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資料  作者: 神威 遙樹
21/86

NO,20: Ruhig wald

なんとなく思いついた前書き用のネタ。

『キャラの元になった人達』

第一話


「ねぇカムイ兄さん! あたしが英語教えたげる!」

「おっ、サンキューな」

「アウチ〜(Ouch)」

「? アウチ?」

「アウチ〜」

「ア、アウチ……」


 ピトッと人差し指を私の人差し指にくっ付ける。


「♪ ママ〜! ET兄さんだよ〜!」

「……なんでET知ってんだろ? まだ六歳だぞ?」


 ……ホームステイ先での妹、その名はセイラ。今思えば性格は全然違ったり。

 『禁忌』、魔術師にとってそれは絶対に破ってはいけない鉄の掟を犯した者の意味。


「……なんですって?」


 その言葉を聞いたミュウさんは、大きく目を見開いてもう一度訊く。

それ程までにあり得ない言葉なのだ。あまりの剣幕にフィーリアはたじろぎながらも言葉を返す。


「禁忌、っていうのが絡んでいると森の木々や草花、鳥達が言っています。厳密な意味は私には分かりませんが、明らかに普通の呪力災害とは違うと思います」


 森の妖精フィーリアは森に住む生き物や植物と会話が出来る。森の異変は手に取る様に分かり、信憑性は高い。


「……フィーリアはどうしたいの?」

「……私、私は森に行きます」


 静かに訊いたセイラに、決意した様な眼差しでフィーリアが答える。止めても無駄、そんな雰囲気を纏って。


「そう……じゃあ私も行くから、出発は夜にしよっか。昼間に抜けたら怪しいでしょ?」

「……ぇ?」

「お待ち下さいセイラ様」


 当たり前の様に答えるセイラにフィーリアはたじろぎ、フィーネが止めに入る。


「禁忌かどうかは私には分かりませんが、どちらにせよ危険です。考え直して下さい」


 無機質だが、どこか焦っている様に聞こえるフィーネの声。


「大丈夫です。無茶はしませんよ」

「セイラさん、ダメです!私の我が儘に付き合わなくても」

「フィーリア一人が行ってもどうにもならないでしょ?」

「セイラがついていってもやっぱり危ないよね。こういう時は人数多い方が良いよ」




 ――セイラの発言は予想通りだった。きっと自分も行くと言ってきかないと、ね。俺が行ってもさほど変わりはしないと思いけど、いないよりはマシだと思う。


「「ダメです!」」

「却下します」

「ぉぉっ!?」


 一瞬で二人と、フィーネさんにダメと言われた。自分はよくて人はダメって我が儘だよ。


「んじゃあ俺も行くかな、ミュウはどうする? ってあれ?」


 アレンも行くと言い、ミュウさんはどうすか訊く。が、いない。


「どこいった?」

「誰が?」

「いや、ミュウが……っていた!?」

「煩いわね。私は勿論行くわよ、最近暇だったし」


 暇潰しの為ですか?

暇潰しの為に命懸けるんですか、ミュウさん?


「でも皆さん危険です!」

「自分は行くのに人にそういうのは説得力無いわよ?フィーリア、セイラもね」

「「……」」


 フィーリアに続いて何か言おうとしたセイラを事前に封じるミュウさん、流石としか言い様がないね。


「出発は夜、これはセイラの言う通りよ」

「お待ち下さい、 「さぁて、朝食にでも行きましょ。早くしないと授業も遅刻しちゃうわ」……」


 フィーネさんの台詞を途中で中断させ、一人さっさと部屋を出ていく。

微妙な雰囲気が辺りを漂うが、一人一人後を追って部屋から出ていった。




 ――全員が部屋を出ていった後、フィーネは一人部屋の中心で立ち竦んでいた。彼女には感情という物は無く、どんなに思考しても悠輝達がとった行動の意味が解らない。

ただ、自分でもどうやって思考したら出てくるか解らない、何とも言えない考えというか、口では言い表せない物が頭の中に渦を巻いていた。

 暫くして彼女は何かを考え出し、一人静かに部屋の掃除をしはじめた。




 ――大広間には険悪な雰囲気が漂い、生徒の殆どが不安そうな表情をしている。職員達のテーブルでは学長はいつもと変わらない表情だが、他の職員はどこかいつもと違う。


「……凄い空気だね」

「まったくだな」


 自分達が入ってきただけで殆どの生徒から視線を向けられた。どんなに神経質なの?

