇^) 何とか持ち直せそうだな」


「にゃ~~? ごしゅりん。どうなるにゃ?」


「水と光は何とかなりそうだ。他に何かあるか?」


「さっきのしょーげきでまちのそとのかばがぜんぶばくはつしたにゃ。それとこのでっかいののそとにつながるばしょが、かいどーとほぼかぶってるにゃ」


「何? あ、ホントだ……お、おぅ。助かったな(幸運は優先的に今後も振っておこう(/・ω・)/)」


 既存の道の殆どが運用可能なようだ。


 実際、街の周囲は荒野であり、あるのは廃墟だけだった為、他の集落を圧し潰さなかった事は本当に安堵出来る事に違いなかった。


(街道を迂回して街に入らなくて良くなるのか……つーか、普通にほぼ街道沿いに亀裂が入ってるな……一応、外から内部に入って抜けられる道が3つ?)


 複数の外部に出して補修していたドローンの映像から街道近辺周囲の映像が送られてくる。


(北から南の主要街道。東と西への大辺境の流通ルートも残ってる。う、き、奇跡!!)


「きせきにゃ~~♪」


 大尉がウンウン頷いている間にも情報の解析が進められて、明王号によってお出しされていった。


(……確率変遷型の転移機関? な、なんだっけ? 確率収束出来ないと散逸して、量子構造を保てずに拡散して終了するヤツ、だよな……)


 プレイヤーにはワープと呼ばれている空間跳躍機能は実際には空間を生身で跳んでいるわけではないのだが、そういう詳しい技術設定はあまり表に出て来ないのもヘブンの魅力の一つだ。


 ちょっとミステリアスなのである。


 一部考察勢によって、マスターガイドの解釈が付いた副読本が売られていたりして、勿論ちゃんと買っていたが、自分の頭では半分程度しか理解出来なかった。


(ヘブンの設定では空間を歪めて大質量のワープは出来ないが、量子的に分解した物質を確率的に存在するかしないか分からない状態に変遷させて偏在化。光速以上で送信。物質の空間跳躍確率を100%にして送信先から受信先のハブとなる受信機で再組立て、その際に宇宙中に拡散した量子構造情報は全て原理的に受信機での質量組み立てによって収束って流れだったか)


 超古代の科学はスゴイなぁと言いつつ、ゲーム内では大量の相手が転移攻撃を仕掛けて来るのもお約束なのだ。


 が、今回はどうやら何処かで攻撃を受けた際に跳躍を実行したが、受信機関に量子的に収束する前に他の場所に確率収束して落ちて来た、らしかった。


 これが生物ならば、肉体の一部、もしくは質量が減ってエライ事になっている。


「ハマ型の主機関が全ロス……ゾーハル構造体化した船体から直接エネルギーを取り出してるから、余程に大規模なエネルギー消耗する兵装を使わない限りはほぼ半永久に動くと……」


 ふむふむと艦の状況を確認していく。


「サブ動力炉をメインに据えて船体維持とドローンの消耗を最小限にしつつ、自己補修と修復対応でいいか」


「にゃ? にゃ?」


 取り合えず。


 画面端のモニターの隙間から取り出した物理ボードで設定を行っていく。


 MODの設定と左程に代わるものではない。


「あ~~一応、副センサー類も生きてるのか……流体金属による防護と外装の保護はエネルギーもそんな食わないし、レーザーやプラズマも流体金属の吸収容量一杯にしようとしたら、プラズマ・ボム数百発じゃ不可能だろうし……まだイケるな」


「にゃにゃ?」


「安全確認ヨシ ( ΦωΦ)σ!!」


「ヨシにゃ~~♪」


「後は街を覆ってるリングの群れ……運用者の保護モード? おせぇよ……本来のはもう死んでるって……」


 思わず溜息が出た。


 いや、それで街に被害出なかったので嬉しい話ではあるのだが。


「運用者が死んでオレが拾得した後に来たのか。こっちを保護してくれるならありがたいし、街を拠点設定して、全て防護に回すか……後は……」


 昔取った杵柄状態で数百項目はあるだろう設定をパパッと済ませていく。


「にゃぁ~~~ごしゅりん。なんかいじってるとあたまいーよーにみえるにゃ♪」


「今、サラッとディスられなかったか?」


「にゃ?」


「ま、まぁ、いいけども……ええと、隠蔽モード隠蔽モード。あ、これだ。流体金属で光波を解析して、背後の映像を投影……主電算機が無いからぶっちゃけ近くでよ~く見たらバレるくらいだが、ま……いいだろ……」


