第五十六話 武器支給
「ふむ、これはまた奇妙なものを連れてきたものじゃな、焔よ」
「奇妙とはひどいいいようだな、まだ子供なんだぞ?」
「こやつが子供じゃから言っておるのじゃよ。下手すれば大人の魔族にも匹敵する魔力の量じゃぞ?」
そうなのか、俺は、まだ魔力がどのくらいが人の平均とか魔族の平均とかは知らないんだ。
その辺はニュクスに聞かないとわからん。
「理由はわかるか?現時点だとミュータントとしか思えないのだが」
「うーむ、わらわもミュータントとしか考えられぬ。今まで見た人間にもこのような魔族に匹敵する魔力を持っている者はおったがこのような子供は初めてじゃしな」
やっぱり突然変異しかないのか。
他に原因があるのならちょっと考える必要がありそうだがそれなら大丈夫だろう。
……にしても少年が玉依さんに凄く懐いている気がするのは気のせいだろうか?
「玉依さん、いつの間にその子にそんなに懐かれたんだ?さっき会ったばっかりのはずだろ?」
「ふふふ、子供に好かれるのにはコツがあるのですよ?」
笑顔が怖い。
玉依さんの笑顔はいっつも同じ笑顔のはずなのに普通に笑ってると感じるときと恐怖を抱くときがある。
腹黒怖いです。
「さて、それじゃあこの子をどうしようか……魔力の使い方を教えなくては何だがな。……玉依さん、この子に魔力の使い方を教えてあげてくれないか?」
「私?どうしてですか?」
「すでに懐かれているから都合がいいし、人に物を教えるのには頭が良くないとダメなんだ。まさしく適任じゃないか」
「そういうことならいいですよー。ほら、お姉さんとこっちの部屋でお勉強しましょうねー」
お姉さんねぇ。
結局玉依さんって何歳なんだろうな。
少なくても俺よりも年上なのは確実なんだが……
そうして玉依さんと連れてきた少年は玉依さんの部屋に入って行った。
あ、そうだ。
今思い出した。
「フィー、そういえばだが頼まれていたものが出来たんだ、ちょっと俺の部屋に来てくれ。あと恵もな」
「頼まれたもの?あ、あれの事ですか。わかりました」
「私もですか?私は何かご主人に頼んだ記憶はございませんが」
「ついでに作ったんだ、いいから来てくれ」
二人を俺の部屋に呼ぶ。
ニュクスはお留守番だ。
というかニュクスは自分の部屋に行っちゃったからここにいないし。
ニュクスの分は用意してないし……
まあ取りあえずこの二人には渡しておこう。
玉依さんには後で渡しておこう。
玉依さんの分も作ってあるからな。
それでは俺の部屋に移動。
「それでどんな感じのものが出来上がったのですか?」
「私は何も知らされていないのですが……詳しく教えていただけませんか?」
「まあちょっと待っていろ。すぐに実験場から取ってくるから」
「じ、実験場ってまさかさっきの…」
「そうだ。……あいつらと同じ場所には置いてないから安心しろ」
二人が微妙な顔になったから念を押しておく。
それじゃあさっさと取りに行くとしよう。
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取ってきた。
それでは二人に渡すとしよう。
「「……………」」
「…どうして二人とも口を開けたまま固まっているんだ?」
「いや、ご主人。その、すごく重そうなのですが……」
どうやら二人とも俺が持ってきたものを見て驚いていたようだ。
魔王になって筋力上がっているからこの程度なら楽勝なんだがな。
「それはどうでもいいだろ。ほら、フィー。これが頼まれていた武器だ。恵はこっちな」
「え、あ、はい。ところでどうして大鎌なのですか?」
「…これはなんですか?」
俺が二人に渡したいものというのは専用の武器だ。
フィーには大鎌、恵には槍を渡した。
二人でも持てるように重さは軽めにしてある。
勿論武器として使える程度の重さは残してある。
一応魔具と分類されるものだから普通の武器として使えなくても何とかなるんだけれどその辺は気分だ。
「簡単に説明するとだな、フィーに渡した武器は“鎌鼬”という名の物だ。効果は名の通り鎌鼬を起こすこともあるんだが……そっちは実際に使ってみたほうが分かりやすいと思うから訓練場で使ってみてくれ」
「ご主人、私の方も説明お願いします」
「ああ、恵の方は“アイシクルスピア”という武器だ。魔力を込めて突いたり振ったりしてみればよくわかる。詳しくは訓練場で試してみろ」
説明が面倒臭いからじゃない、本当に説明するとグダる可能性があるからだ。
試しに説明してみるとだな、鎌鼬のもう一つの効果はフィーが使ったときにのみ発動する効果でフィーの風を操る力を強化する働きがある。
つまり風属性のスキルを発動するときに使う魔力の量を減らし、威力を上げる働きがある。
要約すると詠唱時の効果を詠唱なしで発動できると言ったところだ。
鎌鼬の効果はこっちがメインと言ってもいいだろう。
恵の方は魔力を込めると名前にあるように氷柱を作りだすことができる。
作り出した氷柱は相手に向けて自動発射するようにしてある。
その分少し魔力の使用量が多めになっているがそれはご愛嬌だ。
相手を突いたときはついた部分を凍らせる効果がある。
まあこっちの方は大体の人が予想がついていただろう。
人体に使った場合は傷口を凍らせるだけではなくて……まぁこっちの効果の方はえぐいからちょっと説明するのが嫌なんだがしょうがないか。
対象が人体の場合は傷口が凍るだけじゃなく、さらに傷口の近くからどんどん壊死していく。
つまり一度でも傷をつけられたらその傷をつけられた部位は諦めるしかないということだ。
普通に言えましたね、本当にありがとうございました。
「じゃあ一緒にこれを使って訓練しない?」
「そうしましょうか。お手柔らかにお願いしますね」
二人は訓練場に駆け足で向かって行った。
俺はその背中を眺めた後に実験場に行く。
すぐに取り出せるところに玉依さんの分も用意しておかないと後でどんな嫌味を言われるかわからない。
ちなみに焔君が武器を作ってほしいと頼まれたのはフィーがダンジョンのボスとして出ることが決まった時です。
つまり結構長い間ほっとかれていました。




