第19話「種とネズミとエロMOD先輩」
―――ガラーク出発から2日後。
「はぁはぁはぁ、く、奴らから逃れられた男はわらしだけなのか? ほ、他の男達は……(*´Д`)」
『お●んこ~~』
「ハッ、や、奴らが来る!!?(゜Д゜) 奴ら、まさか“増える”にゃんて……何か生殖器壊れたウチの女性陣多くにゃい?」
『お、お、お、お●んこぉおおおおおおおおおおおおおお♪』
「う、うぎにゃぁあああああああああああ!!!? 見つかったにゃぁああああああああ!!? あ、後の麻酔弾が12発……う、ウチのヤバイ女性陣を此処から出すわけにはいかないにゃぁ!!? ごしゅりんの性癖が疑われる事態を防ぐ為にもぉおおおお!!!」
『お、お、お?』
「漲るにゃパワァアアア!! 震える程にビィイイイイイイト!! 行くですにゃ!! 今、せんにゃ、ひっさつのぉおおおお!!?」
“その時!! 不思議な事が起こった!!”
「にゃ?」
“そう、“せんにゃ”は猛烈な毒に対する耐性を得て、今……完全なる“せんにゃん”へと変貌を遂げようとしていたのだ!!”
「にゃ、にゃんだってぇえええええええ!!?(≧◇≦) つまり、わらしが究極完全体グレートせんにゃにぃぃぃぃぃい!!!」
“蜂の毒を蜜より直接食べ、肌へ直に吸収した事により死滅した生殖細胞は裏返って薬となった力によって復活したのである!! これによってあのお●んこゾンビ達をも屈服させるセーリョクを身に付けたのだ!!”
「え゛? せ、戦闘力が上がるとか無いニャ?」
“頑張れ!! “せんにゃ”……いや、“せんにゃん”!! 君の戦いがごしゅりんの未来を照らすのだ!!”
『お●んこぉぉぉぉ……』
「ふ、ふぅぅぅぅおおおおおおお!!! ごしゅりん、わらしの骨をいつか拾ってくださいにゃぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
【あらあら、うふふ……これで20人くらい拠点の人数が増えちゃうわねぇ(・∀・)】
「ひ!? あ!? ちょ、そ、そこはダメにゃぁ!!? そ、そんな!? 女の子がこんなことしちゃいけにゃいのにゃぁあああああああああ!!!? あびゃああああああああああああああああ( ゜Д゜)/」
【さぁ、今日の番組は何かしら~~昨日はお料理番組で今日は~~♪】
*
―――大辺境【最果ての山脈】。
「ごしゅりん。やま~~」
「ああ、山だな」
「ごしゅりん。しろい~~」
「ああ、白いな」
「………たいくつにゃぁああああああああ!!?」
「ああ、退屈だが我慢しろ。というか、雪山付近に熱源を一瞬捉えたから、恐らくだが、ここら辺に古代遺跡が残ってるはず……」
雪山にドローンで登山となっていた。
カーゴの中は快適だ。
電力が続く限りは凍死する心配もないし、カーゴの上にはドラゴンの皮で造ったバックパックが背負われており、内部には大量のドラゴニンの干し肉。
ついでにドラゴンの角とか牙とかで組んだ箱でバックパック内の骨格を形成している為、頑丈さも折り紙付きであった。
食料にも温度にも余裕がある楽々登山である。
登山家が聞いたら、登山じゃなくて観光だろと言われそうなくらいに楽々だが、探しものが無いか細かく観測と移動を繰り返しているせいでさっそく地味な作業に大尉は飽きていた。
「お?」
だが、その甲斐は有ったらしく。
昨日、一度だけ数秒観測した雪山の熱源らしい場所を発見する事が出来ていた。
雪山の尾根の中腹。
標高4300m近辺。
切り立った崖の最中、反応のある地点にレーザーが照射されると雪崩を打って、壁面が崩落。
しかし、その下の岩肌には大きな穴が開いていた。
明王号がすっぽり入れる以上の大穴だ。
その中からは熱源反応。
ヒョイッと岩肌から跳躍した明王号が蜘蛛染みた身軽さで内部に着地。
そのまま細いセンサーケーブルを20m程伸ばしつつ、周辺地形を音響探査で壁際の振動を観測しながら内部構造を推測。
マッピングして内部の全天モニターに表示した。
「おお、ビンゴだな」
「びんにゃ?」
