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【R15】王女様の耳は猫の耳〜甘く囁かれて王女は今日も、にゃんと鳴く〜  作者:


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魔女の観察、カナンの実践

「すごい……すごいわぁ……!!」


 魔女はセリーナの耳を食い入るように見つめ、感動したように両手を握りしめた。


「形、完璧! この曲線美、ふわふわ感……! しかもこのサイズ、もふりがいがあるじゃない……!こんな理想的な猫耳、二次元かフィギュアの世界にしか存在しないと思ってたのに、実在してたなんて……!!!」


 何やら早口でまくし立てる魔女に、セリーナは目を白黒させた。


「ちょ、ちょっと待って……何を言ってるのかわからない!興奮しすぎ!!」

「いやいや、これは興奮せざるを得ないわよ! 尊い! 奇跡! 圧倒的感謝!!」


 魔女は興奮しすぎて、涙目になっている。

 そんな彼女を横目に、カナンは冷静に頷いた。


「うん、わかる」

「ちょっとカナンまで!?」

「セリーナの耳は可愛いからな。俺も好きだ」

「~~っ!!?」


 真正面から肯定され、セリーナの顔が一気に熱くなる。


「ばっ……そんなの、簡単に言わないでよ……!」


 カナンはいつも通りの穏やかな表情を浮かべているが、少しも照れた様子がないのがまた腹立たしい。


(私ばっかり意識してるみたいじゃない……!)


 そんなことを思っていると、魔女がニヤリと笑った。


「じゃあ、ちょっと触ってみてもいい?」

「え? ちょ、ちょっと……!」

「おじゃましまーす♪」


 魔女の指が、セリーナの耳にそっと触れた。

 その瞬間――


「にゃっ……!?」


 ピクンッと耳が震え、思わず変な声が漏れる。

 セリーナは一瞬にして顔を真っ赤にした。


「きゃー! かわいい!」

「ちょ、やめ……!」

「いやいや、これはすごいわね。どれ、もうちょっと……」


 魔女は調子に乗り、セリーナの耳をさわさわと弄び始めた。


「ふにゃ……!? ちょ、待っ……やぁっ……!」


 くすぐるように優しく撫でられると、耳がぴくぴく動いてしまう。

 そのたびに、変な声が漏れそうになって――


「……魔女殿、何をしているのかな?」


 静かに響いたカナンの声に、空気が一変した。

 セリーナも魔女もビクッと肩を震わせる。


「えへっ♡ 思い出すために、観察させて?」

「それはわかっている」


 カナンは微笑んだまま、しかし鋭い眼差しを向けた。


「だが、そんな触り方ではセリーナの可愛さを引き出すには生ぬるい」

「……!?」

「まず、セリーナの耳は根元が弱い」


 カナンはそう言うと、セリーナの耳の付け根を指先でそっとなぞった。

 指が触れた瞬間、セリーナの全身がピクリと震える。


「ふにゃ……っ」


 柔らかく、温かな指先が、ゆっくりと耳の根元を撫でる。最初は軽く、羽のように優しい動き。だが、次第に指がじんわりと押し当てられ、くるくると小さな円を描くように動き始めた。


「ん……や、やめ……」


 恥ずかしさで声がかすれる。必死に平静を保とうとするが、身体は逆らえない。耳の奥がじんわりと熱を持ち、心臓が早鐘を打つ。


「なるほどねぇ……耳の付け根、ふむふむ」


 魔女は感心したように頷く。


「撫でるのも好きだが、ここはこうやって摘むように揉むと……」


 カナンの指が、耳の付け根を優しくつまむ。指の腹で軽く圧をかけながら、くにくにと揉みほぐすような動き。


「んにゃっ……ん……っ!」


 小さく甘い声が漏れる。耳の付け根は、ただ撫でられるだけでも敏感なのに、優しくつままれて揉まれると、頭の芯が痺れるような感覚に包まれた。


「おおおおっ!!!」


 魔女の歓声が上がる。


「さらに、耳の先はもっと敏感だ」


 カナンの唇がそっと近づき、耳の先を軽く噛む。


「ちょっ、カナ……っ!? んぁっ……!」


 ビクンッと体が跳ねる。歯がそっと当たるだけで、全身が甘い痺れに襲われる。さらに、カナンはそのまま耳を甘噛みしながら、根元をくすぐるように撫でる。


「ん……っ、はぁっ……!」


 息が上がる。熱い吐息が漏れ、力が抜けそうになる。


「そして……ここが大事なんだが」


 カナンの手が、ふわりと尻尾へと移動した。 


「ちょ、尻尾は……!!」


 必死に抗議しようとするが、もう遅い。カナンの指が、ふわふわの毛並みをゆっくりと梳く。


「セリーナの尻尾は、根元が特に敏感だ。こうやって……」


 指先が、尻尾の根元をそっと撫でる。ふわり、ふわりと毛並みを整えるように優しく触れ、その後トントンと軽く叩かれると、ゾクゾクと背筋に甘い電流が走る。


「んっ……ふ、にゃ……」


 尻尾は、想像以上に繊細な感覚を持っていた。毛先まで、カナンの指の動きをしっかりと感じ取ってしまう。


「そして、もう少し強めに……こう」


 今度は、指先で尻尾の根元をつまみ、ゆっくりと揉むようにマッサージを始める。


「はにゃあぁぁんっ!!」


 思わず悲鳴のような甘い声が漏れた。体が跳ね、カナンの胸にしがみつくように寄りかかる。


「すごい……っ! これは貴重な研究資料……!」


 魔女が大興奮しているが、セリーナにはもうそれを気にする余裕がなかった。


「ちょ……ば、バカぁ……! もうやめ……っ!!」


 涙目になりながら叫ぶと、カナンが少しだけ気まずそうに手を離した。


「……ちょっとやりすぎたか」

「当たり前でしょぉぉぉ!!!」


 思い切りカナンの胸を叩くが、全くダメージを与えられた気がしない。


「し、師匠と呼ばせてください!!!」


 魔女が目を輝かせて叫ぶ。


「もうっ……!!!」


 セリーナは恥ずかしさで耳まで真っ赤に染めながら、怒りと羞恥の入り混じった視線でカナンと魔女を睨みつけた。

 カナンは苦笑しながら、魔女に向き直った。


「さて、そろそろ呪いを解いてくれるかな」

「……しょうがないわね、いいもの見せてもらったし、呪いの構造もわかったし、解いてあげるわ」


 魔女は満足げに頷いた。


(いいものって何よ……!)


 セリーナは心の中で叫びながら、早くこの呪いが解けることを祈るのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日もう一話投稿します。


次話『呪い、解除』

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