第十四話 焔は“イレギュラー”
・・・・・。沈黙するしかできない。恵はいともたやすくあの不良どもを見捨てた。冷酷にもほどがある。
「恐ろしいのう。」
いきなり後ろから声がしたので振り返ってみると旅行中のはずのニュクスがいた。旅行はどうしたと聞いたらつまらなくなったから“ゲート”を使って帰ってきたと答えてきた。あの厨二門の事だろう。
「やはり魔王やその眷属は普通の人間とは考え方が変わってしまうんだな。」
俺自身がそうなったし。
「そうじゃ。魔族化によって力を手に入れたものはそれまでの考え方ではなくなってしまう。その圧倒的な力に酔ってしまってな・・。その点焔は人間の考え方が濃い、人間の考えが魔族化しても濃い奴は人間のころから自我が強かったのか、生まれつき魔族に近い存在じゃったのかの二つに一つと言われておる。焔はどっちかのぉ?」
「前者だろうな。人間のころから頑固者とはよく言われていたしそうだろう。」
というかそうであってほしい。生まれつき魔王の素質有とか勘弁してほしいからな、気持ち的にだが。
「どちらにせよ普通のものには有り得んほどの魔力は持っていたことは確実じゃ、なんたって魔王にするための儀式にはそのものの魔力が大量に必要なのじゃからな。ゆえに焔はあの時簡単に気を失ってしまったのじゃからな。」
生まれつき魔王としての才はあったということか。・・よくいままで人間でいられたな俺。そんなことよりもだ。
「記憶がなくても恵は今眷属としての考え方で行動してるということか・・・まずいな。」
うん、非常にまずい。人間としてまぎれさせるはずだったのに眷属として行動されていてはいつか勘づかれてしまう。予定を前倒しにするしかないか・・・・・。
「ニュクス、魔物はダンジョンの外に出すことはできるか?」
「できる。じゃが本人の力に比例して外に出せる数は決まるからの。今の焔じゃったら五体が限度じゃ。」
「五体か・・・・・なら大丈夫だろう。」
むしろおつりがかえってくる。
「ニュクスはここで恵の動向を見張っていてくれ。何かあったら連絡をしてくれ。俺は外に出す用の魔物を作ってくる。」
「了解じゃ。むふふ、魔物が外に出るとは楽しくなってきたのう。」
俺は管理室を後にして第五階層の中間ポイントに向かった。
・・・焔はもう行ったか。
「ふう、やれやれじゃのう。普通魔神に自分の眷属を見張らせる魔王がおるか!。」
破天荒なやつじゃ。いままでわらわは数多くの魔王を作ってきたが焔はその中でもイレギュラーの中のイレギュラー、有り得ない存在じゃ。まず普通のやつなのであれば魔王にする過程で死んでおるのじゃがそのような突っ込みはいらないぞ。普通ならばわらわの実力を見て利用しようとするか倒そうとしてくるはずじゃ、魔族は狡猾じゃし戦闘大好きじゃからのう。もちろんそのようなやつらは皆殺しにして来たのじゃが・・・・。しかし焔は違う、わらわを対等の存在として扱っておるのじゃ。普通はそのようなことはありえん。魔族は自分のためにしか行動しない考え方じゃからな。ゆえに各上の相手にそんな喧嘩を遠まわしで吹っかけるような奴はおらん、真正面から殺す気でかかってくる。……やはりイレギュラーは人間としての考え方が引き起こしておるのじゃな。それはそれでラッキーなのじゃが、なにせ焔はわらわの目的には必要不可欠な存在じゃ。なぜならば焔はわらわよりも潜在魔力量は上なのじゃかな・・・・・。
みなさんこんにちは恵です今日はころころ主観が変わって大変でしょう?すいませんが我慢してくださいね仕様なので。そんな私は今警察署にいます。
「えーと、もう一回読み上げるけどいいかな?昨日君は下校途中に不良に絡まれたが突然その不良が絶叫を上げ始めたので怖くなって家に逃げ帰り就寝。今朝のニュースでその不良が死亡したのを知ったと・・・これで合ってるのかい?」
刑事さんが聞いてきます。
「はい、そうです。」
私は肯定します。多少嘘が混じっていますがだいたいは真実なのでわからないでしょう。
「・・本当のことを教えてくれないか?私にはどうしてもそれが本当の事だと信じられないんだ。不良どもの死因からしたら君が犯人なわけがないんだからね。かばってないで実際のところを教えてくれないか?」
「刑事さんが信じようと信じまいとそれが(だいたいは)真実なのですから。刑事さんが望んでいるような真実はありません。」
「そうかい・・・。うそ発見器も反応していないし本当なのだろう。すまなかったね、なにせ今集団失踪のやまを追いかけている真っ最中でしかも何も痕跡が残っていないのでイライラしてしまっていてね。言い訳みたいになってしまったが捜査協力ありがとう。」
結局三人の事件は肝試しに行って神隠しにあってしまったということになりました。私の証言は恐怖のあまり見た幻覚ということになり捜査は継続中です。ちなみにあの洋館の玄関は塞がれてしまっていて入れません。玄関以外の入口もたくさんあるのでこれからも肝試しに行くことはみんなの中では続きそうです。事実あったということが証明されたのですから。
「しっかし最近のここはどうなっちまったんだ?五人も神隠しに会うは不良どもが有り得ない死に方してるはで警察は大忙しだ。」
刑事さんが愚痴ります。うん?今何かおかしなことが聞こえたような気が・・・・。
「ちょっと待ってください。神隠し(扱い)になっているのが五人ってどういうことですか?三人はわかりますが残りの二人は誰なんですか?」
刑事さんが頭を抱えます。失言だったと気づいたのでしょう。しかしもう遅い、私は刑事さんに詰め寄ります。
「あー、そのあれだ、それ以上は機密なので勘弁してもらいたい。」
「行方不明者の名前だけでも教えてください!お願いします!」
私は頭を下げて懇願します。
「うえ!そこまでされたら・・・うーんでもなぁ・・・・・。」
刑事さんは壁にある黒いガラスに向かって何か話しかけはじめました。何をしているのか不思議に思っていたら扉が開いてデ・・恰幅の良い男性が入ってきました。
「熊ちゃん駄目じゃないの一般人に機密を明かしちゃ~。」
「す、すいません。」
この男性は刑事さんよりも偉い人のようです。
「しょうがありませんねぇ。お嬢さん、どうしてそんなにほかの行方不明者の事が知りたいんですか?」
「私にとっては私の親友が見つかるかもしれない手掛かりなんです。少しでも可能性があるのならばそれにすがります!」
本音で答える。この人は私なんかの嘘が通じる人じゃない。だから本当の事だけで戦う。
「あのねぇお嬢さんそういうのは―――。」
「警察が行うこと。わかっていますそんなことは、でも自分は何もしないでただ待ってるなんてことできないんです。お願いします!」
これでもだめなら引き下がるしかない。自分でもそう思うほどの迫力でした。
「はぁぁ。しょうがありませんねぇ。名前だけですよ。お教えできるのは。」
心の中でガッツポーズをとりました。
「それでは一度しか言わないのでよく聞いてくださいね。一人目の名前は――――。」
疲れた・・・・精神的にだが。なにせあの後既定の五匹を町に行かせた後にダンジョン内の罠やモンスターの増加を行った。
「眠い、しかしまだやる事が・・・・。」
そう言いながら俺は意識を失った。
行方不明者の二人目は焔ということになっています。一人目は…物語のクライマックスあたりで出す予定です、名前もその時に出します。まだまだ先の出来事ではありますがね・・・・・。




