第二十四話 対策会議
攻略者とクリムゾンスライムの戦いがあった次の日の朝。
「第一回対策会議を始めようと思う。」
「「え?」」「は?」
説明しなくてもわかるとは思うが、え?と言ったのはフィーと恵、は?と言ったのはニュクスだ。
「いきなり何を言い出すのじゃ?今のままでも普通の人間は行って第三階層どまりだと思うのじゃが。」
ニュクスが意見を言ってくる。こいつは俺が作ったダンジョンがそこまで鬼畜だと言うのか!
「確かに今から何か改造するようなことはないと思います」
恵が言ってフィーが頷く。……お前ら。泣くぞこん畜生が!
「……まあ確かに攻略者に対してはないか。だがそれ以外にもいろいろと変えたいところはあるんだ、宝箱の配置とかな」
「マスターはもっとこのダンジョンをもっとRPGのようにしたいのですか?」
フィーが言ってくれた、それもあるのだがな。別の目的もあるのだよ。
「確かにもっとRPGのようにしたいが他にもやりたいこともある。実は階層を増やそうと思うんだ」
やりたいことは今ある階層だけじゃ足りないからな。
「あともう一つ、入口を別のところにも作ろうと思う、そっちはダンジョンとしては使わないけどな」
「……それはまた大量に魔力を使いそうな計画じゃな。それで何故ダンジョンを増やすのじゃ?」
「実は違う方のは“闘技場”にしようと思ってな。なかなか面白そうだろう?」
「具体的にはどうするのです?」
あっ今気づいたが恵がようやく堅苦しい言葉をやめてくれている。地味にうれしい。
「具体的には“闘技場”で人と魔物を戦わせる。そして人間が勝ったらアイテムや情報をくれてやる。これでダンジョン攻略も捗ってくるだろうから階層の増加もさせなくちゃいけない」
我ながらいいアイデアだ。
「闘技場はなぜ作るのですか?このままでいいじゃないですか。情報を与えなければ今の階層でも十分対処できると思います」
フィーはわかってないな。これは攻略云々の問題じゃないってことを。ニュクスはうっすらと気付いているみたいだな。
「そういうことじゃないんだよフィー。ニュクスはもう気づいているな?俺の本当の目的を。」
「おそらくじゃが・・・“それ”についてじゃろう?」
「その通り。“それ”じゃ二人にはわからないから詳しく説明するとだな、簡潔にいうと人の魔物化だ。」
「人の魔物化ですか?」「いったいどうしてそんなことが・・・。」
二人とも困惑している。恵はともかくフィーは・・・・。言いたいことはわかるよな?うん。
「厳密にいうと少し違うのだがな。人の魔物化とは文字通り人が魔物になることではなく、人が魔物に似てきているということだ。」
「魔力がこの世界に蔓延してきたせいで人にスキルが芽生えてきてるのは知ってるだろ?それの中には人が人じゃなくなるスキルがあったんだ。」
これについては“あいつ”が起こしているのかと思っていたが“あいつ”がこんなことするわけがないしな。
「人が人じゃなくなるスキル・・・・たとえばどういうのです?」
「人ではなく神の領域に入り込むかもしれないスキル・・・・死者蘇生と天候変動を起こすスキルが今のところ確認されている。」
「死者蘇生に天候を操るスキル・・・確かに人ではないですがなぜ魔物化なんですか?」
「もっともな疑問だな。実は死者蘇生で生き返った人間は人と言うよりはアンデット型のそれに近い。魔力で再生するところなんて特にな。さらに天候を操るスキル、こっちはもっとひどい。この天候変動のせいで大量の魔力がその辺にばらまかれて魔物が自然発生しやすくなっているんだ、それだけならいいがその発生した魔物と共存しているというから胸糞悪い。人が魔物とまぐわいあって異形の子を成
す、それを慈しみながら育てている人間。それはもう人と呼べるものではないだろう。」
「それは・・・。」「ひどい・・・」「想像したくもないの。」
フィーと恵が引くのはわかっていたがニュクスまで引くとは。まあ詳しいことを教えたのはこれが初めてだし無理もないか。
「それと闘技場の関係性を教えてくださいませんか?マスター。」
「闘技場で情報を流すといっただろう?それにさっきの情報を入れておく。それで人道的にどうかと判断される、それで同士討ちしてくれればいいなと思っただけだ。それを人間が黙認するなれば俺がじきじきに言って皆殺しにしてくれる。人は人であるべきだ、それを間違えるようならばそれは人ではない。俺が人というものについて説教してやる。」
俺は怒っているんだ。人は人であるから今の状況にあるというのにそれを根本から捻じ曲げようという、ならば元人として俺が人に直してくれるしかないだろう。俺はもういくら望んでも人には戻れないのだから――。
「マ、マスター?怖いです、目が笑っていませんし敵意むき出しです。」
フィーに言われて我に返る。そうだな、今ここで怒っても何にもならない、まずは人に警告を送るべきだ。…恵は元が人間だからか俺の気に耐えられずに部屋の隅に避難している。
「すまんな恵、少し感情が爆発してしまった。もう大丈夫だから戻って来い。」
恐る恐る恵が近づいてきたので頭を撫でて安心させてやると席に戻っていった。
「俺が言いたいのは人が人を自らやめる前に警告をしてやる。それでもまだ人をやめようとするのならば実力行使で止める。それが望まぬ形で人をやめた俺のやるべきことだ。」
ニュクスが俯く。
「ニュクスを攻めているわけじゃあない。むしろ感謝もしている、ニュクスのおかげで恵とフィーに会えたわけだしな。しかし人間が恋しいかと聞かれればやはりYESと答える。だから俺は教えてやらねばならない、人をやめることの空しさを。」
そして確かめなければいけない。俺は本当にこのままでいいのかを。
恵ちゃんのことは完全無視な主人公です。うp主は受験生なので受験が終わるまでパソコンを使うのを親にやめさせられました、よって二~三週間ぐらいは新しい話投稿できませんがご了承ください。申し訳ありません。




