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第四十二話 新鳥再び

「今日は俺学校行くから留守は頼んだぞ、恵に玉依さん」

「なぜわらわには言わないのじゃ?」

「ニュクスには留守を任せられん」

「ひどいことをしれっと言いおったのこやつめ!」

「何をいまさらわかりきったことを。それじゃあダンジョンの入口はいつも通り閉じとくから適当に過ごしてくれや」



 ==学校==


「いよーう、久しぶりだな焔!恵ちゃんといちゃいちゃしていたのか?ほら正直に言ってみろよん?ん?」

「………」

「うわ!ちょっと待て待てタンマタンマ冗談だって!暴力はいけないと思うな、うん」


 いつも通り殴りに行こうとすると急に身構えはじめる。

 全くこいつはいつもの事なのに何をこんなにも過剰に反応しているんだ?

 だがまあこいつだからしょうがないか、変なのはいつもの事だし。

 勝手な自己解釈で納得する。


「………はぁ。で、今日は何の用だ?お前の事だから何かしら用があるんだろう?」

「よ、用?友達と話すのにいちいち用が必要なのか?」

「まあそれもそうだな。………ちょっと来い」


 ちょっと白川を手招きして連れ出す。授業?そんな物当然無視だよ、無視。



 ==保健室==


「こんなところに連れてきてどうするつもりだ?まさかまた俺を骨折させるというのか?」

「…とりあえず俺の質問にいくつか答えてもらおうか」


 俺は保健室に白川を連れてきた。ここなら邪魔も入らないだろうからな。


「保健室……まさかお前同性愛に目覚めたとでもいうのか………」

「あんたじゃないんだからちげぇよ新鳥さん」


 めんどくさくなったから俺はいきなり本題をぶっ放す。

 すると白川は驚いた表情を一瞬だけ見せて今度は不敵な笑みに変わった。


「あらあら、ずいぶんと気付くのが早いのね。それも魔王になった効果かしら?」

「いんや、これは普通にあんたの失言だよ。あいつが骨折したという事実を知ってるのは白川と俺とあんただけ。さらに白川は俺に殴られるのを拒否しないんだよ、昔からの付き合いだからな。もう一つおまけに白川は俺に彼女がいると勘違いしているから俺が同性愛に目覚めたなんて妄言は吐かない」


 実は最後の同性愛の下りは嘘だ。

 適当に言っておけば引っかかってくれるから楽なもんだ。


「なるほど、私はたったこれだけの会話の中で私だと特定されるようなことを言っていたのね。今度からは気をつけることにするわ」

「で、本物白川は何処だ?あんたの事だから俺が乗り込んでくることも想定して“玩具箱”の中だとは思うが」


 この人は慎重そうなイメージがあるんだよな。

 わざわざ俺を騙して“玩具箱”に入ってから本性を現したところとか。

 そんな人が人質を自分の手に届く所かつすぐに対応できるところ以外に置くなんて考えられない。


「本当に勘がいいのね。先生褒めちゃう」

「くっだらねぇことしてねぇで白川の所に行くぞ。あいつはかなりあれなやつだが俺の親友の一人でもあるんだ、見捨てるなんて選択肢は俺にはない」

「はいはい、せっかちなんだからー、もう」


 以前と同じところに“玩具箱”につながる通路はあったので俺はそこを奥へと進む。後ろから新鳥さんもついてくる。

 にしてもこの人キャラ変わってね?