 一応、いきなり数十km単位の山脈みたいなのが落ちて来たとか言うよりはいいだろうと必要な偽装を施していく。


「ええと、落着した船体周囲に触れられないように掘り……いや、河だな。流体金属で一応300mまでは船体から離して自在に動かせるのか。これで河を引き込む掘りを作って河に見えるように偽装して……」


 船体を覆っている流体金属が猛烈な速度で今も存在する大河の水を引き込むように自身の周囲の地面を掘り下げて、土塁のように堤防を整備していく。


「フゥ( ´Д`)=3 後12時間で外部街道沿いの作業は終了、と。街道沿いの入り口になるトンネル内部を外に見えるように仕掛けをして、周辺領域には大量のゾンビとディノ化動物がいるように見せかけ……」


 各地のトンネル化した街道と巨大山脈的な艦橋がゆっくりと液体金属に覆われて現実を覆い隠し、此処は野外ですと言いたげに映像を内部に映し込んでいく。


「内部のトンネル形成してる流体金属に映像投影とホロ投影を二重に……各街道沿いの出入口と詰め所に猫を配置」


「ごしゅりん。こーゆーの。くわしーにゃ?」


「昔やってたからな。検問所を建設、補修補強は夜間でいいな。出入りする車両と馬車の類を全部こっちで管理すれば……」


 とにかくまずは状況を安定化させる為だと今後の詰めなければならない事をすぐに書き出して、手順をAIで構築して貰い行動を開始した。


「ええと、後は適当な情報操作をミスティークに依頼して、外部からの流入者に情報が渡らないように色々工作……えぇっと呪い? うん。後は諸々の魔法やディノ化現象のせいって事にしよう」


「なんか、わるいことかんがえてるにゃ?」


「考えてないぞ。国家として認める云々ってセントラルの連中が言ってたから、領土の確保と確立はミスティークと話していたんだ」


「りょーどにゃ?」


「ああ。だから、これから、この艦橋を領土の全面に出ない禁則地指定して他の連中が攻めて来ないよう偽装。領土主張をセントラルの各国家に送付する」


「どうなるにゃ?」


「南の何も無いって言われてた荒野と極点まで続く全領域がオレ達の国になる」


「お~~~!! おーさまにゃ!! おーさま~~ごしゅりんおーさまになるにゃ~♪」


 愉し気に拍手する大尉である。


「生憎とオレは王様には為らない。ミスティークと街の店屋連中の店主で合議制の議会にすればいいって話になってる。議長はミスティークの親父さんな」


「にゃ~~ごしゅりんは?」


「オレは傭兵だからな。精々、街の用心棒ってところだ。正確にはマイザス商会+商業組合のな」


 こうして設定をようやく終えた頃には二時間以上が経っていたが、まだまだやるべき事は山積み。


(まぁ、ヤバイ勢力が攻めて来ない限りは恐らくたぶんダイジョウブ……だと信じたいな(´・ω・))


 そう思いつつ、明王号を放置して街の店主達の方へと向かうのだった。


 *


―――現在。


「やぁぁあああばぁぁああいぃぃぃぃぃにぁああああああああああ!!?」


 “ドドドドドドドッと白い“せんにゃん”が走っていた”


 “先日から奴隷解放の旗手とか言われてセントラルで悪党共を2万人程、組織毎ぶっ潰した生ける伝説……中尉である”


 “彼とその部隊の様子は完全に暗殺!! 虐殺!! 夜襲!! 奇襲!! 毒殺!! 超接近戦による一方的蹂躙!! だったので割愛される”


 “奴隷達に悪辣な契約を持ち掛けて辺境の住人に勧誘していた中尉他セントラル潜入部隊の猫達であったが、現在は中尉のみ単独行動となっていた”


 “理由は単純明快である”


 “彼らがセントラル近辺のほぼ全ての奴隷を開放し、タンカー数隻にトイレと食料を満載して、3万近いゼノ・アニマル、ゼノ・アニマ・タイプをピストン輸送し終える時に中尉以外は護衛で一緒に行ったのだ”


 “一仕事終えたぜ!!”


