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ドラキュラ城の王様は

「悪趣味。」

「そ、そうかな・・・?す、凄い可愛いと思うけど・・・。」

エルはリボンで括られた骸骨のモデルを持ち上げながら、不満そうに言った。だが、何度もドラキュラ城に来た事のあるベラは、なんとも思わないようだ。

「本気で言ってんの!?じゃぁ、この棺桶の様なベットはどう思う!?」

「ちょ、ちょっと寝づらいかな・・・?」

「ちょっとじゃないわよ!!人間のこと総無視じゃないっ!!この部屋。」

「そ、そりゃぁ・・・に、人間のままここに来る人なんて、滅多にいないから・・・。」

エルは目くじらを逆立てた。寿壮での大部屋と違い、2人部屋なのは嬉しいけど、悪趣味すぎるとさっきからエルは文句たらたらなのだ。馴れているベラにとっては、五月蠅いことこの上ないのだが。

「もういや~。あ、そうだ。レーサー達のところに遊びに行こうよ!!」

「ごめん。私は隊長に呼ばれているから。」

「そうなんだ・・・。じゃ、暇になったら来てね~。」

ベラは、エルが言った途端真顔になった。ベラは極度の人見知りなだけで、ドモリ癖は無いのであった・・・。そして、メガネをはずした。

「入ってきていいわよ。レイウッド、ケイト。」

「ご光栄だね。気配だけで察してもらえるなんて。」

ケイトは御年650才だとは思えない若々しい言葉で返した。

「イザベラ。悪いがさっさと話しを進ませてもらうぞ。なにせ、お前の立場は面倒くさいからな。実質副隊長さん?」

「いいじゃない。裏番みたいで。面白いわ・・・。」


「ドラキュラの王よ。面会の許可を銀河警察1課第1体隊、隊長の名を持って要する。」

「許可しよう。そんな、硬い表情をするなよ。レイチェル。俺とおまえの中だろう?」

周りがざわつく。ヴァンパイアの友達がいる人なんて、珍しいのにも程がある。しかも、レイチェルだって?彼は、レイ隊長と呼ばれることさえ、嫌がるほどレイウッドという名前に誇りを持っているのだぞ!?

「いつの間にそんな仲になったんです。ケイト様。あと、何べんも言ってますが私のことはレイウッドと呼んでください。」

「つれないなァ。レイチェル~。俺は悲しいぞぉ?」

やはり勝手に言っていたのかと、周りは安心した。我らが隊長がヴァンパイアに食われたりでもしたら、我らの死を意味するのだから。

「さっさと本題に移りますよ。エドワードの捕獲許可を下さい。」

「いいよ。けど、15日間ならね。」

「半年と考えていたのですが・・・。」

「ごめんねー。レイチェル。俺も君のためなら息子を縄にかけるのは何とも思わないんだけど。さすがに一国の王子が半年もいなかったら、政治に響くんだよねぇ?」

「それは承知の上で・・・。そもそも、あんたのとこの息子が一日で500体も貪り食ったからいけねぇんだろ!?」

みんな息をのんだ。500体・・・?しかも、この王の機嫌を損なわせるようなセリフを!!隊長って奴は!!馬鹿野郎っ!!しかし王の反応は、皆が予想していたものとは大幅にずれていた。

