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願イ
私は一体、あの頃何を考えていたのだろうか。
今ではきっと思い出せないほどの、たくさんの悩みや葛藤があったに違いない。
私は幼かった。
きっと同時に、誰にも負ける気もしないほどの強い自信と勇気を持っていたことだろう。
そして未来に無限の可能性を感じていたに違いない。
では私が実際に望んでいた未来は、どんなものだった?
こんなものだったか?
機械化の進む世界。
薄れていく人の感触。
人と人が触れ合うことのない世界。
冷たい部屋。
こんなことを望んでいたわけではなかったのに。
もっともっと、人類が快適に過ごせるようにと願って
もっともっと、地球が繁栄するようにと願って
もっともっと、もっともっと・・・
・・・その願いこそが間違いだったのだ。
願わなければ良かったのだ。
願わなければ、生まれなかった。
ごめんなさい、ごめんなさい
私が願ったから、世界はこうなった。
だから私が総てを終わらせよう。
さあこれが最期の願いだ。