妖精の森
ダフナーの依頼を受けることになったクラウスは、ステラに事情を話して転移門の使用を中止してもらった。
ダフナーの依頼を受けるということを話すと、ステラは何故か嬉しそうな笑顔を浮かべ、クラウスに激励の言葉を掛けてきた。
その後すぐに、クラウスはダフナーに連れられて街を出る事になった。
何処に行くのかは聞いていない。
ただ付いて来て欲しいと言われ、その言葉に従った。
「この辺りでよいでしょう」
街を出てしばらくして、周囲に他の誰の視線も無くなったところで、ダフナーは足を止め、何も無い空間に向かって手をかざし、何事かを呟いた。
すると、その手をかざした先の景色が歪み、どこか別の場所の風景らしきものが映し出された。
それは森の景色だろうか?
木々が鬱蒼と生い茂った場所が見える。
その様子を見たクドゥリサルが声をあげる。
「転移門だな」
「ああ、これがそうなのか?」
「はい。これを使えばすぐに目的地まで行けます」
クラウスは、伝令神の力によって、こちらの世界へと戻って来たときのことを思い出していた。
あの時は扉をくぐったが、これは何もない空間に別の場所へと続く穴が開いているように見える。
ダフナーが前に進み、その空間に開いた穴をくぐり抜けた。
向こう側に渡った彼女は、その場からクラウスを手招きする。
クラウスはそれに応じて、同じようにその門をくぐる。
クラウスが通り抜けたその後に、ダフナーがまた何事かを唱えはじめた。
すると門は消え、そこには何も残らなかった。
「では行きましょう」
そう言ってダフナーは歩き始め、クラウスもその後をついていく。
歩き始めてすぐに、クドゥリサルがダフナーに問いかける。
「ここは輝きの森か?」
「はい。来られた事が?」
「いや、無いな。知識として知ってるだけだ」
輝きの森とは、大陸の西方に位置する森の名だ。
クラウスもその名だけは知っていた。
そこには妖精たちの住む別世界へと繋がる入り口があると言われている。
そうして森の中を歩いている途中で、クラウスは今回の仕事について、どのようなきっかけで冒険者に依頼を出すことになったのかをダフナーに尋ねてみた。
ダフナーは険しい表情で、それに答える。
「ネホシェットが私のもとへやって来て、我が子らを一人残らず滅ぼすつもりであると宣言したのです」
「我が子ら?」
「私の信奉者である、この森に住むエルフたちの事です」
苦々しげな口調で、ダフナーは言葉を続ける。
「つい先日のことです。あれは突然私の前に現れ、一月後にまたやって来るから、それまでに戦う準備をしておけと、そう言ってきました」
「何が理由でそんな事になったんだ?」
「おそらく理由など無いのだと思います。あれにとってはただの戯れなのでしょう」
「ただの戯れで、一つの部族を根絶やしにするなんて言い出したって事か?」
「ええ。あれはそういう存在なのです。自分以外の存在を退屈しのぎの道具程度にしか見ていません」
その言葉には怒りと、諦めに似た感情が込められているように感じられた。
そのダフナーの言葉に続けて、クドゥリサルが言葉を発する。
「妖精ってやつは一部を除いて死ぬことが無い。こっちの世界で命を落としたとしても、妖精の原野で再び蘇ることが出来るんだよ。そのせいで命ってものを軽んじてる奴らが多いのさ」
「蘇る? じゃあ、殺すことは出来ないって事か?」
「こちらの世界で倒された場合は、何の制限もなく妖精の原野で蘇る事が出来ます。ですが、妖精の原野で倒されたなら、蘇る事は出来てもある程度の力を失ってしまいます。そして、その失った力を取り戻すには長い時間が必要になるのです」
「じゃあ、妖精の原野で一度でも倒して弱らせることが出来れば、なんとかなるって事か?」
「ええ、そうなのですが……出来るだけ勝率を高めるために、こちらの世界で戦おうと思っています。私たちにとって出来るだけ有利な場所で戦いたいのです。妖精の原野に出向いて行って倒せれば、それが一番良いのですが……」
