11.共に生きる道
アルバトーレは、彼女を抱きかかえて家に帰った。
眠るように瞳を閉じた彼女を寝室のベッドに横たえ、その傍に座り込んだ。
心の中の靄が晴れないままだった。
確かにシスフェリアは自分にとって、大切な存在だ。
なのに、自分と同じ運命を辿らせてしまった後悔もないわけではなかった。
胸が、苦しい。
「……ヴィクスムも、そうだったのかな」
ふと、自分がそうなった時の事を思い出す。
彼はすぐに絶命してしまった。
だけど、もしかしたら後悔があったのかもしれない。
そして、アルバトーレは彼と同じ苦しみを今味わっているのかもしれない。
そう、感じた。
「アルバトーレさん」
小さく、力ない声が聞こえた。
それは、ベッドに横たわるシスフェリアのものだった。
目が覚めたのだ。
顔を見る事が出来ないアルバトーレは、目を伏せたまま、彼女の方へと向き直る。
「自分を、責めないでください」
「……でも、これはシスが望んだ結果じゃない。俺の勝手な行動で、シスを巻き込んで……」
「いいえ」
彼女は起き上がって、アルバトーレの頬へ手を伸ばす。
その頬は涙に濡れていた。
自分が泣いていた事も、気づいていないようだった。
シスフェリアは言葉を続けた。
「私は、アルバトーレさんに救われたのです。例え、これが望んだものではなかったとしても、私はもう一度、命をもらったのです。私はアルバトーレさんの傍にいられれば、それでいい。どんな形でも、どんな姿でも、愛しいアルバトーレさんの傍にいられれば」
それを聞いて、やっとシスフェリアの顔をしっかりと見た。
〝紅玉髄〟の瞳は、優しくアルバトーレを見ていた。
「一緒に生きれて、嬉しいです」
その言葉を聞いて、アルバトーレは涙を堪えられなかった。
自分がした事は間違いだったのかもしれないし、間違いではなかったのかもしれない。
だけど、彼女がそう言ってくれた事が、嬉しかった。
「俺も、俺もシスと一緒に生きれて、嬉しい。俺はずっと、一人ぼっちだったけれど、シスがいるなら、どんな存在だって、生きていける。だから、ずっとずっと、俺の傍に居て欲しい。一緒に、生きて欲しい」
その言葉に、シスフェリアは微笑んで、言った。
「喜んで」
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