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資料  作者: 神威 遙樹
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NO,2: Encounter

 改めて城の近くに来るとその大きさが良くわかる。

森の中でこの城の周りだけ木々が無く、城自体は少し小高い丘の上に建てられている。


「凄い……城なんて初めて見るよ」


 初めて見る西洋の城に圧倒され、ボケ〜っとしていたが、いつの間にか周りが騒がしくなっている。

どうやら無意識に城の方へ近付いて行き、さっき見えた人混みの所まで来たらしい。

改めて周りを見ると見渡す限り外国人。しかも殆どが年恰好が自分と同じぐらいに見える。

また、何故かこっちを見て何か周りと話し合ってる。


「ちょっとそこの人、もしかして日本人?」

「……そうだけど?」


 不意に後ろから誰かに日本語で声を掛けられ、振り返る。

そこにいたのは茶髪で自分と同じぐらいの少年。

間違いなく日本人ではないね。

この人今、日本語喋らなかったかな?


「ワ〜オ! 日本人? へぇ、ここに来る日本人なんて珍しいな! 何学ぶの?ルーン? ケルト? 錬金術?」


 当の本人はやっぱり日本語で話し掛けてくる。

実は日系?


「は? いや、えっと……」

「おっと! ごめん、名前言ってなかったな! 俺はアレン・グレンジャー、アレンって呼んでくれ! 西欧では結構名が通ってんだぜ?」


 何を勘違いしたのか、自己紹介をしだす少年、もといアレン。

ニッとした笑顔が無駄に似合っている。


「で? 何学ぶの? ちなみに俺はケルト魔術!」

「魔術!? いや、ちょっと待って! ここどこ? 魔術って何?」


 自分はあの変人じいちゃんにいきなりかつ、無理矢理ここに飛ばされただけだ。魔術なんて聞いていない。


「は!? 魔術知らねぇの!? おいおいそんな冗談全然面白くねぇぞ?」

「いや……実は」


 頭の中がぐちゃぐちゃになりながらも、取り敢えず自分が何故ここにいるか理由をアレンに説明する。

信じてくれればいいけれどね……


「何というか、お前のじいちゃん個性的だな」

「そんな他人事で片付けないでほしいね」

「まぁ、取り敢えずユウキは魔術も、ここがなんなのかも全然知らねぇってわけか」

「そういう事だね……」

「封筒見してみな」


 アレンが言う通りに封筒取り出して渡す。

この封筒、よく見ると確かに普通のとは雰囲気が違う気がする。


「これ見てみな」


 中から取り出したのは、一枚の紙。

英語で『入校許可』と書かれている。

……入校?


「これは入校許可証。これが無いとあの門は開かないんだ。でも……」

「でも?」

「これは魔術師の家にしか手に入らない物なんだよな。……ユウキ、実は魔術昔習ってんじゃねぇの?」

「記憶に無いけど……」

「んじゃさ、実家の家業は?」

「家業? 一応、家はお寺だけど」

「寺か……じゃあミッキョーとかか」

「ミッキョーって……」

「なぁユウキ、お前この封筒以外に何か貰ってねぇの?」

「……無視ですか……」

「そんな事はいいから」

「えっと……他にはこの無駄に詳しい地図と……あっ、何かロンドンに着いたら見ろって渡された、変に分厚い封筒が一つあったかな」

「見してくんない?」

「ちょっと待って」


 自分が持ってきた着替え等が入った鞄を開け、奥の方からパンパンになった封筒を渡す。意外と重い。

何を入れたの?


「……これだな」

「何が入っ――」

「ほら!見てみな!」


 中に入っていたのは大量の訳が解らない文字が書かれたお札。

……布教活動をしろと?

信者を増やせって?


