第十九話 ダンジョン攻略隊‐2
『新人!覚えておけ!スキルはスキル名を唱えると発動する。以後気を付けろ、ダンジョン内で味方を焼かないようにな。』
『はい・・・以後気を付けます。』
怒られた新人はしゅんとしてしまっている。こいつら敵地にいるのにのんきなものだな。外で活動させているドール型一体けしかけてやろうか?
「焔よ、先頭隊が分かれ道に到達したぞ。」
「分かれ道まで?途中にいたスライムはどうした?」
スライムが二体うろついていたはずだが。待機組のやつらにスライムの特徴を知らせた様子もないし何が起きたんだ?
「スライムは天井にへばり付いておってな、先頭隊が来た時には眠っておった。」
……おいおい、あの新人レベルの間抜けがいたぞ。てかそもそもスライムって寝るのか?単細胞生物って睡眠必要なのか?
「詳しいことはきくでない、きっとスライムにもいろいろ都合があるのじゃろう。察してやるがよい。」
液状生物に都合なんてものがあるのか?……やばい混乱してきた。
「気にしたら負けじゃぞ。ほれ、先頭隊は右に行ったみたいじゃ。おそらく左の性質を知っておる奴がおったのじゃろうな。」
「左の性質?なんだそれは。」
ニュクスは目を丸くしている。俺なんか変なこと言ったか?
「左の性質を知らぬのにこの分かれ道を作ったのか?本当にか?冗談ではないのか?」
「本当だが?右も左も同じモンスター数にしているだろ?難易度も大して変わらないし。」
「どこがじゃ!右のほうがモンスターの設置、モンスターの潜ませ方、罠の設置場所が完全に殺るきじゃろうが!」
そうか?そこまできつくした覚えはないのだが・・・・。
「……わかった、おぬしは普通に鬼畜なのじゃな。よーくわかった。」
「今のは軽くムカッと来たぞ。そんなに言うのなら結果を見て鬼畜かどうか判定しようじゃないか。」
「それでも良いぞ、わらわはこやつらの全滅に二十秒かからないと予想しよう。」
「じゃあそれ以上かかったら俺の勝ちな。」
「よいじゃろう。ほれ、ちょうど今から部屋に入るぞ。全員が部屋に入ってきたらカウントスタートじゃ。」
モニターを見ると俺が作った部屋の前に先頭隊がいた。今から入るようだ。
『この部屋はいったい・・・。』
『入るしかないでしょう。俺たちが右行った事は知らせてあるのでこっちがだめでも左に行ってくれるだろう。』
『だな、それでは突入する!』
隊長を先頭に突入してきた。
「それではカウントスタートじゃ。」
一秒後、一番後ろの隊員がドアに擬態していたスライムに後ろから刺される。
二秒後、床の一部がスライムになり隊員の一人を飲み込む。
五秒後、驚いて出口に急いだ隊員が落とし罠にかかる。
十秒後、隊長が後ろのスライムに気を取られているうちに壁から矢が飛んで来る。
……軟弱者どもめ!
「十秒じゃな、これはひどい。そもそも入るためのドアをスライムにすること自体が異常なのじゃよ。」
スライムには≪擬態≫という特殊能力があって何かに化けることができる。その能力を使ってみた結果がこれだよ!
「……あれ?あのスライム色が変わってないか?」
隊員を飲み込んだスライムが青をから緑色になっている。
「あれは・・・ミミックスライムじゃな。擬態能力に長けておる、あのスライムは無生物だけではなく生物にも擬態することができる。
おぬしの不意打ち戦法にはピッタリじゃな。」
確かにピッタリだが・・・。なにか腑に落ちない。戦略の幅が広がったのはいいが素直に喜べない。
「ミミックスライムはスライムが≪擬態≫を解除して一秒以内に敵を殺すことで進化するそうじゃ、他にも条件はあるらしいが詳しくは
知らんここにいてもステータスは開けるぞ?開いてみたらどうじゃ?」
「そうなのか?初めて聞いたぞそれ。【ステータスオープン】」
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“ミミックスライム”
スライムの上位形態。スライムよりも擬態能力に長けており生物にも擬態が可能であり、その擬態は上位探査系スキルでも見分けるこ
とは困難。物理攻撃ダメージを無効化する。
モンスターレベル☆☆☆
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擬態特化のスライムみたいだな、ていうことは他にも何かに特化したのがいるのか。もしくはただの強化だけとか・・・今度いろいろ試してみようか。とりあえず新しくスライムをこの部屋に入れてミミックスライムを待機部屋に・・ついでに待機部屋に隊長の死体を運ばせておくか。それ以外は食ってよし、と。
「これでひとまずよし、と。……そうだ!ミミックスライムの活用法はこうするか、魔王とはいえ外は見ておきたいからな。」
「どうしたのじゃ焔、ミミックスライムの鬼畜用法でも思いつかたのかの?」
「俺が思いついたことはニュクスの中じゃ全て鬼畜用法なのか・・・。」
そう言って溜息をつく、ニュクスの中の俺は酷い奴みたいだな・・・・魔王なのだからそれが普通なのか?
