NO,9: Accoglienza!
つなぎの話なので、サブタイトルが思い付かなかったです…… ここまで長くなったの予想外だったんです……
最初に悠輝が見た城。
先程まで入学儀礼をしていた古城よりも更にでかく、美しい。
その前に悠輝達はいた。
「魔法習うとこってさ、どうして城が多いの?」
「ここ以外に無いだろ?」
「ホグワーツは?」
そういえばここ、ホグワーツに似てる。
森の中だし、でかい城だし。
「あれは作り話だろ?」
「いやいや、映画のとそっくりだよ?」
「あれはまた別のお城がモデルです、ここは表の方は知らないので」
セイラがあっさり否定した。
けど、腑に落ちない。
「でもさ、地球の周りには人工衛星とか回ってるよ? 衛生写真とかには写らないの?」
今の時代どこにあってもこんなでかい城、すぐ見つかりそうだ。
「森の周りを囲う柵、あれは呪物です。あれにより、如何なる手段を用いても『科学』では写し出せません」
「……へぇ?」
また何か知らない単語が出てきた。
ちんぷんかんぷんだ。
「……まぁ、ここで習うさ」
アレンがそう言って笑う。
テストがあったら確実に赤点だろうね。
「ほら! 中に入りましょう!」
ミュウさんはそんな事を言って、おもいっきり扉を開け放った。
『バン!』とかなんか物凄い音がして開いた扉の前には、今ちょうど扉を開けようとしてました、って感じの人が立っている。
「「「「……」」」」
「……よ、ようこそ学院へ。ご、合格者ですよ……ね?」
気まずい、非常に気まずい。
なんかこの職員らしき人の仕事奪った気がする。
自分達が固まってるのに、すぐに挨拶してくれたあたりは流石、大人の人。
でも見た感じまだ若い。
「……あ、はい! 合格者です」
いち早く復活したのはこの空気を作った張本人、ミュウさん。
でもまだ混乱してるのか、口調がいつもよりソフト。
「そうですか、では案内します。っと言っても、こんなに早く合格者が出ると思ってもみませんでしたので、まだ何も用意出来ていませんけど……」
そう言って苦笑いする職員の人。
もう立ち直っている、凄い。
「こんなに早くって事は俺達が一番なんですか?」
「はい、予想よりも遥かに早いです」
そんなに早いのか。
まぁこの三人は、半端無い位実力高いからね。
「取り敢えず別室で待機してもらいます。先程も言いましたが、まだ何も用意出来ていませんので」
そう言って一つの部屋に案内し、さっさっと出ていってしまった。
「それにしても、一番乗りだったんだね」
「当たり前よ!」
ミュウさんにとって一番乗りは当たり前らしい。
相当凄い事なのにね。
「にしても暇だな。後どれ位掛かると思う?」
「少なくても5時間はあるわ」
「長っ!?」
「仕方ないわ、まぁのんびりまったり過ごしましょ」
何て気ままな……猫みたいだ。
「そうだ、じゃあユウキ、お前どうやって思い出したんだ?」
「……思い出す?」
「あぁ……それは」
唯一知らないミュウさんにも話そう。
俺がどの様にしてここへ来たか。
理不尽過ぎるその理由を。
――悠輝が理由を話す頃、職員達は予定より早く合格者が出た為、急遽予定を変えて準備に取り掛かっていた。
そんな中、悠輝達を部屋に案内した職員、ジュエリー・ミホークは全く手伝ってくれない男の説得にあたっていた。
「ちょっと、ミスター江原! いくら『連盟』から配属されているだけでも、手伝って下さい、お願いしますよ!」
「あぁ〜いやいや、俺、これに関係無いでしょう? ミス・ジュエリー?」
「ありますよ、最初に紹介と挨拶が!」
「では、服装だけ整えときます」
「会場の準備ぐらいいいじゃないですか!」
「俺は今からマンチェスターユニオンとリアル・マドリードの試合を見なければならないのですよ」
「録画して下さい!」
「してますよ。しかし、生中継でも見たいのです。貴女はヨーロッパの方だ、分かるでしょう? この大一番! ユニオンのベッサムとリアルのC,ロベルトの一騎討ち!」
「分かりません!」
「残念です」
江原は本当に残念そうに肩を竦める。
「いいから早く手伝って下さい」
「だから、服装は……って痛い痛い痛い! 耳引っ張らないで!」
「では、手伝って下さい」
「――!? 何を!? 俺はこの程度で敗けはしない!」
「……仕方ありませんね」
「何を!?」
長い銀髪を逆立たせ、ジュエリーが更なる追い討ちをかけようとした時、別の声が響いた。
「その辺にしといたらどうだい? ジュエリー教授?」
「……ユゥ教授」
「江原さんは全ての事よりサッカー優先だからね、何言っても意味無いよ」
「その通り!」
「……」
「ジュエリー教授、そんなに落ち込まない、行きますよ」
「落ち込んでません! 呆れてるんです!」
「では、準備頑張って」
「……貴方って人は!?」
「おぉぅ? 美人が台無しですぞ?」
「二人とも仲が良いね」
結局、江原は準備をしなかったという。
――悠輝達が別室に待機しておよそ15時間経った頃、部屋に職員が一人入ってきた。
「待たせてすいません、会場に案内します」
「やっとか……」
入ってきたのはジュエリーで、答えたのはアレン。 女の子二人は、寝てる。
「あっ、でもまだ始まりませんよ?」
「分かってますよ。後3時間残ってますから、ユウキ、セイラさんを起こしてくれ」
「了解」
アレンに言われて、セイラを起こしに……
「……zzz」
ダメだ。俺には彼女を起こすという野暮な事は出来ない。無理だね、不可能だよ。
ツチノコ見つける方が簡単だ。
「グハッ!?」
振り返るとアレンが殴られてる。何したの?
