NO,18: Exile
サブタイトル、これについては突っ込み禁止です。 別にあのアーティストから取った訳ではないです。 EXILEの意味は追放者、亡国者って意味なんです。 でも私はEXILEのファンです、好きです。EXILEもJ,soul brothresもcolorも、分からない人は訊いて下さい、熱く語ります。 後はコブクロとかグリーンとMr.Childrenとか聞きますね。はい、余談でした。それでは20話どーぞ!
「『禁忌』とは魔術師が絶対に行ってはいけないと定められているものです。すなわち、呪力と一体になる事、霊脈の破壊などがあげられます」
フェーデがあった日より一週間が経った。そろそろ学院の生活にも慣れてきた頃である。
ちなみに、あのフェーデの後ミュウが悠輝を指名したが、泣いて説得して結局悠輝はフェーデを行っていない。
「ねぇ、呪力と一体化って何?」
現在魔術史の授業の真っ最中である。
悠輝は授業を聞きながらも、意味の分からない部分に首を傾げ、隣のセイラに訊く。
「呪力と一体化ですか? それはですね、呪力を多量に取り込み世界と重なる事。要するに世界と融合する事です」
「融合?」
「はい、世界と一体化する事で普通ではあり得ないくらいの呪力を扱える様になります。呪文も呪物も必要なく、ただ思う事で魔術が扱えます。ただ、多量の呪力を吸収した場合自分自身の体から呪力が溢れ出る事になり、そこにいるだけで呪力災害を引き起こします」
「うぇ……」
そこにいるだけで呪力災害を起こす、最悪だ。
そりゃ『禁忌』になるね。
「でもそんな事して大丈夫なの?」
そこにいるだけで呪力災害を引き起こす体。
体がもたなそうな気がする。
「確かにある程度実力が無ければ自滅する事になります」
「やっぱり……」
「でもこれに手を出す人は意外に多いそうです。例えば――」
「こらそこ! 私語はしない!」
「「す、すいませんでした!」」
セイラが何か言おうとしたが、ジュエリー教授に遮られる。
そういえば授業中だった。怒られても仕方ないね。
二人揃って謝るが、何が面白かったのか教室は笑いに包まれた。
――学長室、通称秘密の部屋。
「……この学院の敷地内に、未完ながらも『禁忌』に手を出した魔術師が潜伏しているの?」
「可能性の話ですわ。ただ、確率は高いので捜索を手伝っていただきたいの」
「連盟にもその話は届いています。学長殿、決断を」
話し合っているのは学長であるアリス、連盟の江原、『レメティア』首領のレイラ。
「……連盟はどうするのかな?」
「存在を確認しだい、拘束する為の部隊を派遣するかと」
「ちょっと待ちなさいな。私達が妨害を受け、取り逃がしたのです、私達が決着をつけたいわ」
「しかしそれは……」
「……決めた。この問題は学院としても明るみには出したくない物。私達とレメティアの人達で片付ける!」
「だそうですよ、江原さん?」
「……仕方ありません。話は私からしておきましょう。幸いこの問題は上層部しか知りませんのでね」
「あら、気前が良いわね」
「但し、こちらも数名は動きますよ?」
「数名でしょう? ならいいわ」
「私達もいいよ!」
「わかりました。では、伝えてきます」
そう言い、さっさと部屋から出ていく江原。
彼の頭の中では今、どうやって上層部に言い訳するか必死で考えている。
江原が部屋を出ていくと、レイラがこれからの事を話し出す。
「こちらもあまり人数は出せません。儀式の妨害をくらい徒弟の多数が負傷、動ける者がかなり制限されているうえに色々と別の事で動いている者もいますので」
「問題ないよ。うちの職員は優秀だからね♪」
「それは心強いわね」
静かにレイラは微笑み、窓から外を見て言った。
「捜索は夜にします、それならそちらの生徒も気付かないでしょう」
「それが良いね。貴女の妹さんにも秘密にするの?」
「……えぇ、秘密にするわ。私がここに来ている事も、レメティアの事も」
「どうして?」
「あの子には幸せになって欲しいのよ……」
「貴女は不幸なの?」
「いいえ。でも、あの子には『普通の女の子』としての幸福をあげたいの」
「……普通の女の子の幸福?」
「『恋』とかかしらね」
そう言って微笑む少女の顔は、アリスには切なく見えた。
王とは孤独。
全てを統べるのだから誰よりも優秀でなければならない。すなわち、肩を並べる者がいない。
