第十五話 フラグは立てないほうが無難
俺が起きたのは次の日の朝だった。ニュクスによると起こすのが躊躇われるほど気持ちよさそうに寝ていたらしい。つまりニュクスに寝顔を見られたということに・・・・ぎゃー。しかし恥ずかしいのは我慢して仕事を始めなくてはいけない。魔王は多忙なのだ。と、言っても昨日の続き、恵の監視ぐらいしか今はないんだけどな。ダンジョンに来るやつなんて神隠しの噂のせいでいないし。あれ?今のフラグ?
「そうじゃな、これで近々誰かがダンジョンに来るぞ。よかったな。主がせっかくのダンジョンものなのにダンジョンがあまり出ていないのはなんとかしないととか言っておったから間違いなくじゃ。」
「おお、メタいメタい。あんまりメタ発言するとただでさえ便利キャラなのにさらに万能になって逆に使いづらくなって出番がなくなるぞ。」
「!、それは困る。最近ただでさえ出番が減っておるとゆうのに・・・・。」
恵が来てからは確かに言えることだな。
「そのうちニュクス主体の話をするそうだからそれまでは我慢しろ。」
俺もメタいな。
「ぬう。」
少し不満そうだが納得してくれたようだ。よかった。
「それじゃあ俺が寝ていた間の恵の動向を聞かせてくれ。」
「魔神を秘書みたいに扱うとは・・・大物じゃな。」
「どーも。俺たちの間なんだから今更じゃないか。で、どうなんだ?」
「心配しているようなことは何もなかったから安心せい。」
ふぅ、安心した。・・・とはいかないな。まだ心配事はある。とりあえずそれの対策をしなければだな。
「何か気になることでもあるのか?」
「とりあえず緊急に対処すべきなのは一個だけだがな。それが大変なんだ。」
本当にな。しかしこれを何とかすればしばらく安全になるだろう。
「で、その案件はどのようなものなのじゃ?」
「それはな――――。」
みなさんおはようございます恵です。定番になってきた挨拶の仕方です。ちょうど朝食を食べ終わりこれから学校に行くところです。最近は学校でも友達が増えたので安心して学校に行けるようになりました。
<ピンポーン>
おや?インターホンの音ですね誰でしょうか。ドアホンで出ます。
「はい、こんな朝早くから何のご用事ですか?」
「高梨さんのお宅ですよね?恵さんはいらっしゃいますか?」
?、なんでしょうか。
「恵は私ですが・・・何のご用事ですか?」
「ああ!よかった。実は頼みがありまして・・・顔を合わせて話をしてくださいませんか?」
いったいなんなのでしょうか。とりあえず話を聞くことにしましょう。
「わかりました。それでは玄関に向かいますのでしばらくそこでお待ちください。」
ドアホンを切って玄関に向かいます。つきました。一応のぞき穴から外を見ます。にこにこと笑っている男の人がいます。
「いま開けますね。」
私は玄関のカギを開けようとします。
『開けるな!!!』
「え?・・・」
謎の声の制止が聞こえた時にはすでにカギを開けてしまっていて・・・・・。ここで視界が暗くなりました。
やられた・・・。
「くそ!!!」
<ズドン>と壁が震える。別の事案に気を取られていて今一番注意すべきに注意がいってなかったのは俺の過失だ。しかし嘆いてもいられない、優先すべきは恵の再確保、それを実行するために俺は外に放ったモンスターの一体に命令を告げる・・・・。
みなさん、再び恵です。後頭部が痛いです。どうやらカギを開けた瞬間にドアをこじ開けて殴ってきたようですね。不意打ちとは卑怯です。今は目隠しと手錠をされているので周りの様子はわかりませんが一定間隔で揺れているあたり車で移動しているようです・・・・。後ろの方から声が聴こえてきます・・。
「いやーうまくいきましたねぇボス。」
「なかなかの上玉だったな。これは顧客が喜ぶぞ。」
ボスと呼ばれた人の声には聞き覚えがあります。あのインターホンの人がボスだったのでしう。・・危険な仕事は自分でやる。ボスの器ではありますね。褒めることになるのは嫌ですがきっと部下にも慕われているのでしょう。