「何で人を起こすのに鼻と口を塞ぐのかしら?」
アレン、なんてくだらない事を……
っていうかミュウさん、寝起きの一撃でアレンを吹っ飛ばすなんて、怖い。
「……た、たまにはいいじゃねぇか!」
「煩い」
「ガハッ!?」
アレン、たまにはって何? 何がたまにはなの?
鼻と口を塞いで人を起こす事?
「セイラはまだ寝てるの? 起こすわよ」
悶絶するアレンを放置し、セイラを起こすミュウさん。
良かった、俺じゃ無理だ、起こすのは。
「ふぁ……」
眠そうに瞼を擦りながら起き上がるセイラから、目を反らす。
直視出来ない。
ほら、なんというか、破壊力がヤバい。
「皆さん起きましたね? では、改めて会場へ。」
「貴女、職員にしては若くないですか?」
全員の状態を確認して職員の人が言う。
それよりも、ミュウさんって敬語話すんだね。
「私は今年からの新米です。なので、皆さんと同じく一年生ですね」
部屋を出る時に質問に答える職員の人。
新米教師らしい。
「着いて来て下さいね」
急いでいるのか、歩調が早い。
「どのくらい合格者出るのかな?」
制限時間は24時間。
受験者がどれくらいいるのか知らないが、殆どの人が合格しそう。
「今現在、合格者は全体の6割です」
答えてくれたのは職員の人。
6割か、後3時間で制限時間終了だよね?
「……少なっ!?」
少ないでしょ!?
ギリギリ半分以上だよ!?
「例年は8割なんですけど、今年は難しめなんです」
「最終的にはどれくらいになるんでしょうか?」
「まぁ、7割いったら良いとこです」
厳しいね。
魔術師の世界も厳しい。
「到着です」
着いた場所は大広間。
長いテーブルが並べられていて、その周りに合格者達が座っている。
イメージ的には、ハリーなんたらの大広間。
映画の場面にそっくり。
やっぱり実はここがモデルじゃないの?
「こちらに座って下さい」
指定されたのは一番前の場所。
前には横向きにテーブルがある。
職員用かな?
「どうしてここに座るんですか?」
セイラが気になってた事を聞いてくれた。
やっぱり皆気になるらしい。
「貴方達四人は最も早く合格し、古城の中で様子を見ていた職員からも一番良いとの評価を受けています。即ち、成績最優秀班ですので、一番前となります」
なんかえらい事になってるよ!?
ミュウさん、ガッツポーズしない。
「では、ごゆっくり」
そう言って職員の人は大広間から出ていってしまった。
忙しい人だね。
――待つこと3時間ちょっと。
最後の合格者達だろうか、ぼろぼろでヨレヨレだけど前を向いてしっかりと入ってきた。
更に、その後ろから古城の前で浮いていた男の人が入ってくる。
男の人が前の席に座ると、一番左端の人が立ち上がり、高らかに言った。
「では、これより合格者達を祝福しながら、説明会を始める」
こんにちは、神威です。 当初この話はもっと短かったんですけどね…… 会話ばっかでごめんなさい。 本文中の、サッカーチーム二つと選手二人、メチャクチャ分かりやすいですよね、何がモデルか…… 後、外国の人っぽい名前を募集します。全然思い付かないんです。職員の人達の名前、分かる人には分かります、モデルが。 今回出てきた職員二人とサッカー大好きな人、重要です。どうやって出せば良いか分からなかったんです。変かもしれませんがご容赦を。ではまた次回!