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資料  作者: 神威 遙樹
77/86

NO,70: Look at me,please!

 なんとか日曜日の日付以内。

ギリギリです。

「……ねぇ、なんで今フィーネさんはあんな格好してるのよ!? セイラの夢を守るためのサンタクロースの衣装ここで使っちゃマズイでしょう!?」

「知るか、フィーネさんなりの作戦があるんだ、きっと!」

「でもセイラ、なんか変な勘違いしてるよ?」


 見事過ぎるリアルサンタクロースなフィーネさんを見ながら緊急会議。

ここであんなリアルサンタクロースの姿になったら今日の夜中、プレゼント置くときに怪しまれるだろうからね。

いくらザ・ピュアガールなセイラでも怪しむだろう、これは。

今は盛大な勘違いしてるけどさ。


「フィーネさんがサンタクロースだったんですか!」

「いえいえセイラ様、私はフィーネですよ。ただ、少しクリスマスっぽい男装してみただけです」


 嘘つけ!?

そんな理由でこんな非常識な程、ハリウッドの特殊メイク並みの事するの!

しないだろ、普通は!

大体『少し』クリスマスっぽいって違うだろ!

少しじゃない、バリバリクリスマスっぽいじゃんか!

思いっきりクリスマス意識してるよね!


「しかしまぁ……錬金術って便利ね」

「作成に三日掛かりました。この目尻のしわとか苦労しましたよ」


 ミュウさんが感心した様に言うと、苦笑いここに苦労しました、とか言いながら右目の目尻の皺を指差すフィーネさん。

……細かいわっ!

そんな細部までいちいちこだわらなくていいでしょ!

分からないよ、そんな場所多少弄っても誰も気が付かない場所だから!

そしてその苦笑いもどう見てもおじいさんのそれだ。

若いフィーネさんはどこへ消えたの?

本気であれ、リモコンで操ってんじゃないかとも思うよ。

……いや、リモコン操作だったらあんな風に笑えないか。

別の機械人形オートマタの人って可能性も否めないね。


「……に、してもサンタクロースとは中々に難儀な仕事っぽいですね。この様なメタボ体型でよくプレゼントを配りに世界中回って行けますね、余程の根性があると思います」

「さりげなくサンタクロースの悪口言うのやめようねフィーネさん」


 メタボ体型っておい!?

確かに立派なお腹ですけど!

子供の夢を運ぶ素敵なおじいさんをそこら辺のおじさんと同じ『メタボ体型』と一緒にしないで!

セイラが泣くよ?


「と、まぁ皆様準備万端の様なのでパーティーに向かいましょうか。あ、フィーリア様は男装しなくても結構です。いつも通りセイラ様のポケット……は無理ですね、私のポケットに入って下さい」


 全員集合という事でフィーネさんが出発の音頭を取る。

唯一異性装をしていないフィーリアは「私は?」っと首を傾げたけど、フィーリアはそんなもんしなくていい。なんせ基本は隠れてるからね。

目立っちゃダメだから。

 フィーネさんはいつも通りにお願いしますとセイラを見るが、普段とは違い今日のセイラはストリート系。

ポケットにはチェーンがジャラジャラ。

フィーリアは入れない。

仮に入ったらチェーンに絡まりそうだ。

両手を広げ、仕方ないですねとかいいながらフィーネさんは自分のポケットを開ける。

自分が作った服は把握しとこうねフィーネさん。

大体なんでセイラにこんな服着させた?

腰パンはダメでしょ?

女の子だよ。


「……私、恥ずかしいです」

「俺もまた笑われるのか、それが怖い」

「俺は誰にも気付かれないのかなぁ?」


 ミュウさんを除いた三人で不安を言う。

セイラは純粋に恥ずかしく、アレンはやっぱり変だから。

そして俺は、個人的に気付かれないのは嫌だ。

誰か気付く人いるかな?


「悠輝様は女装ではなく本当の姿になっただけなので、気付かれないと思います」

「本当の姿じゃないって! 何そのめちゃくちゃな設定!?」


 北藤悠輝、普段は男だが真の姿は女。

……そんな事あるかっ!

