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神の盲信

序章と似たようなものになります。2章は次回から始まります。

ドックルが消えた後、俺は何故か転移装置の前へ戻っていた。辺りには相変わらず訳の分からない機械が沢山置いてある。


「ったくよぉ。せっかく試練を乗り越えたっていうのに出迎え無しかよ。」

とりあえず部屋から出て、俺が最初にさらわれ、連れて行かれた場所へ向かう。するとそこにはエリィとエリィの父親が立っていた。


「お帰り、リッケ君。」

そういうとエリィの父親はこちらに全力で向かってきた。間違いなく俺を殺しに来ている。

アンタには最初訳が分からないうちに首を折られたっけな。もう随分昔に感じるよ。俺はエリィの父親の動きに合わせて


「おせぇよ。」

くるりとエリィの父親の後ろに移動し服の襟を掴み止まらせた。


「あはは、もう敵わないか。」

そういいながらもエリィの父親は泣きそうな、なんともいえない笑顔を浮かべている。

よく見たらエリィもだった。


「まさか、本当に乗り越えちゃうとはね。」


「言ったろ?まかせとけって。」

まぁ実際は恐怖で体が震えたり、諦めかけたりしましたが…。まぁ言わない方がカッコいいしな。人生においてカッコいいってのは大事だぜ。でも言うべきことを言わないのは逆にカッコ悪いというか男らしくないので気を付けるように。クロード、お前の事だぞ。


「君に謝らないといけないね。」

あぁ、最初に無理だと言っていたことか。だがそれならばこちらにも謝らなくてはいけないことがある。これ!!これですよ!!俺とクロードの違いは!恥ずかしくともこちらの非を認める!!これ重要!!クロードならここで絶対謝ろうとしなかった。「ふっいいんですよ別に」とかカッコつけてた!


「いや、謝るなら俺が先です。死を舐めていました。正直めちゃくちゃ辛かったです。すみませんでした。」

そういって俺は頭を下げる。すると


「ははっ。驚いたな。まさかさらった僕が謝られるとは。完敗だよ。僕もごめんなさい。これからは君を信じ抜くよ。天界を頼む。」

そういってエリィの父親も頭を下げた。


「エリィ、おいで。エリィも謝らないとね。」

エリィの父親がそういうと


「なんで私がこんな奴に頭下げなきゃいけないのよ!!クソ雑魚よ!?下界の民よ!?」

親が出来てても子供が出来ない。悲しい現実だなぁ。認め合う事こそがコミュニケーションの第一歩だというのに。


「なんてこというんだ!リッケ君は第一の試練を乗り越えたんだぞ!?僕たちの命運はリッケ君にかかってるんだ!!」

エリィの父親は俺と最初にあった時と違い、本気でエリィを怒っている。


「だ…だって中途半端に希望を持たされて、それで駄目だったらその時が一番つらいじゃない…。」

怒られたショックか伏し目がちにそう答える。

そうか、俺が試練を乗り越えた事が嫌だったわけじゃないんだな。あの泣きそうな、何とも言えない笑顔はもしかしたら自分が助かるかもしれないという気持ちを抑えきれなかったのかもしれない。そう思うと、途端に可愛げがあるように思えてきた。


「大丈夫だ。次の試練も乗り越えてくるから、エリィはここで親父とまっとけ。なっ?」

そういって俺はエリィの頭を撫でた。


「下界の菌が付いた手で触らないで!!」

唐突に真顔で言われた。クロードお前だったらたぶん大丈夫だっただろう、死ね。

というかさすがにここまで言われるとカチンとくるぞ。なんでこんなやつのために戦わなくちゃならないんだ。親の教育方針のせいだろ!!何とかしろ親父!!


「ごめんよリッケ君。エリィはちょっと素直じゃないんだ。本当は喜んでる。だから僕をにらみつけるのをやめてくれないかなぁ!?」

真相は神のみぞ知る。そうだ、神と言えばここにいるんだっけか。クロードに信託を渡した理由も聞きたい。


「なぁ、ここには神様がいるんだろ?会わせてくれないか?」

俺がそういうと


「ごめん、神様には会えないんだ。正確には僕らは会えるけどリッケ君は会えない。」


「なんでだよ。」


「天使にしか見えないんだよ。人間には見えないんだ。」

あの天界の武器が使えないとかいうとんでも理論と一緒か。だがこちらはまだやりようがある。


「それじゃあ通訳してくれよ。」

これなら神様と会話が出来るはずだ。


「何か聞きたいことでもあるのかい?」


「試練の内容とか、どうして友達が勇者に選ばれたのかとかな。後下界にも魔王がいるはずなんだが魔界の魔王との違いとか聞きたいことは山ほどある。」

俺がそういうと


「ついてきなさい、こっちよ。」

エリィが案内役をかって出た。ずかずかと進んでいくエリィを俺は走って追いかける。


「僕は次の試練の準備をしなきゃいけないから失礼するよ。神様との会話が終わったらまたここに来てくれ。」


「分かった!!」

俺はそういいのこしてエリィと神様の所へ向かった。神様の場所は思ったよりも近くすぐについた。


「ここよ。」

目の前には棺桶が置いてある。え?神様死んでんの?


