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資料  作者: 神威 遙樹
57/86

Outside story: Halloween magic

 特別企画。

……日付間に合わず無念です。

 ハロウィン、それはケルト人が収穫祭と共に先祖を奉る為に行った物が起源とされる物である。

勿論魔術的にも重要な日であり行事だ。

西洋の各魔術組織は様々な儀式を執り行い、自らの向上に勤しむ。

周知の通り日本には無い。

収穫祭はまた別の田祭などが存在し、先祖はお盆などで奉られる。

 そんな十月三十一日。

魔術組織ではないが、大体が西洋の魔術師で構成されている『学院』でもハロウィンは大切な行事である。

魔術系統は様々なので別段儀式はしないが、『仮装パーティー』なる物が開かれる。

年に数度、ハロウィンやクリスマスにはパーティーが開かれるのが学院。

重要な日に儀式は出来ないが、取り敢えずパーティーをするのである。

また、魔術系統ごとに簡易の儀式を勝手にひっそりする者も結構いたりする。

授業は中止にならない。

夜に行われるのだ。






「トリックオアトリ〜ト! フィ〜ネ♪ お菓子ちょ〜だ〜い!」

「どうぞ……なんですかその格好?」


 ハロウィンの『仮装パーティー』という物があるらしく、フィーネさんに何に仮装したいですかと訊かれたのは一昨日。

日本にハロウィンはないけど、テレビのニュースとかで報道されていたりするのでどんなのかは大体分かる。お化けに仮装してお菓子を貰うあれだよね。

カボチャのランタンのあれの筈。

何がいいと訊かれても、あんまりお化けの種類は知らない。フィーネさんのおまかせにした。

 そしてハロウィン。

パーティーに行く準備中に現れたのはミラ先輩達。

勿論仮装している。


「何って、またまたフィ〜ネ〜面白い事言うね〜。『魔女』だよ〜!」

「……いや、元々魔女でしょう、ミラ様」


 ミラ先輩の格好、魔女。

フィーネさんが突っ込んだ通り、学院にいる女子生徒と教授は魔女だ。

だけど、今のところ所謂『魔女』って感じの服装の人は見た事無い。

強いて言えば副学長の帽子ぐらいだ。

そんな魔女っぽい服装をミラ先輩がしている。

黒づくめ、片手に箒。

そういえばエリー先輩は箒で飛んでいたっけ。


「昔の魔女だよ〜!」

「……分かったから一旦フィーネさんから離れろ、何となく目のやり場に困る」

「うむぅ〜」


 フィーネさんからミラ先輩を引き剥がしたのはテセウス先輩。

……フランケンシュタイン?

因みに目のやり場に困るのは、フィーネさんも仮装をしていて、尚且つ何故か露出が高い。

本人曰く、ユニコーンだそうだ。お化けなのかな?