「此処はオレが探してた種族の古代遺跡で間違いない。もし、此処にまだ必要なアイテムが残ってれば、断崖のアルマートの食糧事情は一気に解決だな」
「すごいにゃ?」
「罠は無さそうだ。問題は古代遺跡の最奥付近はさすがに狭くて、この機体じゃ入れない事だな」
「どうするにゃ?」
「オレが行く。バックアップはよろしくな? 完全装備で崩落に備えて、もしもの時はオレを担いで逃げる役だ。いいな?」
「りょーかいにゃー♪」
洞窟の最奥。
小さな扉がある。
青銅製のように見えるが、実際には恐らくMOD系の金属だ。
手を当てて圧すと呆気なく開き、開いたが気付く。
内部に入れないが内部には小さな台座があった。
「行けるか?」
その上にチョコンと小さな緑銀の色合いを閉じ込めた銀河系のようにも見える玉が一つ。
ゆっくりとソレを手にして掴み上げると扉が瞬間的に閉まる。
ギリギリの反射で腕が食いちぎられる前に引き抜けた。
ほぼ、それと同時に洞窟内部が瞬時に滑り始める。
「ああ、そういう仕様か」
飛び乗るようにしてカーゴ内部に引き返し、一緒に戻った大尉と共に発進させた明王号が急加速で洞くつから数秒で脱出するようにすっぽ抜ける。
岩壁には戻らず。
そのまま落下するに任せていると上空から巨大な図体が山肌を抉るようにして抜け出していく。
山そのものが形を変えていた。
そう山の中腹だと思っていたモノが別のものだったという事だ。
「で、でかぁああああい!!? せつめいふようにゃぁあああああああ?!!」
思わず大尉が叫ぶくらいには大きい。
山の稜線が削れて、本当の稜線が露わとなっていく。
数百m近い山の一部が生物だった事に驚きを禁じ得ないらしい。
魔法MOD【MAGIC-UUU】。
その三つのUはウルトラ・ユーマ・ユーティリティーの略だったりする。
要約すると馬鹿みたいな未確認生物の空間だ。
魔法MODにとって魔法そのものよりも魔法を使う為の過程や方法を愉しんで欲しいという開発者の願いから、トリプルユーは魔法を使う際、幾つかの制約を持っていて簡単には使えない。
ヘブンに出現させるマップは全て魔法関連の生物達の住処であり、禁じられた大陸、失われた大陸の類には魔法の触媒となる生物が大量に存在する。
幻想大陸や魔法の星も同じだ。
これらの場所にいる生物を用いる事で超科学……つまり、ヘブンの魔法を理解して、正しく使いましょうというのが趣旨なのだ。
ユーマとは要は魔法を使う際に必要な生物資源、遺伝資源、媒質、もしくは魔法の根源となるエネルギーや概念を内包する存在であり、これにアクセスする技術が魔法なのである。
これは独自解釈された他のMODの体系とはまた違うのだが、恐らくはこれ以上に優秀な同系統MODが存在しない為、多くの人間が魔法の仕組みをこれに頼っていた。
【魔法】としてカテゴライズされるものの半分以上は恐らくUUU由来であろう。
本来のヘブンの魔法はもっと小規模で普通のRPGなどで使われる攻撃魔法や召喚魔法のようなものが殆どだ。
自分のちょっと炎を出す魔法もそれに該当していた。
「UU……ウルトラ・ユーマのお出ましだ」
「うるとら・ゆーまー?」
「太古に存在した自在する植物。花苗の種族【フェルマンナ】が遺した合成種苗獣【タイタニック・ガラクシオ】……大陸を荒れ果てた砂地にするか。花畑にするか。選ぶのは君だ!! ってヤツだな」
「たいたニャッく?」
「ちょっと、この大陸の土壌を一斉変質させるだけの極めて単純無比の苗だ。確か総合レベル4000辺りだったか?」
地表付近に堕ちる直前、サイドブーストが火を吹いて、慣性を殺しつつ、後方へと下がる。
その間にも全長が露わになり始めていた。
今まで氷雪に閉ざされていた2km近い巨大な図体はクジラのように見えるが、ヒレがあまりにも大き過ぎて、山脈のあちこちを崩しながら展開されていた。
薄緑色の体表が露わになり、空に咲いていく。
山脈の麓にゆっくりと尾びれを降ろした途端に始まる大地震は巨大な図体が地殻を割り砕きながらマントルへと根を張ろうとして起こる現象だ。
