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ループ四回目。いい加減「愛してる」と言われながら王子に殺される運命から逃げるため、ウキウキで婚約破棄したつもり、だった。  作者: 丸山華永


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初代聖女様の血筋

一度ティアルトと話し合わなければいけない。

そう思うもなかなか機会がやってこない。

と言うのも夕食時に姿を見せていたティアルトが、姿を見せなくなってしまったのだ。


その代わりに一度でも一線を越えてタガが外れたのだろうか。彼はローザンナの寝入りばなにやってくるようになり、問答無用でローザンナを毎晩抱くようになった。



「ティ、ル……」

「まだ喋る余裕があるんだな?」

「…………っん………ぁ」


言いたいことは全て唇で塞がれてしまう。

抵抗しようにも快楽に落とされ、身体を貪り尽くされる。そしてそれが終わると、ティアルトは朝を待たずに部屋を出ていってしまう。

そんな日が、一週間も続いた。



そして──あることに気付いてしまった。


「しまった……」


注意していたが、部屋に閉じ込められて日付の感覚が完全に狂ってしまった。

もう"あの日"が過ぎてしまったのだ。

過去の人生のどれもで──この時に身籠ったであろうという日が過ぎていた。つまりもうローザンナは、子供を身籠っている計算になる。



(ヤバい……)


焦るローザンナに、更に追い討ちがかけられる。


「ティアルト殿下より、部屋のご移動の指示を頂いております」

(やっぱりか……)


侍女が現れテキパキと、ローザンナの荷物の片付けに取り掛かってしまった。

ここからいくつかある脱出ルートは完全に割れていると思ったのだろう。おそらくもっと、厳重な場所に監禁されるはずだ。



「では目立たないように地味目な服に着替えさせてちょうだい」

「はい?」

「あまり移動中、注目を浴びたくないの。お願いね」


そう言うとなるほどと思ったのか、すぐにローザンナの身支度が始まった。

そしてなるべく地味で、侍女にも溶け込むような服への着替えに成功した。


そして部屋を出されたローザンナが連れて行かれたのは──あの王宮の外れにある棟だった。


「最近改装が終わりまして、過ごしやすくなっております」

(いやいや嘘嘘!)


確かローザンナの記憶では、天窓以外に何もない場所だった気がする。入り口を塞がられると、他に出口は無かったハズだ。


もう中に入ってしまえば、脱出は困難だ。

だったら今しかチャンスは無い。



(ごめん!)


ローザンナは一気に道を駆け抜ける。ピンポイントで人気(ひとけ)が無い王宮内のルートを走り、王宮の秘密の裏口を目指す。

ちなみにこのルートは、前回の三回目の人生の時にここに連れて来られたルートだ。"罪人"だったローザンナは人目につかないようにする必要があったので、随分と遠回りになるが人気(ひとけ)が無く目につかない場所のみを通って連れて来られたのだった。


「ローザンナ様!」


木陰に隠れると、侍女が焦った血相で駆けていくのが見える。

心の中で『ごめんなさい』と謝って、ローザンナは王宮から無事外へと逃げ出したのだった。




そしてとりあえず、途中道馬車を拾ってあの場所に向かうことにした。

ローザンナが居るはずだった場所で──二度も最期を迎えた、カトミアル教会だ。



(聖女様、ねぇ……)


この教会では女神が奉られていて、中央の祭壇には、大きな女神の像が鎮座されてある。

ガラスでできた長い髪は眩いほど青色に輝き──それは初代聖女様を倣ったとされている。



元々隣国の王妃だったと言う、初代の聖女様。

生まれつき青い髪色に、両腕に聖痕と言われる聖なる紋章と同じ痣を持って生まれ、聖なる力により国を繁栄に導いたとされている。


元々このカトミアル教会は、初代聖女様の余生を過ごす為に作られたものらしい。

国王である夫の死後、若くして産んだ息子が王へ即位する際、王太后の称号を拒み静かな暮らしを求め、この地にやって来たのだと言う。


そして晩年、密かに一人の子を産んだ。

その後彼女は亡くなり、子供ができなかった当時の王弟夫婦の養子として迎えられ、レーヴライン公爵家が創設されたとされている。



そして聖女の子孫であるレーヴライン公爵家の血筋には、ごく稀にその聖女の力を持つ者が産まれるとされている。

初代聖女様と同じく、産まれた時から青い髪に両腕には聖痕を持ち、聖なる予言の力を持って産まれてくるのだと。その存在は国を繁栄に導くと期待されている。


だから王家は何が何でも、レーヴライン公爵家を取り潰せない。聖女の血筋を絶やすわけには行かないからだ。

王家もその聖女の力にあやかる為に、定期的にレーヴライン公爵家から王妃を娶る。そして数世代空けてその逆が行われ……ということが繰り返し行われている。


逆を言うとレーヴライン公爵家は、聖女の血を絶やさない為だけに存在している家門だ。

聖女誕生の確率を上げるため、多くの子孫を残すことだけが求められている。両親が貴族社会に疲弊しているのはこの為で、父は普通の価値観とは逆に、数多くの愛人を持ち、数多くの子供を作ることが求められている。


そして母──と言うかレーヴライン公爵家に嫁ぐ者は、多くの子供を産み、聖女の血を絶やさない義務と、聖女誕生への期待を背負い続けなければいけない。

だから二人とも……いや二人だけでなく家族全員が、この貴族社会に疲弊しているのだ。

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