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第四十五話 山の民と森の民-1

 今回からちょっと物語が動きます。

 ですがもうちょっとだけ好き勝手茶番させてください、満足したら物語を終盤のほうまで持っていきますので。

「何?てかなんでお前俺の携帯電話の番号知ってるんだ?」

『……………』

「あっそう。でさっきの報告は本当なのか?」

『……………』

「まじか……勝手に解決しそうな雰囲気はないのか?」

『……………』

「誰かが出ていくしかないと収まりそうはない、か。やはり俺が出ていくしかないのか?」

『……………』

「はぁ、しょうがないな。詳しい場所を教えてくれ」

『……………』

「遠いな、転移で座標ミスるとめんどくさいし一度“夜の使徒”に向かわせよう。それなら確実にたどり着ける。ちょっと時間がかかる

がそれでもいいだろう?」

『……………』

「安全重視だ、それを了承しないというなら俺は動かない」

『……………』

「わかった、じゃあなるべく早めに決着をつける。それじゃあな」


 通話を終了させる、すると後ろからニュクスが近づいてきた。


「誰と何を相談していたのじゃ?焔よ」

「吸血鬼の族長だよ、なんでも山の民と森の民が喧嘩をしているそうだ。そしてそれを俺に止めてほしいそうだ」


 さっぱりどの種族とどの種族が喧嘩しているのかがわからん。

 吸血鬼のこともあったしニュクスなら知ってるかもしれないな。


「ニュクスはこの二つの種族について何か知っているか?」


 ニュクスはさして考えた様子もなく答えを返してきた。


「ふむ、山に森で仲が悪いと。……おそらく山の民は“ドワーフ”、森の民は“エルフ”じゃろうな」

「ドワーフとエルフか、確かに仲が悪いとはよく聞くな」


 なぜニュクスはこの程度のヒントで種族名が分かるんだろうか?不思議だ。



 そうだ!これを機にこの二つの種族も配下に加えようか、これからのことを考えると人手は多ければ多いほうがいい。

 そんな俺の考えを見通したようにニュクスが俺をにらみつけてくる。

 ジト目かわいいです。


「…焔、おぬしはいったい先に何を見ているのじゃ?」

「俺が目指しているのは俺が今望んでいる世界だ。一つだけ言うのならどっかの誰かの言葉を借りて“孤独を好む人間はいるが孤独に耐えられる人間はいない”そうだ」

「わらわにはさっぱり焔の真意が読み取れぬ」

「魔神には分らないだろうな、人間の考えることなんざ」


 ニュクスは俺の心の中をある程度読むことができるそうだがすべては読み切れていない。

 さらに読めても人間なら理解できるがニュクスなら理解できないこともある。

 つまりいくらニュクスが心を読もうとしてきても読める内容を意図的に制限することができる。


「それでこれから何をするつもりなのじゃ?今度は当日帰宅など出来そうにはあるまいぞ?」

「わかってる、だから俺が留守の間は不慮の事故が起きないようにダンジョンも閉鎖していくし留守は恵と玉依さんの二人に監督させる」

「なぜわらわじゃないのじゃ!」

「お前が残ったやつらをまとめきれるとは思えない、フィーは……そういえば最近フィーを見てないな、どうしたんだ?」


 物語だけじゃなくて実際のこっちの時間でも結構の間フィーを見ていない。



「フィーならもともとフィーがいた場所で何かをしているみたいじゃぞ?」


 ニュクスが答えてくれる、俺が知らなくてどうしてお前が知っている。

 それは置いておいて何かを?ニュクスが何かというのなら魔術的な何かじゃあなさそうだな。

 おそらく新しいスキルの開発とかかな?あそこならフィーの力が一番引き出せるだろうからな。


「さて、“夜の使徒”の中で一番近くにいる奴を向かわせるか。自由探索に割ける数が減るのはいただけないがな」