頭に一本角、白いレオタードっぽい服に、尻尾。

普段の給士服から考えると物凄いギャップだ。

スタイル凄い良いし。

……変態言うな、俺も男なんだから。


「や〜可愛いわねフィーネさん」

「ちょっといつもと違ったら凄い新鮮だよね」


 続いて出てきたのは勿論同じ班のディアナ先輩とシン先輩。

ディアナ先輩が……何だろう? 普通に白のドレスにしずくの形をした髪飾りをしているだけだ。

因みに方目はいつも通り隠れている。

シン先輩は分かる。

狼男だね。


「ディアナ先輩のそれはなんですか?」

「あらユウ君、チャーミングな仮装ね。私? 私はウンディーネ、四大精霊の中の水の精霊よ」


 ……ごめんなさい、普通にドレスアップしただけにしか見えません。

これでも精霊らしい。


「確かに悠輝君のは凄いね。日本のだよね?」

「まぁ……」

「自信作です」

「あら? フィーネさんお手製?」


 俺の服装……

着物に扇子せんす、以上終わり。

多少着物が派手だけど。

フィーネさん曰く、天邪鬼あまのじゃく

どっからそんな情報仕入れてきたのか知らないけれど、悪戯好きな妖怪。

実は日本神話に登場したり、天狗の先祖だとか言われたりと凄い奴。

でも仮装には思えない。

夏祭りに来たみたいだ。


「よし、俺達も準備終わったぜ!」

「完璧よ」


 ガチャリと部屋から出てきたのは吸血鬼のアレンとミュウさん。

吸血鬼のアレン、マントに牙、口元に赤いのがついているのは血だそうだ。

そしてミュウさん。

ディアナ先輩と同じくドレス、こっちは淡い緑色。

曰く、風の精霊シルフ。

風って辺りが似合ってるけど、ミュウさん赤毛だからね。

熱風とか操りそうだ。

どちらもフィーネさんお手製。

因みに今の今まで二人は儀式してました。

ハロウィンはケルト発祥らしいからね、儀式ぐらいするだろう。


「ゴーですセイラ!」

「うにゃ〜!」

「……やっぱり恥ずかしいよ」


 扉がちょっと開いて顔だけ出してるのはセイラ。

フィーリアとモモは仮装なし。フィーリアは妖精だから既に仮装済みとも言えなくもない。

モモは……虎だし。

恥ずかしいとモジモジとしているセイラを見てミラ先輩が動いた。

……これでセイラは嫌でも引きずり出されるね。


「や〜、可愛〜いよセイラちゃん!」

「ふわぁ!?」


 背中に回り、ドンッと押して強制登場。

皆の視線を一身に浴びて顔は真っ赤を通り越して紅蓮。

護符魔術も何も無しなのに物凄い速さで何故か俺の背中に隠れた。

セイラの格好、妖精。

フィーネさんが訊いたところ、セイラよりも先にフィーリアが「私と同じで!」と言ったのが発端。

ワンピース風の衣装に羽。

フィーネさんの次に露出が多い。

凄い足細いね、ちゃんとご飯食べてますか?


「はい、全員集合したし行くよ〜!」

「お前が勝手に乱入しただけだろ……」


 何故かミラ先輩が音頭を取って出発。

パーティーは大広間で行われる。

ハリーポッターもパーティーは大広間だったよね。

……セイラは俺の背中を掴んで離さない。

仮にここにレイラさんがいたらどうなってるのかな? 凄い気になる。


 大広間には既に様々なお化けに扮した人達がごった返してる。

立食パーティーっぽいね。立って食べたり話してる。


「トリックオアトリート、キタフミ」

「のわっ!? ハリス!?」

「悪いなユウキ。こいつ仮装はこだわるんだ」


 後ろからヌッと現れたのはハリスとラビ。

セイラは高速で俺の横に移動している。

ミュウさんが苦笑いしながらそっと隠している感じ。

仮装にこだわるハリス、そういえばミュウさんの誕生会でもピエロになってたよね。

ともかくハリスは……なんだこれ? カボチャのお化けだ。ランタン?

ラビはアレンと同じく吸血鬼。周りを見ればメジャーなお化けが多いのが分かるし、同じになるのは普通なんだね。


「ハリスの何?」

「よく訊いた! 昔昔あるところにウィルという……」

「長いからカットして俺が言うとな、ジャックオーランタン。カボチャのランタンだな」

「ばか野郎過程が大事なんだぞ!」


 ともかくハリスはカボチャのランタンらしい。

……あのカボチャ本物じゃないのかな?

ギャーギャーと騒ぐハリスを後ろから出てきた何かよく分からないお化けになったミランダが一発殴って謝りながら連れてった。

因みに帽子は普通に被っていたね。


「ユ・ウ・キク〜ン!」

「……エリー先輩、なんですかそれ?」


 人混みからダンッと跳んで出てきたエリー先輩。

避けたらマズイので取り敢えず受け止める。

いや、どちらかと言うとブロックが近い。


「何ってこれはね、ニホンの猫娘ってやつよ! いるんでしょ?」

「……まぁ」


 猫耳、尻尾、フィーネさんといい勝負してるね。

フィーネさんはフィーリアを隠す為のこれまたユニコーンをモチーフにしたとかいうハンドバックを持っているから、こっちの方が上かもしれない。

猫娘って……ゲゲゲのゲのあれかな?

どこで仕入れてきたの?


「仮装がナイスなカップル選手権出てみない? 勿論私達なら優勝よ!」

「いや……俺はちょっと遠慮したいです……」

「え〜、絶対勝てるわよ!」

「いや……あの」

「悠輝さんは私と出るんです」


 ……セイラ、今の今まで恥ずかしがってたのに何を言うのかな?

どんな方針転換かな?


「あら? いたの? ダメよ、貴女じゃユウキクンの魅力は最大限に発揮されないわ。私よ」

「私の方があってます。天邪鬼は元々神様の使いだったそうですし、私の妖精とぴったりです」


 ……なんでそんな事知ってるのセイラ?

初めて知ったよ俺。

そしてなんで急にさっきからずっと恥ずかしがってた妖精の仮装を全面に押し出すの?