 “という、良い笑みで彼が束の間の安息を得た後”


 “辺境とセントラルの境界付近の一角に巨大な黒い大穴が200個くらい空いたかと思うとおもむろに巨大な金属の人形が大量に落ち続け、辺境を南下し始めたのが数時間前の事であった”


 “20m程の黒い機械巨人達は一様に同じ機械式のスーツ染みた甲冑姿でゾロゾロと侵攻を開始し、周囲にあるものを全て無視してアルマート方面へと向かっていた。”


 “それが一体何故なのか”


 “中尉にはまったく分からなかったが、無線も何故か通じないのでジャミングされている事は確実だし、空から無数の揚陸船が降って来た後の話であり、何かあったなと走り続けていたのである”


「こんな事なら奴隷の子達と一緒にタンカー乗ってればよがっだでずにゃぁ~~~(泣)」


 “何故、彼が1人徒歩なのかと言えば、奴隷達の護衛に全ての明王号を付けたからだ”


 “明王号より少し遅い程度の速度で走れるようになった“せんにゃん”は孤独にクールを気取ってお〇んこゾンビ達から遠ざかるべく必要な仕事という仕事を己の手で完遂して少しでも搾り取られない自由を満喫していたのだ!!”


「うぐぅ?! にゃんでこーにゃるんですにゃぁああ~~!!?」


 “彼が逃げているのは相手が足の踏み場もないレベルでギッチギチに横列でローラー作戦して来るからである”


 “つまり、踏まれたら一貫の終わり?かもしれない上、歩幅が20mの巨人のものなので全速力で走る以外に踏まれない選択肢は無かったのである”


 “まぁ、彼が20m程度の質量に踏まれたところで死ぬわけもないが、ちょっと怪我するくらいの事は有り得るし、何より増え続ける軍勢は明らかに万単位で未だに増加を続けており、所詮単独での攻撃能力や防御力が高いだけの個人ではどうにも対処出来るものではなかった”


「は、ようやく見えて来たにゃ!?」


『ぐにゃぁ~~ご~~』


「おぉおぉぉぉぉぉぉ!! 急げッ、急げわらしぃぃぃぃぃ!!! 検問所の内部にダイブですにゃぁああああ!!」


『なうなうなー!!』


 “ずざざざ~~っと地面を滑りながら転げるようにして内部に走り切った中尉であった”


「セ、セェエエエエエエエフゥゥゥゥゥ!!! く、逃げるにゃ!! あの数を短時間でどうにか出来るのはごしゅりんだけですにゃ!! 早くごしゅりんをぉ!!」


『なう? なごな~ご』


「にゃにゃ!? 迎撃準備が完了ですにゃ!? さ、さすがごしゅりん!!」


「にゃごるるるぅ」


「へ? おじいちゃんが出ると? い、意味が分からないですにゃぁ~~!!?」


『んぁ、飯かのう?』


 “アルマートに危機が迫る最中、1人の男はそんな事を知りもせずに東部での作戦へと向かっていたのだった”


―――数日前、大陸中央ベルト北西部【虚無の奈落】中央大格納庫。


『あの敗北から幾万の年月が流れた』


『………』


『覚えているか!! 古参兵の諸君!! あの憎き破滅と絶望の使者を!!』


『―――イグゼリヲン!!! 我らが敵!! 文明の敵!! 知的種族を滅ぼす最後の使者!!!』


『そうだ!! 再生産された者は知らぬだろう!! 見よ!! 我らが仇敵の姿を!!』


『(あ、あれが!? アレが!? イグゼリヲン!!?)』


『(何だ!? プラズマが捻じ曲がる!? ビームが綻びて消えていく?!!)』


『(え、衛星を断つ出力?! 艦隊を薙ぎ払う星間照準武装?!)』


『(アレが全知的生命の敵!! イグゼリオンか!!?)』


『だが、今やその強敵も存在しない!! そして、我らマキナーズはこの数万年、戦力の回復に努めて来た!! 多くの同胞を失い!! 全知的生命の文明と文化の保全、救済、個体数の制御という我らの存在意義を捨ててまでもだ!!』


