第七十五話 決戦・序
今回視点変更が激しいです、ご注意ください。
「最初にとびかかってきた時の威勢はどうした!」
「……………」
「防戦一方じゃないか!この程度で我々に喧嘩を売るとはいい度胸じゃないか!」
「……………」
私はこの天使の攻撃をぎりぎりで避けたりアイシクルランスで防いだりして今を凌いでいます。
「お前がこの程度ならばお前たちのボスであるあいつの強さも知れたものというものだな!」
「!」
私はこの言葉には反応してアイシクルランスを天使に向かって突き出します。
これは避けられましたが横に薙ぎ払い追撃、薙ぎ払ったことで氷柱も発生、さらに追撃します。
ですが読まれていたように避けられてしまいます。
「おっと。なるほど、あいつを貶されると怒るのか」
「……………」
「まだ無言を続けるのか、そのうち悲鳴で声を聞かせて貰うからいいが」
「……………」
まだです、まだ耐えるのです。
今怒って叫んだらさっきまでの我慢が無駄になってしまいます。
「これも神の御心のままに……」
「……………」
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「あなたはどうしてあんな男なんかについているのですか?精霊ともあろう者が」
「精霊だからこそ、です。あのままあの場所に放置され続けていたらもう暇で暇でしょうがないでしょう。そこから出してくれたマスターを私は尊敬していますしお慕いしているのです」
それだけと言われればそれだけなのです。
ですが私にとってはそれだけでも十分だったのです。
「説得には応じてくれませんか?」
「説得されるぐらいなら最初っからこんなところ来てませんよ!」
「ふふ、正論ですね。…それならば、手加減はなしですよ?」
「望むところです!」
私達は一緒のタイミングで攻撃しに行きます。
さあ!楽しみましょう!
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「いきなり手に矢を撃ってくるなんてな、なんて非常識な巫女なんだ」
「あらあら?急いでいる人をわざわざ止める人に言われたくはありませんね」
舌を出してべーってしてやります。
ですが目の前のこの天使は全くの無表情で話を続けます。
「全く、天に使えるべき巫女がよりにもよって神に仇なすとはな。とんだ不良巫女だ」
「不良で結構!私が信仰している神様は別にいるのでね、ここの神なんて知ったこっちゃありません」
「本当にふざけた巫女だな。その血で罪を洗い流すがよい!」
「かかってきなさい!」
負ける気はしませんし、負けるつもりもありません。
あっと言う間に片付けてしまいましょう!
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「そろそろ他の者たちも始めるころだろう」
俺たちはさっきから少しも動けていない。
動きたいが動くことができない。
どうする?
神の力はすごいのはわかった、だが想定していたほどじゃない。
しかし何をやる?
このまま突っ込んでも返り討ちになるだけだろう、策を練らなければいけない、使える技が少なすぎるのだ。
ニュクスがいるから協力して同時に攻撃するか?
無駄だな。
どうする?
……いや、一回落ち着け。
慌ててもいいことはない、冷静になるんだ。
想像以上じゃないんだ、どうとでも出来る。
俺は小声でニュクスに話しかける。
「ニュクス」
ニュクスも小声で返してくれる。
「…なんじゃ?」
「まずは俺が突っ込んで時間を稼ぐからお前は詠唱をフルでやって最高威力のスキルをあいつに叩き込め。あまり長期戦になるのはこっちに分がなさそうだ」
「…さすがじゃな、一瞬でそれを見抜くとは。わかった、頼んだぞ」
これでよし。
俺は神の方向に一歩踏み出す。
「俺が相手だ、神。【魔具召喚・レーヴァテイン】」
「ふむ、簡単に壊れてくれるなよ?」
「そっちもな、想像よりも早くくたばってくれるんじゃないぞ?」
俺は神に向かって跳躍して切りかかりに行く。
神の左手にはいつの間にかに剣が握られていた。
それで俺の斬撃は弾かれる、再び距離を置いてしまった。
俺は再び切り付けに行く。
今度も止められるがはね飛ばされずに踏ん張る、そして何回も連続で切り付ける。
それも受け止められるがそれでも続ける、一回距離を置いて遠距離からスキルでも攻撃しておく。
神はそれをすべて防ぎ、表情はつまらないという表情だ。
「その程度の攻撃しか出来ないのか?つまらんな、実につまらん」
「……………」
「あの“魔神化”とやらをやってくるがいい。このままじゃあ退屈すぎる」
「…随分と余裕だな、流石にこのままで勝てるとは俺も思っていないが」
再び距離が開く。
俺は詠唱を始める。
「≪世界に仇なす存在よ!覚醒せよ!その手を血に染め今!我が身に宿れ!≫」
詠唱は短めだ。
これは実戦用だからな、長いと唱えきれん。
「……【魔神化・サラマンダー】」
相変わらずきっつい。
そのうち慣れるかな?
