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記憶

これはっきり言って本文に関係あるようでないようであります。まぁ、飛ばしてもかまいません。だから忙しい方は飛ばして次へどうぞ。

美しく揺れる花々・・・に囲まれているお兄様。

エドワード。

貴方は私の憧れの君。

そうアイツが来るまでは・・・レイチェル。いや、レイウッドというんだっけ?

私のお兄様を返してよ。

悪魔・・・。


「君がマリアちゃん?へぇー可愛いね。ねぇ。レイチェル。」

「うん。とっても可愛いと思う。マリアって名前も可愛いわね。よろしく。」

最初に喋ったのがミュージック・ファントムさんで次に喋ったのはミュージック・レイチェルさんだと名乗った。可愛いという二人こそ美しい顔立ちでよく似ていた。重力が5倍の星であるこの星に適応ガムなしでの訓練をしに来たという。

「・・・ありがとう。二人ともはじめまして。」

緊張しながらもおどおど喋った私に対してレイチェルさんは優しく微笑んだ。

「久しぶりだね。エドワード君。相変わらず美しい顔立ちだ。」

前にも何回か訪れたことがあるというファントムさんはお兄様に話しかけた。

「えぇ。お久しぶりです。何年ぶりでしょうか。あなたはちっとも変わらない。」

「それを吸血鬼に言われるとはね。妹ちゃん、可愛くて仕方がないだろう?」

「目に入れても痛くないですよ。」

あっさりと私が可愛いことを肯定するお兄様。カッコいい。

二人の旅人が来たことによってお父様も嬉しそうだったし、お兄様もイキイキとしていた。

私も幸せだった。その日までは。


血の匂いがする。

かぐわしい香り。欲しい。でもこんな昼間になんで血の匂いがするんだろう―――?

「お兄様の匂いもする・・・。」

私は血の匂いのする方へふらふらと近づいて行った。気づくと私はお兄様の部屋の前にいた。中は少し騒がしい。

「お兄様・・・どうしたんですか?血の匂いが―――あれ?お父様まで。」

「マリア。起きたんだ。あんまり見ない方が良いよ。欲しくなる。」

けど私にはもう見えていた。首筋の周りが真っ赤に染まったレイチェルさんを抱いているファントムさんの前に立っているお兄様が・・・。

「お兄様が食べちゃったの?」

「マリア。顔が蒼くなってきているよ。ここは血の香りが充満していて気持ち悪いだろう?一緒に出よう。私たちには刺激的すぎるしね・・・。」

お父様が今まで見たこともないような真剣な顔で私の手首を引っ張った。嗚呼。逆らってはいけないんだ。いくらお兄様の血だらけで真っ赤になっている顔に光る涙を見つけたとしても・・・。


翌日。お兄様はいなかった。

「お父様ッ!!お兄様が・・・お兄様がいないわ。香りが消えてるッ。」

「出て行ったよ。なにやらいい星を見つけたらしいぞ。んーと、桔梗だったかな。あ、地峡?だっけ。ファントム。」

「地球だよ。ケイト。あれあれ。マリアちゃん。泣いてるの?」

「お兄様・・・私に、何も言わずに、出てったのね。お兄様・・・私の、ことなんか、どうでも、よかったんだわ。お兄様は・・・私の、こと、嫌いなのよ。」

喘ぎながらやっとそれだけ言うと私は自分の部屋に走って行った。

すぐにお父様が駆けつける。私の部屋には鍵がかかっているから外から優しい声が聞こえてくるのが分かる。

「マリア。エドワードは君のことをずっと気にしていたよ。けどね。私が言ったんだ。『マリアにその血濡れた体で会おうと思わないでくれ』とね。私が悪かったよマリア。」

「嘘・・・ッ!!お父様はそんなこと言わないでしょう?お兄様も私のことを気にかけないわっ!!」

「・・・ばれたか。そう。お父様はそんなこと言っていない。けどエドワードは言っていたよ。『マリアのことをよろしくお願いします。父上。私にはもう会う権利はないですから。父上も。またいつか会えるといいですね。さようなら。』とね。これはホントだよ。」