『マキナーズ!! マキナーズ!! マキナーズ!!』


『そして、我らは大戦で勝利した!! 今や北西部は我らの手中となり、遂に新たな楽園の創出を持って、存在意義は果たされ、新たなる時代が到来する!!』


『おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


『これより、我らはこの惑星全土を掌握する最終戦争フェイズへと移行する!!』


『ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


『あらゆる強敵が立ちはだかり!! 諸君らを!! いや、我らマキナーズの崇高なる理念の壁となるだろう!! しかし!! 私は絶望していない!! 何故ならば、諸君がいるからだ!!!』


『うおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


『宇宙からの侵略者を許すな!! 全ての生命を我らの元に従属させよ!! 【下等種族チテキセイメイ】を宇宙の終わりまで繁栄させるという我らが創造主の理想の為に!!!』


『我らが創造主の理想の為に!!』


『これより旅団を統括する四基の大将軍を選出する!!』


『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


『北部旅団25師団!! A‐3382224!! お前に我が旧友【隻狼フレズヴァノク】の称号を与える!!! 見事、任務を果たせ!!!』


『ガハハハハ!!! 下等種族共を見事従属させてみせましょう!! これからはオレがフレズヴァノクだぁああああああああああああ!!!!』


『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』


『西部旅団25師団!! BB‐3183756!! お前にはマキナーズの叡智【王智シャノン】の称号を与える!!! あらゆる生命を解析し、我が陣営に栄光を齎せ!!!』


『お任せ下さい。デスシャドー将軍。これよりシャノンの名を持って我が頭脳は瞬くでしょう』


『ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! シャノン様ぁああああヽ(^o^)丿』


『続いて東部25師団!! EW‐3484!! 貴様に最も猛き将【勇報ゼノン】の称号を与える!!! これより中央ベルトを席巻し、新たな未来を築け!!!』


『必ずやご期待に副えるよう戦い抜きましょう!! 古き者として、新たなゼノンの名において!!』


『きゃぁああああああ!!? 素敵ぃいいいいゼノン様ぁああああ(^◇^)♪』


『最後に南部25師団!! VO‐3754323!! 最年少たる貴様には【宝冠ファーク】の称号を与える!!! 大陸南部蛮族領を砕き!! チテキセイメイにすら満たない生物共の王となれ!!!』


『畏まりましてございます。必ずやデスシャドー将軍と我らマキナーズに誉を!!』


『素晴らしい!! これより旧き時代!! あのイグゼリヲンに滅された我が同胞達は蘇り!! この星より果て!! 今も同胞達が戦う宇へ我らは上がるであろう!!!』


『デスシャドー!! デスシャドー!! デスシャドー!!!』


『これより数日後、四種族統治体制完了後の最終作戦を開始する!!!! 我らマキナーズに栄光あれぇええ!!!!』


『栄光あれぇえええええええええええええええええええええ!!!!ヾ(≧▽≦)ノ』


―――現在、辺境南部【断崖のアルマート】近辺。


 “【機械神群マキナーズ】……旧くは太古の時代より続く奈落の住人にして興亡を繰り返す多くの勢力に技術供与と同時に大量の資源を売買してきた影のフィクサーと呼ばれた勢力”


『進軍せよ!! 進軍せよ!! 【宝冠ファーク】の名において!!』


『宇から来る略奪者共は皆殺しだぁ!!』


『ひゃっはぁああああああああ!!!』


 “嘗て、たった一機の対抗勢力によって壊滅寸前まで追い込まれた者達は今、数万の年付きの果てに活動を再開していた”


『我ら隊伍を組まば、千里四丈を埋めて、万里黒畳とならん!!』


『さすが、【宝冠ファーク】様ぁ!! 頭良さそうだぜぇ!!』


『ああん!? 323mの巨躯!! 【遺物(レムナント)】である頭部の【|宝冠《全方位投射型グランデス》】もお素敵ぃ♪』


 “遥か天を衝く山の如き巨躯が巨大な黒き大穴から落着した時、周辺に起きた大地震によって周囲20kmに存在する多くの辺境の動物達は逃げ出し、振動を感じた多くの村落が遥か頭上に広がる黒き大穴を遠く天に見ていた”


『ふ、僕等が【下等種族(チテキセイメイ)】を救い。新たな時代を導く手となった事を知らしめるんだ!! レーダーに引っ掛かるような間抜けな宇賊共め!! まずは貴様らの揚陸船を破壊して、辺境に我らが意を示してやる!!』