「そういえば待機組の様子はどうだ?」
モニターを見てみる、だいぶ慌てているな。それもそうか、あれだけ皆に信頼されていた隊長があっさりとやられてしまったんだ。動揺しないほうがおかしいのか。これでこいつらは冷静な判断なぞできないだろう。ほっといても勝手に自爆してくれること間違いなしだな。
「隊長の死体を魔物化してくる。」
「気を付けるのじゃぞ、主に魔力の使い過ぎに。」
物体の魔物化は通常の魔物創造よりも使用魔力量は少ないのだからそこまで魔力を使わないだろう。そんなことを考えながら俺は第一階層の待機部屋に転移した。
「さて、と。」
きちんと転移できたのでさっそく始める。まずはクリエイトで隊長の死体を選択する。そのあと魔力を隊長の周りに張り付かせる。肉体分解と唱えて隊長の体を一度分解する。そのあとどんな魔物にするか決めた後に再構築と唱えて隊長の死体に分解したときものと魔力が隊長のに吸い込まれていく。これで物体の魔物化は終わりのはず。…ステータスを見てみるか。
「【ステータスオープン】」
そろそろこの詠唱は省略してもいいと思うんだ。これだけに一行使うのめんどくさいからな。
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“ボーンナイト”(元人間)
骸骨剣士ともいう、元は人間でその時残った骨に魔力が宿った存在。元が良いので通常のボーンナイトよりも強くなっている。魔力があればやられても復活できる。
モンスターレベル☆☆☆☆
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復活はアンデッド型の魔物の特徴だ、ゆえに霧のフロアに放置している。あの霧はすべて俺の魔力で作られている、こないだいろいろやっていたら偶然魔力を霧状にすることに成功したんだ。霧のフロアは元から作る気だったから魔力の霧はうれしかった。なにせ霧のフロアにいる魔物は全てアンデッド型にする予定だったから魔力の霧は延々と魔物を復活させることができるからな。こいつは・・・霧のフロアに放っておくか、それでミミックスライムを一体召喚する。その一体を連れてこの待機部屋に魔力の霧をかけておく。スライム類は魔力を餌にして増殖するからこれだけで増えてくれる。そして管理人室に転移する。
「おかえりなさいじゃ、結構魔力を使ったみたいじゃがピンピンしてるな、化け物か。」
開口一でが化け物呼ばわりとはご挨拶だな。確かに最近自分が人間離れしてきていることは実感してきているが・・・。
「そこまで使った感じはないけれどな、ミミックスライムは普通のスライムと同じぐらいの魔力で召喚できたし。」
「……念のため教えてやるが、ミミックスライムは普通のスライムの約三倍ほどの魔力が必要じゃぞ。」
なるほど、確かに化け物呼ばわりされてもしょうがないな。俺の魔力含有量どうなっているんだ?
「本当に自覚が今までなかったようじゃな。そもそも魔力の霧じゃって半端ではない魔力を使用するじゃろう。魔力が数値化できるのならば一度測ってみたいものじゃな。」
「そういえば魔力って測定できないのか?普通のRPGとかなら数値化されてるじゃないか、それが不思議だったんだよ。」
「前にも言ったであろう、魔力は精神力と同じであり魔力を使うことによって気持ちが弱くなる。しいて限界を上げるとすれば完全な鬱状態、入口作った時の焔の事じゃな。あの時点で普通は何もできなくなるのじゃが気持ちを強く持てばそれ以上も可能じゃ。しかしそれ以上は文字通り精神を削ることになるのじゃからやりすぎると気絶か死ぬかの二択になると。」
「そういえば恵とスキルの練習をしているときに言われたな。あの時ははいはいぐらいの気持ちで聞いていたが結構大事なことだな。」
これを知らずに魔力を使っていたと思うと・・・怖い怖い。
「あのとき大事なことじゃからよく聞けと言ったじゃろうが!焔の耳は何のためについておるのじゃ!」
怒られた、俺が悪いからおとなしく聞いておく。この後三十分ぐらいは説教されていた。軍人たちはその間にも入ってきていたが全てスライムの餌食になった。




