第三十六話 玉依の実家
本当にすいません。一話抜いて投稿なんてへまをやらかしてしまい申し訳ありませんでした。今度からは注意するようにします。
生まれって不条理ですよね。親が神社の神主というだけで幼い日から巫女としての立ち振る舞いを教えられました。内容はまったく聞いていなかったので覚えてはいないのですが。
ともかく生まれた時から生き方を決められたものではあるのは嫌なことです。もちろん従う気はさらさらありません、ですから篝火さんの眷属になったんですよ、この状況を変えるために。
==神社==
「玉依、いったい何処に行っていたんだ?お前がいないから参拝者さんたちが残念がっていたぞ」
私の父親です。一応この神社の神主をやっていますが人間の屑です、死ねばいいのに。
「そんな気持ち悪い人たち来ないほうがいいのでは?神様もそんな人たちのお願いを聞かされてうんざりしてると思いますよ」
「神様なんてただの飾りだ、私たちが金を得るための道具でしかないんだよ」
神主らしからぬ言動、神様が怒りますよー。魔神がいるのですから神様もいるのでしょうし。魔神は魔の神様ですからね。
「やれやれ、神主がこれじゃあこの神社はお仕舞いですね。ただでさえあんたは何も取り柄がないというのに」
「父親をあんた呼ばわりか、巫女がそんな言葉づかいじゃ駄目じゃないか」
「この神社を娘の力で保っている人など父親などと呼びたくはありません」
「酷い言葉だ、親としては絶対に聞きたくはない言葉だな」
「いまさら何を言うのですか、私個人としてはさっさとここを出てあなたとは離れたいのですよ」
「おいおい、許すわけないだろう。私たちに正月のみの収入で食って行けとでも?」
「たちじゃないですよ、私が心底嫌いなのはあなただけです。母上は好きですよ、ですからまだこの神社に居るでしょう」
そうです、私は母上は好きなのですよ。この糞で屑で存在が蛆虫以下の父親は大嫌いですが。それをこの糞は羨んでいるのです、本当に殺したい。今ならその力もありますし。
「また喧嘩ですか玉依、巫女ともあろうものがはしたない」
「私は巫女を好きでやっているわけではないですもの」
「好きでやっていなくても貴女には力があるのですよ。力あるものは力なきものを導かなくてはなりません。そこの救いようのない馬鹿も同様にです」
さらに私の両親の夫婦仲も良くないときます、だったらもう早い所離婚してほしいけれど母上が「愚か者には救いの手を差し伸べねばならないのですよ」と言って離婚しようとはしない。何なんでしょうこの夫婦、付き合わされる子の身にもなってくださいな。
「はぁ。それと私はしばらくこの家を空けますから」
「理由を話してくださいな、納得できれば幾らでも空けてどうぞ。納得できなければ‥‥‥‥」
「愚か者には救いの手を、でしょう?」
「懐かしい言葉ですね、昔私が貴女に言った言葉ですね?それがどうかしたのですか?」
「愚か者でなくても私を必要としている人を見つけたのですよ、それが理由です」
まあ、嘘ではないですよね?たぶん。
「そんなことで神社をしばらく離れると?そんなの許すわけないだろう!!!」
「そうですか、じゃあ」
ここで笑顔を見せてっと
「あんたをここで殺していきましょうか?」
「ひ!」
威圧します、それも本気で。魔族になったせいなのか屑は怯みました。しかし母上は――
「ここ数日でだいぶ変わりましたね、どんな人物と知り合うことができたのですか?」
この余裕ですよ、本当に母上には勝てませんね。
「本当の事を言わなくてはなりませんか?言って驚いたり通報したりしませんか?」
「何!通報されるような奴と付き合いがあるのか!?」
「あんたは黙ってなさい………」
「ひゃ、ひゃい」
屑が再び出てきたのでまた威圧して黙らせます。母上は何か考えておられる様子、本当に母上には勝てそうにありません。現時点最強生物母上。