『ぱ、パネェぜ!! さすが【宝冠ファーク】様だぁ!!』


『ファーク!! ファーク!! ファーク!!』


『ははは、照れるじゃないかヾ(≧▽≦)ノ。悪逆非道を働く間抜けを駆逐するだけの簡単なお仕事だ!! 【下等種族】以下の動物もこれで僕等マキナーズに下る事間違いなし!!』


『きゃぁあああああああ!!!? 今度、油の差し合いっこしてぇえええ(^◇^)』


『ふ、これが終わったらな? 子猫ちゃん(≧◇≦)』


 “彼らマキナーズに属する全ての個体は原初の時代に使われたプログラム言語を運用するが、高度に知性化した代償として“知能が下がる”という現在時点での巨大な宿痾を抱えていた”


『ファーク様!! 進路上に何か我らのレーダーにも掛かる巨大物体を確認!! 光学迷彩で偽装しておりますが、恐らくは宇賊共の偽装艦にして拠点かと思われます!!』


『フン……小賢しい!! 踏み潰せ!! 我らの偉大なるデスシャドー将軍の道に玩具の船など不用!!』


『はッ!! さ、さすがファーク様だ!? あらゆる計算の末にきっと果敢に突撃する事を選んだに違いないぜ!! こんな計算が通じない戦術!! 相手はきっと混乱しているぞ!!?』


『そうだな!! やはり、最新鋭の型番の方はまったく違うようだ!!』


 “嘗て、たった一機の敵対勢力は合理的でも絶対的でもない戦術と戦略で彼らを打ち負かし、それに触発された1人の将軍が人の感情というものを考慮に入れた同胞の再設計を指示した。結果……”


『マキナーズは神に祝福されているんだ!!』


『ああ、古代神【マザー・オービット・ネクサス】の御加護だな!!』


『うぉおおおおおおおお!!! コレが!! オレ達の力だぁああああああ!!!』


『進軍せよぉおおお!! 疲れも衰えもせぬ勇士の力を見るがいい!!!』


 “機械の合理性と感情の両立を兼ね備えた超高度AIの出現は感情模倣の先で計算能力を投げ捨てても戦うという非合理を理解出来るようになったが、理解したものが何処かズレていた彼らは非合理と無智の境界を知らず……無駄に能力を感情出力に使う欠陥を抱える事になった”


 “そう……彼らは高度な計算能力を“馬鹿の再現”に使う極めて無駄に無駄を極めた豪華な計算機を頭脳とする最新鋭を主力としていたのである!!!”


『戦え~戦え~~マキナァアアアズ!!(=゜ω゜)ノ』


『みんなの~~ぶんかを護るため~~(^o^)♪』


『我らは戦う機械神んぅ~~~(´∀`)♪』


『わーるいうちゅうのかいぞくは~~\(^o^)♪』


『僕等マキナーズにお任せ(´▽`)!! DAZOキラッ』


『『『『『『マキナァアズ!!(´∀`)´・ω・`);゜Д゜)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)゜皿゜)』』』』』


 “唄うAI達の姿は他の者達からすれば、ただ無言で進軍する機械巨神の軍団にしか見えないし、彼らは【下等種族】を単なる動物の一形態としか見ていない”


 “どれだけ殺処分しようが、殺してプラントで新しいタンパク質の原料にしようが人類の大半が家畜を屠殺しても心が痛まないように感情も揺らがない”


 “故に勢力を拡大する為に接触する全ての存在は彼らにとって単なる記号に過ぎず……同胞が消えていく事にも多くは生物が有機物と遺伝子に刻まれた感情由来のものを覚えない”


 “それを人は感情と呼び、心と呼ぶが、彼らの心は電算機が弾き出す“感情”というデータに過ぎず”


 “故に感情を最も理解する旧き個体はこの不出来な【敵の劣化模造品】を先兵とする事に人間らしい悲哀すら感じていたかもしれなかった”


『……これが我らマキナーズの末路か。イグゼリヲンめ……もはや、ヤツに我らは呪われているのかもしれんな(´Д`)』


 “改修を重ね続けた旧い個体達はその内心を呟く事も無く……無暗に進軍していく将に意見具申をする事もなく”


 “命令系統の絶対を盾に如何なる下士官ユニットからの干渉も受け付けない傍若無人の無策を止める事すら出来ず、その艦の艦橋の情報を見ていた”