慣れてほしい、切実に。
「さあ、一気にギアを上げていくぞ」
「ふっ、かかってこい!」
俺は魔神化して上がった身体能力をフルに活用して切りかかる。
激しい金属音が何回も上がるがそれでもまだ神の体に届いてはいない。
ぎりぎりのところですべて防がれているんだ。
しかしこれでいいんだ。
今の俺の目的は時間稼ぎ、刺激せずに時間を立たせられればそれでいい。
…早くしてくれよニュクス、魔神化はそこまで長くは使えない。
魔神化が解けたら今この場で有効な攻撃方法は俺にはないんだからな。
「おおおおらぁぁぁああ!!!」
「大分良くなってきたじゃないか!もっとだ!もっとくるがいい!」
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「まだ喋らないつもりなのか?そろそろスキルの一つでも見せてみたらどうだ」
「……いいでしょう。丁度今、詠唱が終わったところです」
私は先ほどまで黙っていたのではありません。
小声でばれない様に詠唱をしていたのです。
ばれれば邪魔をされるのはわかっていましたからね。
しかしこれで詠唱も終わったので準備完了です。
「さあ、今度は私が反撃をする番ですよ!」
「いいじゃないか、これから楽しくなるぞ」
「楽しむ暇があればいいですがね!」
私はスキルを発動するためにイメージを固めます。
大丈夫、いけるはずです!
「【アブソリュート=ゼロ】!」
「な!これは一体どういうことだ!?」
私がスキル名を唱えると一瞬で周りの景色が変わります。
何もなく、ただ続いているだった場所が一瞬で氷で覆われます。
そして地面からは氷柱が何本も突き出していて逃げ場をなくしています。
最後にこの寒さの中、術者である私は大丈夫ですが私以外の人は容赦なく体が凍てつくのです。
こう言っている間にも天使の体は氷で覆われていきます。
…普通の相手ならば発動した瞬間に凍りつくのですがね、流石大天使と言ったところでしょうか。
「…なるほど、確かに楽しんでいる暇はなさそうだ。時間が経てば俺の体が凍りついてしまう」
「ふふふ、凍りつくまで持てばいいですがね?」
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「もうへばりましたか?精霊なのに」
「うるさいですねぇ、精霊だって疲れるときは疲れるんですよ!」
…想像以上に強いですねこの人。
このままだと辛いですね。
私には恵ちゃんのように強力なスキルは持っていませんし困りましたね。
どうしましょう?
……玉依さんじゃないんですから考えるだけ無駄ですね。
玉依さんにも言われましたが私は考えるタイプじゃない、と。
ただ無邪気にやっていればいいんだとも言われました。
だからそうしましょう、感覚に任せます。
「【障壁】【鎌鼬】!」
私は障壁を出して足場にします。
そこから跳び、相手の頭上から鎌鼬を何回も放ちます。
「む、む?」
その鎌鼬は幾つかは弾かれましたが残った幾つかはは天使の肌を切り裂きます。
「…防いだと思ったんですがね」
「へへへ、油断大敵ですよ?」
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「あらら?もう終わりですかぁ?」
「…くそっ!この不良巫女め!」
私の足元に転がっているのは先ほどまで威勢が良かった天使。
いや、今も威勢だけはいいですが。
「さっさと死ぬか神とやらの居場所を教えて下さいな」
「誰が貴様なんぞに!」
「おっと、まだ動く余裕があったのですね。安心しました」
私は天使との距離を空け、弓を構え直します。
さっさと片付けてフィーちゃんたちに加勢しに行きたいのですがね……
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「ぐは!げほっげほっ!」
「……この程度か、期待外れだ」
「げほっ……まだだ、まだまだ」
「いい加減落ちたらどうだ?楽になるぞ?」
俺は神の一撃をもろに腹に受けてしまった。
だがまだ立てる、まだ戦える。
まだ、時間が必要なんだ。
「せめてニュクスの詠唱が終わるまで持たせなきゃあかっこ悪いじゃないか!」
「くくく、見栄を張るのはいいが死んでは意味ないぞ?」
「死なばもろとも、だ」
「やれるといいがな!」
俺は再び立ちあがり再び神に向かっていく。
ここまで来て簡単に気絶なんてしたら命を捨てる覚悟でついてきてくれたあいつらに申し訳がないだろうが!




