落ちこぼれ吸血鬼さんの恋愛事情
このお話は「落ちこぼれ吸血鬼」といわれた主人公が魔界を追い出され人間界でちょっと変わった青年と
恋をするどこにでもあるお話です。
人間の血を吸わない吸血鬼とちょっと変わった青年の掛け合いを是非見て頂きたいです。
「今日お前を魔界から追放する! 人間の生き血を飲むまでここに戻ってくることは許さん!」
俺、アウィスは160年間吸血鬼として生きてきたにもかかわらず一滴も血を飲まずに生きてきた。
いつかこうなるのではないかと予想してはいたが、「人間の生き血」というのは予想外だ。
普通の吸血鬼でも人間の生き血を飲むものは少ない生きている人間は暴れるし払われる可能性もあるしで危険だからだ。正直言い返したいそんなの無茶だ!と……でも魔界の王にそんなことを言えるはずもないのだが一応魔王様なので断れるわけもなく
「承知いたしました」
そう言い残し俺は魔界を後にした。
まぁ吸血鬼の中でも貴族という高い身分なので160年血を飲まずに魔界にいられたのだろう。割と耐えたほうか……
人間界にきたはいいもののやはり人間界というものはギラギラしすぎている。電灯も店も建物も看板も、チカチカ点滅したり、眩しいものは魔界に生きている俺らにとって不快でしかないのだ。それに人間界は魔界と比べて時の流れが遅い。
人間界のお金もないのでホテルもない飯も買えない。いわゆる一文無しというやつだこれからどうしようかと路頭に迷っていると後ろから声をかけられた。
「ねぇ、こんなところで何してるの?」
振り返ると身長が高く少し長めの栗色の髪を一つに束ね、少し長めの前髪から除く太陽のような瞳が非常に美しい美女がいた。大人びていて穏やかな雰囲気がある。胸は結構貧相だけど、
つい見惚れていると少し困ったような顔をして数秒考えこんだ後口を開いた。
「家、来る?」
……は?
こいつ,危機感なさすぎるだろ。いくら胸がないからって言っても無防備すぎる。俺は男だぞ
でも、よく考えると人間の生き血を飲むいいチャンスじゃないか?申し訳ないけど寝てるところ血をちょっとだけ頂戴すれば……
「いいなら行きたい」
そう俺が答えると家まで外国人なのかとか、中二病なのかとかちょっと変わった質問攻めにあった。
他にも分かったことがある彼女の名前は楓といい高校二年生の17歳らしい。
俺の名前を聞かれたが外国人ではないと答えてしまったのでアウィスとは名乗れず適当にノアと名乗っておいた。昔人間界で使った覚えがある名前だ。
それから少し話しながら歩いていたら家についた。楓は俺にホットミルクを入れて「ちょっとあったまってくる」とかいってどっかいった。
「……生き血。別に普通の食事で生きていけるなら血なんか飲まなくたっていいじゃん。」
何より相手がさぁ、確かにあいつは美人だよ?でも胸は貧乳過ぎるわ身長は俺よりでかいわでなんか
よし血を飲もうってならねーんだよ。顔だけならいけるのに
「いっそキスで唇ミスって噛んだ感を出して、血をもらうか? ちょっとでも吸えば帰れるんだし……」
そんな悪巧みをしているとガチャと音を立てて扉があいた。
どうやらあったまってくるというのは風呂のことだったらしい。結んであった髪がおろされかすかに濡れている ん? なんか体格良いなこいつ。胸もまさに断崖絶壁。よくみるともっこり……もっこり?
まさか__
「なぁ、お前性別ってどっち?」
俺が聞くと、クスクス笑いながらやっと気づいたかと言わんばかりの顔をして近づいてきた。うぜぇ
「僕男の子だよ。びっくりした?」
「……」
「あれ怒っちゃったか」
こいつ……!俺が勘違いしてるってわかって黙ってやがったな。住む場所を魔界に変えた方がいいんじゃないか?
「ノア。とりあえずお風呂入ろ?それとも一人は寂しいから僕に入れてほし……」
「お前はバカか!? ガキじゃないんだぞ!!」
ほんっとになんなんだあいつ……今まであった人間と違って何考えてんのかわかんねーし。
その後少々(結構)イラつきつつ風呂に入り無事のぼせた。
のぼせたせいでいつの間にか眠ってしまっていたようで、気が付くと0:00分を回っていた。
俺をベッドに寝かせたせいで楓の寝るところがなく椅子で眠ってしまっている。
こういうところ優しいの何なんだよ。床にでもころがせばいいものを、
あ、ていうか今がチャンスじゃん。俺のこと馬鹿にした腹いせに血を多めに飲んでやろう。
今ならこいつの血を飲み干せる気がする……
「てことでちょっと失礼」
そういって首元に噛みつこうとした瞬間頬を思いっきり手で挟まれた。
「ぶっ」
「わぁ、牙。ほんとに吸血鬼なんだ?」
そういった楓は驚いたり怖がる様子もなく俺の顔をぐにゅぐにゅと触ってきた。
何でバレてる。ていうか起きてたのかこいつ。人間はやっぱり予測できない行動ばかりする。それともこいつだけなのか?
「吸血鬼さんは寝込みを襲うなんて変態だなぁ」
「なっ、襲ってなんか……」
「人の首にかみつこうとしといて?」
そういった楓は俺の首にかみついた。吸血鬼が人間に血を吸われてるなんて前代未聞だ。
襲ったってのも事実だけどさ。
「てかいった……」
「うん、鉄の味。吸血鬼も同じなんだ」
「当たり前だろ俺は人間と同じ食べ物しか食べてないし」
「へぇ、じゃあ僕が初めて血を飲もうと思った人間ってわけだ」
そういって少し楓はニヤつく。
頭イカれてるのかこいつは、でもなんか血を吸われるのも嫌じゃなかったな。とか思いながら首元の歯形をなぞってみる。思ったよりくっきり残ってる。
「なにそれエロいもっかい血吸っていい?」
「は!?やだよていうかお前が吸わせろ」
「やだよ。帰っちゃうんでしょ?まだ居たいから吸わせない」
「何で知って……」
「風呂上がりに聞いちゃった」
「……」
変態はお前の方じゃんおまけに変人で地獄耳だし。
でもこの変態がほんの少しでもかっこいいとか俺も一緒にいたいって思うのが何とも言えない。
こいつの変なところが移ったか?
吸血鬼とちょっと変わった人間の恋はまだ始まったばかりである__
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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