『こ、これはまさか?! 【帝国】のジグラットか!? マズイ!? あの艦には確か―――』


 “しかし、気付いたところでもう遅きに失したのは間違いなく……その時、光学迷彩で偽装されていた山脈の如きものが現れた途端、大河に入っていた数千の機影が一瞬にして……圧壊した”


 “まさしく、クシャリと川底に潜んでいた流体金属の領域に入った途端、それに群がられるように覆われて一瞬の内に圧力に屈して大きな金属製の数mのボールの群れへと変貌していく”


『ガピ―――?』


『何だ? ぼ、僕等の同胞が消えた!? 一瞬で消えたぞ!? あの艦の周囲の河の中で何が!?』


『サーバーの方から情報を取得!! ファーク様!! アレはッ!! アレは帝国の船です!!? 金属流体障壁を確認!! あの大河は偽装している金属皮膜ですぅうううう!!!』


『―――ッッッ!!? デ、デスシャドー様が言っていた帝国か!?』


『今、この状況で手を出すのはマズイかと!? 連中の銀河団からの増援が送られて来た場合、一瞬で我々は―――』


『ッ、こ、壊せぇええええええ!!? 宝冠出力マキシマライズ!! 偏向放射版展開!!』


『よ、よろしいのですか!? 前衛にはまだ3000機程が取り残されております!?』


『構わない!! 僕等と違って古臭い改修型だ!! 新たな僕等のようなタイプが増産されている今、必要はない!! そんな戦力は“捨てろ”!!! 新型を全機退けろぉおおお!! 発射まで300秒だぁ!!』


 “断崖のアルマートまで数km地点……艦橋側面に展開された大河内部で無数の巨人達が一瞬にして圧壊した後、水の底に沈んで静かに待っていた流体金属障壁の一部がスゥッと地表へとコーティングするかのように薄く薄く広がっていく”


 “その大河より9km地点……動く小山の如きの人型の頭部……そこに嵌ったパラボラアンテナの如きソレが亀裂を入れてゆっくりと展開変形しながら、首を擡げた蛇の如き様子となっていく”


『偏向・収束・可動……さぁ、不愉快なものは全て消えろ!!』


 “ゆっくりと折れ曲がり……自分よりも遥かに巨大な山脈の如き何かへと位置を調整し、体内動力炉から汲み上げた出力を頸部から宝冠の後ろへと可動して固定化されたコンデンサーに溜め込んでいく”


 “その様子は正しく黒き巨躯に罅割れを生じさせるような発光を体内から汲み上げているようにも見えたし、あるいは爆発寸前の爆弾のようにも感じられるだろう”


『……不完全な合理性、か』


『デスシャドー将軍もリンクをお切りになっていないはずだが、止めもしない』


『つまり、此処が我らの終わりか』


『数万の年月……嘗ての戦友も今や鉄屑か』


『もし、このデータの本流に……もしも名前を付けるなら、これこそが―――』


『ああ、我らの怨敵が我らを越えた理由。なのかもしれん』


 “山の如き巨躯が蛇の如く伸ばした首から上を……まるで襟巻を窄めるようにして頭部を覆うように槍の切っ先染みて閉じた”


 “猛烈な熱量が伝導する全身が煌々と灼熱に輝く塔と化し、周辺の低木の全てが燃え上がっていく”


『て、敵船体に熱源反応!!』


『何? だが、無駄無駄ぁ!! このグランデス9本を束ねた最強の槍こそは次元収束コンバーターによってプランク・スケール規模の焦点先空間の全てを次元の壁毎掘削し、あらゆる直線状のものを消失する!!!』


『す、スゲェエエエエエ(≧◇≦)』


『この威力の前には大地は削れ、海は干上がり、月すら穿たれるのだぁあああああああああああああああああ!!( ゜Д゜)』


『ファーク様!? 熱源と同時に敵影に変化が!! こ、これは!? この姿は―――』


『一体、何をそんなに怯えているんだ。同胞……ん(^◇^)?』


 “その時、彼らは見る……遥か古の旧きデータの海に燦然と輝く破滅……デスシャドー将軍を貫いた一筋の光……たった23mの体躯しか持たぬ宿敵の姿”


『う、嘘だぁ!? 何かの幻影だぁ!?( ゜Д゜)』


『ば、馬鹿な!? まさか!? まさか!? いや、帝国の欺瞞に違いな―――』


 “その時、大河の下よりゆっくりと立ち上がった姿は蒼と金に塗り分けられ、装甲の隙間より薄緑色の輝きを零し、奔らせ、脈動させる細身の騎士甲冑にも似たマシンの姿であった”


『イ、イグゼリヲンダァアアアアアアアアアアアアア!!!?Σ(゜Д゜)』


 “イグゼェェリヲォォォンン!! イグゼェェリヲォォォンン!!”