「……なあ新鳥さん」

「あら、なにかしら。質問ならできる限りは答えるわよ?」

「質問は後でするとして、とりあえず白川の姿をやめてくれないか?白川が女口調で話しかけてくるとか吐きそうだ」

「吐かれるのは困るわね、掃除って結構大変なのよ。だから了解したわ」


 絶対に自分では掃除しないだろうが白川の姿じゃなくて昔見たことがある姿になってくれたのは助かった。姿が違うだけでも話しやすさはだいぶ変わってくるからな。



 ==玩具箱==


「………何やってんだお前は」

「よお焔、お前って魔王だったんだな。俺驚いたぜ」

「新鳥さん、これはいったい………」

「あら、私は白川君を拘束しているとは一言も言っていないわ」


 玩具箱につくと真っ先に眼に入ったのは椅子に座って携帯電話をいじくっている白川の姿だった。こいつは人に心配させておいて……。


「いやーにしてもお前があんなに俺のことを思ってくれていたなんて驚きだね!俺とっても嬉しぶぎゃ!」


 さらにグルだったらしい、久しぶりになんで俺こいつが友達なのかと思ってしまったよ。


「いつも通りにまずは一発だ。あと何発殴れば俺の気が済むと思うか?」

「わー!タンマタンマ待て待て落ち着こう話し合おう話せばきっと分かり合えるさ!」

「うるさい」

「へぶし!」

「………あなたをここに呼んだ理由を話してもいいかしら」

「ん?ああ、どうぞ」


 とりあえずいつも通り白川を殴たっりしてじゃれていたら新鳥さんが話に割って入ってきた。

 そういえば俺を呼んだ理由をまだ聞いていなかったな。

 大体は予想ついてるから聞かなくてもいいんだけれどな。


「興味薄なのね、お姉さん悲しい」

「お姉さんという年か?あんたは」

「あら、案外鋭いのね。女性に関しては鈍いものとばかり思っていたわ」

「いいから本題に入れよ」


 茶番が長すぎると物語が進まないんだよ。


「はいはい、せっかちは女性に嫌われるわよ」

「余計なお世話だ」

「それじゃあ話し始めましょうか。まずは何から話し始めましょうかねぇ……」


 白川は急に静かになって場の緊張感は急激に高まった。

 俺はいつ襲われてもいいようにクリエイトで作り出したあるアイテムを握りしめる、もちろん新鳥さんには見えないようにだ。

 俺の予想が正しければこれが使えるかどうかは微妙なところだが。


「まず最初に言うべきは……聡明なあなたなら気付いているかもしれないけど私は“魔王”よ。昔あの魔神によって一族の中から誘拐されて“魔王”にされたのまだ幼いときにね。知ってのとおり私はメデューサの一族だから普通の人間よりも元の魔力量は多い、それで攫われたのでしょうね………」


 予想通りだ。

 ダンジョンを作ってみて分かったけどこの空間はまさしくダンジョンのそれに近いんだよな、空気とか。


「だがあいつの目的には不十分だったと」

「そう、だから私は途中で捨てられた」

「そしてあんたはあいつに復讐をしようと?」

「…どうするかは決めてないわ、幼かった私にとっては親のようなものだったし。だからあなたが“魔王”でなりたてなのを知って軽く取り乱したのよ、手がかりを逃がすまいとしてね」

「あれが軽く、か」


 前にここに来た時は俺がまだ魔王になりたてで魔力を使えない状態だったから新鳥さんの攻撃に対処できないからいいようにやられたな。

 あの時のこの人の狂気具合はトラウマになりそうなぐらい恐ろしかったな。

 それを軽くとはすごい人だ、怒らせたくはないな。


「それで白川まで連れ出して俺に何のようだ?」

「それもあそこまで推測できるあなたならわかるでしょう?」

「だな、大体の輪郭はつかめた、が。白川を出してきた意味が分からん、別に白川がいなくても呼び出し程度には応じたぞ俺は」

「それも大体は察しているのでしょう?つまらない問答は終わりにして答えを聞かせてくれません?」

「答え、ねぇ」


 軽く考えるふりをする。もちろん考えはすでに決まっているが。ただ使うアイテムを変えたほうがいいな、俺一人じゃきつい。



「答えは当然NO、だ」


 舌を出し親指を下に向け思いっきり下品に回答する。当然新鳥さんは敵意をむき出しにして戦闘態勢に入る。

 この間のに比べると冷静だが怒っている。


「そう、残念だわ。あなたも被害者なのだから手伝ってくれると思ったのですがね……」

「そうか、残念だったな。まあどちらにしろ俺とあんたが手を組んだところであいつは倒せんよ」

「そうかしら?あなたは正直言って私のうん倍もの力を持っているわ。それほどの力を持っているのにあいつに反抗しない意味が分からない」

「約束をしたからな、俺は約束を破らない」


 それにいまさらニュクスを殺したって何も変わらんからな。

 ニュクスに教えてもらいたいこともまだあるし。


「じゃあ私にとっては邪魔になるだけだからこの場で排除させてもらうわね。この場所でなら私でもあなたに対抗できる」


 読者の諸君に簡潔に説明しよう。

 先ほど言った通り新鳥さんは魔王で、この玩具箱は俺が作ったダンジョンと同じものだ。

 つまりこの場所では新鳥さんは圧倒的に有利、この空間を支配しているも同然の存在だ。

 完全にアウェー、俺の力は抑えられ新鳥さんの力は完璧に使える、正直勝てるかどうかは五分五分だな。

 俺がまともに戦えば、だが。


 俺は口に微笑を浮かべて話しかける。


「俺がまともに戦うと思うか?こんな場所で、こんな不利な状況で」

「逃げる気?させると思うの?」

「逃げねぇよ。ただこのまま戦う気もない、応援を呼ばせてもらうぜ」


 手に持っていたアイテムに魔力を注ぐ、するとそのアイテムは輝きだす。

 魔力を注げば注ぐほど光りを強くし、形大きさは変わらないが明らかに手のひらを押し返す力を感じる。


 ……結構魔力の消費が激しい、疲れるなこれ。


「何を持っているの!まさか爆弾!?」

「ちげえよ、爆弾なんかよりよっぽど凶悪でよっぽど安全なものだ。そろそろ開放するぞ、心の準備はいいか?小便は済ませたか?……そら!開放だ!」


 俺はもう直視できないほどに光を放っているアイテムを上に投げる。

 光り輝くそれは突然破裂し、その光の中からアルマが出てきた。


「マスター、お呼びで?」

「呼んでなければお前はここにいないだろう?とりあえず命令だ≪俺に危害を加えさせるな≫」

「了解です、マスター」


 突然現れたアルマを見て新鳥さんは目を丸くしている。


「……その子はどうやってここに?」

「さっきのアイテムは俺がクリエイトで創り出したアイテムの一つでな、“転移石”というものだ。効果は召喚したいものの約倍の魔力を込めることでそのものを召還することができるというものだ。アルマは魔力量がとんでもないから召喚するのにも一苦労だ」