「わかりました、言ってみなさい」
「うーん。魔王です」
「あら、そうですか。これはまた神様は珍妙な巡り合わせをなさったようですね」
さすが母上、娘が魔王に会ったというのに全く動じていない。さすがですね、肝っ玉どころではない。
「驚かないのですね、母上」
「当然でしょう?神様がお決めになった物ですもの、何か意味があるに決まっています。もしかしたらただのお戯れかもしれませんが」
母上は異常なまでに神様を信じています。話によると幼いころに神様に助けてもらったことがあるのだとかなんとか、にわかには信じがたい話ですが母上の狂信者っぷりを見る限り本当の事なのでしょうね。
「お戯れでも良いのです、神様がお決めになったことなのですから。そのうえで私たちは動けばいいのです」
「…とりあえず空けることについては了承してもらったと受け取ってもいいですか?」
「どうぞ。これもまた必然なのですから」
……本当に狂信者ですねこれは。神様、ちょっと私の母を正気に戻してください。ていうか母上は神社よりも教会に行った方が受けがいいと思うんですよ。
「神は一柱なんて愚かな考えです。完璧なものなどないのですから神にも欠点はあるのです、よって神も沢山いて互いに欠点を補ってこそ完全なんです。一柱の神が全てを行うなど集中力が切れてしまうでしょうし、疲れてしまうでしょう」
そして純粋、ここが私が母上を好きな理由の一つでもある。真剣にボケるその姿はすごく‥‥‥うん。ちなみに母上が言ったことを私は一割も理解できていません、そんなものでしょう。
「ところで今までずっと気になっていたのですがこの神社って何の神様を祭っているんですか?」
「さあ?私も詳しくは知らないわ。いろいろ呼び名はあるみたいだけれども」
「どんなのですか?」
「“断罪者”や“巡回者”という風に聞いていますよ。ああ、それと最近神様が世代交代したそうで」
「世代交代‥‥‥神様が!?そんな事するものなんですか?」
「なさったんだからするんじゃないの?神様は私たちの想像など遠く及ばない存在なのですから」
及ばなすぎます‥‥‥‥。
「えーと、それじゃあ私は自分の荷物まとめてきていいですか?」
「いいわよ。だけど服装は必ず巫女服であること、いいわね?」
「う、わかりました」
そそくさとその場から去って自分の荷物をまとめに行く。後ろから母上と屑が言い争っている声がよく聞こえた。
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「はぁぁぁぁ」
盛大に溜息をつく、本当に俺魔王になってから溜息をつく数が馬鹿みたいに増えた気がする。
「目論見通りにはいかなかったの、まあ面白いからよいではないか」
「よくねぇよまったく。最近フィーがよく外出しているからニュクスだけを相手すればいいが玉依さんはちょっとな」
「あっはっはっは。焔の得意の言いくるめが効かぬからの、いっそのこと一階層位は管理させてみたらどうじゃ?きっとすごいのが出来上がるぞ?」
ああ、ニュクスも俺と同じことを考えていたのか。玉依さんが作ったら俺のなんか比較にならないぐらい罠がたっぷりありそうだもんなぁ。
「じゃあ本当に一回設計をやらせてみよう。それでそのまま使えそうだったらそのまま、一部使えそうだったらその一部を参考にして全体を俺が作るでいいか」
「むしろ焔に負担が来るぐらいどぎついのを作ってくれそうじゃ」
「だな」
こうして正式に玉依さんが仲間に加わった、恵にはとやかく言われそうだが仕方がないな。そういえばアルマは一応第五階層の総指揮を任せているはずなんだよな、本人常に遊んでるけど。フィーには第二階層のボスという事で第二階層の管理を任せてみるか?だとしたら恵にもどこか割り振ってみるか、これで俺の負担が少しは減ればいいが逆に増える気がするのは気のせいだと思いたい。