「ボス、そろそろいいのでは?結構離れましたよ?」
その言葉を聞いて驚愕しました。家からは距離がある、つまりもしここから逃げ出すことができても土地勘がないので交番や警察署に行くことはできない。その事実が私を絶望に叩き落としました。どうしようもない。あきらめましょうか・・・・なんて言ってもいられませんね。とりあえずはこの人たちから逃げないと売られてしまいます。売られるのは嫌です。だから考えます、この場から逃げる方法を。この場所は・・・車内ですね、音といいこの人たちの会話といいそうとしか考えられません。次は相手の人数です。話し声や笑い声から察するに五人ぐらいが妥当ですかね。そのうち一人はあの一瞬で私の意識を飛ばしたボスと呼ばれている人です。これらから考え付く結果は・・・脱走は無理
という現実です。・・あの時の声の制止をちゃんと聞いておけばよかった。そんな後悔が私の心をむしばみます。そういえばあの声、前に不良に絡まれた時の声とは違いましたね。女性の声でしが・・・・・。そんなことを考えていたら車が止まりました。
「この廃墟なら簡単にはばれないでしょう。」
「一応中に入って確認するか。お前ら二人はここに残って見張っていろ。俺らは三人でこの中を見てみる。」
「「了解でーす。」
話の内容的にこの人たちはプロみたいですね。よけい脱出するのは絶望的になりました。どうなってしまうのでしょう私・・・。
「そういえばお嬢ちゃんはどうなってる?もう起きたのか?」
「そういえばそうだな。おい嬢ちゃん!起きてるかい?」
まずい!私は気絶しているふりをすることにしました。ばれない?大丈夫?ドキドキします。
「・・・まだ寝てるっぽいな。」
「そりゃあボスじきじきに仕留めたんだ。そう簡単には起きやしねえよ。」
「そりゃそうだな。もしかしたら明日の朝まで寝ているかもな。」
なんとかごまかせたようです。起きていることがばれないほうが脱出の確立が上がりますからね。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――。」
突然悲鳴が聞こえてきました。この声は・・・たぶん運転手さんの声ですかね。廃墟に行った方です。
「!?、なんだ?悲鳴か!?」
「おそらくな、とりあえず行くしかないだろう!」
「嬢ちゃんはどうする?おいていくわけにもいかねえだろうし。」
「・・・・えぇい!しょうがねぇ。担いでいくぞ。急げ!」
「ちょっとごめんよ嬢ちゃん。」
「担いだな!急ぐぞ!ボスの安否を確認しなければ!」
「その必要はないよ。」
「「!?」」
その声は男たちとは違う透き通った女性の声でした。その声からは大人びた雰囲気が感じられます。
「なんだこいつは?」
「その必要はないいてどういうことだ!」
「こういう意味さ。」<どさっ>
何かが地面に落ちる音がしました。たぶん三つ何かを女性は投げたようです。
「なっ・・・。」
沈黙する男の人たち。いったい何を女性は投げたんでしょう?
「気にする必要はない。あなたたちもすぐにこうなるのだから。」
「・・・はっ!冗談じゃねぇ!やられてたまるかって―――。」
その言葉は途中で途切れました。
「きゃ!」
思わず声をあげてしまいました。私を抱えていた男性が突然倒れてしまったのです。当然私は地面に投げ出されます。
「起きていたの。ちょうどよかった。」
そういいながら女性はこちらに近づいてきているようです。足音が近くなるとともに謎のにおいが漂ってきます。そして女性は私のすぐそばまできました。匂いは我慢しがたくなってきています。
「匂いは我慢してください。今目隠しと手錠をとりますので動かないでください。」
その言葉を聞いた後すぐに<ばきっ>という音がしました。ばき?今は気にしないでおきましょうか、そのあと目隠しも外してくれました。と、そこには・・・・。