「怒った顔も可愛いぞ。レイチェル。しかしなァ。奴も、もう400歳だぞ?確か。親が食事について、シャリシャリ出る年ではあるまい。」

「350才だろーが。さらっと50年間違えるなよ。そんなこと言って、500体ってなると口出してもいいぞ。絶対。」

「まぁまぁ。ちゃんと僕から言っておくから。15日にしてん❤」

「無理。さすがに短すぎ。」

「けどなぁ・・・。難しいんだって。そろそろ俺、死にそうだしぃ~。」

「バカ。知ってんだぞ。最低でも1000年は生きるってこと。それに、せめて1ヶ月でどうだ。」

「いーよ。1ヶ月で手を打とっか。」

みんなは、深いため息をついた。もともと、半年の予定でここにきて、1ヶ月で手を打つはめになるとは

・・・。

「隊長と、副隊長そして、隊長補佐はここに残ってもらおうか。」

エルたち平は面会場から、追い出された。


「しかし、ひでぇよなぁ・・・。1ヶ月って。俺たちはヨ、半年って言ってんだぜ!?」

「ねぇ。少し、不平等だよね・・・。それに、ベラまで残されたのが、気になるな・・・。」

「どーせ。俺たちは、いらねぇよって。」

「あ、そーだ。二人とも聞いた?エディの場所、割り出せたんだって。」

「全然関係ない話だな。また。エドワードがどうしたって?」

「あのね。エディは・・・チキュウって星にいたらしいよ。」

「なんでその地球とやらにいたんだ?」

「何でも、文化的に劣っているから、『むぼーび』なんだってぇ・・・。『むぼーび』って何?」

「吸血鬼に、対抗できないってことだよ。後、無防備ね。」

聞いたくせに、2人は適当に聞き流した。


「ふぅ。わざとらしかったなァ。レイチェル。やっぱり。」

「ケイト。勘弁してくれよォ。みんなの前では、レイウッドって呼んでくれってあれ程・・・!!」

「早く本題に入ってよ。私は、お友達おっぽり出してきたのに・・・。クスクス。」

「とりあえず、その血の詰まったタンクの意味を聞こうか?ケイト。」

「プロジェクトAだよ。これが。」

「血を大量に集めて、どうするつもり?がぶ飲みでもしたいのかしら。フフフ。」

ケイトは渋い顔をしながらうなった。そして、レイウッドの方を向いて一言。

「お前の、その清らかな唇に誓って!!コイツに真相を話していいんだな!?」

「あぁ。この唇には誓わないが、イザベラに話しても支障はない。絶対ない。」

「えー。裏切ったらお前の唇を奪おうと思ってたのに―?レイチェルぅー。」

レイウッドは、いまにも蹴りださんばかりの表情で、断言した。

「早く言え!!お前のその行動が、遅々として進まない原因なのだっ!!」

「分かったよ。けど、怒りは皺の原因だよ?レイチェル。お前ほどの美人に皺は似合わない。」

「うざい。さっさと言うんだ。」

「はぁーい。うちの、民は血に飢えている。金がないと血を手に入れられない、社会になってしまってからだ。その為、共食いも少しづつだが広まりつつある。このままだったら、町が血の海になってしまうのも時間の問題だろう。それで、ある日、このタンクの中にある血を、皆にばらまこうかと思っているんだ。今も、もう配給制度はしているんだけど、僕たちにも食べる量というものがあってね。全部をあげる訳にはいかないだ。だから、血がいる。そういってエドワードを話したわけ。それだけだよ。」

「エドワードは市民のために血を集めているわけね・・・。フフフ。面白いわねぇ。」

レイウッドは涙ながらに、話しかけた。


ブチッ

「ポタン。私と遊ぶ約束忘れたとか言わせないわよ?」

「忘れてなんかいないさ。クレス・・・そんなに怒らないでくれよ。」

その美しい笑顔に一瞬くらっと来るが、クレスはまだ怒っていた。

「バカっ!!忘れてないなら、なんで1時間もっ・・・またせっ・・う~。」

最後らへんは泣いてしまったクレスに、美しく語りかけるポリウレタン(呼び名を一つにしてほしい)

「ごめんね・・・。つい見入ってしまって。」

それが、起爆装置だったのだ・・・。

「バカっ!!エルさんに見入るなんて・・・私という存在がありながらっ!!ポタンなんて大っ嫌いっ!今日のリーレはお預けよ!」

ポタンは、一人さびしくつぶやいた。

「エ、今日はリーレなんかしないんだけど・・・。」

初めて登場しました。ケイト様。また濃いの出しちゃったもんです。はい。レイウッドとの間には、何にもありません。前に、少し世話になったんですって。あと、クレスちゃんも初登場ですかね。可愛い子ですよ。あの子は。

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