良く見知った土地で、十分な準備をしたうえで迎え撃つ……そうしなければ勝てない相手だと言う事なのだろう。
そんな話をしながら数分程歩いたところで、クドゥリサルが声を発した。
「誰か近付いて来てるな」
「ああ、どうかご心配なさらず。あれは私達を迎えに来たのです」
そのまましばらく行くと、森の奥から三人のエルフが現れた。
彼らはダフナーに近付き、片膝をついて頭を垂れる。
「おかえりなさいませ、ダフナー様」
「ええ、ただいま。私の留守中に何か起こったりはしていませんか?」
「はい、何も」
「そう、良かった」
三人のエルフ達はダフナーの横に立つクラウスを見て戸惑ったような表情を浮かべる。
「ダフナー様。同行されているのはお一人だけなのでしょうか?」
「ええ、そうです。こちらは冒険者のクラウス。今回私たちに手を貸してくれることになりました」
「クラウスだ。よろしく頼む」
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」
ダフナーは助っ人を連れてくると言って出てきたらしい。
彼らもそれを聞いていたのだろう。
戦う相手は強大な力を持つ妖精だというのに、たった一人しか連れて来なかったということに戸惑っているのかもしれない。
「詳しい話は集落に戻ってからにしましょう」
ダフナーの言葉に、迎えの者たちも頷きを返す。
そうしてさらに先へと進んでいくと、少し開けた場所に出た。
見渡すと、そこにはエルフたちの集落が広がっていた。
その集落は、まるで森そのものが長い年月を経て、自然にそのように形作られたかのように見えた。
高く伸びる樹木の幹には、まるでその一部と化しているかのように組み込まれた木造の家々が、張りつくように存在している。
木々の枝と枝を渡すようにかけられた吊り橋のような物も見える。
風に揺れる葉が擦れる音を聞いていると、森そのものが深い呼吸をしているかのようにも感じられた。
木々の間を飛び回っている鳥たちの羽ばたき音や囀る声が聞こえてくる。
おそらく近くに川があるのだろう。
水の流れる音もかすかに聞こえてくる。
地面には、石畳で舗装された道が通っていた。
その道をクラウスたちは歩いていく。
その途中で幾人かのエルフたちが、ダフナーに声を掛けてきた。
彼らの様子から見て、ダフナーは彼らの崇敬の対象となっているのだろう。
「ダフナーさま!」
声を上げながら、まだ幼い三人の子供が駆け寄ってきた。
子供達に囲まれて笑顔を見せるダフナーの姿を見ていると、彼女が強大な力を持つ妖精である事を忘れてしまいそうになる。
先導するエルフたちの一人が、子供達に声をかけ、今は忙しいから後にするようにと窘めている。
子供達はそれに対して抗議の声を上げていた。
その様子を横で眺めていると、子供の一人がそばまでやって来て、クラウスの顔をじっと見つめはじめた。
その視線を受けて、クラウスは笑みを浮かべながら言葉を発する。
「こんにちは」
「こんにちは!」
クラウスの挨拶に対して、子供は満面の笑みを浮かべて挨拶を返してくる。
それからその子供はダフナーに視線を向けて問いかける。
「おきゃくさま?」
「ええ、そうですよ。私たちを助けに来てくれたのです」
「よろしくな」
「よろしく!」
クラウスの言葉に子供は元気よく答える。
それから、他の二人の子供達と共にパタパタと走り去って行った。
ダフナーはこの地に住む者たちに随分と慕われているようだ。
その彼女を慕う者達を害するために、やって来る者がいる。
その外敵から皆を守るために、クラウスを雇ったのだろう。
紫金の王は、もう何度もこんなことを繰り返しているのだそうだ。
おそらく、その度に大勢のエルフたちが死んでいったのだろう。
クラウスを見つけた時のダフナーは随分と興奮しているように見えた。
力ある者を見つけ、今回は犠牲を少なくすることが出来るかもしれないという希望を抱いたのではないか?