「オイ!! 花が咲いたら、一気に花弁の内部に飛び込んで華の中心部を攻撃しろ!! 仕上げはオレとコイツでやる!!」
『貨物を一時投棄。戦闘モード起動……』
ポイッと地表スレスレでバックパックが投棄されて身軽になった機影が一瞬停止する。
「お前らは咲いた花の中心部にとにかく攻撃しろ。オレが合図したら攻撃を中断、内部からオレが受粉したコイツ、玉を持って逃げ出す時に援護だ!!」
「りょーかいにゃー(>_<)!!」
『任務了解』
「よし。行くぞ。サイドブーストを駆使してまずはあの垂直の茎を昇り切る!! 目に見える全てが敵だ!! 当たれば死ぬぞ!! 当たらず破壊しろ!! お前らにはソレが出来る!!」
外に飛び出して明王号のカーゴの上に足を固定化する。
左右にあるハッチの開閉用の場所に足を引っかけるだけの事だ。
更にその後方に後ろを向いて座り、同じようにメンテ用の取っ手に足を掛けてキメラティック・アームドを持った大尉が機関部への電力充填を開始する。
「ゴーゴーゴー!!!」
その掛け声と共に緊張感と速度感のある早めのテンポのBGMが掛かり始める。
曲調はロックというよりはサイバーパンク風味を感じるようなデジタル音が主流で正しく高速で駆け抜けながらの戦闘にピッタリだろう。
明王号が急加速して、地表に降りた地震中にも肥大化していく蠢く根を駆け登っていく。
「四時、八時、十二時!!」
「にゃ!!」
瞬時にキラメティック・アームドが火を吹いた。
今は近接防御の為のアサルトライフル形態。
レーザー弾幕が猛烈な壁となって襲い掛かって来る根やこぶを焼き払っていく。
ほぼ垂直に上り始めた機影を追って多数の根のみならず。
自身を傷付けるのも厭わない“華”の花弁が多数表層に咲き誇り、“種”を高速徹甲弾染みて乱射し始めた。
『ランダム回避機動にご注意下さい』
「ぐえにゃぁ?!!」
超高速での駆け登る途中に慣性を無視するかのような回避機動。
追い掛けて来る種の弾幕を避けつつも近接攻撃も同時に相手せねばならないせいで昇る速度は落ちていた。
「ぎぼぢわどいにゃ~~」
「言ってる場合か?」
「なんでごしゅりんだけぇ~~けろり~してるにゃぁ~~うっぶ」
「慣れてるからな。空挺も昔はさせられたし、レンジャーだったのにさぁ。ホント、末期戦は辛いぜ」
「にゃ?」
言ってる合間にもサイドブーストと車輪を駆使して僅かでも車輪で昇れる場所ではブースターを休ませつつ、順調にガラクシオの表層を昇っていく。
「ッ―――息を30秒止めろ!! ガスと花粉が来る!! 吸い込まなければ、どうという事はない!!」
「うっく!!」
言ってる傍から花粉とガスが滞留する地帯に突入した。
その間にも次々に襲い掛かる種を回避し、周辺のウネウネしている根を焼き滅ぼしていく。
さすがに呼吸無しは辛いものがあるだろう。
大尉がガスを抜けた瞬間に大きく息を吸い込んだ隙に頭部への直撃弾。
―――ギリギリで左のガントレットを投げ付けて弾く。
「ご、ごしゅりんごめんにゃぁ!?」
「構わん。後、ちょっとで花弁部分だ。ヒレの内部に入ったらサイドブーストで一気に距離を詰める。そこから根は無視していい。どうせ、当たったら即死だ」
「そくしはいやにゃぁ~~~?!!」
「中央部への攻撃で花粉が落ち始めたらオレが突入する!! その間は飛び回って待機状態を維持!! 行けるな?!」
『了解』
ようやく花弁部分……ヒレの部分の隙間内部へと入り込む。
すると、香しい花の香りがした。
まるで楽園のように咲き乱れる花々。
だが、その根元では惑星のマントルを吸い上げる事で“最強の種”を生む準備が出来つつある。
ガラクシオの目的は惑星を種化して、自身の子供達を宇宙中にばらまく事。
そうなれば、惑星はケイ素以外のあらゆる質量を同化され、生物は種の養分となるだろう。
過去、この難敵を相手にして負けた多くのプレイヤー達が自分のいた世界を破壊されてバッドエンドに陥った。
