第四十八話 山の民と森の民-4
再び草原にやってきた、すでに日は落ちていて真っ暗だったでござる。
……どうしよう、野宿しようかな?クリエイトでテントでも出してさ。
でも虫いるしな、虫。
きもいから嫌いなんだよ俺、汚いし。
虫の魔物は作ったけど細菌とか寄生虫とかなく、きちんと清潔に作ったから見た目がキモイだけで済むし、普段見ないから問題はないし………
「でも野宿しかなよな、一度戻るもの面倒臭いししゃあないか」
そう思うことにして納得する、いやさせる。
クリエイトでテントとその他寝具を創り出して寝る支度をする。
俺は別に何も食べなくても寝なくても苦にはならないが、寝ないと消費した魔力が回復しずらいという欠点があるから必ず寝るようにはしている。
特に近々大量に魔力を消費かもしれないので今は寝ておかないと困る。
戦争の仲介というのは最終的には力技も必要なんだ。
そんなことんなで就寝。
お休みなさーい。
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<ズン!ドン!ボスン!>
「ん……なんか騒がしいな、一体どうしたんだ?」
一回寝たんだが騒がしくて起きた。
起きた……んだよな?
テントも毛布も亡くなっているため一瞬そう思ってしまう。
「えーと、俺は確かテントで寝てたはずだよな?なぁ、そこのやつ」
俺が起きてきた時からそばにいて、現在固まっているやつらに声をかける。
そいつらは十人ちょっとかな?そのぐらいいて、全員顔は何かを被っているようで見えない。
手には棍棒みたいなものや槌みたいな物を持っている。
別に顔は隠さなくても俺が夜目が効かないんだから隠さなくてもいいのにな。
こいつらが誰なのかも大体の予測もついてるからそっちの意味でも顔を隠す意味もないし。
「……………」
「どうして黙ってるんだよ感じ悪いなぁ」
「……………」
「ああ、そうか喋ったら声で誰だかばれるからな。じゃあ黙ったままでいいよ」
俺が落ち着いて話しかけているせいか相手はまだ固まったままだ。
おそらく呆気にとられているのだろう。
「あーとりあえずお前らは≪森を燃やした犯人≫でいいんだよな?」
「!」
「あ、やっぱり?カマかけてみるもんだなこりゃ。儲けた儲けた」
しっかしそうすると厄介だな。
なぜ厄介なのか説明すると、だ。
まずこいつらの一人はエルフと会ったときにいた俺を射殺しようとした奴だろう。
触れたときに軽く細工をしておいたんだがその細工がまだ残ってる。
あいつはそこそこエルフの中でも上の方の階級みたいだったし当然姫さんのそばにいる時間も長いだろう。
つまり洗脳や思考の植え付けなどをする時間は十分あったというわけだ。
洗脳や植え付けならあれほどまでのドワーフへの偏見も頷ける。
そして親を殺したのもたぶんこいつら。
ドワーフへの憎しみとかが加われば洗脳がより強化されるからな。
というかそもそもドワーフへの攻撃的な思考が洗脳の内容のため憎しみはそれに直結するのか。
少しグダグダと話したが要約すると黒幕はこいつらということだ。
「……………」
すると無言でこいつらは手に持っている武器を構える。
「やれやれ、寝ている間にあれだけ攻撃してまだやるか。無駄だとは思わないのか?それともまた口でも塞いで欲しいのか?」
「………ばれていたのか、驚きだな」
棍棒を持っている奴が喋りかけてくる。
やっぱりこいつがそうだったか。
誰が相手でもやることは変わらないけどね。
「さてさて、どうしようかな?飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ。お前らを退治すれば一気に片が付く」
「ふふふ、残念ながら姫がそうはさせないぞ?」
「何?てかまだ何かやってやがったのかてめぇらは」
姫が?周りのやつらはどう見ても体つきが男だし姫なんてどこにも見当たらないが。
………!、まさかこいつらは――
「気が付いたかな?そう、我々はただの時間稼ぎ。本命の姫はもうドワーフと戦争しに出発しているだろう」
黒幕がいきなり出張ってくるのはおかしいとは思ったがそういう狙いか!
黒幕が出てくれば黒幕に意識がどうしても行く。
その心理を利用されたか。
だが、だ
「俺なら十分だな、むしろこの展開のほうが楽でいいか」
「ついに頭がいかれたか?俺をやれば姫の方には間に合わない。かといって姫の方を優先すれば俺らを取り逃がしてしまう。さあ、どっちを選ぶ?」
「お前をここで瞬殺してあいつらを止めに行く」
当然この選択がベストだ。
生け捕りにしたいから加減はするが急いでる分足の一本や二本、まあ三本まではぐらいはご愛嬌ってことで。
方法はどうするか?
…吸血鬼の時に使ったあれがいいな、それなら対して時間もかからない。
以上、思考終了まで約二秒でござんすざんす。
「…本当に寝ぼけているのか?」
「そうと決まればお前らと楽しくおしゃべりしてる時間はない。さっさと倒させてもらうぞ」
「やれるものなら――!」
地面を這うような炎を出す。
吸血鬼の時は弱火程度だったが今回は中火ぐらいの火力で。
死なないぎりぎりの焼け具合にする。
「やってみたぜ。じゃあ俺が戻ってくるまで動くなよ、動けないだろうが」
足を失って全身軽いやけどを負って這いつくばっている黒幕どもを背中にして俺は走り出した。