「今外にいる魔物はアルマ含めドール型の魔物が五体じゃったな。そしてアルマ以外の四体のうち一体が虐殺、残りの三体が世界の探索じゃったねのう」

「説明乙。虐殺の方は“スローター”一体で事足りているが自由探索の“サーチャー”は機動性はあるが世界は広いからな、多いに越したことはない」


 サーチャーは適当に世界を回ってどこにどんなものがあるか、どんなことが起きているかをダンジョンクリスタルに情報として常に発信して情報を蓄積している。

 それにいちいち目を通すのはめんどくさいから情報を見るときは直接脳に情報を送るようにしている。

 常人なら頭が壊れるほどの衝撃を受けるからこれは魔王になり精神力が上がったため使える荒業だ。


「さて、これで指示は出したからそのうちついてくれるだろう。一度見たところなら転移で行けるし」

「いまさらじゃが焔は“転移”などというスキルを持っていたかのう?わらわの記憶にないのじゃが」


 なんかいまさらながらの疑問だな。


「ん?ああ、転移は“クリエイト”と使っているだけだ。まず“クリエイト”で肉体を分解し、分解したものを魔力を使って目的地に運ぶ。運んだらそこで再構築して転移の完了だ。だから一度目的地を夜の使徒を通して見ておきたいんだ」


 クリエイトは一見万能に見えるがそうじゃない、確かに便利ではあるが結構致命的な弱点があるスキルだ。

 まさかここまで説明を後にするとは思っていなかったがな、割と本当にもっと最初の方でスキルとかの説明ははさむつもりだったのにどうしてこうなった。



 とりあえずクリエイトをいまさらながら説明しよう。

 まずクリエイトの主な効果は“創造”と“分解と再構築”になる。

 俺が普段魔物を魔力で生み出すのは“創造”にあたり、転移と媒介を使っての魔物創造は“分解と再構築”にあたる。


 次はクリエイトを使うにあたっての条件だ。

 クリエイトを使う場合まず始点は目に見える範囲ないといけない。

 例としては転移を使う場合転移させたいものを俺が見ている必要がある。

 終点は俺が想像すればそれでいいから楽。


 他の条件は当然作ろうとしているものに必要な量の魔力を持ってなければならないし、何かを作るのならばそれ相応の効果が付属する。

 例えば極端にいうと人を生き返らせる薬を作るのならば、作るときにかなりの量の魔力と使うのに人の命を見合う分の魔力および代償が必要になる、その代償は作るまではわからない。


 とまあまとめるとクリエイトを使うには目が必要で、目隠しされると使えないということと使うにしても結構な量の魔力が必要ということだ。


「まとめ乙じゃ」

「ニュクスが最初に説明していてくれればこんなことにはならなかったのにな」

「説明キャラは焔に移行したのじゃよ」

「ならニュクスがダンジョンの中でグータラしているだけの魔神というキャラになるんだがそれでもいいのか?」


 割と本当にニュクスから説明キャラ成分を抜くとそうなる。


「むう………」

「そんなこんなしているうちに向かわせた奴がついたようだな、ダンジョンクリスタルに報告が来てる」


 指定されたポイントはどうやら草原らしいな、左には険しそうな山が、右には深そうな森が見えている。

 先にどっちの種族と会うかは任せるってか?適当だな、丸投げ同然じゃねぇのかこれ。


 文句言ってても変わらないか、面倒臭いが何とかなるだろう。


「それじゃあ行ってくる。さっきも言った通り俺がいない間は恵と玉依さんの二人でまとめ役をやっといてくれと伝えておいてくれニュクス」

「了解じゃ、こちらのことは心配などいらぬから早いところ済ませて帰ってくるがよい」

「そうしたいところだな」


 ダンジョンの入り口もまた閉じたしそれじゃあ行くとしますか。

 俺は草原に転移した。

 主人公が長期間外出してから帰ってくると何やら騒動が起きている。

 よくあるパターンですよねこれって。

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