だが、攻略法は至って単純であり、事実上その方法がプレイヤー間で開発されてからは実質、食料資源を増やす際のイベントくらいにしか思われなくなっている。
勿論、それなりの準備やらそれなりのレベルやらそれなりの知識や経験が要求されるが、この程度のものは中盤以降、幾らでも出て来るので怯むプレイヤーなんて存在しない。
初心者がちょっと緊張しながら、メモを片手に頑張る程度の相手だ。
「み、みえたにゃ!! ちゅうしんにゃ!! でっかいとうにゃ? それにしてもいいにおい~~(≧◇≦)」
花畑の上空をサイドブーストでカッ飛んで、中心領域付近で数秒の対空の合間にも猛烈なレーザー火力が塔のような雌しべの中心領域へと叩き込まれ、大量の花粉が吹き上がる。
しかし、まだ足りない。
「It's party time……」
潜めくように呟いて塔直下に跳んだ。
花粉の量を出させる為に残っていたガントレットを突っ込みながら撃ち込んだ。
(ファイアリングピン開放)
ガントレット内部に弾丸を起爆させる為の部品が拳を特定の方向に捻る動作で僅かにスライドして回転しながらズレる事で勢いのままに押し込まれる。
それが起爆するのは弾丸ではない。
ソレを“放出”させる部位はパカパカと外向きに開く仕様だ。
その内部に詰まっているのは爆薬。
そう、危ない粉を用いた【ブラックホーク・ダウン】だ。
蜂サンの蜜から精製されるらしい砂糖を練り込んだソレが起爆した爆薬の威力を拳全面に撃ち出す武装である。
古いプラスチック爆薬の名前を取って。
【C4ガントレット】
そう呼んでいる。
ヘブンの最初期によく作成していた代物。
勿論、ガントレットの機構の頑丈さと爆薬の衝撃を受けても問題ない肉体でしか運用出来ない。
元々が嘗て使っていた武装の再現であった。
猛烈な衝撃と炎が塔の如き雌しべを圧し折り、周囲を揺さぶり、花粉を爆風に載せて周辺に充満させる。
そもそも爆発時にそんな炎なんて出ないのだが、ヘブン内の爆薬は基本的にエフェクトが派手であり、正しく爆薬は一般人が考える爆薬そのものなのである……ここがゲーム内かは怪しいが。
その最中に飛び込んで最も大切な【星華の花粉】を玉に受粉させた。
「ッ、撤収!!」
急いでブースターが切れる前に大尉にロープを降ろして貰い、それを引っ掴んで回収される。
火力を撃ち込みながら花弁の外に向かう途中でブーストが切れて、カーゴに登ったのとほぼ同時に花弁内部に落着。
しかし、そのままタイヤ痕を残しながら花畑を疾走。
カラフルな花々はとてもきれいで良い匂いだろう。
しかし、そのほぼ全てが動物の神経系を高揚させる麻薬的な機序を持つ分子塊であり、吸い過ぎると昏倒する。
「これでもう大丈夫だ!! 枯れる前に離脱する!! 花弁の端から飛んだらブースターは着地直前だけ使え!! ガラクシオが崩れるぞ!!」
「にゃ、にゃんでいきなりかれるにゃ? こんなおっきーのに」
「生命としての使命を果たしたからだ。これは種なんだ。この馬鹿デカイ苗のな?」
「にゃ、これが?」
緑色の銀河系染みた色合いを封じ込めた玉は少し煌々と輝き出していた。
「ガラクシオが古代から溜め込んで来た養分は大陸全土に張り巡らされた太古に張っていた根の完全腐食と共に大地へ還される」
「あ、おれたところからへんしょくしてるにゃ~」
「ここら辺の気候も恐らく人が住めるようになるはずだ。二酸化炭素が増えて腐敗した熱量と地下から湧き出るマグマの熱でな」
『花弁端に到達。サイドブースト一時点火』
「ぐえにゃああああああ!!?」
顔の形が変わるような超高速離脱。
大量の華と種が舞う最中を明王号が空へ突っ切っていく。
それとほぼ同時か。
後方から花が枯れていく音がした。
急速に劣化していくのは受粉を確認したからだ。
そのまま灰色になって崩れ、腐敗していく中央部からの崩壊が猛烈な大きさとなって大地に根を張っていた幹までも達した時。
今張ったばかりの根とは違う。
太古の根の一部が呼応するように光り輝いた。
それは星を覆う大地の血脈。
龍脈や霊脈と呼ばれるソレの大本だ。
ガラクシオが持つのは栄養分だけではない。
