偽書(4)
「ん……圭一……小玥……おはよう……魅音……ん?」
二人に弄ばれて壊れたようになっている魅音を見て、レナは恐る恐る立ち上がり、様子を見に行こうとした。
しかし、その前に玥が立ちはだかる。
「レナお姉ちゃんは、そのままずっと寝てればよかったのに」
そう笑いながら言った瞬間、玥の姿が揺らぎ、レナは突然バランスを崩してソファへ倒れ込んだ。
「小……玥?」
レナは怯えたように身体を丸め、性格が一変した玥を見つめる。
「おい、玥! レナに何をする気だ!」
圭一は二人の間に割って入り、両腕を広げてレナを庇いながら、目の前の“悪魔”を睨みつけた。
「レナは無罪じゃないよ」
玥は冷たい視線で、今は同盟者である圭一を見る。
ほんの数秒で気絶したとはいえ、その刺激は魅音の長時間の責めと大差なかった。
だから、当然お返しをするつもりだった。
「……だめだ。さっきレナに約束したんだ。危険な時は必ず守るって……だから……」
圭一も、玥がレナに弄ばれたことは知っている。
だが、約束を破ることはできなかった。
玥は圭一がどうやってレナを気絶させたか、だいたい察していた。
おそらく結婚の誓いのような甘い言葉で説得したのだろう。レナは圭一の言葉に弱い。
「じゃあ仕方ないね。圭一が代わりに受けて」
玥は指を揃え、満面の笑みで恐ろしいことを告げた。
「……くそ……わかった。俺が引き受ける」
圭一は歯を食いしばり、悪魔が同性には手加減してくれることを願った。
しかし、悪魔に情けはない。
「もう……限界だ……」
半屈みになった圭一の脚は震え、両手は頭の後ろに回され、玥に弄ばれるのをただ見ているしかなかった。
玥の手技は短時間でさらに進化し、今度は生クリームを“オイル”代わりに塗りつけていく。
汗と混ざった白い液体が滴り落ち、視覚的にも強烈な光景だった。
「圭一が降参したら、次はレナお姉ちゃんだよ~」
玥は圭一の背中に密着し、耳元で囁きながら、前方のレナに妖しく視線を向ける。
「……まだ……いける……」
誰が見ても限界だが、圭一は必死に耐えていた。
「圭一……」
レナは心配して名前を呼ぶ。
だが、彼女はソファに座ったまま、守ってくれる騎士が悪魔に弄ばれるのを見ることしかできなかった。
「だ、大丈夫だ……うおおおっ!」
意識が飛びそうになりながらも、圭一は無理やり笑顔を作る。
玥はその瞬間を逃さず、人差し指で腹部に円を描く。
衣服越しでも刺激は強烈で、圭一は思わず前屈みになり叫び声を上げた。
「ふふ、圭一、さっきより敏感だね。レナお姉ちゃんの前だと興奮するの?」
「そ、そんなわけ……」
「本当? じゃあちゃんとレナお姉ちゃんを見て」
顎を持ち上げ、視線を合わせさせる。
レナの視線は熱く、無力感が羞恥に変わる。
身体は刺激に逆らえず、圭一は膝をついた。
「犬みたいに舌出してるね。自分は玥の犬だって認めたら終わりにしてあげるよ」
目に光がなくなり、涙を流しながら舌を出して喘ぐ圭一。
「お、俺は……」
「やめて!」
突然、レナが叫んだ。
「圭一、守ってくれてありがとう。でも、あなたを失いたくない。だから……小玥、圭一じゃなくて私にして」
怯えながらも、はっきりと告げる。
その純粋な想いは聖光のようで、玥は思わず手で目を覆った。
「くそ……なら好きにしろ。圭一、今度はレナを弄べ」
次の瞬間、圭一は乱暴にソファへ投げられ、レナを押し倒していた。
「ごめん……レナ……」
「……うん……」
二人は赤面し、初恋の少年少女のようだった。
「もっと見せてよ」
玥に急かされ、圭一は躊躇する。
「圭一なら……大丈夫だよ」
その言葉で獣性が刺激されるが、理性が抵抗する。
だが玥が手首を掴み、動かし始める。
腰に触れ、なぞり、レナは喘ぎ始める。
「初体験は圭一に捧げるんだよ」
その言葉で圭一は完全に理性を失った。
しかし次の瞬間――
「それなら小玥がやればいいでしょ」
声の主は圭一だった。
気づいた時には、玥は二人に拘束され、ソファに挟まれていた。
「催眠なんて最初からかかってないよ」
「計画はキスの時に話したの」
玥は完全に嵌められていた。
「もう放してくれない?」
「まだ三分あるよ。小玥は私たちのメイドなんだから」
二人は玥に襲いかかり、耳や身体中を責める。
複数の刺激に耐えきれず、玥は白目を剥いて震え、涙と唾液を垂れ流す。
「もう無理……」
最後に激しく叫び、ソファに倒れ痙攣しながら完全に沈黙した。
「はぁ……終わった」
圭一はソファに倒れ込む。
「圭一……もしよかったら……あの約束……続けたいな……」
しかし圭一は既に眠っていた。
「おやすみ」
その時、詩音が扉を開け、惨状を見て一言。
「ひどい有様ね。片付けておいてよ」
そして扉を閉め、片付けは唯一起きているレナに託された。




