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エロMOD先輩と賢者の窯  作者: Anacletus
第二章 エロMOD先輩と炎の聖杯-I just came to eat with a cute girl...-
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第7話「壁氏族長=サンとエロMOD先輩」


―――?年前粉塵都市【九州復興特別指定区】サーバーエントランス。


『それにしても君がねぇ……先輩なんて呼ばれるようになるなんて』


『ダンジョンMOD先輩が言う事か? ソレ』


『ははは、それは君ぃ。自分の才能は自分の人生の為に使うべきだよ』


『ホント、どうしてあの技術力で世界に貢献しないものかと言われて何年だっけ?』


『嫌味はよしたまえよ♪ 君だって、そのエロに掛ける情熱が在れば、人生やり直せるだろと連中から言われてるじゃないか』


『『はははははっ!!!』』


『はぁぁ~~(*´Д`)』


『ふぅぅ~~( ´Д`)=3』


『この話は止めよう』


『ああ、止めよう。不毛だ』


『で? 今回の議会では何だって?』


『君の例のMODは却下されたよ』


『ああ、そうかい。いや、別にいいけども、そんな問題か?』


『大在りだよ。これで君がプログラムを書いて数年だって言うんだからね』


『才能は無いぞ?』


『ああ、才能は無い。だが、発想がヤバイ』


『そうか?』


『この会議は欲しいMODをみんなで造れるなら作って配布しようって場だ』


『ああ、それはな』


『そして、君が想像したソレはもはやMODの域にはないものだ』


『そうか?』


『会議で君のアレに興味を持った者は大勢いるが、それを推進してくれそうなのは1人しかいなかったな。恐らく、偽装IDだけど』


『ほう? そいつの名前は?』


『邪神降臨させたヤツ』


『う~~ん(´・ω・`) ガチ指名手配犯はえぬじー』


『ま、諦めろとは言わない。好きにすればいい。手伝える事があれば、手伝おう』


『そういうとこは律儀だよな。ホント』


『これでも友達だからね。あのお嬢さんの件で正しい対処を教えてくれたのも有難かったし』


『何でその美貌で触手とダンジョンをこよなく愛せるんだ。ホント、ダンジョンMOD先輩はさぁ』


『好きなものは好きだからしょうがない』


『ま、そうだよな。取り合えず、これからは一見さんはお断りしとけよ?』


『分かってる。そろそろ、このゲームの参加人数も少なく為って来てるし、あそこの新作も出るって話だ……十年の大作……あちらの方に軸足を移すかもしれない』


『寂しくなるな。だが、愉しんで来い』


『……ああ、そうするよ。君が永遠にこのゲームにいるのはそれはそれで安心感もあるしね。そう簡単にくたばるなよ?』


『リアルは地獄だからな。明日がどうなるかは分からない。だが、オレが死んだら……ま、知り合いに色々と届くかもしれないから、その時はよろしくって事で』


『ははは、じゃあ、今度はいつ会うかも分からないし、これを……』


『これは?』


『最新研究を幾つかハッキングした時に君の計画に使えそうなものを纏めといた』


『おっと~~何故か床に捨ててある情報を拾ってしまったぁ~~~ヽ(^o^)丿』


『くくくく、それでいい。じゃあ、また』


『ああ、またな』


―――四氏族連合艦隊旗艦中枢区画【岩戸】。


「う~ん……だんじょんもっどせんぱい……あいかわらずおπが……でかぃ……( ̄д ̄)」


「起きろ。ガラーク」


「ハッ(゜Д゜)!! 今、ミスティーきゅんの胸の参照元と会話したような?(・ω・`)」


「一体、何を言ってるのか知らないが、付いたぞ」


「あ、副氏族長だ。そうか。着いたのか。で? この扉か」


ゆっくり、床から起き上がって頭を横に振る。


「あの~首筋が焦げてないっすかね?(´Д`) 何か痛いんだけど」


