第十三話 元の世界に
恵は順調に外の世界に馴染んでいるようだ。おかげで外の世界のいろいろなことを知ることができ,中でもステータスについては世間に知れ渡っているのを知れたのは大きい。この情報があるのとないのとではやれることの自由度が格段に変わってくる。ところ、で気になっている人もいるであろう恵の外の世界のいき方を説明しよう――。
--昨日--
「まずは恵の記憶の一部を消す。」
「それはどういう意味で――。」
「最後まで聞いてくれ。この頃恵は先を急ぐ癖があるぞ。気を付けろ。」
「常に心に留めておきます。」
「わかればいい。記憶を消すのは本当に一部。俺やニュクスのこととスキルについてだけだ。これ以外は覚えていても俺の害にはならないしむしろある程度ダンジョンについて外の連中に教えてやるのはこちらに好都合だ。・・・そんなに悲しそうな顔をするな。消した記憶は恵が外の世界にある程度戻れた時点で恵に戻す。そのあとは眷属の選別を恵がはじめろ。記憶を消す理由はだな、元の世界に戻ったら間違いなく警察に厄介になる。そこで恵が俺らが不利になることをしゃべることはないと思うが、自然さを出したほうが妙な疑いをもたれないで済むだろう。」
「しかしダンジョンから生きて帰れたというのに最後の記憶がスライムに体を包まれたではおかしくはありませんか?」
「いいとこに気が付いたな。もちろん記憶の中に俺の姿をうっすらと残しておく。俺が管理人と名乗ったことと含め俺が何かの気まぐれで生かしたことにすればそこまで怪しまれないだろう。あともう二つ言っておく。一つ目ステータスは俺の許可なしに開けなくなっていること。二つ目、これは記憶に残しておくが、激情には身を任せるな。それだけだ、頑張ってくれ。」
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という風に送り出した。まだ恵に記憶を戻してはいないが記憶がなくても眷属なので行動を見張っている。ニュクスは今日の朝からアメリカに旅行に行っているので都合がいい。ニュクスのやつ……最近俺が恵につきっきりだからへそを曲げているんだよな。今度ご機嫌取りでもしてやるとしようか。・・・どこかで喜ぶ声が聞こえた気がしたが気にしない。特には恵におかしなところはないな。前よりもきれいになって帰ったせいでみんなに質問攻めにされて困っている姿が微笑ましい。が、すぐに恵子とやらの死を思い出して泣いてしまう。あの仕切り屋が外での恵の心の支えになっていたんだな・・・・。少し目を離しても大丈夫そうだな。いや、どこにいても手に取るようにわかるから目を離すということはないのだが。
「さてと、魔物を作り出すか。」
このダンジョンは今第五階層まであるが今回魔物を放つのは第三階層、霧のフロアだ。
「霧と言えば・・・・・やはり霊族かな?」
とりあえず骸骨を想像してみる。ガシャリと周りで音がする。なんともおどろおどろしい骸骨の群れがそこにいた。と同時に周りの景色が変わってい行く。このダンジョンは俺が意図的に弄らなければそこに存在する魔物が住みやすい状態に自然に変わって行く仕組みにしてある。べ、べつにいちいち設定するのが面倒くさかったわけじゃないんだからね!・・・・・すいませんでした、やってみたかっただけです。出来心だったんです。
「「「「「「からからからからからから」」」」」」
骸骨どもが音を立てながら四方に散らばって行く。
「さて次だな。」
別の場所に移動して今度は幽霊を思い浮かべてみる。
「「「ケタケタケタケタケタケタケタケタ」」」
・・・ずいぶん間抜けそうな幽霊が出てきた。あれだ、修学旅行でシーツかぶって中から照らしていたづらしている餓鬼レベルの幽霊だ。目と口はついている。
「「「「「ケタケタケタケタケタケタケタケタ」」」」」
……いつの間にかに三匹から五匹に増えている。この分ならほっといてきても勝手に増えるだろう。……次のところに向かい本日最後であり本日最強のモンスターを召還する。
みなさんこんにちは、恵です。私は今学校の授業を受けています。しかしこの間の事が気になって授業に集中できません。なぜ“管理人”さんは私だけを生かしたのでしょうか。それだけが不思議です、私よりもできる子の恵子ちゃんが一緒にいたのにあの人は私を選んだのです。おかげで・・・・自分一人で頑張ることができるようになったのは皮肉以外の何事でもありませんが。
「高梨、本当にさっき言ったこと以外は覚えていないのか?」
「警察に妙なことをしゃべるなって脅されたりしてない?本当に大丈夫?」
妙なことって・・・・。複雑です。
「うん、本当にそれ以外は覚えていないし脅されてなんかいないよ。」
笑顔でみんなに答える。本当に皮肉なものです。一番の友達が死んだことによってたくさんの友達ができたのですから。そのあと帰りの支度をして一人で家への下校路を歩いていていた時でした。
「よぉ!姉ちゃんいい体してんなぁ。」
「ちょっと俺ら一緒にお茶しな~い?なんちゃてー。」
下品な笑い声が響きます。相手は見るかにらに不良という感じで五人バイクに乗っていました。
「そんな奴らやめて俺の後ろに乗りな。・・最高に飛ばしてやるぜ?」
「そんな奴な呼ばわりかよ、ひどいなおい。」
再び下品な笑い声が響きます。不良と言ってもかなり古典的な不良のようです。
「・・死ねばいいのに。」
ぼそりと声が漏れてしまいます。
「はぁ?今なんて言ったんだ姉ちゃん?」
不思議です。自分で自分が抑えきれません。
「あんたたち全員、苦痛の果てに悶え苦しんで死ねばいいって言ったんだよ。」
なぜか顔は笑っていました。心では怒っているんですけどね!
「「「「「なんだとこの糞アマぁぁぁぁぁ!!!」」」」」
不思議と怖くはありません。最近の出来事のせいでしょうか、あのスライムに比べれば所詮蚊みたいな強さです。
『……汝が何か望むのならば我がすべてを与えよう……。』
なぜか安心できる声が頭の中に響いてきました。と同時に。
「「「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」
不良どもが全員炎に包まれて絶叫します。しかし私には何の興味もわかずそのまま家に帰りました。翌朝ニュースでむごい五人の死体が見つかったと聞きました。
恵ちゃんは書くたびに性格が変わっていく不思議なキャラクターです。最初のあのキャラはどこに行ったのでしょか・・・。




