第二十話 久しぶりの学校へ
「学校に行く!」
「はぁ、何言っておるのじゃいきなり。焔が学校に行ったら再び狙われるやもしれんぞ。」
「それはわかっている。だから俺が行くんじゃない。」
「?、どういうことじゃ?」
「ミミックスライムを俺に擬態させてそれに俺が乗り移ればいい、そうすれば魔王の嫌われ者効果もなく学校に行けるだろう。」
アルマに乗り移った時には効果を発揮していなかったしな、間違いないだろう。
「……本当に悪知恵が働く・・・。」
「褒め言葉だ。それじゃあさっそく外に出てる一体をダンジョン内に呼び戻して代わりにミミックスライムを外に出すか。」
すぐさま俺は五階の中間ポイントに行き、一体を呼び戻して擬態ミミックを外に出した。
俺が擬態ミミックを飛ばしたところは俺の家、ボロアパートの一室だ。家賃は親が払ってくれている、半絶縁状態と言ってもそのぐらいはしてもらわなきゃな。ちなみに中間ポイントは俺が使用するときに限りどこへでも飛ばせる、攻略者の場合はダンジョン入口前固定だがな。
「今の時間は・・・六時か、これから準備していけば間に合うな。」
もっともここ二週間ぐらい行ってなかったからどんな顔されるのだろうか・・・。
--学校--
久しぶりの場面転換法。第七話以来か?帰ってきた感がすごいな。
「いよ~う。久しぶりだな、どこ行ってたんだ?」
「相変わらずうるさいな白川。二週間程度どこで何やってたって俺の自由だろ。」
「いや、そうだけどさ。最近謎の失踪事件が多いじゃん?それにお前の名前があったからさ~。」
なるほど、さっきから感じている視線はそういう意味だったのか。魔王効果はないはずなのにおかしいと思ったら。
「まあ無事っぽいからいいけどさ。それより聞いてくれよ、俺さ―――。」
「聞いてやるからまず俺の問いに答えろ。新鳥先生はどうしたのか?あとお前は肋骨折ってたはずだよな?なぜぴんぴんしている。」
新鳥は単純に危ないから。白川の肋骨は単純に気になるからだ。
「新鳥先生ならやめたよ、なんでもやるべきことができたとか。俺の肋骨は医者に行ったらスキルとやらで直してもらった。」
なるほど、治癒スキルか。今度眷属にする奴は治癒スキル持ちにするか。新鳥は気にはなるが放置でもいいだろう。
「それじゃあ言うぞ。実は俺・・・好きな人ができたんだ!」
「はぁ?」
何言ってんだこいつ。自分のモテなささは知ってるはずだろ?
「今回は本気なんだ!あの子と付き合えるのならば死んでもいい!」
こいつは勢いだけでこんなことを口走るやつではないことを俺は知っている。本気というのは本当なんだろう。
「死んだら意味がないだろう。それで、俺に何をさせようというんだ?」
「お前は察しがいいから助かるよ。お前には俺の告白を手伝ってほしんだ。」
「手伝いなしじゃ告白もできないのか、軟弱者め。」
器だけでなく肝も小さいとは知らなかった。
「そうなんだよ、できないんだよ。…物理的な意味で。」
「はぁ?」
「というわけだニュクス、新しい眷属にピッタリだと思わないか?」
「なるほどのぅ、身長150cmぐらいの身長できれいな光沢がある緑の髪の少女か・・・焔の周りにはロリばかりが集まってくるのぅ、どうしてじゃ?」
自分がそのロリキャラであることを自覚しての発言かこいつは・・。あとそのぐらいの身長ならロリじゃない、ロリコンに怒られるぞ。
「そういうことはどうでもいいんだ。問題は話に聞くところのその異常なまでの脚力だ。これにはスキルが関係してるかそういう種族だと思う。」
白川の言う通りだと少女は話しかけるとすぐにとんでもない速度で走って逃げるか、ジャンプして逃げるというらしい。ジャンプは実に5mは跳んでいるとのこと。
「そう考えるのが普通じゃろうな。わらわが聞いた限りでは脚力がそれほど強力な種族と言うのはおらんの。おそらくパッシブの一種類じゃろう。」
あくまでも人間か・・なら捕獲するのには恵が使えそうだな。
「放課後に捕まえに行く予定だから恵に連絡入れておくか。それじゃあ俺は再び擬態ミミックにトランスしてくる。」