それを嘗て収集する為に広げた根は巨大なエネルギーを溜め込む場所としても活用され、その根を腐らせて大地に戻す事で再び活性化した大地の上には新たな華が芽吹く。
そう、魔法使いが増える。
そういう設定で仕様なのだ。
実際に何故魔法使いが辺境で減っていたのかは分からない。
別MODのせいかもしれないし、何かしらの複合要因かもしれないが、それを覆せるのは恐らく技術的な進展以外だと環境を変える事だけだろう。
「まだ見えないな」
地球は丸い。
帰るべき場所がある方角にはまだ荒野が広がっていたが、背後のガラクシオから伸びた地表の奥底に眠る光の根が崩れると同時に開放された魔力、MPはやがて大地を潤し、全てが緑に染まっていくはずだ。
ガラクシオの倒れた地は多くの生命を育む苗床として大陸全土の土壌を賦活するだろう。
それまでの数か月間、やるべき事をやっておけば、食料には困らなくなるに違いない。
「帰るぞ!! ドラゴン肉の回収よろしく」
「うぇ~~つかれたにゃ~~」
だらぁ~~っと落下中にも関わらず。
大尉がヘニャッとなった。
「それで~~そのたまなんにつかうにゃ?」
「ああ、種だからな。必要になったら育ててもいい。ぶっちゃけ、そんな事になったら、この世界が終わってるから、恐らく死蔵するけど」
「にゃ? たね……あ!! なら、たべるにゃ♪」
ひったくられた種が丸齧りされた。
「おま?!」
「おぉぉ~~あまくて~~うーまーいーにゃー」
丸齧りされた種はどうやら美味しいらしい。
ゴッとまた光を穴から垂れ流すビックリドッキリ人間になった大尉である。
何かの実なのだと直感的に分ったようだ。
「あ、あのなぁ? それ一個で大国が買える値段するんだが」
「ただのおいしいかじつにゃ~~♪ ごしゅりんもたべるにゃ♪」
「もご?! ゴクッ、おま?! 突っ込むんじゃありません!? 喉が詰まるかと思っただろ!? うーまーいーぞー」
こちらが光を拭き出すのを見て、おかしそうに大尉が腹を抱えて笑う。
「にゃにゃにゃ♪」
思わず、まぁた何かチートが付いたかと目を細めると情報が流れ込んで来た。
ガラクシオの紺碧(永続)。
ガラクシオの魔力を扱えるようになる。
「あん? ガラクシオが滅んでるのに魔力が使える? ステータス追加系か? MPはぶっほ!?」
「にゃ?」
「(ああ、そういう事ね。ガラクシオの撃破で開放された“魔力”もガラクシオのものなのは変わらないのか……それもオレ自身の能力じゃなくて、外部MP方式でオレ自身の能力が強化されてるわけじゃないと。あくまでMP方式のシステム切り替え的なもので強化扱いされないのか)」
ドラゴン・●●●の能力は恐らく、確率操作HERO‐MOD【Dynamite Fever】の制約のせいで恰好付けてコードを使わないと適応状態にならないだろうが、こちらは外部魔力タンクみたいな扱いになるのだろう。
「ま、まぁ、お前別に魔法使わないしな」
「にゃぁ?」
小首を傾げる大尉である。
大尉がフルスペックなプレイヤーに近付いているようだが、問題は無いだろうし、それよりも早めに帰って状況を報告するべきだろう。
『サイドブースト冷却完了』
ボッと上空から地表に激突するまで残り数百mというところでサイドブーストが点火してゆっくり降りる。
「でも、全能力がレベル1状態で魔法……あ……滅茶苦茶神強化か!? そ、そうだよ!? おぉぉぉお!! よく考えたら魔力が減らないって事はネズミーを燃やし放題って事じゃねぇか!! カツる!!? これは過去最大にカツる!!」
「にゃ?」
こうして歓び勇んでドラゴン肉を回収し、埋めたもう半分もカーゴに載せ、ちょっと遅めに2日後にはアルマートへ戻る事が出来たのだった。
【ちゅ(≧◇≦)】
「うわぁあああああああああああああ( ゜Д゜) ディノ化してて燃えねぇぇええええええええええええええええええええええええええええええ―――」
動く即死トラップ・ネズミーは動く即死トラップ・ディノ・ネズミーに進化していたのだった。




