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資料  作者: 神威 遙樹
13/86

NO,12: A questioner, respondents,& Porson of respondents interests

長かったので前話と分けたんですが、くっつけた方が良かったかもしれません。短いです。前話と比べると、およそ二分の一です。

 マジックタイムズという校内新聞を書くためにやって来たお二方。

片方はフィーネさんにべったり。何しに来たんだ?


「さっき君には言ったけどね、君達についてを記事にしたいんだ」


 そう切り出したのは、浅黒い肌に、黒髪のテセウス先輩。

この人は真面目に新聞を作る気だね。


「良いわよ!」


 そう言ったのは我らがミュウさん。

この人は絶対に良いって言うと思ってた。


「待って下さい。上級生はまだ最優秀班を知らない筈です。何故知っているのですか」


 聞いたのはフィーネさん。ほっぺたをプニプニしているミラ先輩をものともせず言いきった。

っていうか、機械なのにほっぺたプニプニしてるんだ。何でできてるの?


「それはね〜学長に聞いたんだよ〜」


 答えたのはミラ先輩。

質問には答えたが、ほっぺたをプニプニするのは止めない。


「どのようにして」

「ケーキで買収〜」


 ……あの人本当に学長なのかな?


「副学長に言います」


 そう言ってフィーネさんはバッと立ち上がって部屋を出てしまった。

ミラ先輩はその瞬間に後ろへ跳び、何事も無かった様にソファーに座る。


「本人の許可も出ましたし、質問を始めます」


 許可したのはミュウさんだけなのにね。


「まず名前をお願いします」


 左から順番に名前を訊いていく。

ちなみに俺は右端。

 先輩方は三人の名前を聞いて驚きの表情をする。

そりゃそうだ。家が凄いからね。


「最後に君、名前をお願いします」

「えっと、北藤悠輝です」

「日本人!?」


日本人はここでは珍しい

らしいが、こんなにデカイリアクションされるの?


「凄い班だね。名のある組織の直系二人、その組織の腹心の一族の直系、更には未知数の日本人」


 ……いつの間にか俺に未知数って付いている。

それって凄いの?


「ついでに悠輝君、どんな魔術を使うのか教えて欲しい」


 三人にはしなかった質問。何で俺だけに?

あぁ、皆有名だから分かるのか。


「陰陽道ですけど……」

「オンミョードー!?」


 『陰陽道』ってちゃんと言える人、セイラだけなのかな?

 先輩は驚きながらもメモの上でペンを走らせる。

その速度は、F1並み。


「ユウキ君って凄いね〜日本人なんて一人しかいないでしょ〜」


 ニコニコなミラ先輩に話し掛けられる。

この人は、何もしていない。本当に何しに来たの?


「まぁ……一応江原さんがいますけど」


 あの人、学院の人じゃないからね。


「では四人には今年の入学儀礼がどんなものだったのか、また、どのようにして圧倒的な早さで合格したのか訊きます」


 それから始まる質問攻め。

テセウス先輩は真面目に質問するけど、ミラ先輩は聞いてるだけ。

いる意味無いよ?


「じゃあこれくらいにするよ、ありがとう。最後に、先輩として後輩の君達に学院に関しての、質問に答えよう。何か気になる事があったら訊いてくれ」


 お礼のつもりなのか、先輩としてアドバイスをくれるらしい。


「えっと、授業ってどんな感じなんでしょう?」


 先陣切って訊いたのはセイラ。

真面目な彼女は授業について。


「普通に教授が前で話をしたり、魔術書グリモワールを読んで論文書いたり、実技で試合をしたりする。表の学校と基本は変わらないと思う」

「俺もいいですか? えっと、学長が食事に来る度にあんな空気になるんですか?」


 あの空気はダメだ。

あんな空気でずっと食事をするのは嫌だ。


「新入生は『小さい』って言葉がタブーなのは知らなかったんだよね。あれで三日間機嫌悪くなるんだよ、学長。明日には変な空気が流れないと思う」


 良かった……

けど、誰も口に出していなかった筈。

思う事すらタブーなのか……


「まだ何かある?」


 そう言って周りを見るが、誰も訊かない。


「じゃあ僕達は」

「待ちなさい!」


 帰ろうとした先輩をミュウさんが止めた。

しかも命令口調。


「最後に訊いとくわ。ここで一番強い生徒は誰かしら?」

「……セイラさんだろうね」


 なんて質問してるの!?

っていうかセイラなの!?


「確かにセイラは血も、それを操る才能も一級品ね。けど、魔術師の『腕』っていかにして、自分よりも強大な血の差を覆すって事じゃない? まぁ、それもセイラが一番かも知れないわね、入学儀礼で見る限り血に頼った戦い方じゃなかったから」


 魔術師の『腕』

それは絶対的な血の差を覆す為に、どの様にして魔術を扱うかを指す。

 才能も努力も長年の研究も、いくらしたって血の差を埋めることにはならない。否、埋める事は出来るが少しだけなのだ。

 だからこそ、いかにして戦うか、経験や慣れによって培った『腕』が重要になる。


「……」

「答えられない質問かしら?」


 ミュウさんの質問に詰まる先輩。

さっ、とミラ先輩を見た。


「あたしだよ〜」


 そう言って、ニッコリ微笑むミラ先輩。

どこかしら、雰囲気がさっきと違う。


「ここには誰が一番強いか、そんな事を決める行事は無い。だけど、実技の成績、実績、能力を見たら彼女だ」

「へぇ、ありがとう、教えてくれて。またその実力を見てみたいわ」


 ミュウさんは不敵に微笑む。

まるで、自分が越えると言わんばかりの態度。


「では、帰るとするよ」


 先輩方はそう言って部屋から出ていった。


「なんて質問してんだ、お前!」

「良いじゃない、私は『最強』って言葉に惹かれる年頃なの」

「あのなぁ……」


 アレンがミュウさんに怒っているが、効果は無し。はっきり言って、ミュウさんは最強になるつもりだ。


「別に最強になるつもりは無いわ。ここにはアレンとセイラがいるから、私じゃ無理よ」

「……」


 訂正、ミュウさんは自分の実力を分かっていた。

それだけでも十分強いと思う。過信する人は弱いからね。

 俺は明日の授業を決める為に、フィーネさんに渡された紙を見た。

 ……あ、フィーネさんまだ帰ってきてない。






「あの子、ミュウちゃんだっけ? きっとあたしより強いよ。多分、他の三人も」

「……どうして分かる?」

「フフッ、勘かなっ?」

「いつもの口調じゃなくなってるぞ」

「あっ、そう? いけない、つい興奮しちゃった」

「……相変わらずだな」

「強い人見るとワクワクしない?」

「しないな、無謀な事はしたくない」

「人生つまんないよ?」

「そんな事はない」

「そうなの? あっ、面白い話聞けたね。教授達もビックリだよ!」

「そうだな、良い記事になる」

「あぁ〜あ〜、あたしもあの子達と授業がしたいな〜」


 無限の期待を彼等に寄せて、ここにもまた、彼等に興味を持つ者達が現れた。

神威です。       本当は、前話とここまでで一話だったんですけど、長そうだったので分けました。……微妙に後悔。   取り敢えず、さっきと授業の話も終わらせて、次の話に行きたいです。    ではまた次回!

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