「アンタ今不敬な事考えたでしょう。いいからちょっと待ってなさい。」

そういうとエリィはゆっくりと棺桶を開けた。

「神様、下界の民をお連れしました。この男、神様に聞きたいことがあるようで。よろしいでしょうか?」

何も見えんぞ。まぁいい。とりあえず聞きたいことを聞こう。


「どうしてクロードが勇者に選ばれたんだ?そして、俺が間違って連れてこられたんだ?」

よくよく考えれば俺とクロードを間違えるなどありえないのだ。あの転移装置があれだけ正確だったのなら、下界に行く装置はそれ以上に気を使い、正確な場所にエリィの父親を送り届けるはずだ。


エリィは神様から話を聞いているようだ。そして話を聞いている途中目を見開いたと思ったらいつも通りの顔になりこちらを向いて言った。


「クロードってやつが勇者に選ばれたのは下界の魔王を倒すためよ。下界で一番剣術と魔法に才能があって、ついでに顔のいいやつを選んだらクロードになったらしいわ。」

どうやら天は二物を与えずは嘘っぱちだったようだ。クロード、お前は今日も神に愛されてるぞ。よかったな。というか、ん?


「今の話を聞いていたら下界の魔王と魔界の魔王ってのは別者ってことでいいのか?」


「えぇ、下界の魔王っていうのはね、いうなれば魔界版のあんたみたいなやつの事をいうのよ。」


「は?」


「天界が人間連れてきてるんだから、魔界の奴らが魔物連れてこようが不思議じゃないでしょ。まぁ人間ほど伸びしろはないし、技術も足りてないから結局下界に放り出すんだけどね。まぁそれでも下界にとっては世界の危機のわけだから、こっちからは神の力を少し分け与えて勇者に倒してもらうわけ。魔界の奴らは私たちより個々の力が弱いから下界へ降りる制約が少ないのよ。だから魔王が頻繁に現れるの。逆に私達は個々の力が強すぎて中々下界に降りられないから、勇者に魔王討伐を委任するわけ。」


「マジか。驚いた。」

村の奴らどころか、下界の皆に言ったらひっくり返るぞ。まさか、こういうシステムになっていたとは。


「それで、俺が間違って連れてこられた理由は?」

俺が一番気になることを聞くとエリィはさらに驚くような事を言った。


「元々アンタを連れてくるつもりだったらしいわ。」


「は?」

俺を?なんで?もっと良いやつが山ほどいただろう。何で俺なんだ?


「神様、アンタの事ずっと見てたんだって。最初はクロードの事をずっと見てたのに、気づいたらアンタが天界を救うのに最適な男のように思えたらしいわ。」

エリィはそういってため息を放つ。


「なんで…。」


は?は?最初っから俺だった?何の才能もない俺が?間違って連れてこられたわけじゃなく?


「それは言いたくないって。」

えぇ…。そこは教えるところだろう。だが分かった。何で俺なのかは分からないが仕方ない。やってやろうじゃないか。


「分かったよ。ありがとう、エリィ。神様もありがとうございました。」

そういって俺は頭を下げ、エリィもお礼を神様に言いつつ棺桶を閉めた。そして、元の場所へ戻った。


「聞きたいことは聞けたかい?」

元居た場所に戻ると親父さんが待っていた。


「あぁ。」


「それじゃあ、もう次の試練に行くかい?もう少し休んでいく?」


「いや、いい。とっとと終わらしてくるよ。」

そうだ、俺が終わらせなければならない。


「そうか…。なら、転移装置の場所へいこう。」


そういって俺とエリィと親父さんは転移装置の前まで移動した。


「それじゃあ、行ってくる。今回も必ず乗り越えてくるから、だから、安心して待っててくれ。」


「期待しないで待っとくわ。」

相変わらず可愛げのない…。


「ありがとう。リッケ君。武運を祈るよ。」

親父さんは信頼してくれてから本当にいい人だなぁ。俺が帰ってくるまでにエリィの態度の更生頼むぜ。


俺は、転移装置の中へ入り込んだ。



                ☆


はぁ、リッケ君にやっと会えたと思ったらもう行っちゃった。直にお話しできたらなぁ。いや、仮に出来たとしても恥ずかしがってまともに会話などできないか。そう、僕はリッケ君に惚れている。神が人間に惚れるのもおかしな話だろうけど、実際惚れてしまっているのだから仕方がない。最初は凄く神聖属性の強い子がいるとクロード君を見続けていたのだが、気づけばリッケ君ばかり目で追うようになってしまった。彼の魅力は上から覗き込むように見続けてきた僕にしかわからないだろう。彼はね、天界どころか世界を救う男なのさ。そこでそんな男に僕からプレゼント。無限復活装置との接続を切っちゃいます!第二の試練は無敵だと意味がないからねぇ。その代わりに武器が使えるようになってるから頑張って。まぁ武器が使えるのは限界に到達して半分天使になっちゃったせいなんだけど。頑張ってね、リッケ君。




次から始まる2章はそこそこ長くなりますが、その分自信がありますので是非これからも楽しんでいってください。今までは基礎の基礎。ようやくリッケ君はスタートに立ったわけです。あれだけ死んで、それでスタート。ちなみにクロードの場合30回死ねば、ステータスが全て130になります。リッケ君が全ての能力値が70になるまで何回死んだかは皆さんのご想像にお任せします。


まぁ、クロードが仮に試練に行っていたとしても3回死んだあたりで精神を壊しますが。

これはクロ―ドの精神が弱いわけではなく、リッケの精神がおかしいだけです。

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