12.エピローグ
デュミスはそれから、誰も取り仕切る事もなくなった街になった。
〝人間〟は、この街にやって来た。
それに抵抗を感じる事はなかった。
恐らく、ハヴァルという存在がいなくなったからだと思われる。
〝異形〟である二人が受け入れられるのかと心配していたが、新たに街に来た人々に言われた言葉があった。
「どんな存在でも、一緒の〝人間〟。だから、差別なんかしないし、互いに生きよう」
そう言われた事で、二人の心はどれだけ軽くなったか。
嬉しかったのだ、そう言ってくれる人がいる事が。
†
「アルバトーレさん!」
家の中で、ふとシスフェリアに名前を呼ばれた。
「何?」
「冷蔵庫の中が空っぽじゃないですか! 駄目です!」
ふと、アルバトーレに生まれたデジャヴ。
以前もこんなやり取りがあった気がした。
「お買い物に行きますよ。美味しいご飯が作れません」
一緒に暮らすようになってから、主導権はどうやらシスフェリアにあるようだった。
やっぱり自分はしっかりしていないな、少しだけアルバトーレは反省した。
シスフェリアはアルバトーレの手を取って、言った。
「早く行きますよ。何が食べたいですか?」
そう問いかけられて、少し考えてから、アルバトーレは言った。
「初めて、俺に作ってくれた料理、食べたい」
確か、ほうれん草のおひたしに魚の干物を焼いたもの、お味噌汁にご飯。
それを聞いて、シスフェリアは言った。
「わかりました。さ、行きますよ。お買い物」
そう言って、アルバトーレの手を引く。
姿は違っても、ヒト。
永劫かもしれないし、そうじゃないかもしれない。
だけど、その時間は大切な時間だと噛みしめて。
アルバトーレは、シスフェリアと一緒に外に出る。
新しい街、新しい生活、そして、大切な人と一緒に生きる事を決めたのは、自分だったのだから。
―了―
好きな事を書きたいと思って書きました。
執筆中に書けなくなってしまったり、体調不良にも見舞われてしまったのですが、何とか書きあげられてよかったです。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
感想等頂けると幸いです。