なんだその妖怪染みた設定は!?

俺は純粋な男!

一体全体どうやったらそんな発想に行き着くんだフィーネさん。

フィーネさんの方が完璧な変装だからね!

俺、大して変わって無いもん。鏡見てちゃんと確認したし!


「設定じゃないのなら、その美貌はどこから来るのです?」

「美貌なんてあるかぁっ! ねぇ!?」

「「「……」」」

「ちょっと!? なんで三人共一斉に目を逸らすの!? フィ、フィーリアとモモ、フィーリアは俺が男に見えるよね、美貌無いよね?」

「びぼうってなんですか? あ、でもユウキは可愛いと思います」

マスター……素直に認めるにゃ」


 四面楚歌とはこの事を言うのかな?

フィーネさんの言葉を否定して、それの同意を求めた三人には目を逸らされ、フィーリアには可愛いと言われた。

モモ、認めるって何をだ。

美貌をか?

認めるかボケェ!

美貌の『び』の字も無いから!


「悠輝様、悪あがきはして行きますよ」

「悪あがきじゃないってば!」


 勝手に悪あがきにされては困る。

とても困る。

これは俺の小さいながらもあるプライドが許さない。

男が女に見られて喜ぶなんて事は……ごくごく一部いるけど少なくとも俺は違う。

俺は、男なんだ!


「いいから行きますよ、パーティーに遅れるのは紳士ジェントルマンとしては些かどうかと思います」

「……分かったよ」


 紳士。

そこまでの物じゃないけど少なくとも女扱いはされなくなったと信じよう。

ただ、やっぱり道中不安だね。

 フィーネさんが部屋の扉を開けて、普段は晩御飯とかを食べる学院の大広間に向かう。

これはいつも通り。

但し今日は周り一色クリスマス。

なんか謎の光る物体が浮いていたり、ヤドリギが至る所に飾ってあったり、半透明の鳥が飛んでたり。

……流石、魔術師の学校、学院。

ファンタジーだ。

そんなファンタジー一色の学院のクリスマスに圧倒というか、普通に生活してたら絶対に見られない神秘的な光景を見ながら螺旋階段を降りていたら、途中で声が降ってきた。


「よぉうアレン、お前全然似合ってねぇな!」

「……とか言う俺達も五十歩百歩だがな」

「ハリス、失礼だよ!」

「あ、やっぱりミュウちゃんは似合ってる」


 螺旋階段のちょっと上、そこにラビ達がいた。

毎度毎度変なコスプレを披露するハリスは今回もふざけた物を着ている。

俗に言うゴスロリってやつだ。

ラビの言う通りアレン並みに似合ってない。

ラビは自分で似合ってないと言っているけど、少なくともアレンやハリスよりはマシだ。

強いて言えば、ムダに短いスカートがドンマイ。

ミーナとミランダの女の子二人はこっちのセイラやミュウさん同様、似合ってると言えば似合ってる。

なんかいつもと違うから変に見えるだけって感じ。

但しミランダはいつもと同じで帽子は被ってる。

ともかく誰かのネタになる様なもんではない。

女子一同、羨ましいよ。

 ラビ達四人は速度を上げて階段を降りてきて、俺達に合流する。

ハリスはリアルサンタクロースなフィーネさんを見て悔しそう。

そりゃ、今回はハリスの負けだろ。


「いっやぁ〜、それにしてもキタフミは気合い入れてるな。女装じゃねぇけど」

「あ、私フィーネです」


 悔しそうだが素直に称賛の声を掛ける……ってちょっと待て!?

なんで俺の名前をフィーネさんに向かって言った!?