「ほれ。こちらが使ってる治癒剤だ。今日はただでやろう」


「はいはい( ̄д ̄)。 飲めばいいのね。ごきゅー」


ゴキュリと強制だろう治癒剤を呑む。


すぐに痛みが引いた。


何が入っているか知らないが、飲まずに進ませてはくれないだろう。


ヒトを拉致同然に連れて来るのだから、それなりの情報が出るのを期待しておく。


「四種族の氏族長を前にする。失礼の無いように……というのは無駄か」


「オレはオレだ。オレが傅く理由はオレが傅きたい以外じゃない」


「何処の誰にでも言いそうな話だな」


「勿論。オレはただの傭兵だ」


観音開きの扉がバニアによって開かれる。


内部に入ると途端に違和感が襲って来る。


「空間を歪めて拡張してるのか? 豪勢だな」


「本来、それは分からないはずなのだが……」


呆れた様子のバニアと共に内部に入る。


恐らく体育館倉庫くらいの広さがある一角。


中央まで続く赤い天鵞絨の絨毯の先には一つの石製の玉座。


そこに人影がいた。


外套を被っているが顔は見えた。


30代程だろう男だ。


しかし、目は映ろであった。


「……他には誰もいない。ふむ? つまり、お前らが此処の頭領か? 魂か? 肉体か? 融合してる状態なのは分かったが……そこのお人形が本体じゃないよな?」


『どうやら、面白い人材を見付けて来たようだね。バニア』


その声と同時に玉座の背後にゆっくりと迫り出していくものが見える。


壁に埋め込まれた多数の肉体の破片。


手足、小腸、大腸、眼球、心臓、諸々が左右の端に繋がった2m程の翅から伸びた血管で壁の中で繋がっていた。


「融合じゃなくて物理的な接合? オイオイ……自分達の事まだ分かるのか? その状態は?」


『驚かねぇのか』


『私達の事、分かってるじゃない』


『面白い人間ですね』


『取り合えず、自己紹介しようか』


壁に嵌め込まれた幾つかの瞳がこちらを向いた。


『我々には前は個人名が有ったんだが、この有様でね。一つになって永らえたはいいが、自我がどうにも安定しない』


「そりゃそうだろ。プラネターズの力で存在を繋げて、無理やりアルティメシエ・グラマトンの力で延命とか」


『そこも分るんだ。おじさん博識だね』


『確かに……』


『僕等を初めて見る人間にして初めてのリアクションだ。驚きもしないなんて』


「いや、驚いてるよ。ぶっちゃけ、そこまで技術力が無くなってるのがビックリだよ( ̄д ̄)。色々と技術が後退し過ぎじゃね?」


『言われてるわよ。バニア』


「ええ、四氏族の筆頭として痛いところを突かれました」


「お前らの祖先の技術力は少なからず、人体融合くらい簡単レベルのものだったと思うんだが?」


『ああ、始祖の時代の事を知ってるのか。なるほど、古代人だったわけだな』


『僕等は御覧の通り。中央域の“大戦”で体がバラバラになった後、延命の為にこの体になって何とか命を繋いでる状態さ』


案外話は分かる壁君らしい。


『良い話し相手を連れて来たじゃない。バニア。褒めてあげるわ』


「光栄です」


バニアが頭を下げる。


「それで? 辺境に住みたいのか? お前ら」


『『『『……住みたくない(´Д`)』』』』


どうやら本音がポロリしたらしい。


「まぁ、だろうな。此処、娯楽なんて無いし、文化的建造物とか、史跡とかもないし、完全に虚無空間だからな。あ、危険な原生動物とゾンビのハンティングや地下迷宮っぽい遺跡探検なら出来るぞ」


『遠慮させて頂こう』


「でも、生憎とお前らは敗残兵だろ? 此処で過ごすなら、結局戦う事になるぞ。故郷に帰りたくてもお前らを負かした連中もいるし、力を蓄える場所もいる」


『それをこの辺境は許容するのか訊ねたくて君を呼んだ』


「本来、単なる争いに負けた都落ちの相手にお前らを負かすような敵と敵対してまで匿う理由は無い。が、お前らの戦った相手の情報や目的が分からないと此処がどうなるかも分からない」