せめて妹だけでも幸せになって欲しいという、姉の願い。
「きっと幸せになれるよ、妹さんも、貴女も」
「フフ……そうなると良いわね」
「……了解した。そうしよう」
「江原からの電話はなんて?」
――連盟本部
江原からの電話を受け、一人思考を巡らす男。
今頭の中では、誰を派遣するか決めているのである。 そんな男に話し掛ける者が一人。
「……聞いてる? 江原からの電話はなんて?」
「学院とレメティアの者達が動くから、我々は少数でいいようだ」
「そうなの!? やった! あたし行かなくて良いんだ!」
「……なんで行かなくて良いと判断した?」
「相手は未完の者よ、学院とレメティアが動くならあたし達なんて適当にメンツ揃えたらOKでしょ?」
「……一理あるな。だが念を入れて派遣するのは貴様一人にしよう」
「は!? なんでよ!?」
「煩い、さっさと学院に行け」
「だからなんでよ!? ちょっと!? 背中押すな! 扉を閉めるなー!」
――悠輝達の部屋。
「うぅ〜……」
悠輝はテーブルにひれ伏している。
その下にはノートが広がり、シャーペンが隣で転がっている。
「分かんない……」
現在宿題の真っ最中である。ちなみに教科は天文学。
「悪いな、俺は天文学取ってないからなんとも言えない」
ソファーに座って悠輝を見ているアレンが申し訳なさそうに言う。彼は天文学を取っていない為、アドバイスのしようがない。
だがこの宿題、実は非常に基礎的な物である。
現にセイラは一瞬で終わらせ、ミュウと一緒にフィーネさんに料理を教わっている。彼女達は料理がからっきしなのだ。
「無理だよ〜」
セイラのノートを見るが、何故そうなったか分からない。これでは万が一当てられたりしたら写した事がバレる。必死に理解しようとするが、できない。
セイラのノートの上にある、丸っこい少女文字(英語)が言っている意味が分からない。
「うぅ〜」
虚しく部屋に呻き声が響く。
「ユウキさん、困ってますね」
後ろで聞こえる呻き声を聞いてセイラが呟く。
「助けてあげたら?」
「ダメです、ユウキさんの為になりません。それに折角大広間で夕食を摂らずにフィーネさんに料理を教わってるんです、私も料理が出来るようになりたいです」
ミュウがセイラに言ってみるが、あっさり拒否された。彼女が言うなら仕方無い。自分も切り替えてフィーネを見る。
女たる者、料理ぐらいできた方が良い。が、しかし彼女達は全く出来ないのだ。これは魔術師としてではなく、女としての修行である。
スッと静かに今までセイラの頭の上で二人と同じくフィーネの調理を見ていたフィーリアが飛び、窓際まで移動した。
「――? どうしたのフィーリア?」
突然の行動に少し驚き、セイラが訊く。
「いえ……一瞬森がざわついた気がしたんですが……気のせいだったみたいです」
そう言って再びセイラの頭の上に戻る。
セイラ達も特別不思議がる事もなく、再びフィーネの方へ向く。
「どっかの教科にヒントとかないかな〜」
その頃悠輝は別の教科のノートを取り出し、宿題のヒントを探す。
当たり前だがある筈がない。が、時に人とは無意味な事をしたくなるときもある。
一人暇なアレンは窓を開け、のんびりと外を見る。別に黄昏てる訳ではなく、単純に気分転換の為である。
ゴォ、と風が窓から部屋に入り、悠輝のノートを数冊飛ばす。
「あっ!?」
悠輝は急いでノートを拾う。
「気を付けてよ!」
「わりぃ」
頭を掻きながら戻ってくるアレンに注意する。
あんまり効果は無さそうだが……
平和な一日だ、そう思う悠輝である。
風に飛ばされたノート、その一冊に、
『禁忌』を犯した者は拘束され、監禁、若しくは抹殺と書かれていた。
窓の外から見える森、ゆっくりと、だが確実に、不穏な気配が立ち込めてきた。
それは魔術師が活動する世界の裏、そこからも追放された者が出す気配であった。
神威です。前書きは余談に走りました。 でも実際に好きなんだから仕方無いです。 更なる余談としては先日TSUTAYAで初音ミクのアルバムを発見しました。彼女には中学の卒業の時、先生達には秘密でオリジナルの曲を作って歌おうプロジェクトで大変世話になりました。生徒会、学年で絶対一つはある騒がしいグループ(私達)、音楽に精通した吹奏楽部の女子で右往左往しながら曲を作った思い出が甦りましたね。ちなみに彼女達ボーカロイドの曲を元に作ったキャラも数人います。大分先に登場予定。 ではまた次回!