依頼を受けると言った時、彼女は本当に嬉しそうに笑っていた。
狭間の世界で共に過ごした者たちのことを思い出す。
あの丘の上にやってきて剣を学んでいた大勢の弟子たちや、クラウスを神様と呼ぶ小さな子供。
ダフナーを慕う者たちの姿を見たときから、クラウスの中でこの依頼はただの依頼ではなくなっていた。
報酬の為だけでは無い。
クラウス自身の心に、彼らを救いたいと言う思いが芽生えていた。
子供達が走り去って行った方角を見ながら、ダフナーが語りかけてくる。
「ネホシェットは理解しているのです。私だけを相手に戦いを挑んで来たのであれば、相手にせず逃げ回っていれば良い。我が子らを標的にする事で、逃げることを封じようとしているのです。彼らを守るために、私は全力で戦わねばなりません」
「どうやって対処するか、計画はあるのか?」
「一月後までに出来る限りの準備と訓練を行い迎え撃つつもりです。あなた方にはその訓練にも立ち会っていただきたいのです」
「迎え撃つってのは、この場所でか?」
「はい。私たちにとって出来るだけ有利な場所で戦いたいと思っています。もちろん、戦えない者たちは別の場所に避難させます」
おそらくこの場所に罠などの仕掛けを作って、敵の襲来に備えるという事なのだろう。
森の中の集落と、そこで暮らす者たちの姿を眺める。
この場所を……この美しい集落とそこに住む者たちの生活を乱したくは無いと、そう思った。
紫金の王とここで戦い、倒したとしても、相手は妖精の原野で再び蘇る。
そのまま、またすぐにやって来たりした事は一度も無いらしい。
だが、今回もそうであると言う保証は無い筈だ。
そんな事を考えていると、その様子を見たダフナーが声を掛けてきた。
「クラウス? 何か気になる事があるなら、どうぞ遠慮なく言ってください」
「ああ……相手がやってくるのを待たなくても、こっちから相手のところに乗り込んで行ってもいいんじゃないかって思ってな」
それを聞いたダフナーは、わずかに眼を見開いたのちに頷きを返す。
「そうですね。ええ……それでも良いのではないかと今は思っています。あなたに出会う前は、襲来する相手を何とかして退ける事しか考えていませんでした。自分たちに有利な場所で、万全の準備をしなければ……こちらから出向いたりしても、勝ち目があるとは思えませんでしたから。ですが私とあなたの二人であれば、準備など無くともあれを倒すことも出来るのではないかと思えます」
「お前はどう思う?」
クラウスは腰に吊るした相棒に、そう問いかける。
「ああ、俺もその方がいいと思うぜ。俺らからすると相性のいい相手みたいだしな」
その答えを受けて、クラウスはダフナーに視線を戻し、語りかける。
「どうだ? ダフナー。あんたがいいなら、ここで迎え撃つんじゃ無く、こちらから出向いて行って戦いたいんだが」
「そうですね。ではそうしましょう」
ダフナーの表情は少し晴れやかになった様に見えた。
この場所で戦えば、人にも土地にも被害が出るだろう。
だが自分達だけで相手の領域に乗り込めば、それらが被害を受ける事は無くなる。
危険に晒されるのはダフナーとクラウスだけになる。
それからクラウスは、少し考えた後に口を開いた。
「ダフナー。最初は俺一人で相手をさせてもらえないか?」
そのクラウスの言葉に、ダフナーは戸惑ったような表情を浮かべる。
「それは……いかにあなたでも一人で相手をするのは危険な相手だと思うのですが」
「そうか? まあ危なくなったら、すぐに助けを求めるさ」
「そう……ですか? そうおっしゃるならわかりました。最初はあなたにお任せいたします。ですが、危ないと思ったらすぐに援護しますので」
「ああ、ありがとう」