「‥‥わらわも外にいきたいのう。」
小声で何か言っていたが聞こえなかった。
「起きたか?いきなり寝ちまったから驚いたぜ。」
「昨日あまり寝ていなくてな、それで本当に放課後にその少女に告白しに行くのか?」
「当然!今日こそは逃げられないようにするためにお前に手伝ってもらうんだ!」
逃がさないようにって・・・嫌われるんじゃね?それ。まあいいけど。
「逃がさないようにするんだったら適任の人がいるんだが呼んでもいいか?」
「もちろん、よろしく頼むぜ!」
いい笑顔で白川は言った。俺に対しての性格はいいやつなんだよな。
--放課後--
「この子が朝言ってた適任?」
「そうだ。」
白川が恵を指差して言う。小柄な少女が適任というのだから驚かない方がおかしい。相手は速いというのだし。
「はい!私は高梨恵と言います。よろしくお願いします。」
最近の恵は快活な少女だ。あの時の臆病と冷酷さはどこに行ったのやら。
「いやーお前もやるねぇ。こんなかわいい彼女作っちゃってさ。あ!二週間の休みはまさか・・・痛い!」
手加減して殴っておいた。力の加減は最近慣れてきた。
「彼女だなんて・・そんなことありませんよ!もう。」
そうはいっているが満更でもないって顔してるぞ、恵よ。敬語は人前ではやめてくれているがいったい何時になったら本当にやめてくれるのだろうな。
「そこでその少女はどこにいるんだ?早くしないいと日が暮れるぞ。」
俺は急かす。ニュクスを夜遅くまでほっといたら文句がうるさそうだからだ。
「そうそう、こっちこっち。」
白川は俺らを学校裏の山に連れていく。
--裏山--
自然がそのまま残っているこの山は入ると二度と出てこれないといわれている天然の迷路だ。子供のころ俺と白川と・・・とあるもう一人でよくここを遊び場にしていた。そこまで見た目も変わっていなかったので俺と白川は枝をかき分けてどんどん進んでいく。
「置いて行かないでくださーい!」
恵が俺らの遥か後ろの方で叫んでいる。眷属としての記憶が戻っているから俺の位置はわかっているので迷うことはないはずなので無視していたが・・・・。
「いくらなんでもひどくね?おんぶでもしてやれよ。」
と白川が茶化してきたので本当に恵を背負って登山することになった。
「恥ずかしいです・・・・・。」
とか言って赤面している恵をほっといて俺らは頂上に向かう。……口には出さないが人って重いんだな、ミミックスライムの体だから結構きつい。そんなことを考えていたら開けたところに出た、頂上だ。
「疲れた、さすがに人ひとり背負って登山はきつい・・・。」
「体力馬鹿のお前にはちょうどいいんじゃん?あの子はいつも頂上の公園に居るんだ、早く行こうぜ。」
「体力馬鹿とか酷いな。お前より勉強もできるぞ。」
白川は聞く耳持たず。つかつか一人で行ってしまう。
「やれやれ。恵!行くぞ。」
「は、はい!」
まだ軽く赤面している恵を連れて白川の後を追う。
「ほら、あそこにいるだろ?緑の髪の少女。」
確かにいた。一人で公園のブランコを漕いでいる。…ぼっち的な意味で。
「恵、それじゃあ頼むぞ。」
「はい!頑張ります!【合わせ鏡】」
恵がそう唱えた瞬間一対の鏡が表れた。
「わお!これがスキルってやつ?」
「そうだ、少し黙ってみてろ。恵、狙いをきちんと定めろ。」
「はい。・・・ロックオンです!鏡よいけ!」
恵の号令とともに二枚の鏡は少女を挟み込んだ。成功だ。
「よし、成功だ。よくやった。」
「はい!頑張りました。」
「いや、これでどうなるの?鏡で挟んだだけじゃん。」
「白川、だから黙ってみていろと言っただろう。恵、俺たちも鏡の中に飛ばしてくれ。」
「わかりました。気を付けてくださいね。」
そして光が俺たちを包んだ。
恵ちゃんのユニークスキル発動です、以下説明。
“合わせ鏡”
一対の鏡を召還し、その鏡で挟んだ相手を鏡の中に引きずり込む。恵は中の様子を知ることができる。相手と合意の上ならば自由に相手を鏡の中に入れることもできる。分類的には結界型スキル。




