NO,1: The beginning
俺、北藤悠輝は今まで少し変だが比較的普通の生活を送っていた筈だと思う。
『少し変』とは家が寺で、じいちゃんがそこの住職。そこまでなら普通かもしれない。
だが、このじいちゃんが曲者だったんだよね。
「男たる者、腕っぷしは強くせい!」
などと空手、柔道、剣道等を叩き込まれた。
しかもわざわざ山籠り。
山に籠る意味が分からない。熊に打ち勝てと?
また、
「これからは英語の時代なのじゃ!」
などと言い、小2の時から英語の勉強をさせられた。こちらは小学校卒業までに英検1級を取れなどと言われた。
不可能だね、取れたら新聞に載れるよ。
要するに、突拍子もなくいきなり〜をしろ、などと言い出すのだ。
お陰で俺は自分で言うのもあれだけど、英語とスポーツ、そしてたまにふっかけられた喧嘩で一目置かれる様になった。
言っとくけど、そんな喧嘩ばっかの荒れた生活は送ってないよ?
故に『少し変』
だけどあくまでも『少し』。
柔道は中学で部活として続けたけど、県の上位までいけてもそこまで。上には上が一杯いる。
英語も普通に外人とは普通に会話が出来るが、難しい格言や早口になると解らない。特別な力など何も無い。
なのでこれからも少し変なじいちゃんに振り回されながらも、普通の生活を送ると思っていた。
なのに夏休みの中盤、いきなり何かが入った封筒を渡され『悠輝や、お主はロンドンへ行け!』である。
勿論理由は不明。
今までに無いくらい反抗したが、結局無理矢理行かされてしまった。
その時必死に親に助けを求めたけど
「「頑張ってね♪」」
と言われて見放された……大体、頑張ってねって何をだよ?
「……あり得ない」
そんな事を思い返しながら、俺は今目の前にあるどでかい門を見上げている。
封筒と一緒に渡された、やけに詳しく書かれた地図を見ながら、地図上で赤いバツ印がついた場所を目指したら着いたのである。
別にここを目指せ、と言われてはなかったが、多分あってると思う。
しかし、着いた場所は門。しかも中は森。
……間違ったのかな?
そう思いながらも、俺は門の鍵が開いているかどうか確認しようと一歩前に出てみる。
その瞬間、まるで迎え入れるかの様に門が音も無く開いた。
「せっかく開いたんだし、中に入ろうかな……」
いかにも不自然、怪しいけど実は自分の知らないハイテクな機械で開く、最新の門なんだろう。
そう割り切って進む事にする。
迷ったら進め、これが俺の持論である。
歩き始めて10分ほどたったけど、ずっと森。
道が真っ直ぐ続いているので、先には何か建物があると思ったんだけど、朝霧のせいで全く見えない。
更に10分ほど歩いただろうか?
急に今まで立ち込めていた霧が晴れ、目の前に巨大な城が現れた。しかも、朝早い時間なのに人が城の前に沢山いる。
「……何これ?」
人間は急な出来事に上手く対処出来ないらしい。
しばらく呆然と立ちすくんでいたが、取り敢えず城へ行こうと、一歩ずつ城に向かって歩き出した。
神威です。 すいません…だらだら長いですね… しかも、説明ばっか。後一回ぐらい仕方なくこんな感じになると思います。 ほんと、ごめんなさい… 次からは出来ればもっと読みやすいように頑張ります。 アドバイスなどあれば嬉しいです。 では、また次回