ダフナーに頷きを返しながら、クラウスは念話でクドゥリサルに話しかける。
『なあ、クドゥリサル』
『なんだ?』
『妖精は倒しても蘇るが、力を失うんだよな? 力を失った状態でまた倒したらどうなるんだ?』
『さあ? そこから、さらに力を失うんじゃねえか?』
『それを何度も続けたら?』
『確かに。どうなるんだろうな? 試して見ちゃどうだ?』
『ああ。やって見るよ』
それから彼らは再び集落の奥へと向かって歩き出す。
そうしてしばらく歩いていると、前方から数人のエルフたちがクラウスらの元へと近付いてきた。
先頭に立つ一人が、胸に手を当てながらわずかに頭を下げる。
それを見たダフナーが彼らに声を掛けた。
「何かあったのですか?」
「お客人にお願いがあって参りました」
そう言って、先頭に立つ男が顔を上げ、クラウスを見る。
「宜しければ、我らと立ち会っては頂けないでしょうか?」
「立ち会う?」
「はい。そのお力を我らにもお示し頂きたいのです」
クラウスがその言葉に答えるよりも早く、ダフナーが口を挟んだ。
「何の為にです?」
その言葉にはわずかに怒りの感情が込められているように感じられた。
「彼は私が招いた客人です。あなた達はその力を疑い、試そうと言うのですか? それは私を疑い、試そうとしているのと同じ事。勿論、それを理解した上で言っているのですよね?」
そのダフナーの怒りの言葉に、エルフ達は驚きの表情を浮かべ、萎縮したように頭を垂れて跪く。
ダフナーはその顔に厳しい表情を浮かべ、跪いた彼らを見下ろしていた。
それを見ていたクラウスは、笑みを浮かべながら口をはさむ。
「俺は別に構わない。誰かと手合わせでもすればいいのか?」
「いえ、お気になさらず。彼らにはよく言い聞かせておきますので」
「そうか? 大した手間じゃ無いし、この人らの気持ちもわかる。ちゃんと納得して貰っといたほうがいいんじゃないか? 実際、あんたも俺の力量を知らんだろう? 俺を選んだ理由も、雰囲気が違ったとかそんな理由だって言ってたが、そんな奴に大事な仕事を任せるのは不安じゃ無いのか?」
「不安はありません。私は自分の目を信じていますから。ですが……あなたが戦う姿を見せて下さると言うのであれば、ありがたく思います」
「ああ。じゃあ、そうしよう」
そう言って笑うクラウスを、ダフナーは戸惑ったような表情を浮かべながら見ていた。
それからダフナーは今度はエルフ達に視線を向け、問いかける。
「何人で挑むつもりなのですか?」
「幾人か、腕の立つ者を選んでお相手させていだたこうと思っておりました」
「そうですか。クラウス。複数人を同時に相手にして貰っても良いですか?」
「ああ、構わない」
「ではそうしましょう。その方が彼らも納得するでしょうから」
その後、集落内の開けた広場のような場所でエルフ達と立ち会う事となった。
その場でしばらく待っていると、完全武装した五人の男女がやってきた。
先頭に立った戦士らしき男が頭を下げて、感謝の言葉を口にする。
「我らの願いをお聞き届けくださり、ありがとうございます」
「ああ、全力で……殺すつもりでかかって来てくれ」
そのクラウスの言葉に、エルフたちは驚いたような表情を浮かべる。
「それは……よろしいのですか?」
「ああ。あんたらの崇拝する存在を任せられるんだ。全力で試しておいたほうがいいだろう?」
「承知いたしました。それでは全力でお相手させて頂きます」
そう言って彼らは、各々武器を手にして身構える。
前衛には戦士が二人。
一人は大盾と鎚矛を持ち、もう一人は小型の丸盾と片手剣を持っている。
後衛には魔術師が二人、そして弓を手にした者がいた。
「では、参ります」
先頭に立つ大盾を持った戦士が声を上げ、開始の宣言をする。