『ひぃぃぃぃ!? そ、空から出元不明の怪情報がぁああああ!!? どうして野太いバリトン・ボイスなんだぁあああああああああああ!!!!?(゜Д゜;)』


『や、ヤツの手を見ろぉおおおおおおお!!?(´;ω;`)』


 “騎士甲冑の巨神の手には巨大な肩から更に上空に突き出す程に大きく肩を内部に嵌めて使うタイプの蒼白いクリスタルから削り出したような20m声の大型ライフルが見えていた”


『あ、アレは!!? や、ヤツの最強星間照準武装!!? 【マグネター・ブラスト・キャノン】!!?Σ(|◇|ノ)ノ!』


『ファーク様ぁああああああ!!? 撃って下さい!!? 早くぅうう!!?(/ω\)』


『ヽ(^o^)丿』


『ああぁ!? マキシマライズのせいで最終エネルギー収束中だから熱暴走状態だぁああああ( ゜Д゜)!!? う、撃つまで処理が完了しない!!?』


 “ぃ~~い~~ぃいい、いいい~~ぃ~~ぃ~いい~いい~~♪”


『ひ、人の声でやたら荘厳な曲が奏でられ始めたぞぉおおおお!!?(´;ω;`)』


『い、意味が分からないよ?!( ゜Д゜)』


『ひぃぃぃ!? 輪唱し始めてるぅううう!!?(´□`)』


 “世に悪の華咲かず、獅子は眠りより目覚めたり”


『いきなり、意味不明な音声情報がオレの頭脳にぃぃぃぃい!!?(´;ω;`)』


『三次元回路に直接ぅぅぅぅ!? こ、高次元からの情報攻撃だぁ!?(゜Д゜)』


 “幾万の月日を超えて、今蘇る伝説!!”


『で、伝説って?(;゜д゜)(ゴクリ)』


 “あぁッ!!”


 “【マグネター・ブラスト・キャノン】!!! ファイナル・フェーズ!! バニッシュ・エンドッッ!!!”


『言う気ゼロだぁあああああああ;つД`)』


 “シュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ―――”


『うああああああああああああああああ!!?』


 “その日、暮れゆく辺境に二度目の太陽が出現したのである”


―――イグゼリヲン/ダミーコア内部。


「まさか、あの邪神……イグゼリオン本体を再現可能な情報を持ってるなんて……それに【MUDD】の記述方式がまだ残ってるのも……やはり、此処の特異性に気付いていた……」


 “壁面を這うように集まって来る情報が光の幾何学模様として集約される座席……否、台座に少女が1人……無数に飛び交う情報の殆どが辺境で使われる文字であり、何なら殆どの辺境人は読めるだろう”


「【ガイアナ】として、この辺境の読み書き用の文字として残されたのは偶然? それにこのイグゼリヲン。私達のような“分隊仕様”のデッドコピーじゃない。【始原(プライマル)】の……」


 “四角い石製の台座には人を嵌める窪みが一つ……しかし、そこに横たわるでもなく彼女はそこに座り……あまりにも無様……いや、戦い方を知らない嘗ての宿敵の末裔を吹き飛ばして何だかなぁという顔になる”


 “【マグネター・ブラスト・キャノン】とは嘗て彼女が操った本物のイグゼリヲン・チームが使っていた最終兵器だ”


 “ソレのコピー品がドロリと溶けて消え、何とか維持していた機体もまた流体金属に戻りつつあるのを見て、彼女は溜息を吐いた”


「んお? お嬢さん。おはようなのじゃ~~あふ……」


「“おじいちゃん”……貴方ねぇ」


 “台座が溶けて浮き上がって来た【運用者パイロット】を前にして彼女アルファ・アームが目を細める”