 そんなハリスにフィーネさんも少し戸惑った感じで言葉を返すと、ハリス達四人がマジでと驚く。

これは反則だもんね。

絶対にフィーネさんとは分からないよ。


「マジで!? フィーネさん!?」

「すっご〜い、私もキタフジ君かと思った」

「私も。フィーネさんなのね」

「……じゃあユウキはどこだ? トイレか?」


 ……やっぱり俺、気付かれてないんだ。

なんかもう、名乗る元気が無くなったよ。

 俺はどこだと周りを見渡して探すラビと目が合う。

取り敢えず俺が悠輝だよ〜っと目で訴えてみる。

と、ラビが俺を見て目を丸くした。

……気付いてくれた!?


「おいアレン! 誰だこの子、お前こんな可愛い知り合いまだいたのか!?」

「……」


 気付かれてはなかった。

しかも可愛いって言われた。

テンションが地獄の最下層、極寒地獄コキュートスまで落ちた気がする。

本気でぶん殴ってやろうかな?

そしたら気が付くかな?

ハリス、そんな女子を見るような視線で俺を見ないでほしいね。

目潰しするよ?


「……あ、あれユウキだぞ」

「「マジで!?」」

「うわっ、ユウキ君凄い似合ってる……」

「自然体ね」


 ……自然体。

ミランダにそう言われたよ。

全然自然じゃないわ!

男が女装してて自然ってなんだ!?

不自然だろ!

もう俺、立ち直れないかもしれない……

いやマジで。

男としてのプライドが音を立てて崩壊していったよ。

それはもう、雪崩みたいにボロボロと。


「……ねぇアレン、俺もう立ち直れない……」

「な、涙目でこっちを見るなユウキ! 結構危ない!」


 顔をちょっと赤くしながら後ずさるアレン。

逃げるって酷いね。

危ないってなんだよ、人を危険物みたいに扱ってさ。

俺、男だし。

別に近付いてもいいじゃんか。


「……おいハリス、我が学年に新たなアイドルが誕生したぞ」

「だな。可愛いし、動きも女子そのものだ。……本当にキタフミなのか?」

「北藤だよ!」


 おいこらそこの二人。

何勝手にそんな事を話してるの?

まさか聞こえてないとでも思った?

バッチリ聞こえてるからね。

ふざけんなよ、何が新アイドルだ。

勝手にセイラやミュウさんと同列に加えられたら困る。

男だし、そんなに可愛くないと断言出来る。


「……ねぇミランダ、私、敗けた気がするの」

「奇遇ねミーナ、私もよ」

「安心しなさい二人共、互角よ」

「本当? やった、私ちょっと自分に自信持てた!」


 女子二人も何言ってんの!?

なんで自信持つの!?

互角だよ、俺みたいな男と互角でなんで喜ぶの!?

いや、多少女顔は認めるけど『多少』であってそこまで女顔だとは思ってないよ。

自信持たれても困ります!

大体ミュウさんのフォローの仕方が分からない。

「安心しなさい、互角よ」ってなんで安心すんの!

逆でしょ、落ち込むでしょ!


「その涙目の威力がヤバいぞユウキ」

「な、泣いてないから! 大体アレンが赤くなる理由が分かんないよ!」

「ユ、ユウキ、近い近い近い! 妙に意識する!」


 何が妙に意識するだよアレン、変態か!

俺のこれは女装であって男なの。

ニューハーフでもオカマでもないの!

オカマウェイを突っ走ってる盆暮れな人とは違うんだ!

それに近くて悪かったな!

こっちだって色々と必死なんだ。

ジョ〜〜ダンじゃなーいわよーう!


「……これが今ニッポンで流行りの『萌え』ってやつかラビ」

「だな、『萌え』だ」

「そんな筈あるかっ!」


 何が『萌え』だ。

絶対違う。全然違う。

俺、そんな文化に興味無いから詳しい事は知らないけど、違う筈だ。

いくらなんでも男にそんな感情抱く筈無い!

BLか!? 衆道か!?

生憎俺にそんな趣味は無い!


「凄いですね悠輝様、殿方に大人気です」

「……逆に悲しいよ」


 フィーネさん、そんな感心した様な顔でこっち見ても困るからね。

なんの得も無い。

男に男がモテるってどうなんだ?

そもそもこれはモテてるのか?