それと同時に二人の魔術師が呪文のようなものを唱え始める。
クラウスからすると、その様子はあまりに無防備に見えた。
前衛の者たちが自身を守ってくれると、信頼しているのだろう。
今すぐ倒すことも可能に思えたが、彼らのその準備が終わるまでは、動かず待つことにした。
魔術士が手にした杖が輝き、エルフ達全員の体が淡い光に包まれる。
おそらくは何らかの強化の術を掛けたのだろう。
後衛の一人、弓を手にしていたエルフが矢を放つ。
それと同時に、クラウスも動いた。
上体を傾け、飛来する矢を躱しながら踏み込み、そのまま前衛の二人に攻撃を仕掛けた。
片手剣を手にしている戦士の顎を手で打ち、昏倒させる。
そして大盾を手にしていた戦士の横に素早く回り込んでその体を放り投げ、背中から地面に叩き付ける。
一人は脳を揺らされて半ば意識を失い、もう一人は地面に叩きつけられて悶絶し蹲っている。
それを見ていた後衛の三人も、驚きに動きを止めてしまっていた
その三人に素早く近づき、彼らの顎を打って昏倒させていく。
彼らも、前衛の戦士二人がこれ程までに簡単に突破されるとは思っていなかったのだろう。
何の抵抗も出来ないままクラウスに掌打で顎を打ち抜かれその場に倒れる。
ほんの数秒で、決着は付いた。
クラウスに立ち向かったエルフ達は、五人全員が地に伏して倒れている。
クラウスは剣を抜いてすらいない。
倒れたエルフ達は皆、うずくまったまま立ち上がれずにいた
「見事です。クラウス」
労いの言葉をかけてくるダフナーに、クラウスは苦笑を浮かべながら応える。
「これで良かったかな?」
「ええ、もちろんです。ありがとうございました。彼らも十分に納得したでしょう」
手加減はしたが、打ち身程度の怪我はしているかもしれない。
まあ、戦士であるなら、その程度で何かを言ったりはしないだろうが。
しばらくするとエルフ達が立ち上がり、クラウスのもとに近付いてきた。
「まさか、これ程とは思っていませんでした。どうか我らの無礼をお許しください」
「別に無礼だなんて思って無いから、気にしないでくれ」
そのクラウスの言葉に、エルフ達は感謝の言葉を述べた後に、立ち去った。
クラウスは立ち去るエルフたちの後ろ姿を見送りながら、ダフナーに尋ねる。
「ネホシェットの所に行くのはいつ頃になる?」
「準備は必要でしょうか? あなたの準備ができ次第、出発したいと思っています」
「俺は特に準備は必要無いな。どうだ? 何か準備は必要か?」
クラウスはそう言って、クドゥリサルに声を掛ける。
「いや、俺も無い。お前らの好きな時に行きゃあいいさ」
「わかりました。では明日の朝に出発でも良いでしょうか?」
「ああ。それでいい。相手のいる場所まではどれぐらいかかる?」
「ネホシェットのいる領域までは、半日も掛からないと思います。ただ、妖精の原野とこちらの世界では時間の流れが違うのです。あちらで一日過ごしただけでも、こちらでは数日程経っている場合があったり、逆に一日も経っていないこともあります」
「そうなのか? 最大でどれくらいになりそうかはわかるか?」
「最大でも十日を超えることは無いと思います。実際にはもっと短くなるでしょう」
「そうか。わかった」
当初は一ヶ月滞在しなければならないという話だった。
それが十日で済むと言うのなら、喜ぶべきなのだろう。
クラウスはローザに念話で連絡を取り、当初の予定よりも早く終わりそうだということを伝えた。
それからすぐにあてがわれた宿に案内して貰い、翌日の戦いに備えてその体を休めることにした。
ダフナーに歓迎の宴を開きたいと言われたが、それは断った。
そういった物は、全てが終わってからでいい。
今は体を休め、戦いに備えるべきだろう。