『つまり、僕等の情報次第って事かい?』


「そういう事だ。で、誰に負けた? 何で負けた? どうして負けた? 敵は何なんだ?」


『『『『………いいだろう』』』』


室内の明かりが薄暗くなり、虚空にホログラムが映し出される。


「敵は【機械神群(マキナーズ)】……生きた機械の細胞で構築されたAI群が載る……“機械巨神”の群れだ」


「ッ―――」


思わず、アウトォオオオ(゜Д゜)と叫びそうになった。


二次創作MOD【イグゼリヲン/Dash】……それで追加されるアニメの敵役がまんま登場していた。


イグゼリヲン・シリーズはご長寿なゲームでアニメなのだが、その幾つかのシリーズで出て来る敵は機械細胞知性体【パラノイアン】と言う。


派生系や進化系の敵もいるが基本的設定を踏襲しており、別次元や別宇宙や別惑星で大本の敵から分派した相手と各地で少年少女が戦うというのがストーリーだ。


(子供の頃はよくイグゼリヲンのプラモが欲しくて親におねだりしたっけ)


二次創作であるMODにも当然敵は同じようなのがいる。


その敵モブ機体と姿がまんま一緒だった。


黒い20m程の人型で微妙にスタイリッシュな装甲に身を包む機体が群れを成しているところなんて完全にイグゼリヲンのアニメ序盤の街が破壊されるシーンである。


『中央ベルト地帯の田舎にいた僕等四種族はその頃はギスギスしつつも平和に暮らしてた』


『でも、いきなりの侵攻が開始されたの。【奈落(アビス)】から這い出て来たアレらによって』


そう言えば、何か中央地帯近くに真っ黒な領域があったが、アレは大穴だったのかと頬を掻く。


そう言えば、【次元海溝(アビス)】と呼ばれる異次元の穴からモブ敵がやって来て、大暴れするという設定だったなと思い出した。


その殆どは30m程だったが、世界地図にはバカでかい穴が少なからず100km近い直径で空いていたっけと頭を掻く。


(イグゼリヲンの敵出現穴だったのか。あの世界地図の黒い領域)


『元々、そういう存在がいる事は知られていた』


『時折、その穴から這い出すモノを狩って、中央では一攫千金だと言う者もいた』


『強くはあったが、それでも倒せるし、解体すれば、良い金属資源でもあった』


『だが、あの日……穴から這い出たのは100万近い軍勢だった』


当時の記録映像が次々に映し出される。


大量の軍勢に責められた都市がツヨツヨな種族の抵抗で何とか持ち堪えていたが、相手の数の前に都市が次々に陥落していく。


『中央領域は群雄割拠。そして、アビスの勢力はマキナーズと名乗り、各種族、各国家とも戦争前の旧い時代から外交そのものは行われていた。だが、その日より機械の軍勢との戦いが始まった』