……違うだろ。

違うと信じさせてほしいね。


「あぁ……またこんなとこでムダに時間を使ってしまいました。早くパーティーに行かないと遅刻ですよ。悠輝様の美貌のせいです」

「そんなわけない!」


 そろそろ俺を弄って遊ぶのは止めてほしいよフィーネさん。

絶対楽しんでるでしょ?

サンタクロースになっても基本は変わらずクールで無表情なフィーネさん。

表情は変わらなくても声音は楽しんでるから分かるよ、俺。

フィーネさんの玩具オモチャにされてるよ俺。

 そんな俺の不満を他所に、フィーネさんはさっきと同じようにサンタクロースの格好をしながら早速と螺旋階段を駆け降りる。

皆も、俺も後に続くけど、正直大広間には行きたくない。

理由は簡単、女装これだもん。

どうせ誰にも気付かれないだろうね。

この調子だと。


「メリークリスマス……ってアレン、お前は新手のコメディアンにでもなったのか?」

「……んだと、リドルだって似たようなもんだろ」

「やや〜、やっぱりセイラちゃんとミュウさんは何着ても似合うねー」


 螺旋階段を降りきって、エントランスというか玄関前の大ホールに着いた時に再び声が、今度は横から掛かった。

しかもなんかデジャヴ。

大広間から流れてきてるのであろうクラシック音楽は聞こえるけど、中々着けないね。

 そんな俺達に声を掛けたのはリドルとリンスのいつも通りのコンビ。

リドルはアレンの反論通り、確かに微妙なルックス。

結構精悍な顔立ちだからね、アレンみたいに濃い。

リンスはいつも通り。

ボーイッシュだからか異性装しても基本は何も変わらない。

馴染んでると言ってもいい。もっと言えば自然体。

……仲間かな、俺の?


「あらリンス、可愛いじゃないの。あんまり普段と変わらない気もするけど」

「……それ、褒めてるのかな?」


 にこやかに挨拶するミュウさんだけど、一言多い。

リンスがハァっと溜息をついた。

でもまぁあんまり普段と変わってないのは否定してない。

自覚あるんだね。


「ところでユウキは? この面子ならあいつがいないと不自然だぞ?」

「本当だ、ユウキ君いないね。トイレ?」


 デジャヴ。

また俺はトイレに言ったのかと訊かれたよ。

違う、ここにいるから!

私はここにいるよ!

いつまでも(気付くまで)待ってるよ!

不自然と思うなら周りを見よう、ここにいる!


「……いねぇな、風邪でも引いたのか?」

「イブに風邪は不憫だね……」


 周りをグルーッと見渡しながらリドルが言う。

勿論その見渡した時、視界に俺は入っていた筈だ。

間違いなく。

目が合ったもん。

なのにスルー?

リンスもリンスで勝手に俺を不憫な扱いにしないでほしいよ。

こ・こ・に・い・る・の!

目の前に!


「あぁ……! このサンタがユウキか。すげぇな、身長どうやって伸ばした?」

「でも女装じゃないよ? いいのかな?」

「私、フィーネです」

「「……え?」」


 デジャヴその二。

またもやフィーネさんが俺と思われた。

しかも地味に俺が気にしている、フィーネさんの方が俺よりも背が高いという事を言いながら。

……ちくしょう、フィーネさんのスタイルが良すぎるだけだ!

俺は小さくない!


「フッフッフッ、聞いて驚けお前達! 実はこいつが――」

「ここにいる可憐な少女が誰だか分かるか?」

「――おいこらラビ! 俺の話の腰を折るな!」


 フッフッフッと悪役っぽく笑いながら、ハリスが俺を紹介しようと口を開くが、ラビが乱入。

しかもその紹介の仕方が「可憐な少女」。

……ぶん殴ろうか?

それとも思いっきり背負い投げでもしてやろうか?

