第五十四話 出張終了
「――と、いうわけで無力化はしたがおそらく首謀者と思われる奴とあのエルフたちは行方不明だ」
「アンデットが消えたのならば暫くは大丈夫でしょう、ですが人間の方はともかくエルフどもの方は気にかけておかねばなりませんね。……敵を壊滅状態にするのがあなたの下につく条件ですからね、我々はおとなしくあなたの下につきますよ」
「つまりあいつらがまた来たときは俺の力を貸せと?」
「話が早くて助かりますよ、ところでエルフたちはどうしますか?今森の姫殿はお付きの方々に連れて帰らせましたが」
「俺が後で会いに行かせてもららうよ。ひとまずこの子を置いてこないと何にもできないからな」
俺はまだ裾を掴んでいる少年を見て長老に言う。
長老は少年に気付いていなかったようで軽く驚いている。
「その子は?まさか攫ってきたので?」
「失礼な、ちゃんと本人の同意の上だ。…ていうかわかってるんだろ?この子が子供にしては異常なまでの魔力を持っているってことに。使い方をよく知らないと利用されるだけだからな」
この量の魔力を悪い大人にでも利用されたらと思うと怖い怖い。
もっともまだこの世界にはそこまで魔力について知っている人間はいないだろうがな。
でも万が一のことを考えておくことは大切だ。
「なるほど、それならば確かに魔王殿の方で保護するのがよろしいでしょう」
「それともう一つこの子を連れてきた意味はあるんだ」
「ほうほう、それでその意味とは?」
「この子がアンデットを作っていた。つまりこの子を保護すればもうアンデットは出てこないだろう」
この事実にはさすがに長老も驚いたようだ。
目を丸くしている。
「その子が?確かに相当量の魔力を持っているようですが魔物を作り出すなど……」
「俺もそう思って連れてきたんだ。この子は見た感じただの子供のようだがやってることが人間のそれじゃあない、詳しく調べる必要もある」
「何はともあれその子があなたのそばにいるということはもうアンデットは増えないし攻めて来ることもないということですか、これなら本当に安心してもよろしいようで」
長老が本当に安堵した表情になる。
これで今回はひとまず終了かな、ドワーフの配下に加えたし。
エルフの方はまた今度。
「それじゃあ帰るとするか……少年、名前を教えてくれないか?少年じゃあちょっとあれだし同居人たちにも紹介できない」
「名前?……タマル」
タマルか、なんかちょっと日本っぽい感じがしないでもない。
気のせいだと思いたい、日本じゃないからねここ。
ちょっと日本よりも北西の方角にあるからね、ここ。
移民の可能性もあるけど……まあどうでもいいか。
「じゃあまた掴まってろ、俺の家と呼べる場所に飛ぶから」
「わかった」
タマルはそう言ってまた俺の裾を掴んだ。
それでは転移して管理人室に飛ぶとしよう。
作者は人物の名前を考えるのが一番苦手です。
新しいキャラが出てくるときにはそのキャラの名前を三時間程度悩んだりしています。