『結果として我らは……中央ベルト地帯北西部の者達は連携が取れずに各個撃破されていった。何処かの邦と邦が共に手を取り合えば、勝てたかもしれない戦が幾つもあった』


「で? 負けた連中はどうなった?」


『暮らしているとも。“平和”にな』


『その代償を見るといい』


どうやらスパイが見た様子を記録したものらしい。


多数の種族が何処か疲れたような顔で出歩く街。


そこにはどうやら犯罪らしきものも無く。


ただ、黒いモブの兵隊が建物の横に屹立し、小さなドラム缶型のドローンがあちこちで警備を行っているようだ。


だが、不意に老人が映し出され、撃ち殺されたと思ったら、すぐに何処かへとドラム缶達が運んでいく。


『これは―――』


「ああ、“生産調整”されてるのか」


『ッ……知っているのか?』


『あいつらは基本的に生命体を絶滅させたいわけじゃない。適切な管理によって生命の繁栄を保つ為の存在なんだよ』


『な、何だって!? どういう事だ!? 何故、我らが知らないような情報を知っている!?』


「そう怒鳴るなって。あいつらの事は昔戦ってたから知ってる。つーか、負ける要素無いだろ普通なら……」


『負ける要素が無い?』


「本当はな。あいつらと対になる存在がいるんだ。そして、あいつらがいるところには必ずソレがやってくる。そして、勢力毎潰される」


『対に成る存在、だと?』


「大陸中央の過去の事は知らんが、あんな馬鹿デカイ穴が開いててまだ大陸があいつらの手に落ちてないって事はある程度の打撃があったんだろう」


『打撃? つまり、今までは勢力を回復させる為に大人しかったと言いたいのか?』


「恐らくな。この辺境の地下の何処かにあいつらを倒せる機材が埋まってるぞ。何処にあるかは知らないが、ソレを発掘出来て修復まで済ませられたら戦えるだろ」


いきなり重力っぽい力で拘束された。


『ッッッ』


「重要情報せっかく教えてやったのにアレな仕打ちじゃないか?(・∀・)」


「氏族長方。激を収め下さい」


バニアがそう一応言って収めてくれる。


『……済まなかった。正式に謝罪する。これでも連中には恨み骨髄なのでね』


「ちなみにぶっ殺された連中がどうなるかは知ってるからお知らせしなくて結構。どうせ、タンパク質として再生産工場行きだろ?」


『知ってるって言うのは本当みたいね』


言っては見るものの、映像は続いていた。


それは工場の内部の映像だ。


お見せ出来ないよ!!


くらいのSFホラー染みた“工場”は合理性を突き詰めたタンパク増殖プラントであり、同時に人間を規定数造り続ける事で“人類の宿痾”となるあらゆる“悪”を自分達というシステムに集約。


結果的に人類が争い合う事を抑止し、家畜というよりは部品として社会という複雑系を生かす為の駒として代わりが幾らでも造れる代物と化す。


そういう類のディストピアであった。


「老人は生産性が低い。肉体労働個体は歳を取ると生産性が低い。働けないヤツはいらない。赤子は遺伝的欠陥がある者は排除して再生産、ついでに発育課程で無能な者は老人と一緒にリサイクル工場行きで間違いないか?」


『ああ、そうだとも……』


壁が唸るような言葉と共にプルプルしていた。


どうやら、滅茶苦茶地獄だけは見て来ているらしい。


瞳の一つから涙がポタリ。


「で? オレに何をして欲しいと? オレは単なる傭兵で今はこの辺境に世話となってる身だ」


『手伝う理由は無いと?』


「遠くの戦争が近付いてきたら考える。そして、それが手に負えなくなるという情報が有れば、動くが……誰かの為に動かされるならば、代価を要求する」


『傭兵だからか?』


肩を竦める。


「底辺労働者のしがない性質というヤツだな(・ω・)」


『『『『勝てるか?』』』』


「チョロい(・∀・)」


『『『『その言葉に嘘偽りがあれば―――』』』』


「お前らは何か勘違いしてるようだが、アレはオレが知る限り、この宇宙で最底辺から数えた方が早い弱さだ」


『よ、弱い!?』


「ああ、残念ながら、相対的にお前らが弱いだけでこの大陸にもあいつらよりも強いのは五万といる。それこそ100万だろうが1000万だろうが1億だろうが、個体が幾ら束になっても勝てないのはそれなりにいる」