迷うね。


「誰って、学院には珍しい東洋系、朝鮮系アメリカ人のチェさんだろ? なんで男装してねぇの」

「……誰だそれ?」


 リドルがさも当たり前な感じで言うが、誰だよ。

そんな人初めて知ったからね、俺。

東洋系の人なら会ってみたいけど、今はそんな話をしてるわけじゃない。

ともかくリドルの変な発言のせいでラビもハリスも思考停止。

どうやってこのなんとも言えない空気を脱却するか、難題だね。


「……チェさんじゃないわ、ユーキよ」

「「うそぉっ!?」」

「……ミュウさんは知ってたんだ、チェさんって人」


 変な空気が場に漂う中、こんな時でもなんでも言えるミュウさんがズバッと清々しい程あっさりと答えを言ってくれた。

……そしてやっぱり驚く二人。

いや、そんな女の子って感じじゃないからね俺。

鏡見て確認したから。

何度も言うけどさ。

それにミュウさんは噂のチェさんを知ってるらしい。

交友幅が広いね。


「……うわっ、あたしより女の子っぽい……悔しいなぁ」

「スクープだ、ミラ先輩に報告だな」

「それは止めて!」


 ミラ先輩だけは止めてくれ!

なんたってミラ先輩。

あの人にだけはこの姿を見られたくないよ!

写真取られて学院中にばら蒔かれる。

それは嫌だ。

ルイス先輩の例の事件みたいになる。

再起不能の大ダメージをくらう、間違いない。


「あたしがど〜かしたのかな〜?」

「……!」


 嫌な声。

無邪気で可愛い声なんだけど、今この場で聞くと体の芯から凍り付く程嫌な声。

恐る恐る振り返ると、やっぱりいた。

噂をすれば影が指すとはよく言ったものだよ。

まさかまさかのミラ先輩ご一行登場。

ただし、ディアナ先輩は何故かいない。


「や〜、フィーネ〜! 気合い入ってるね〜!」

「まさか……!? フィーネさんのサンタクロースを見抜いた!?」


 目の前にいたミラ先輩は俺を華麗にスルー、後ろにいたフィーネさんに恒例の抱き着きにいった。

フィーネさんの変装を見破っている。

アレンが驚くが、これまた女装が似合っていないテセウス先輩にミラにはフィーネさんがどんな姿になっても分かる能力があるんだよと苦笑いして言った。

……まさか、俺も気付いてくれる?

バレるのはミラ先輩限定で嫌だけど、気付いてもらえるなら嬉しいかも……

ちょっと矛盾してるけどさ。


「何故私と分かったのです?」

「あっま〜いねフィーネ! あたしには何も通じないの〜!」


 特殊メイクで皺だらけのフィーネさん……というよりサンタクロースの顔をチョンチョンとつつきながらミラ先輩がエヘンと胸を張る。

……何故分かったのか謎だ。

 そんなミラ先輩をフィーネさんから引き剥がしたテセウス先輩はアレンと同等と言っていい程女装が似合っていない。

失礼だけど。

たくましい感じのテセウス先輩が女装をすると、違和感しかない。

逆にシン先輩は違和感無し。

いい感じに纏まってる。

セイラやミュウさんと同じく、元が良ければなんでもありの法則だね。

ミラ先輩は……ぶっちゃけ変わりない。

普段通り。

唯一違うのは髪を結い上げてキャップの下に隠し、髪を短く見せてる事ぐらい。

大した新鮮味も無いね。


「皆いるね〜、っと言いたいところだけど、ユウキ君はどこに消えたのかな〜?」

「……」


 気付かれなかった。

何故フィーネさんは分かって俺は気付かれなかった。

……なんで?

俺よりフィーネさんの方が難易度遥かに高いでしょうが!

なんで俺は分からないのさ!?

差別、差別かミラ先輩!


「確かにいないな。……ところでこの子は? 一年のチェさんか?」


 チェさん、凄い有名人じゃんか!?

なんでテセウス先輩も知ってるのさ!

そしてそんなにそのチェさんと今の俺は似てるのか!?

チェさんに失礼だよ、男の女装に似てるって!

っていうかどなただよ、見たこと無いよ!