会話を盗み聞きしてみると、フィーネさんが説明したとおり大規模な呪力災害が発生している、という事になっている。


「や〜っときた〜」


 険悪な雰囲気もなんのその、周りの視線も何処吹く風、いつもと変わらない声でミラ先輩登場。

いつもは挨拶する程度だが、今回は少し違うらしい。


「なんですか?」


 ミュウさんが適当に挨拶をして返す。一応先輩なんだけどね、恐ろしい度胸してるよ。


「むぅ〜ノリが悪〜い」


 口を尖らせて文句を言うミラ先輩。先輩と後輩の関係が全く逆に見える。


「で、なんですか?」

「むぅ〜……」


 素っ気ないミュウさんに落胆する先輩だが、切り替えてこっそりと話し出した。


「今日の授業が終わったら全員あたし達の部室集合ね〜」

「部室?」

「新聞部だよ〜」


 なんか軽いノリだが重要なのかな? ミラ先輩はそれを告げると自分のいたテーブルに戻って行った。


「放課後でしょ、どうするの?」

「行くわよ。多分今回の事だと思うわ、新聞部なんだから情報の一つや二つ持ってるでしょう」


 行くか行かないか訊いてみたら、直ぐに行くと返された。別に他の人も反対はしないらしく、意外と直ぐに決まった。

 料理が運ばれてきて、険悪な雰囲気の中の朝食はかなり疲れた。




 ――同じ頃、学院の一室。レイラ達が泊まった部屋である。


「森はかなり面倒な事になっているわね」

「おそらく我々が来る事は予測してましたな」

「如何されますか?」


 運ばれてきた朝食を摂りながら三人でこれからの事を話し合う。

正直これだけの人手ではキツイ。かといって組織からの増員は見込めない。

妨害された儀式は重要な物だった為、かなりの人数が立ち合っていた。それを妨害され、負傷した人数はかなり多い。手が回る程人手が余っていないのだ。


「捜索にあたる人数は今のままでいいでしょう。現状では数を増やせば質が落ちます、カバーしている暇などありません」

「しかし……」


『コンコン』


 マリアが何か言おうとした時、誰かが部屋にノックをする。


「どちら様で?」

「連盟の江原です」

「……どうぞ」


 ガチャリ、と扉を開く音が聞こえ、連盟の江原が入ってきた。


「何か用かしら?」

「連盟からは一名こちらに派遣されるとの事です。ただ、諸事情により到着は遅れると」


 諸事情とは、たんに派遣される人物が駄々を捏ねているだけなのだが……情けない。


「一名とは随分余裕ね」

「貴女方がいますからね。捜索には私も加わりますので」

「今晩から?」

「そのつもりです」

「そう……」


 レイラの返事を聞くと、さっさと部屋を出ていく江原。必要最低限の事しかしないらしい。


「さて、新参者も来た事ですし作戦でもたてましょうか」


 江原の事などなかったかのようにレイラはフフフと笑って話を続けるのだった。その笑みは、獲物を狙う鷹のようだったという。




「よく来たねぇ〜♪」


 ミラ先輩に言われた通り放課後新聞部の部室に行くと、そんな事を言われた。なんというか、周りの空気を読めていない。


「あっれ〜? 反応薄いね〜」


 ……この先輩は将来社会に出て大丈夫なのかな?

周りの人達も呆れた視線を送っている。

ちなみに、集まったのは一、二、三年の優秀班。要するに前のフェーデの時のメンバー。


「ミーチャンもういいから。ほら、話始めよ?」

「むぅ〜」


 空気が読めないミラ先輩を誘導しにかかったのはディアナ先輩。そういえばディアナ先輩はミーチャンだのテッチャンだの色々とあだ名を付けて呼んでる。

俺のとかもあるのかな?