「何よ!?」

「なんですか!?」

「いや……ここは公平にじゃんけんで……ね?」


 渋々ながらもじゃんけんを承諾してくれた二人は、そんなに気合い入れなくても良いのに物凄い気合いと呪力を込めてじゃんけんに取り掛かったよ……









「レディースエーンドジェントルメーン! さぁさぁ始まりましたよベスト仮装カップル選手権! 司会は私江原が勤めてさせていただきます!」

「……いつになくハイテンションですね、エハラさん。司会その2のユゥです」


 特設ステージの前でやたらとテンションが高い江原さんとユゥ教授が司会をしている。

ユゥ教授は何か、ギリシャの神殿とかの石像が着ている物を纏ってる。

江原さんは着物に下駄、顔の横には夏祭りでよく見かける天狗のお面がついている。教授も仮装するらしい。


「審査員はこの方達! まずはゼウスになりきってます、学長!」

「どんな子達かな〜? 面白かったら高得点あげるからね!」


 いやいや、そのコメントは要らないと思います。

白い髭を生やして形だけどっかりと座っている学長。

なんか不思議な光景。


「フランケンシュタインなエドワード教授!」

「うむ」

「……それだけですかエドワード教授?」

「……ん? 何かコメントしなくてはならないのか? ユゥ教授?」

「いや、別に……」

「最後に! 何故か美の女神ヴィーナスのジュエリー教授!」

「煩いわよタケシ! 私だって学長の頼みじゃなきゃこんな仮装にしないわよ!」

「おや? ジュエリー教授、公私混合させないのは貴女から言ってきた事では?」

「何を!?」

「はいは〜い、この二人緊急参加です」

「「ユゥ教授!?」」


 ……どうやら教授達も遊んでいるらしい。

日本じゃない様な感じで凄く新鮮だけど、学長はジュエリー教授のこれを狙っていたに違いないと思うのは気のせいかな?


「緊急審査員は三年のミラ・フィオーレさんです」

「よろしく〜!」


 ……あんたかい!?

ややこしくなるよ絶対に!

人選ミスだよユゥ教授!


「……なんで私、こんな企画に参加したんでしょうか?」

「いやいや、セイラからでしょ?」


 じゃんけんの死闘の末、勝利したのはセイラ。

ただし、今現在激しく後悔している。


「エントリーナンバー1、どうぞっ!」


 ユゥ教授に促されて出ていったのは、包帯に巻かれて巻かれて巻かれまくった包帯男。

あのカウボーイハット……まさかルイス先輩?


「ナンバー1、ルイス&アーニャ!」


 ……アーニャ先輩はここまで辿り着くのにいくつもの死闘を乗り越えたに違いない。

仮装がかなりボロボロになってるよ……


「いやぁ〜、ルイス君争奪戦はアーニャちゃんが勝ったか〜。それだけでポイントあげたくなるよ〜」


 ミラ先輩があんな事言ってるのに、ルイス先輩は気付かないのかな?

包帯で表情が全く分からないけどさ。

取り敢えず暑苦しそう。


「ナンバー2――」


 それからもどんどん人が呼ばれていき、遂には次だ。

因みにナンバー12。

結構エントリーしてるんだねと思う。


「エントリーナンバー12、どうぞっ!」


 呼ばれたので行くしかない。

セイラ、後ろに隠れてはいけません。

 ステージに立つと、改めて人多いなぁ……と思う。

あ、ミュウさんとアレンがこっち見てる。

……フィーネさん、そのカメラはいつの間に?


「ねぇねぇどういう組み合わせなのかなっ?」

「それは私から、日本と西洋の神様の使い、もしくはイタズラ好きな妖精コンビだそうです」

「ほほぅ……凝ってるな」

「セイラちゃんのうぶな感じがいいっ! 学長さんがポイントあげますよっ!」

「テセウス〜! シャッターチャン〜ス!」


 意外と二人には受けが良い。けどさ……ミラ先輩、貴女は何がしたいのさ?

 セイラの顔が紅蓮のまま、取り敢えず一旦脇に戻る。

大丈夫かな?


「大丈夫?」

「……なんとか……」


 辛うじて大丈夫らしい。

最後の発表の時にもう一回立つけど大丈夫かな?


「なんで私がタケシと!?」

「俺だってしるか!?」


 ステージ上ではジュエリー教授達がなんか揉めてますよ……

結構お似合いな気がするんだけどなぁ。



 どうやら全員終わったらしい。

審査員と見ていた学生数人が適当に選ばれて誰が良かったのか選考している。


「結果発表いきましょう!」


 更に数分後に結果発表、どうやら決まったらしい。

改めて全員が前に立つ。

だからセイラ、隠れない。

隠れたら意味無いじゃんか。


「栄冠の第一位は……ジュエリー教授!」

「なんでよ!?」

「……サッカーの試合帰って見よ……」

「第二位……ミスターキタフジペア!」

「やったね、二位だって」

「……あれだけ頑張ったのに二位……うぇぇぇ」

「どうしたの? のわっ!? ここステージの上! ちょっと!?」

「おぉ〜! セイラちゃん大胆に行った〜!」

「ミラ先輩は黙って下さい! 本当にどうしたの!?」

 ハロウィンだったのでハロウィンネタを一つ書いてみました。

『This is it』が見たくて仕方がない神威です。

こんな感じのコメディを入れてみるのもいいかもしれません。

本編の続きは明日か明後日にアップしますね。

 それでは!

感想などを送っていただければ物凄くありがたいです。

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