私は泣けてきた。心の中で言葉が暴れる。そんなことお兄様が決めることじゃ無いのに。お兄様に会いたいよ。会いたい。会いたかったのに。私は会いたかったのよ。お兄様。

「もう一つ言っていた。『次会った時はお兄様と呼ばないでくれとマリアに伝えといてくれる?父上。次会えるとは思はないけど。もう、そんな尊敬できる吸血鬼じゃないからね。』とも。お兄ちゃんにしたらどうだ?」


オニイチャン。アナタハモウ『お兄様』ジャナイ。


「吸血鬼の性だよ。ごめんね。巻きこんじゃって。レイチェル。」

やめて。

「まったくだ。俺はただただ修行に来ただけなのに。」

「あはは。やっぱり好きな人の血は欲しいよねー。美味しかったらしいしー。」

「俺にそんな趣味はねぇ。それに噛む気か。返り討ちにしてくれる。」

違う。お兄ちゃんはそんな人じゃないの。

「もー。女の子の時はチョー可愛かったのにぃ。その方向の才能あるんじゃない?」

「俺はなぁっ!!女の格好だとさらに男に戻った時の筋力が倍増するって聞いて女になる薬飲んできたんだーっ!!その趣味はねぇっつうーの。」

「で、吸われたから元に戻っちゃったってわけ。」

「かな?1日あいてだしなァ。わかんねぇや。」

「けど、エドワードも吸い過ぎだよねェ。ファントムがいたからよかったけど下手したら死んでたよぉ―ッ。それに、若干はだけてましたけど何してたんだ?僕の息子に。」

お兄ちゃんをどうするのよ。あとから悪口いうなんて。

「された方だっつーの。てか、あのなァ。俺たちはふつーに会話してたんだぞ?昼間だし。なのにさぁ。人が親切心でお茶を入れたろ思って背ぇ向けてたら後ろからガブリでさ。いったいもんだから振り払おうと思って動いた余計拘束されて脱がされそうになった時フアントムが入ってきてくれて。血は吸われるわやられそうになるわで最悪だよ~。」

もうやめてよ。

「やらしい会話してたんじゃないのー。」

「するかッ!!こっちは男だぞ。なんか政治の話してたよ。」

騙したのはそっちじゃない。

「いやいや、まぁお蔭でやっとプPTTに参加してくれたしさぁ。ありがとーね。レイチェル。」

「レイウッドだッ。PTT?なんじゃそりゃ?」

「んーと『プロジェクト(  P  )食べて食べさせろ( T   T  )』PTTだよ。」

「意味わかんねぇ。あのさぁ。エドワードに会ったらよ、俺は怒ってないから。騙してごめんな。って言っといてくんないか?」

「頑張る。」

レイチェルと騙っていたのに。レイチェルなのに。男の声でお兄ちゃんに喋らないで。

「レイチェルさん、ってこれからも呼んでいいですか。兄の代わりに。」

「え・・・。ま、まぁいいけど。マリアちゃんは辛くない?」

なんでそんな。なんでそんなことを。なんで分かっちゃうのよ。なんで一番分かって欲しくない相手が一番最初に分かっちゃうの。

「マリア。エドワードは別にレイウッドを恨んでないぞ。もう好きでもないだろう。」

「けど、レイチェルさんと呼ばして下さい。兄もそう呼びたいと思うんです。」

お父様は分かっていない。私はお兄ちゃんが好きなんだからしょうがない。けど辛い。悪魔、と呼び去ってやりたいのに。レイチェルさんなどというお兄ちゃんが一番呼びたいであろう呼称を口に出すなんて。


「マリア。」

「エル。」

「「あなたも大変だったのね」」

二人の声が重なり二人には同時に笑みがこぼれた。

マリアちゃんの記憶でした。なんで急にマリアの記憶を書いたかというとレイウッド扮するレイチェルさんが書きたかったからです。まあ、出番少なかったですけど。マリアちゃんはこの時20歳程度です。姿は2歳だけども。

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