「仕方ないね〜。今回集まったのは皆に面白〜い情報を分けてあげようと思ってなの〜」


 面白い情報……嫌な予感しかしない。


「実は! この呪力災害、普通の物じゃないんだよ〜!」


 ババーン! って感じで言うミラ先輩。

ごめんなさい、知ってました。朝には知ってました、それ。


「どういう意味っすか?」

「今まで僕達が入学してから今日までで発生した呪力災害は今回を除いて三回。だけど森への立ち入り禁止なんてされなかったんだよね」

「あっ!? ちょっとシン〜あたしの台詞〜」


 ルイス先輩達は俺達とは違い、この事については知らないらしい。って、当たり前か。

ルイス先輩の質問はシン先輩が返し、台詞を取られたミラ先輩は膨れている。


「要するに、普通の呪力災害じゃないって訳。先生達の食事中での雰囲気とかも変でしょ?」

「専属のオートマタから聞いた『大規模な呪力災害』、これもきな臭いのよ」


 シン先輩とディアナ先輩が相次いで説明をする。


「な、何がきな臭いんですか?」

「大規模って言われてるのに森が全く荒れてない。窓から見てみて」


 ラル先輩がおどおどといった感じで訊く。小動物みたいだね。

 その質問に答えたディアナ先輩が窓の外を見るように全員に促す。

確かに森は全く荒れてない。いつもと全然変わってない。


「普通大規模だろうと小規模だろうと呪力災害が発生したら何らかの形で異変が起きるわ。でも、森は全く変化無し。異変の欠片も無いわ」

「……実は呪力災害なんて無かったと?」

「むしろ逆よ。これは相当異常な呪力災害が発生しているわ。森の前に小さな石が等間隔で並べられているの、双眼鏡とかでしかここからでは見えないけど」

「どういう意味っすか?」

「おそらく学長のルーン魔術で本当の森の姿を隠している。今見ているのは幻影よ」

「!?」


 ……これは予想外、セイラもミュウさんも驚いた顔をしている。

という事は、中は相当ヤバいって事だよね。


「そこであたし達からの提案なの〜!」


 ちょっと間が空いたところにミラ先輩が一気に喋りだした。ずっとこのタイミングを待ってたに違いない。


「あたし達で、あの森の中に乗り込んでみない〜?」

「……」


 とんでもない事を平気で言い放つ。馬鹿だろうか? 周りは信じられない、って顔をしている。が、三年の先輩達はやる気がありそう。

そういえば、『あたし達』の提案って言っていた。


「悪いですけど……」

「乗った!」

「はっ!? ちょっ!? アーニャ!?」


 ルイス先輩が断りをいれようとした途端、アーニャ先輩がそれを遮った。


「馬鹿か!? 下手したら死ぬんだぞ!?」

「問題無いわ、私が保証する」


 キラリと掛けている眼鏡を光らせて言う。


「皆も異論は無いわね?」

「べ、別に良いよ……」

「ボクも全然OK」

「なんでお前等はすすんで命をかけに行く!? っていうかラル! お前ほんとに行く気あるのか!?」


 アーニャ先輩が他の人に訊くが、異論なし。

すかさずルイス先輩が少しどもったラル先輩に問い詰める。


「なっ!? 失礼な、私だってちゃんと行くもん!」


 ラル先輩逆ギレ、あんまり迫力は無いがルイス先輩は引き下がる。

なんとなく可哀想。絶対にルイス先輩に物事を決める権利は無いね。


「あなた達はどうするの?」


 ディアナ先輩がこっちを見て訊く。


「勿論行きますよ、元々行く気でしたし」

「へぇ、それはそれは」


 ミュウさんが即答し、ディアナ先輩が面白そうに見る。どうやら『元々行く気だった』って部分については反応したっぽい。

 しかし訊いてくる事はなく、何も言わずに視線を外しただけだった。


「全員行くんだね〜! んじゃあ夜9時ここに集合ね〜、職員の人に見つかっちゃダメだからね〜」


 のんびりとした声だが、はっきりとした意志が込もっている。いつもとは少し違う感じ。

 かくして森の中に入るという事は決定し、フィーリアの言っている事が本当なのか確かめられる様になったのだった。

 こんにちは、神威です。金曜ロードショーでのエヴァンゲリヲンを友人に勧められて視聴。途中で前書きで登場した妹ではなく本当の妹が一緒に見ているに気付く。 若干エロイシーンが入る。 非常に気まずい。 心の中で少し友人を恨んだ。          ……さてどーでもいい話はおいといて、文章の感想やアドバイスをお待ちしてますので気が向いたら送って下さいね。ではまた次回!

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