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第41話 クズな彼女は写っていた

 ***


 放課後。俺と海瀬は手賀先輩に呼ばれてパソコンルームへ来ていた。


 初めて知ったが手賀先輩はパソコン部も兼任しているらしく、週に何度かここを部室がわりにして活動しているのだとか。


「いらっしゃい、二人とも。さあさあ、入って!」


 パソコンルームには情報の授業で訪れる事が度々あるが、放課後に来るのはこれが初めてだった。

 室内には他の生徒は居ないようだ。


「手賀先輩。他の部員は居ないんですか?」


「殆ど幽霊部員だからねぇ。みんな来たい時に好き勝手使っている感じ。鍵はウチが管理しているから今日は貸し切りだよん」


 手賀先輩はそう言って椅子に座り、私物らしいラップトップを起動する。

 俺と海瀬はその両隣に座って、画面を覗き込んだ。


「手賀さん。解決してくれるって言っていたけど、どうする気なんですか?」


 フランクな敬語を使って尋ねる海瀬に、手賀先輩は少し苦笑気味だ。


「あはは……大見得切ったけど、正確にはウチ一人じゃ難しいかも。ただ、二人の手助けになれるのは間違いないよ」


 そう言って手賀先輩が開いたのは、世界最大手の動画サイトだった。


「推しの配信でも見せるつもりですか?」


「それもいいね、空見ちゃん。でもウチは知り合いとの同担は拒否したい派なのです。君たちに見て欲しいのは、これだよ」


 画面に表示されたのは、何かのライブ配信の様子だった。

 どこかの街並みを映している……? もしかして、これって。


「ここって駅前の通り、ですよね。何ですか、これ?」


「二人には縁が無いかもしれないけど、ここに個人経営のパソコンショップがあってね。そこのオーナーが趣味でやっているライブカメラ。いくつかのカメラを店舗に配置して、防犯も兼ねて二十四時間配信しているの」


 配信タイトルは【PCゴラク・ライブカメラ一号】。察するにこれが店舗名らしい。


「うーん。こっちのカメラには映ってないね。じゃあ、二号の方かな?」


 手賀先輩が配信ページを移動した、その瞬間だった。


「あ! そ、空見! これってさ!?」


 海瀬が声を上げて、即座にスマホを取り出して例の写真を表示する。

 スマホとラップトップ。その両方の画面に、同じ建物が映っていた。


「名雲さんの写真に映っていた、ラブホだ」


 人の通り、その背後に例のラブホテルがしっかり捉えられている。

 どうやらこの店舗は、ラブホの目の前の並びにあるらしい。


「うん。やっぱり! 昔このライブカメラで見たことあったから、もしかして……って思ったけど、大正解だったねぇ」


 手賀先輩は親指を立てて、嬉しそうに俺たち笑いかける。


「ちなみにクリスマスイブにこのライブカメラ見ると、めちゃくちゃ面白いよ。カップルが入れ替わり立ち代わり、出たり入ったりするからね。ホテルの中では()()()()()()()()しているのに……ぷぷっ」


「悪趣味な上に下ネタが下品なのはさておき、だ。なあ、手賀さん」


 海瀬は手賀先輩のボケを軽く潰して、ライブ配信を指差す。


「このライブ配信、アーカイブもありますよね? それ、見ること出来ます?」


「もちろん! その写真が撮られたのって、土曜の夕方だよね?」


 慣れた手つきで手賀先輩はタッチパッドを操作し、過去の配信を表示してシークバーを動かしていく。配信画面の右上には現在時刻もあり、簡単に目当ての時間帯を確認することが出来た。


 俺たちが目を凝らし、人の流れを見ていると。


「……あ! 名雲さん!」


 写真の通り、名雲さんがホテルの前で立ち止まってスマホを見ている。

 一瞬、誰かと待ち合わせて中に入るのかと思って焦ったが……。


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