 アルマは俺のだいたい四分の一程度の魔力を持っているから召還するのには俺の半分の魔力を込めなければいけない。

 よって気分的にもかなり落ち込んできてしまっている。

 この程度なら気合で持ちこたえられるが。


「なるほど、≪始点は目に見える範囲の場所≫というクリエイトの弱点をカバーするための道具なのね。便利だけどただその分魔力の消費も激しいみたいね、顔色が悪いわよ」

「確かにそうだがアルマを呼べるなら安い条件だ」

「絶対の信頼をその子においているのね」

「当然だ、アルマは俺の最高傑作だからな。何せ肉弾戦では俺もかなわないほどだ」


 これは本当の話だ。アルマを作った後性能を見ようと一度スキルなしの戦闘をしたことがある。

 結果は俺の完敗。俺の攻撃はすべてアルマに必要最小限の動きで避けられ、アルマの攻撃は俺の攻撃の勢いを利用して威力を倍増して俺に当ててくる。

 元の力もとんでもないから一発が重いのなんの、で俺は三発でKOされた。


「それは怖い。だけど私には数で押し切るという手もあるのですよ?その子だけで私の魔力が切れるまで持ちこたえられるとでも?」


 新鳥さんはぽつりと何かを呟いた。

 すると異常な数の魔物が俺らの周りを取り囲む。

 俺らを取り囲んでいる魔物はすべてぬいぐるみのようなファンシーな見た目だ、さすがに女性ということだろう。


 そういえばいつの間にか白川はいなくなっているようだな、これなら安心してアルマが暴れられるな。



「アルマ、今回は“武器”を持て。お前の実力をあいつに見せつけてやれ」

「了解です、マスター。≪武装召喚・デュアルソード≫標的・新鳥以外の周りのすべての残存生物。行きます」

「………あら?」


 アルマが召喚した双剣。俺がちょっと前にクリエイトの練習で作ったかなり丈夫な金属でできている。


 アルマの言葉とともにアルマが一瞬消えたと思ったら次の瞬間、俺らの周りを囲んでいた魔物が一体残らず胴体と首が離れていた。


「………あーうん、そうね。ちょっとその……言葉が見つからないわ」


 新鳥さんが戸惑っている、想像以上にアルマの力がすごかったらしい。


「もう終了ですか?この程度準備運動にすらなりませんよ?」

「……念のために伝えておこう、アルマが俺の最高傑作である理由はその力もそうだが圧倒的な速さだ。今のが目で追えないのならアルマには勝てないぞ?」


 アルマは速く動けるが故の動体視力も持ち合わせている。

 つまりアルマが認識できないほどの速さで攻撃するか、アルマでも逃げきれないほどの広範囲攻撃でしかアルマはやられない。

 目で追えていないのなら両方とも不可能だろう、実力的に考えて。


「あらあら、本当にあなたは私とは規格違いのようね。正直私が何人いてもその子には勝てる気がしないわ」

「だったらどうする?降参するか?命の保証はしないが」

「そうね、私はこうさせてもらうとするわ」


 新鳥さんは俺たちの足元を指さす。

 …あ、これはちょっとやばいな。ここが新鳥さんの作った“ダンジョン”ならこの動作は………


「マスター、命令はありませんがこの場を離れましょう。いいえ、離れさせます」

「へ?アルマ――」

「………さすがね、次はどうしようかしら?白川君ももう操作できないし手がないわね。まあゆっくり考えるとしましょう」




 アルマに手を掴まれて引っ張られたと思ったら俺は学校の校庭端にいた。

 転移……じゃないよな?まさか………


「アルマ、お前転移を使ってはいないよな?」

「はい、私が出せる最高速でここまで走りました」


 よく辺りを見まわすとアルマが通ったのか地面がひどく凹んでいる場所がいくつかあった。どんな脚力だよ………


「……アルマ、今日はもう帰るぞ。お前を召喚するのに魔力を使ったから疲れた」

「了解ですマスター。近くまで連れていきますね」

「頼む」

 更新はなるべく早くするように心がけます。

 学校のほうが落ち着いてきたらまた多少は更新スピードが安定できると思います。


Twitter始めました。現在の進み具合、あとどのぐらいで投稿できそうかを呟いていきたいと思います。質問等あったらこちらのほうでよろしくお願いします。 https://twitter.com/nisemonokairai#

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