マリア様
彼女は美しかった。(えぇ。レイチェルよりかは・・・以下略)目は真っ黒で光ない。髪の毛は艶やかな黒髪でその上に黒く美しい羽根が居すわっており、やせ気味のほっそりとした体にはぴったりとした黒い服をまとっていた。
「悪魔ちゃんって俺の事?マリアちゃん。久し振りだねー。」
「久し振り。似合うと思わない?悪魔ちゃんって名前。」
「似合わないと思うよ?俺一応天使ちゃん側だからね。」
レイウッドもマリアもニコニコと今から対決するとは思えないぐらい明るく喋っている。ちなみについていけないゴウは横で笑っていた。
「悪魔ちゃん。私ね。お兄ちゃんに頼まれたの。レイチェルを生け捕って来いってー。けどね。悪魔ちゃん。私~。悪魔ちゃんの事さぁ。」
マリアがレイウッドを見てにっこり笑ったため、レイウッドもつられて笑った。
「だぁいっ嫌いだか生け捕りなんか出来ないかもーって。思ってさぁ。」
笑いながらレイウッドに近づいていくマリア。引きつり笑いを浮かべたレイウッドは呟いた。
「ゴウ生け捕ってくんないかな・・・。」
「キャ――――――――――――――――――――っ!!」
「死体!?気持ち悪っ!!」
「血ぃ抜かれてる―――――――――!!吸血鬼だ――――――。」
「うん。だから吸血鬼の巣に来たんだからねー。合って当たり前なんだよー?」
ハカセが微笑みながら泣いている女の子たちをあやす(?)
「お前は冷静だな。ちょっとは恐がれよ。」
「怖いよ?」
全員ギャァギャァ言いながらそこを足早に通り抜けて行った。
「お友達が来たみたいだねー。悪魔ちゃん。じゃぁ、そろそろ死ぬー?」
「ふん。お友達は血嫌いなんでな。来るまでは生き延びることにするサ。」
「そっか、残念。けどお友達も隊長がいたぶられてる姿みたくないと思うなー。」
「けどな、お前。絶対隊長が死んでる姿も見たくないと思うぜー?」
二人ともおちゃらけているがゴウもまじっで戦いの真っ最中だったりする。ちなみにレイウッドは創建でマリアは・・・え?コウモリ?血ですか。なんかいろいろ飛ばしちゃってるようです。そんなわけですから、返り血的なのを浴びてグッチョグッチョになってるわけなんです。そこに皆さんが到着して・・・。
「ぎゃぁ―――――――――――――っ隊長が死にそうっ!!」
「血だらけだわ―――――――――――――――っ美しいお顔が拝めない―――――っ」
「だれが死ぬかぁ!!黙れっ。クレンとスズカか!?」
「名前覚えてくださってたの――――――!?」
さて、わき役のくせに日本語おかしくなってる女子どもは置いといて確かにレイウッドは血っぽいものに囲まれて血っぽいものでぐちゃぐちゃなわけでして。かなりグロテスクですね。描写なんかしませんとも。
「よそ見しちゃだめだよー?悪魔ちゃん。」
「マリアちゃん。後ろの子たちには攻撃しないのー?」
「するよぉ。前向きにするよー。」
その途端後ろの子たちに向かって血っぽいものが降ってきた。
「エル。ヌンチャク作って。レーサー、スピード。ベラはラッパ。」
手に意識を集中させるエルと、体中から青いオーラが出て来るレーサー、そしてベラはラッパを高らかに吹いた。(ちなみにハカセは司令塔)
その音で戦いが開始された。エルは1秒でヌンチャクを出すとレーサーにほった。そしてスピードをあげたレーサーは素早く血っぽいものを薙ぎ払ってゆく。ベラの弾く音は『滅』を意味するので聞こえた血っぽいものは次々消えていった。
「あー。違うや。バリア張って。エル。」
エルはすっと掌に力を集めた。少し魔法の説明をすると、今エルが使っているのが一般的にいう家庭科。しかし、作るのは大気のあらゆる成分を使って作りたいものを具体化するためにちょっとばかしの魔法を使うわけだから別に何もないところからポンッと出すわけでは無い。