『……我々が弱い、と?』


「誰もお前らを救わなかったのは救いたいと思える種族じゃなかったんだろ」


『『『『……ッ』』』』


「心当たりはあるのね( ̄д ̄)。ま、これからの心掛けだ。そういうのはな」


思わずワナワナする臓物壁=サン達である。


「基本的に足りないのは技術だ。後、兵力の質不足、オレが知ってるお前らの種族の最上位個体が1人も見当たらないとか。衰退し過ぎだろ」


『長い平和の中でそういった者達は出なくなっていたのは認める』


「種族の力が落ちてるというよりヌルマユに漬かり過ぎて平和ボケしたな」


『それは、否定出来ないかもしれないわね』


「平和な時代は悪いわけじゃない。惰眠を貪る余裕があるのも良い事だ。平和は文化だからな」


『文化……』


「だから、争いが不得意だとしても、別に笑わないさ。なので、そんな平和ボケしたお前らに辺境で毎日地獄暮らしするオレから選択肢をやろう(´・ω・)」


『選択肢?』


ニコニコしておく。


「1.辺境で隠居して静かに暮らす。その時はお前らを護ってやる」


『却下よ。どうせ、復讐は諦めろとか言うでしょ?』


「勿論、アルマートの傘下に入れって事だからお前らの勝手には出来ないし、相手が辺境にちょっかい出したり、世界が危機になるまで放置なので妥当な回答だ」


『分かってて言う辺り、性質が悪いな。このおっさん』


「2.辺境で力と蓄えてもう一度リベンジする』


『そうするべきと思い此処まで来たわけだが……』


「ぶっちゃけ、お勧めしない。お前らがアレ相手だと弱過ぎる』


『う……ダメ出しされると痛い、か』


「3.オレを雇う。勝てるだけのロードマップとやらを作ってやる。あ、アルマートに資金や諸々のものは流れると思ってくれ。オレはあそこを拠点にしてるからな」


『それは冗談のつもりか?』


溜息を吐く。


「お前ら悲劇の主人公気取りだが、言う程絶望する要素無いんだぞ? まだ、ある程度の数が残ってるし、優秀な人材もそれなりにいる」


チラリとバニア=サンを見やる。


「で、それなのに敗残兵でありながら、態度がデカくて、自分達より劣ってるからって偉そうにしてて、誰かに助けて貰えるつもりなのか? ソレはもう“失敗”したんだぞ?」


『『『『………』』』』


「こういう時はな。大人にちゃんと頼れ。人を見下すな。真っ直ぐな気持ちで頭を下げてみろ。後、偉そうにするのは部下の前だけにしておけ」


『わ、わたしえらいもん……』


『しっ』


『失礼した』


「ああ、初めて出会った時からお前らがクソガキなのは分かってるから取り繕わなくていいぞ」


『な、何?!』


「お前らの個体の年齢別の大きさは知ってる。臓器の色合いから筋肉の太さまでな。どうせ、その壁の下に本体の脳とバラバラの残骸も埋め込んでるだろ?」


『『『『………』』』』


「侮られない為の用心は感心な事だが、オレには意味が無い」


『貴様は……ホントに一体……』


瞳は閉じる瞼もないが、明らかにプルプルしていた。


「オレにはお前らが種族としては強いのに個体として激弱過ぎるとしか分からない。後推し量れるのは無能連中の後釜って事くらいだ」


『父を』


『母を』


『御爺様を』


『悪く言うのは許さない』


さすがにちょっとは気迫的なものが相手は出たようだ。


「ちゃんと怒れるんじゃないか(´・ω・)」


『何?』


「誰かの為に怒れるなら、その感情は戦いの時に取っておけ。どんな絶望もどんな理不尽も突破していくのは、戦争で必要なのはソレだ」


『分かったような事を言うじゃないか』


「冷たく怒れ。合理性を忘れるな。手は拳として相手に打ち込むんじゃなくて冷静に引き金を引く為に使え。それが真っ当な弱者としての闘争心の使い方だ」


『弱者……』


『闘争心の……』


『使い方……』


『……全うと来たか』


肩を竦める。


聞えて来るのは上官だった少尉の言葉だった。


―――『感情で吠えるな。理性で殺せ……そうすれば、お前にはまだ芽がある』


死にそうな戦場で塹壕戦染みて市街地での殴り合いとなった時、消耗戦で磨り潰され続ける部隊にまともな熟練兵がいなくなった頃……最後に残った専任は死の恐怖に震える馬鹿な新兵にそう教えてくれた。


