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第三十八話 魔王としての仕事-1

「おいおい、誰だよこれを撮ったやつ‥‥‥」

 

 パソコンの画面を見ながらつぶやく。


「どうしましたかご主人?何か問題でも出てきましたか?」

「おお、今日は恵いるのか。これを見てみろ、すぐにわかる」


 恵が画面を俺の後ろから覗き込む、すぐに事情を察して困ったような顔をする。


「どうしましょうかご主人?これじゃあ私もう外を歩けません!」

「これはデータだけ消してもなぁ、もうニュースでも流れ始めたみたいだし」


 俺が見ていたのは某動画サイトだがそこの今注目の動画の欄にとんでもないのがあった。恵のあの大☆虐☆殺動画だ。


「虐殺はしていません!実質氷漬けにした人も生きてはいると‥‥‥‥‥‥‥‥思います」

「思うだけか、信頼性はないな」

「うう~~」


 にしても本当にどうしたものか、これじゃあ恵が今まで通り外を出歩くのは不可能だな。アルマのように魔力の調子を変えるには俺が“クリエイト”で作ったものか、俺の魔力で影響を与えられるぐらい魔力の波長が合っていないとダメだしなぁ。

 そういえば社長はどうなっているんだ?娘がこんなことしでかしたから大事になっているんじゃないか?


「ちょっと社長の方にも状況確認の電話をしてみるか」

「私がこんなことをしたからパパが社長を辞任するなんて話になっちゃってたりしませんよね!?ね!?」

「正直わからん。があの人なら何とかしちゃってそうだけどな」


 携帯電話を取り出して社長に電話する。コール音三回で出てくれた、意外と早いな、暇なのか?


『やあ、久しぶりだね。何か御用かい?それとも恵が何か粗相を?』

「そうだな、旅行先で少しな」

『あははははは、あれで少しとは言う事が大きいね。やっぱり私の会社に来ないかい?いい仕事を与えるよ?』

「考えておきます、それと聞きたいことはもう聞けましたので切っても?」

『待ってくれ。こちらからも一つ訊きたい、恵はそこにいるのかい?』

「いるぜ、じゃあな」


 電話を切る、きちんとこっちの目的を察して、こちらが質問する前に答えてくれたから驚いたが。


「やれやれ、本当に社長は化け物呼ばわりされてもしょうがないと実感するぜ」

「今の会話で何がわかったんですか?」

「社長はこの事件を知っていることと社長をやめることは無いという事だな」

「Why?」

「なぜ英語なんだ‥‥‥‥前者は普通に言っていたから説明はいらないな。後者は俺を会社に誘ってきたとき“私の”と言ってきたからそうと推測できる」

「ほあぁぁ、ご主人頭いいですね」

「眷属が頭悪いのが多いからな」

「それには私も入っているでしょうか?」


 ここで玉依さん乱入、普段なら勝てないが今回はきちんと言動に気を使っていたため流せる。


「多いと言ったんだ。全員とは言ってはいない」

「今日はきちんと逃げ道を用意していたのですね、成長しましたか。くすくす」


 楽しそうに笑う玉依さん、この人いったい何歳なんだ?少なくても俺よりは年上だよな?


「女性に年齢は聞かないものですよ。それとこれからどうするのですか?恵ちゃんのこれからの行動をある程度決めておきませんと動きが制限されてしまいますが」


 心読まれた、ニュクスか!てーの。


「玉依さんは本当に賢いから助かるよ。恵のこれからは俺が考えるとして、玉依さんに一つ相談があるんだがいいか?」

「なんでしょうか?言っておきますけれど私は今着ている服と全く同じ服しか持ってきてはいませんよ?」

「何を想像したんだ‥‥‥‥まあいいか。相談というのは玉依さんに新しく作る予定のダンジョンのフロア設計を任せたいんだよ」


 有言実行しましたよ。


「暇つぶしにはなりそうですね。了解です、焔君に負けないぐらい鬼畜な設計を作ってきて差し上げましょう」

「本当に作ってきそうで怖いな」

「ふふふ、それでは作っていただいた私の部屋で考えてきますね?」


 玉依さんは基本的にダンジョン内で生活する人のために作っている部屋の一つに入っていた。現在管理人室から四つの部屋に行けるようになっていて、それぞれ俺、ニュクス、フィー、玉依さんが現在住んでいるんだがこの分だったら部屋を恵の分も増やさないといけなさそうだな。


「さて、とりあえず恵はダンジョン内で待機だな。それと恵も一つフロアを受け持ってみるか?」

「私ではご主人レベルの鬼畜使用が作れないので辞退します」

「ははは、恵は俺たちの中じゃあ一番(それでも十分ひどいけど)良心的だからな。人にも情けをかけることができるあたり」

「はあ」


 生返事をした恵を一度放っておいて外にいるドール型の魔物たちで探索に分けているやつらがなにか発見していないかを調べる。ちなみに人間の魔物化を発見できたのもこいつらのおかげだったりする。


「うわぁお、なんだこれは。明らかに封印や隔離の形じゃないか」

「ご主人どうかしたのですか?」

「うるさいのう、せっかく気持ちよく寝ておるのに‥‥‥何事じゃ?」

「起きたかニュクス。ドール型の奴らが変な地形を発見したんだ」


 今まで陸地つながりになっていたのに突然の川、しかも円形になっていて円の中の陸地が飛び地になっているようだし円の内側の陸地にはただの一本も木がない。何か封印や閉じ込められているのは間違いないだろう。橋もないのだし隔離は確実。


「ふむふむ。その状況じゃと封じられておるのは吸血鬼じゃろう」

「吸血鬼ぃ?」


 中の陸地には木がないから中の様子がよく見えるのだが中で暮らしているものたちは昼でも普通に外に出てるみたいなのだがそれでも吸血鬼なのか?  


「吸血鬼が太陽光に弱いというのは創作によるものじゃ。吸血鬼が強いうえに弱点が少ないがゆえに作られたのじゃよ」


 へぇーそうなのか、初めて聞いた。やはり亀の甲より年の功だな。


「これ、わらわを年寄り呼ばわりするでない。そして川で囲ってある理由じゃが吸血鬼は橋や船がないと流れる水を渡れないのじゃよ」

「だから内地に木がないのか。吸血鬼どもが出てこないようにするために」

「そういう事じゃ。二度とわらわを年寄り呼ばわりするでないぞ」


 本日二回目の心を読まれた。ニュクスといい玉依さんといいなぜ俺が考えていることがわかるのだろうか?


「それで相手がわかったところで焔はどうするつもりじゃ?まさか無視するわけではあるまいな」

「愚問だな。魔族を統べるもの、それが魔王だ」

「つまりどうするというのじゃ?」

「決まっている、倒して配下にする」


 眷属にはしない、また文句言われそうだからな。それに人外を手下にしておけば何かと便利だからな、損はしない。


「ならばよいのじゃ。焔も魔王ぶりが板についてきたの」

「それはいったん置いておいて、ニュクスもダンジョンの一階層分の設計をしてみるか?」

「いや、遠慮しておくのじゃ」

「普段ニュクスはテレビ見てるだけじゃないか、たまには頭を使え」

「む!そのようなことは断じてない!物申すぞ焔!」

「じゃあ他に何かしてるのか?」

「うぐぅ!……………ええい!やればよいのじゃろうやれば!」

「頑張れよ~」


 ニュクスが叫びながら自分の用の部屋に入っていった。これで二階層は追加確定だな、どこに挟むかも考えておかないとだな。

 さてさて、転移でさっきの吸血鬼達の所に飛ぼうか。

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