「いや……僕の推測ではチェさんじゃないね。二年のパクさんだ」

「あぁ、チェさんの姉の子か」


 顎に手を添えて真剣に考えた後、シン先輩が言う。

姉妹いるのかチェさん!?

っていうかそのネタからそろそろ離れてよ!

誰か俺の名前言ってよ!

いやマジで!

悲しい、切ない、侘しいの三つが見事揃ってるよ今の俺!


「いや……その子がユウキですよ」

「「なぬっ!?」」

「おぉ〜、いいスクープゲ〜ット♪」


 アレンがやっと俺が悠輝だと言ってくれたけど、やっぱり反応は同じ。

いや、ミラ先輩だけは物騒な事言ったけど、少なくともテセウス先輩とシン先輩は驚愕な表情だ。

……それほど驚く事なのか、毎度毎度疑問に思う。

そしてミラ先輩、どこからともなくカメラを取り出すのは止めて下さい。


「あら……皆揃ってどうしたの?」

「あ〜、罰で今回警備に回された二人だ〜」

「……みーちゃん、その呼び方止めてくれない? 一応私達も参加出来るんだからね」


 ミラ先輩がシャッターという悪魔のスイッチを押す瞬間、またもや後ろから声が掛かる。

顔を写真におさめられたくないから素早く振り向くと、そこにはディアナ先輩とエリー先輩。

ミラ先輩が言った通り、今回は例のアレン事件云々で何か騒動が起きたら抑える警備員の仕事を与えられている。

でも一応男装はしてる。

やっぱり元がいいから……割愛。

 ミラ先輩の丁寧だけどからかった感じの紹介に苦笑いをしながらディアナ先輩が言葉を返していると、エリー先輩と目が合った。

ディアナ先輩は気付いていないだろう。なんかそんな気がする。

じゃあ、エリー先輩は?

……期待は出来ないね。


「ユウキ君……? いや〜! 可愛くなってるじゃない! 流石私の未来の夫、何しても完璧!」

「き、気付いてくれた!」


 初めて、初めて俺を見て俺が悠輝だと分かってくれた!

何これ? 凄い感動する!

自分の存在に気付いてもらえる事がこれ程素晴らしい事なんて!

感極まって気付いたらエリー先輩飛び付いていた。

慌てて飛び退こうとしたら、ガッチリロックされた。


「なんか色々苦労してたのねユウキ君。大丈夫よ、私は未来永劫貴方の味方。ずっと側で支え続けるわ、だから安心して、あ・な・た♪」


 ……なんか大変な勘違いをされている!?

ちょっ!?

後ろからセイラの凄い殺気が!?

そしてミラ先輩のカメラのシャッター音が!

しかもこれは高速連写!

ヤバい、ヤバすぎる!

あ〜幸せとか言ってないでエリー先輩放して下さい!

今の無し、テイクツーお願いします!

マジで!

それに、む、むむむむ胸が当たってます!

ヘルプ、ヘルプミー!


「これは……いい記事になるなミラ」

「最っ高だよ〜!」


 ……もう俺、外歩けないかもしれないよ。

 神威です。

何かと更新が不安定で申し訳ございません。

来週からはテストなので、更新は遅れる可能性が高いです。

先に報告しときます。

 今回も、パーティーは始まりません。

次回から存分にクリスマス感を出します。

頑張って。

取り敢えずどうにかして悠輝をエリーの胸の中から引っ剥がす事から始めます。

 話変わって『W』。

ネットでは『笑い』の意味で使われるそうですね。

ネットに精通していない私や連れはこれの意味が分からず、首を傾げてました。

因みに今も私の連れは意味を知りません。

なので使わないんですよ、私。

因みに『W』、元々は『嘲笑う』って意味合いだったそうです。

なので『嘲笑する蛇』を略すと『W蛇』。

……ダサッ!?

アホっぽいですね。

 えぇっと、百万アクセス突破及び総合評価が千を越えました。

皆様、本当に感謝の極みです。これからも何卒よろしくお願いいたします。

 感想などを気軽に書いていただければ幸いです。

 それでは!

皆様に良い魔法を!

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