「じゃ、今一番しなきゃならない事をしてみろ。オレは別にお前らの部下じゃない。どうすれば、一族は助かるんだ?」


『『『『………』』』』


「さん、はい( ^ω^ )」


『……た……』


『す』


『……けて……』


『ください』


「声が小さい(^◇^)。やり直し」


『はぁ!?』


『こいつ、むかつく!?』


『う、でも、何かお父さんに怒られた時みたいな重圧が、で、でも』


『仕方ない。どの道、今のままでは我らは奴らに勝てる未来が無い』


「う~ん。おじさん、生意気なクソガキがクライアントでもいいけど、ちゃんと挨拶とか礼儀とか出来ない子供にはあんまり本気になれないなぁ(´・ω・`)」


ヘブンでは開放されているサーバーを通して別のプレイヤーが自分の世界にやってくる事があるのだが、礼儀と挨拶は古文書に記されるレベルで“先輩”呼びされる人々の間では必須だ。


そんなゲームのはずなのだが、ライト勢には何故かPK勢が多い。


結果、仕掛けて来るクソガキをよく罠に嵌めて無限リスポン狩りで自分のワールドで数時間程閉じ込め無力さを思い知らせてから追い出したりするのが日常だった。


友人達が時折訪ねて来る事もあったのでぶっちゃけただのクソガキの為に自分の快適ライフを邪魔される謂れも無い。


結果としてずっとヘブンにいる間は“礼儀とか知らんアイテム置いてけ勢”を1000人近く涙目敗走させた“大人げない大人”だったりしたかもしれない。


『『『『ッ~~~!!!!』』』』


「何か言いたい事は?(^◇^)」


『『『『助けて下さいッッッ!!!』』』』


「よろしい。助けてあげよう(´▽`)」


『『『『(む、かつくぅぅぅぅ?!!)』』』』


「おじさん優しいので外交的なケアも付けとく。あ、後、ぶっちゃけ、オレあんま今強くないから、戦略とか戦術とか、軍事力関連の研究開発からしないとダメだから、手伝ってくれ(|▽|)」


『何か思ってたのと違う!?』


『すぐに助けてくれる感じじゃない?!!』


その言葉に肩を竦めるしかない。


「世の中の力ってのは大抵すぐ手に入らない。後、手に入ってもロクな事にならない。地道にコツコツ積み上げ式が一番」


『じ、地道に……』


『コツコツ……』


「それもダメな時はダメなので効率ちょっと重視でやるのがいいぞ。子供は可能性のケダモノだからなヽ(^o^)丿」


キランッと良い笑みで親指を立ててみる。


『うわぁ……コイツ、何かイキイキし始めた!?』


『な、何か選択を間違えた気がする……』


「 (。+・`ω・´)キニスルナ(キリッ)」


『何かキリッとし始めたぁ!? バニアどうにかしてぇ!?』


「うぅぅぅ(´;ω;`)。氏族長様方が久しぶりにちゃんと他人と会話を……」


『え!? バニアが泣いてる!?』


「お前ら、ちゃんとこの“おばちゃん”に感謝しとけよ。お前らみたいな化け物みたいな体になっても見捨てずに助けてくれてたんだろ? あ、オレはこれから仕事があるのでそろそろ―――」


その時だった。


警報らしきウィーウィーという音が響き出した。


「何だ!? 騒々しい!? 今会談中だと言っていたはずだが!!」


すぐに顔を切り替えたバニアが胸元から取り出した無線に叫ぶ。


『緊急事態です!! バニア様!! 空から大量の隕石らしきものが辺境に降って来ております!!』


「何!?」


すぐにバニアが壁際のハンドル式らしいスイッチを入れる。


すると、周囲の壁に埋め込んであるらしいホログラム投射機が立ち上がる。


どうやら艦のメインモニターと同期しているらしく。


映像が映し出された。


『何だ? 流星雨?』


氏族長達がそう思うのも無理はない。


だが、隕石と思われるソレが逆噴射で減速しているのがすぐに分った。


「はぁぁぁぁぁぁぁ( ゜Д゜)?!! 何で!? どういう事だ!? いきなり、どうして宇賊の収穫船が降って来るの!?」


思わず叫ぶ。


何やら見知った揚陸挺が空から大量に降って来る様子が映像には映し出されていたのだった。

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