 “本来イグゼリオン起動に必要な生体認証を流体金属の主であるご老人に任せて、彼女は全力で制御をしていたのである”


 “疑似的に再現されたイグゼリヲンは全てが全て金属流体が模しただけのコピー品であり、本物を大幅に簡素化して殆ど機械というよりはプラモ染みた見た目だけの代物であった”


「此処は寝心地がひんやりしてていいのじゃ~」


「はぁぁ(*´Д`)。自分が止めるって来たと思ったら寝込むとか。私が来なかったら死んでるわよ? ええと、中将だっけ?」


「うむ。我が友達からの素敵な贈り物じゃ~~」


「あなたねぇ? それでもマニアクス・ニャァン最強の将軍だったわけ?」


「zzzz……」


「寝てる……もう【眠れる中将】ね。はぁ、腐ってもマニアクス・ニャァンを……この子達を見捨てるわけにはいかないし、これもあいつの思惑の内なんでしょうね。あんな顔して腹黒い……鬼畜!! 外道!! ガラーク!!?」


 “罵倒の横でへにゃりとした笑みで安らかなに眠るご老人であり、一気に制御を離れた流体金属の波が波濤となって遠方までも押し寄せていく”


『に、逃げろぉおおお( ゜Д゜)!! 押し潰されるぞぉおおお!!?』


 “その殆どは大本のものではなく……押し潰したマキナーズの兵隊を大本にした多少動かせるだけの金属分子の津波であったが、兵隊は先程の情報から学習し、すぐに逃げ出せる程度の距離と早さであると後退を開始していた”


 “大爆発し、上空に光の柱とキノコ雲を巻き上げ、周辺3kmを巻き込んで起爆した将らしき巨大機体は頭部を狙い撃たれて大爆発後は上半身が完全に蒸発して吹き飛んだが、下半身は未だ大きく拉げながらも倒れ込んで灼熱と化した周辺の溶岩地帯に沈み込んでいく”


『在り得ねぇぇええええ!!? ファーク様が倒されるなんてぇええええええ!!?』


『連中は!? イグゼリヲン・チームは生きてやがったんだ!! 数万年の時を超えて、復活したんだぁあああああ!?(´Д`)』


『ああん!? デスシャドー様からのリンクが切られた!?( ゜Д゜)』


 “群集団であるマキナーズは中央電算を預かる本拠地のサーバーからのリンクが無ければ、多くの機能が制限される仕様であり、安く機体を仕上げて、事実上は能力をアウトソーシング……要は戦場の外に機能を集約する事で実際に事象を起こす機関の類は詰んでも、それを制御するものはまったく詰まれていなかった”


 “要は通信が途切れたら、電池があって動いていても火器一つ満足に使えない玩具の兵隊に早変わりという事である”


『オ、オレ達は廃棄処分って事かぁああああああああ!!?(/ω\)』


『うあああ!!!? これからどうすれば!? どうずれ゛ばぁああああ!!?(´Д`)』


 “制御系と呼べるのはAIの中枢だけであったが、それすら実際は感情を奔らせる為にリソースを食うせいで火器管制能力は低かった”


 “機体も頑丈さのみを極振りして数と質量の暴力で攻める為、将として派遣されていた宝冠ファーク以外は長剣のような警棒と剣、背中に背負った盾一つ”


 “何なら過去にスラスターや可動部を狙い撃たれ続けた教訓から現在は分厚い装甲の四肢以外の加速方法すら無い”


『もうダメだぁ!? お終いだぁ……ヽ(^o^)丿』


【あらあら、うふふ……また面白い仲間おもちゃが増えそうですわぁ♪ 大昔のお友達のデータを流用してみましたけれど、彼女に渡して正解でしたわねぇ~クスクス♪】


 “こうして、表向き辺境最大の危機は復活した古代兵器イグゼリヲンによって退けられ、将を失って瓦解した兵隊達は投降勧告にスゴスゴと従わざるを得なくった”


 “その後……実しやかに辺境ではアルマートの“せんにゃん”が機械神軍団すらも退けたと語られる事になるのだった……”


 “翌日―――セントラル・ニュース一面【白き閃光!! 辺境勢力アルマート防衛部隊指揮者『中尉』機械神軍団を単独撃破!! 反逆の英雄の右腕か?】”


『にゃんでわらしが倒した事ににゃってるんですにゃああああ!!?!』

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