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見習い錬金術師ミミーのノスタルジック冒険標  作者: シノト
1プロローグ
4/14

1-4 日常のお昼とご近所さん

客足が引いたころふと壁の時計を見るとお昼を指そうとしていた……。


「そろそろ鳴るかなぁ~。」


カラ~ン カラ~ン。2軒隣の教会の鐘がお昼を知らせる。

この鐘、音はいいし気分の切り替えになるのですごくミミーは好きなのだけれども、お昼にしか鳴らさない。

時計という物が一般家庭にまで普及したために、朝の鐘と夕方の鐘がうるさいとの事で廃止になった。

朝の鐘を頼りに起床していた村民は激怒したものの……。目覚まし時計という朝アラームが自動的に鳴る生活雑貨が激安でもうすでに広く浸透しており……。

世知辛い世の中である。


お昼になるとミミーはそそくさとお店の玄関の看板をクローズに変え、昼食の準備に取り掛かった。

お鍋に水を張り、コンロにかけ、お湯が沸いたらパスタを入れる。

もう一つのフライパンに油をひいたら、ソーセージと野菜をふんだんに入れ、炒める。

茹で上がったパスタをフライパンに入れて、バジルをたっぷりかけたら、ミミー特製バジルパスタの出来上がりである。


お皿に4人分取り分けていると、お店の裏口のベルが鳴った。


「お邪魔します~♪」「おじゃしますね。」


横の療養所の薬師見習いのカリーナとさらにお隣のシスター長ヴェロニカだ。

実はこの2件建物の中でつながっており、経営がすべてヴェロニカだったりもする。

二人並んで歩くと、大変仲のいいおばあちゃんと孫娘に見えるが、カリーナは孤児で教会に引き取られたので血縁関係と言う訳ではない。


「お二人とも座ってくださいね。すぐに先生呼んできます。」


ミミーが二人に声をかけると。


「私が行ってきましょうか。たまには大叔母の役割をはたさないと……。カリーナはミミー様のお手伝いをしておきなさい。」

「は~い。お姉ちゃん、私スープ温めるねぇ~♪このスープのお肉おいしいんだ~♪」

「よろしく~♪」


そういってヴェロニカは、ピリーの工房に声をかけに行った。この二人は親戚なのである。

そしてヴェロニカは教会のシスター長と療養所の所長をしているだけあって、聖属性魔法の回復魔法を主戦力にしている。火・水・風・土・雷の5属性の動力は、錬金術か工房で動力盤を使って作れるが、残念ながらその上位互換である、聖・闇の2属性は作れない。そのため聖属性魔法の回復魔法を使用できるものは重宝され町には必要不可欠となった。ただ、魔法にも限界があって錬金薬の代わりは大体できるが、薬師の分野はかなり術者に負担がかかる。なので、療養所の裏に薬草園があったりとするわけである。

なおヴェロニカも、体内マナをかなり保有しており、かなりの年齢だったりもする。そんなヴェロニカさんの年齢は……おっと帰って来たようだ。


「いつもありがと~ミミーちゃん」

「いつもお手数をおかけしますミミー様」

「お姉ちゃん~スープ入ったよ~」


みんな続々と座っていく……。そして、今日も今日とて覚悟をしたかのようにミミーは最後に席に着いた。

これから食事前の、ミミーにとって拷問の儀式が始まろうとしている……。


ヴェロニカが食事を前に目をつむり手を組むと、ピリーもカリーナもそれに続いた。ミミーは半ばあきらめるようにその動作に倣った。


「光の大精霊・ダルバード様、精霊女王・エリベート様、精霊姫・ミルミート様、我々に生きる糧を与えてくださいまして、感謝いたします」

「「感謝いたします」」

「かんしゃ……。」(感謝ねぇ……)


「さ、いただきましょう」

ヴェロニカの号令で一斉に食べだした。


「ミミーちゃん相変わらず顔真っ赤よ。」

ミミーは、ピリーの指摘に思わずギロリと目くばせする。


「おぉこわいこわい。」


「ねぇヴェロニカさん、このお祈りどうにかなりません??」

もう何度目になるかわからない歎願を、ミミーはヴェロニカにしてみる。

「なにお仰いますか、ミミー様。この祈りは大陸共通。聖教会ではシスター全員で朝晩の食事前や、1日3回のお祈り。聖の日、朝のミサの時には教会に集まられた方全員でお祈りさせていただいてます。ミミー様も一度お祈りに来られてはいかがですか??」

「うぅ……。自分とまだ生きてる母を祈りたくはないですよぅ……。」


消えてしまいそうなくらい小さく抵抗するミミーこと本名ミルミートを横目に、3か月ほど前の出来事をピリーは思い出していた……。


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