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【R15】王女様の耳は猫の耳〜甘く囁かれて王女は今日も、にゃんと鳴く〜  作者:


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番外編 猫耳カナンと甘い朝

番外編は二人の結婚後のイチャイチャをお送りします。

 柔らかな朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。

 セリーナは、まどろみの中で目を開ける。心地よい温もりがすぐそばにあり、安心感に包まれる。隣にはーー夫であるカナン。

 セリーナが大好きな穏やかな寝顔。けれど、今朝はそこに違和感があった。


(……なんだろう、これ?)


 視線をカナンに向けた瞬間、ふわふわとしたものが目に入る。


「……え?」


 カナンの頭から、猫耳が生えていた。


(……えっ……えっ!?!?)


 目の錯覚かと思い、何度も瞬きをするが、どう見てもそこにはふわふわの猫耳がぴょこんと存在している。カナンの髪色と同じ、深海色の三角の耳。


(そんな……!? まさか、こんなことが……)


 まさかとは思いながら、さらに視線を下げる。恐る恐る布団をめくるとーー


 ーーもふっ。


(尻尾まで生えてるぅぅ!?)


 驚きのあまり、思わず声を上げそうになるが、隣のカナンはまだ穏やかに寝息を立てている。


(な、なんでこんなことに!? 私の影響? それともまたあの魔女の呪い!?)


 頭を抱えながら混乱するが、次第に別の感情が芽生えてきた。


(……これって……もしかして、仕返しのチャンスでは!?)


 セリーナは、思わずニヤリと笑う。


(いつも私ばっかりイタズラされてるんだから……たまには私がイタズラしても、いいわよね)


 セリーナは、そっとカナンの猫耳に触れる。指先に伝わるのは、ふわふわでありながら、適度な弾力のある感触。


(な、なにこれ……気持ちいい……!)


 つい夢中になって撫でていると、カナンの猫耳がピクリと動く。


(あっ……今、反応した!?)


 さらに好奇心が湧いてきたセリーナは、そっと猫耳の先をくすぐるように撫でてみる。


「……っ、ん……」


 カナンが、小さく息を漏らした。


(カナン……気持ちよさそう……!)


 次第に楽しくなってきたセリーナは、次のターゲットを尻尾に定める。もふもふとした尻尾にそっと指を這わせるとーー


「……っ!!」


 カナンの全身がびくっと震えた。


(すごい……! こんなに敏感だなんて!)


 普段カナンにされていることを、そのまましているだけなのに、思いのほか彼の反応が良すぎる。


(これは……ちょっと楽しいかも)


 思わず意地悪な気分になったセリーナは、さらに大胆に猫耳を口に含み、そっと甘噛みする。


「……っ、セリーナ……?」


(……!!)


 不意に低く掠れた声が響いた瞬間、セリーナの動きが凍りついた。


(ま、まずい……!)


 逃げようとしたが、時すでに遅し。

 ガシッーーと、強い腕が彼女の腰を捕まえた。ゆっくりと目を開けたカナンの瞳は熱を帯び、危険な光を宿していた。


「……君、何してるの?」

「えっ、ちょっ、まっ——!!!」

「セリーナ……俺をこんなふうにした責任、とってもらうからね?」


 そう囁かれた瞬間、全身が熱くなった。



   ◆



 ーーと、いう夢を見た。


「にゃあああああっ!?」


 セリーナは飛び起きた。


(な、なにあの夢……っ!!??)


 全身が熱い。頭もぼうっとしていて、心臓が激しく跳ねている。


 そしてーー


 ぴょこんっ。


 セリーナの猫耳と尻尾が、完全に出てしまっていた。しかも、猫耳はピンと立ち、尻尾はゆらゆらと揺れている。

 完全に昂った感情が丸わかりの状態だった。 


(うそ、ちょっと待って、これじゃまるでーー!!!)


「……ん?」


 隣で寝ていたカナンが、眠たそうな声を上げた。


「セリーナ……どうした……? 」

「な、なんでもない……!!!」


 慌てて誤魔化そうとしたその時ーーカナンの目がセリーナの耳と尻尾をロックオンする。


「……あれ?」

「……な、なによ……?」


 すると、カナンの口元がふっと綻ぶ。


「ひょっとして……えっちな夢でも見てた?」

「ちっ、違うもん!!!」


 セリーナは顔を真っ赤にして布団を引っかぶる。


「ふぅん?」


 カナンは余裕の笑みを浮かべながら、布団の中に手を滑り込ませる。


「……セリーナの耳も尻尾も、すごく元気だけど?」

「ちょっ、それは……っ!!!」


 言い訳しようとしたが、カナンの優しい指が耳を撫でる。


「そんな誘うような顔をしておいて、お預けなんて、セリーナは酷いな……」

「……っ!!?」

「俺をその気にさせた責任、とってね」


(えっ!? まさか……!?)


 夢と同じ展開に、セリーナは慌てる。


「ちょ、カナン、まっーー」


 ーーそのまま、白み始めた窓の外を目の端に捉えながら、セリーナとカナンは朝から甘い時間を過ごすのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日もう一話投稿します。


次話『イチャイチャ見学チケット、使用申請です!』

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