バァァァァァァァァァン
「フヒョ!?どーした急に。」
目の前に突然鉄の壁が現れたためビックリしたレーサーが叫んだ。
「妥当な判断ね・・・。フフフ。レイウッドは10分前に張ってたわ。」
「ねー。あの人バリア張れるんだ。」
ひとまず血っぽいものから逃れられてほっとした雰囲気が流れる。
「ねぇさー。何でバリア張ったの?」
「あのね。なんかマリアとかいう女血の蓄えがメッチャあるみたいでさ。すんごいいっぱい血っぽいもの流失してたからね。こりゃこっちが先に倒れるなーと。ほら。魔力にも上限って物があるからね。」
「へぇー。私周り見えなかったよ。レイウッド隊長以外にバリア張ってた人いた?」
「・・・周り見えなかったの?あーいたよ。いたいた。あのゴウさんのパートナーのサーシャも張ってたかな。あ、もちろんゴウさんも入っていたよ。」
「サーシャさんかぁ。綺麗だし頭いいもんねー。」
少しばかりの団欒が血っぽいものの残骸の上で生まれている。奇妙な光景だ。
バリィィィィィィィン
「悪魔ちゃんから開けようと思ったんだけどねぇー。あんたたちのが一番破りやすそうだから来ちゃったぁー。」
「悪魔ちゃんてレイウッドのこと・・・?面白い呼び方ね。吸血鬼ちゃん?」
「ふーん。綺麗な子だねー。さぁて、どうやって料理しようかなぁ?」
真っ先に立ち上がったベラが前に出ている間。エルはショックで項垂れていた。あんなに頑張って張ったのに!?敗れるの絶対早いよー!!
「どうやって割ったか教えなさい!!」
エルがベラの前に躍り出たときそれが起こった。光らないはずのヴァンパイアの黒い目が青く光り、さっきまで上からだったマリアが泣き崩れた。
そして・・・エルが倒れた。
「ねぇ。レーサーさんとベラさんってくっつかないかなー。」
「んー。無理。たぶん。」
「ポタン冷たい。だって、レーサーさんカッコいいよぉ?それにベラさんも綺麗だし。」
クレスとポタンはまたまたポタンの部屋でこれを見ていたりしている。描写はしていないがドロドロの戦闘シーンの途中で切ってまでしてこんなのんきな会話をしている。
ふーん、と呟いたポリウレタンは笑顔でクレッシェンドに近づいた。
「レーサーさんがカッコいいねぇ・・・。」
「ご・・・ごめん。え?あ・・・ポタンの方がカッコいいな~。」
「うん。ベラさんよりクレスの方が綺麗だし可愛いよ。」
真っ赤になるクレス。そして今までメッチャクチャ近かったポタンの顔がさらに迫ってくる。
と、そのとき。
「ポタン兄ちゃん!!いつまでおばあちゃんのライコン占領して・・・っ!?」
「ロン・・・失せろ。こら。親の前じゃねんだから。失せろ。バーカ。」
「ごめんなさいっ!?わざとじゃないのさっ?ごごごごごゆっくりぃぃぃぃぃ!!」
だ―――――っとかけて行ったロンをしり目に二人はキスするわけにもいかずに顔を見合わせた。ロンはなんとクレスの婚約者?許嫁的な感じなのである。親ぐるみの付き合いなのでそうなるのは仕方がないといえど・・・。なぜ俺じゃないっ!?と・・・ポリウレタンは叫び続けている。心の中で。ええ。心の中で。付き合っているということを親に言っているわけでもなかったのが敗因である。
「なぁ、断ろーとか思わないの?俺的にはさぁ。親の前でラブラブなお前ら超むかつくんだけど。」
「けど・・・私はポタンが一番好きダヨ?」
玉砕。
楽しんでいただけたでしょうか?はい。そうです。エルの登場がすごい少ないんです。レイウッド出ずっぱりなんだよねー。
レーサーも出てないし。ハカセはキャラ濃いからまだいいんだけど。
ベラ?はい出ずっぱりですね。