表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/36

第22話 幕間 名雲夏菜の胸は高鳴る

 空見君のアパートから出て、少し歩いた先で立ち止まる。

 深く息を吸い込んで、吐き出す。

 胸元に手を当てると、心臓が不安になるくらい早い鼓動を刻んでいた。


「……あのイカサマは、迂闊だったかな」


 バレるとは思っていなかったし、そもそもバレたところで軽い口論程度で終わると思っていた。

 やった、やってないを繰り返して、ムキになる空見君を私がからかって終わり。


 そういう感じの流れを予想していたのに、彼に裏切られた。


「まさか、いきなりハグしてくるとは思わないじゃん……っ!」


 私と密着しないようにしていたのは分かる。

 それでも彼がブレザーのポケットに手を入れた時は、完全なゼロ距離だったわけで。

 耳元での囁き。そして、私よりも体温の高い身体。

 背中にはまだ、その熱が残っているような錯覚を覚えてしまう。


「彼氏でもない男の子相手なら、何されても平気だと思っていたのに」


 私って、案外ちょろい?

 そして、もしかして他の女子よりも……いや、それは絶対に違うから!


「しっかりしろ、夏菜。私にはそういう色恋に没頭する時間は無いんだから」


 私は私の未来のために、すべきことがたくさんある。

 空見君と接する時間は、未来に続く道みたいなもの。

 寄り道じゃない。この時間と彼から巻き上げたお金は、絶対に無駄にならない。


「だから……彼と一緒に居ても、大丈夫。無駄じゃないし、恋じゃないから」


 頬を軽く叩いて気合を入れてから、早歩きで大通りに向かう。

 その途中でスマホを取り出そうと、ポケットに手を入れる。


「あ、そういえばこれ……どうしようかな」


 空見君が私に押し付けた強化素材こと、【二等 寝落ち通話体験チケット】。


 それだけじゃなくて、もう一枚。こっちはあまりにも恥ずかしいことを書いてしまったから、彼が中を確認する前に私に渡してくれて良かった。


「寝落ち通話は興味無いけど、今度空見君に提案してみようかな?」


 恥ずかしがるかな。鬱陶しい顔をされるかな。

 あるいは、このチケットも買い取ってくれるかもしれない。


「どう転んでも、空見君は私を楽しませてくれそうだね」


 二枚のチケットをスマホケースの裏側に隠し入れる。

 何かあった時は、これを使って彼と楽しい交渉をするとしよう。


 さて、今日の夜はダウンロードした映画を朝まで観ちゃうぞー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