「多分、オンミョードーだな」

「オンミョードー? 陰陽道の事?」

「そう、それ。ユウキの家はオンミョージなんだよ」


 ……はっきり言って全然ピンとこない。

そんな、家が陰陽師だなんてあり得ない。


「全然ピンときてないだろ?」

「うん」

「まぁ、ユウキがここに無理矢理でも来さされたって事は、昔オンミョードーを習ってた筈だから。じっくり思い出せ!」

「んな無茶な……」

「それよりもユウキはここがなんなのかも知らねぇんだよな!」

「うん、何の説明も無かったからね……」


 次あの変人に会ったら殴ろう、そう決めた。

うん、絶対に殴る。老人を敬えとか言ったら更に殴ってやる。


「ここはな、『学院』って言う世界で唯一魔術を教える機関、いや組織だ!」

「いやそんな、どうだっ! って感じで言われてもね……」

「むぅ……反応が薄いなユウキ。でもな、ここ以外ねぇぞ、こんな施設」

「でも、世界で唯一の割には日本人とかアジアの人っぽい人が全然いないよ?」

「あぁ、それはな、アジアの魔術組織、特に日本のオンミョードーとかシントーとかは秘密主義で独自に育成してんの。だからこの学院の書庫にも日本の魔術に関する書物は多分ゼロだな」

「……あの変人、何で俺をここに送ったの?」

「いや、そんな事知らねぇよ!」

「だから俺、さっきからずっと見られてたの?」

「そういう事だな」


 成る程、物珍しかったのか……って、俺は見せ物か!?

パンダか俺は!?


「じゃあさ、アレンは今からケルト魔術習うのに、西欧じゃ結構名が通ってるってどういう事?」

「あぁ……それはな、さっきもちらっと出たけど、魔術師は同系統の魔術師同士で『組織』ってのを作るんだよ。それで、その組織ってのも独自で育成をするわけ。俺も組織に入ってるから、既に育成はされてんだ」

「ここ意味ないじゃん!?」

「ここはまぁ他の組織の奴が一杯いるからな。主に自分の実力を試し更なる実力の向上を目指す場、かな?」

「育成じゃないような……」

「教師もいるからな、その道の手練れ。その人達から教えを乞うわけだ」

「じゃあさ、何の為に魔術何て覚えるの? 今まで聞いた感じじゃゲームとかとは全然違う感じだけど」

「確かに、実際の魔術はゲームのとは全然違うな。別に万能じゃないし」

「じゃあやっぱり何の為に?」


 万能じゃないならそこまでして必要じゃない。

科学という立派な知識や技術がある。


「それはな、この世界には科学じゃ絶対に解明出来ない現象とかだってあるんだよ」

「それで?」

「まぁ焦んな。そういう現象には『呪力』ってのが絡んでるわけ。あっ、ちなみにこれが魔術の元の力な」


 つまりゲームでいうMPみたいな物かな?

マジックポイントってやつ?


「んで、その呪力ってのはさっきも言った通り科学じゃどうにもならない。それをどうにかするのに魔術がいるわけ」

「じゃあさ、魔術師って自然現象を研究する人の事を指すの?」

「いや、この現象はな……全部人に危害を及ぼす、所謂天災みたいなやつだな。それでまぁ、非常に危険な訳。しかも統一性が無く、同じ様な呪力が原因でも全然違う事とかが起きるんだ。んで、それは核……まぁ台風の目みたいなもんだ、を中心として起こるわけ。その核を破壊して元に戻すのが魔術師の仕事! かなり危険なんだぞ」

「成る程ね。そういえば何でアレンって日本語喋れるの?」

「あぁそれは……」

「それでは皆の者! こちらにの指示に従って、来い! 行くぞ!」

「……わりぃ、その説明とかは後でな。指示に従わなきゃ面倒そうだ」


 気が付けば一人の男の人が宙に浮いて叫んでいる。

 これが魔術か……って、これでも十分ゲームじゃん!? 浮くって凄い事だから!


「何があるの?」


 全員が何処か、明らかに城とは別の方向へ向かっている。


「噂には聞いてたけど、やっぱりあるのか……」

「聞いてる?」

「ん? あぁ、悪い。何があるか? 多分、『入学儀礼イニシエーション』だと思う」

神威です。 やっと一人新しいキャラ出てきましたね…でも、ぐだぐだ… 頑張って纏められる様にしないと… アドレスとかあれば幸いです。なにぶん素人なので…では、また次回

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